吉岡 陽介, 一色 高志, 岡崎 甚幸
人間工学 39(1) 1-8 2003年 査読有り
本研究では迷路内探索歩行時における周辺視の役割を解明するため, 制限視野法を用いた歩行実験を実験用迷路内で行った. 以下にその成果をまとめる. (1) はじめての経路を探索しながら歩行する時には, 身体近傍の空間や複雑な経路空間を効率よく把握するために周辺視を有効に活用する必要がある. しかし, いったん経路を学習してしまえば, 経路空間の特徴的な部分を周辺視を活用しなくとも見つけ出せるようになり, そのことで正確に目的地まで到達できるようになる. (2) 通常の視野状態では,「壁と床の境界」や「身体側方の壁面」など経路歩行に必要な環境情報を周辺視で捉えることで, 余裕のある注視活動を行うことができる. また,「壁と床の境界」に関しては, 経路学習前には中心視で, 学習後には周辺視でそれを捉える傾向がある.