瓦井 裕也, 中村 順一, 萩原 茂生, 大鳥 精司
別冊整形外科 (84) 54-57 2023年10月
<文献概要>はじめに 関節リウマチ(RA)の治療にメトトレキサート(MTX)に代表される従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(conventional synthetic disease-modifying antirheumatic drugs:csDMARDs)に加え,生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(biological DMARDs:bDMARDs)が使用されるようになり,疾患活動性は大きく改善した.2003年にインフリキシマブが発売されたのを皮切りに,現在では9種類のbDMARDsが使用可能で,3種類のバイオシミラー(biosimilar:BS)も登場した(表1).すべてのbDMARDsに共通する特徴として,(1)静注または皮下注製剤であること,(2)RA患者の臨床症状の改善,骨関節破壊の進行防止,身体機能の改善といった作用を有すること,(3)有効性は発症早期例,生物学的製剤未使用例,MTX併用例で高いことがあげられる.一方で強力な免疫抑制効果に伴い,重篤な感染症を中心とする副作用のリスクが高まることや,高額な医療費が患者や社会保障費上の問題となることに留意する必要がある.したがってbDMARDsを選択する際には,表2にある項目を検討する必要がある.本稿では,各bDMARDsについて当院での治療経験も交え解説する.