渋谷 潔, 藤澤 武彦, 星野 英久, 馬場 雅行, 斎藤 幸雄, 飯笹 俊彦, 鈴木 実, 尾辻 瑞人, 飯田 智彦, 芳賀 由紀子, 山地 治子, 大和田 英美, 廣島 健三, 豊崎 哲也, 伊豫田 明
気管支学 22:613-616(8) 613-616 2000年
Bronchial dysplasiaを中心に蛍光気管支内視鏡による異常蛍光部位に対して拡大気管支ビデオスコープ(XBF-200HM2, オリンパス)を用いた気管支の微細観察を行った。喀痰細胞診要精査例を中心に31症例, 45部位に対して, 白色光気管支ビデオスコープによる検査の後, 蛍光気管支内視鏡を施行した。引き続き異常蛍光部位に対して拡大気管支ビデオスコープを用いた気管支の微細観察を行った後, 生検を施行し拡大気管支ビデオスコープ画像所見と病理組織学的所見とを比較検討した。更に拡大気管支ビデオスコープにて観察された気管支粘膜における血管所見に注目し, 画像解析装置を用いて描出された血管パターンの血管面積比の算出を行い比較検討した。異常蛍光部位の血管パターンは, type 1:微細な血管がわずかに認められる, type 2:血管網か血液のプーリングを認める, type 3:蛇行した血管網が錯綜している。以上3型に大別された。病理組織学的に, 正常もしくは気管支炎24部位では, 20部位がtype1かtype2であったが, dysplasia 21部位中15部位では, type 3が観察された。type 1:8部位, type 2:18部位, type 3:19部位の血管面積比の比較では, type 1は, 0.057±0.029, type 2は, 0.104±0.048, type 3は, 0.205±0.053であり, 各typeごとに推計学的有意差を認めた。正常もしくは気管支炎24部位とdysplasia 21部位の比較では, 0.108±0.071と0.173±0.067であり, dysplasiaグループは推計学的に有意に高値を呈した。以上より蛍光気管支内視鏡での異常蛍光部位には, 種々の程度の微細血管が観察されたが, 病理組織学的に, 正常または気管支炎に比べ, bronchial dysplasiaでは蛇行した血管網が錯綜, 増生しておりその血管面積比も高値を示し, bronchial dysplasiaと血管新生の関連が示唆された。