山崎 一樹   花澤 豊行   栗田 惇也   三田 恭義   新井 智之   飯沼 智久   大塚 雄一郎   米倉 修二   
日本鼻科学会会誌 61(4) 640-647 2022年12月
内視鏡下に鼻副鼻腔腫瘍を切除するにあたって,重要な点の一つにワーキングスペースの確保と明視下に腫瘍基部を同定することが挙げられる。鼻中隔の開窓による両側鼻腔アプローチは非常に有用な方法であり,大きなワーキングスペースを得ることができるが,術後に大きな鼻中隔穿孔を生じるリスクがある。今回,頭側後方茎の鼻中隔粘膜弁挙上による鼻中隔の開窓により,内視鏡下に切除可能であった鼻腔粘膜悪性黒色腫を経験した。症例は70歳代の男性であり,右下鼻甲介から発生したと考えられる悪性黒色腫が前鼻孔から上咽頭まで充...