奥村 恵美佳   久保 光徳   田内 隆利   山中 敏正   
デザイン学研究 63(5) 5_7-5_14 2017年
本研究の目的は13世紀における板蟇股の力学的合理性の解明を通して当時の設計者の力学的感性について考察することである。本研究では日本伝統建築において束の役割を担うために配置され構造材の役割を担う板蟇股の形態に着目した。蟇股の形態は時代や地域,作り手によって異なる設計がなされるため,建築物の建立時代を明らかにする指標の一つである。そして,中世は蟇股が構造材から装飾材の役割へと変容を遂げた変換期である。そこで本研究では,中世初期に当たる13世紀の板蟇股に掘りこまれた眼玉と呼ばれる二つの小さな凹み...