小笠原 定久   叶川 直哉   加藤 直也   
肝臓クリニカルアップデート 9(1) 30-34 2023年5月
本邦では進行肝細胞癌に対する薬物治療として8レジメンが承認されている。そのうち6レジメンではVEGF阻害作用を有する薬剤を用いる。昨今,生活習慣病を背景とする非ウイルス性肝細胞癌が増加傾向であり,進行肝細胞癌に対する薬物療法を行う患者の多くが高血圧,糖尿病を合併している。潜在的に蛋白尿発症の危険性が高い患者群に対してVEGF阻害作用を有する薬剤を用いることから,治療経過中の蛋白尿のマネジメントには十分に留意する必要があるだろう。本稿では,進行肝細胞癌に対する薬物治療における蛋白尿のインパク...