勝田聡   羽間京子   
千葉大学教育学部研究紀要 61(61) 345-352 2013年3月
保護観察は,非行少年と犯罪者の改善更生を目的とした社会内処遇である。保護処分を受けた少年の保護観察処遇は,「健全な育成」(少年法)を期して行われている。しかし,刑事処分を受けた成人の保護観察のあり方に関しては,刑罰原理を踏まえた議論がほとんどない。本論文は,刑罰論を概観した上で,仮釈放者と保護観察付執行猶予者に対する保護観察処遇の相違を検討し,次の3点を論じる。1)刑罰の基本原理は応報的原理と教育的原理からなる。刑の宣告では応報的原理が優先し,犯罪者処遇では教育的原理が優位に立つ。2)執行...