井上 孝夫   
千葉大学教育学部研究紀要 60(0) 385-393 2012年3月
海岸は現代社会における典型的なコモンズである。同じくコモンズとみなされても,入会地などは歴史的な経過をたどって私財化され,特定の団体あるいは複数の個人の「共有」となっていったのに対して,コモンズとしての海岸はだれに対しても開かれ,「みんなのもの」でありつづけている。ここでは,そのような特質をもった海岸について,いくつかの事例に基づいて,あるべき利用の方法を検討していく。それは単なる利用法にとどまらず,「みんなのもの」を維持し,存続させていくための方法論ともなるだろう。