陳 誼菲, 土屋 篤生, 郭 庚熙, 宮田 佳美, 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 496-496 2019年
<p>今日の日本においては、近代化・工業化に伴い大量生産・大量消費型の社会が形成された一方で、地域の伝統的ものづくり産業が衰退し、その価値が十分に認識されずに潜在化する傾向にある。また、日本の地方圏においては、急激な過疎・高齢化が進展しており、人口減少に伴い、地域産業の後継者不足による廃業等の課題を抱えていることが少なくない。本研究で取り上げる「千葉工匠具」も例外ではない。千葉工匠具とは千葉県の伝統的工芸品であり、鍛冶職人が伝統的な技法でつくる刃物、仕事道具である。砂鉄の産地である房総半島は、古くから製鉄・鍛冶が行われ、各時代の需要に応じて打刃物の製作技術が発展してきた。長い歴史を経て、それらには職人の知恵や生活文化が内包されているといえる。本稿は、千葉県における伝統的工芸・千葉工匠具の歴史と製作技術、産業の実態などを記録するとともに、その過程で得られた知見に基づき、今後の振興の方策を導出することを目的としたものである。本取り組みを通して、最終的に、千葉工匠具が自律的地域づくりと連動しつつ展開することを目指した。</p>