研究者業績

青木 宏展

アオキ ヒロノブ  (Hironobu AOKI)

基本情報

所属
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri) 助教
学位
博士(学術)(2019年9月 千葉大学)
修士(学術)(2016年3月 千葉大学)

研究者番号
20887731
J-GLOBAL ID
202001000760846593
researchmap会員ID
R000004717

論文

 25
  • Pandu Purwandaru, Aoki Hironobu, Feng Tien Wei
    Sodality: Jurnal Sosiologi Pedesaan 12(3) 225-237 2025年4月11日  査読有り
  • 李 敏, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(4) 4_51-4_60 2025年3月31日  査読有り
  • 李 敏, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(4) 4_41-4_50 2025年3月31日  査読有り
  • 陳 誼菲, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(2) 2_35-2_44 2024年9月30日  査読有り
    本稿は,中国広東省汕頭市澄海地域において長らく使用されてきた「潮汕紙銭」が人生儀礼においていかに使用されてきたかを現地調査,ならびに聞き取り調査によって確認し記録するとともに,地域文化の形成における紙銭の特質を明らかにすることを目的とした。調査・考察の結果,以下の知見を得た。(1)当該地域において紙銭は人生儀礼において欠かせないものであり,人びとは誕生・成人式・結婚・葬式といった人生の各段階において使用する紙銭を区別し,紙銭によって社会的秩序内での生と死を明確化した。(2)紙銭は生と死における一連の人生儀礼において,個人を中心とした人間関係を構築するとともに,個人と集団の関係の形成に寄与してきた。(3)紙銭の使用により,共同体への加入と社会的役割が個人に与えられ,そのことを通じて,個人が所属する社会的秩序内での地位を識別し自覚を促すと共に,社会秩序を共有させ,紙銭文化の伝承を促進する役割を果たした。
  • 陳 誼菲, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(2) 2_45-2_54 2024年9月30日  査読有り
    本稿では,中国広東省汕頭市澄海地域にて行われてきた年中行事における潮汕紙銭の使用実態を概観し,それらに表出する紙銭の特質を明確化することを目的としたものである。調査・考察の結果,澄海地域における年中行事にみられる紙銭の特質は以下の3点にまとめることができた。(1) 多様な祭祀を演出し,人びとの豊かな創造力を顕示する,(2)一年の区切りを明確化し,生活のリズムを顕在化する,(3)人びとのつながりを明示・強化し,コミュニティの結束力を高める。紙銭のデザインとその使用により,人びとは鬼神への畏敬と先祖への敬意を表現し,コミュニティ内で共に遵守すべき生活規範と社会秩序を形成し維持している。この営みにおいて,人びとは自らの生活様式に適応する形に紙銭を再構築し,各地域で独自の生活文化を築き上げている。紙銭の特質の明確化を通じて,人びとの紙銭文化に対する再確認と再認識を促進することは,村落の自律と自立の発展にとって極めて重要であると考えられる。
  • Pandu Purwandaru, Aoki Hironobu
    Jurnal Ilmu Sosial dan Humaniora 13(2) 257-270 2024年8月9日  査読有り
    Since 1960, the area of rice terraces in Japan has begun to decrease drastically due to a lack of human resources. Oyama Senmaida is a rice terrace area that successfully managed a revitalization program through an urban-rural exchange approach and was included among Japan's 100 top rice terraces. Based on the achievements of this organization, this research was carried out to understand development patterns from the design development aspect to the evaluation of programs through direct interviews with staff at Oyama Senmaida and surveys from the activities held. From the results of this research, it can be concluded that the revitalization design strategies carried out by Oyama Senmaida include raising the foundation of design ideas through local and external potential and dividing activity programs into preservation and new program development. Regarding program details, there are three categories of activities, namely ownership and trust, workshops and experience, and other programs. In the context of evaluation, supporting elements in producing a sustainable revitalization program, including building internal and external cooperation networks; planning income and funds from the government or private sector for development; and targeting market participants in the surrounding area and building aspects of publication through newspapers and online media.
  • 烏蘭 吉亜, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(1) 1_11-1_20 2024年7月31日  査読有り
    本稿は,内モンゴル·ホルチン地域における「チョール」と呼ばれる二弦擦弦楽器の制作過程と保管方法に内包された文化的特質を明らかにすることを目的としたものである。調査・考察した結果,以下が明らかになった。(1) チョールの制作過程は,自然資源循環システムに対するモンゴルの人びとのかかわり方の表れであり,日々の生活の中で伝承され,遊牧生活ならではのものづくり文化が形成されてきた。(2)チョールの制作に使われる材料には精神的な象徴性が如実に表出している。チョールはモンゴルの人びとの思いを具象化するための媒体であったと考えられる。(3)チョールの制作・保管においては,「資源循環」・「資源利活用」・「持続可能」といった知恵が生活の中で共有されることで,当該地域の人びとの共通の価値観が醸成されており,そこには人と自然の「共生」・「共存」・「融合」関係が体現されている。(4)チョールの制作・保管によって,モンゴル人にはものを「一生使う」という考え方が育まれてきた。
  • 烏蘭 吉亜, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(1) 1_1-1_10 2024年7月31日  査読有り
    本稿では,現地調査を通じて収集した二弦擦弦楽器をサンプルとして,多変量解析によりその類型を材料の観点から明確化するとともに,それぞれの類型ごとの特徴を考察することを目的とした。その結果,82点のサンプルは「身近な自然材料を活かした固有型」「合成材料で補完した踏襲型」「人工材料を汎用した複製型」「機械で加工した量産型」の4つに分類された。また,内モンゴルの社会環境とモンゴルの人びとの生活習慣の変化に対応した,それぞれの年代区分における二弦擦弦楽器の特徴は次のようになる。(1)明代から1960年代までは,地域特有の自然材料を獲得しものづくりが行われてきた。(2)1960年代から1980年代までは,人工材料が一部の自然材料に代わって使われ始め,さらに舞台の演奏性を向上させるためにさまざまな試みがなされた。(3)1980年代から21世紀初頭にかけては,人工材料や輸入材が広く普及し,伝統楽器として認知されるにつれ,二弦擦弦楽器の形や使用材料が標準化された。(4)21世紀初頭以降,非物質文化遺産保護運動の高まりに伴い,二弦擦弦楽器の伝統性を強調するために,動物の皮や雄馬の尾毛など使用材料の規範の明確化が重視されるようになった。
  • 土屋 篤生, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 : 日本デザイン学会研究論文集 : bulletin of Japanese Society for the Science of Design 70(2) 1-10 2023年10月  査読有り
  • 土屋 篤生, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 : 日本デザイン学会研究論文集 : bulletin of Japanese Society for the Science of Design 70(2) 11-18 2023年10月  査読有り
  • 孟 晗, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究作品集 28(1) 1_40-1_45 2023年7月31日  査読有り
    ドキュメンタリー映画「もうひとつの明日へ」は長野県上田市の市民団体蚕都くらぶ・ま〜ゆはじめ、千葉大学デザイン文化計画研究室の学生、映像制作の専門家、上田市の行政など多様な主体が協働的に推進した「コミュニティドキュメンタリー」のデザイン実践の成果品である。本稿は、当作品の企画、撮影、編集、宣伝、集金、上映の各段階において得られた知見を報告するとともに、上映会において収集した質問紙調査の結果の分析を通じて、本作品制作における実践を評価し、内発的生活創生に寄与するコミュニティドキュメンタリー映画制作の指針を導出することを目的とする。<br>
  • 郭 庚熙, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 : 日本デザイン学会研究論文集 : bulletin of Japanese Society for the Science of Design 70(1) 21-30 2023年7月  査読有り
  • 郭 庚熙, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 : 日本デザイン学会研究論文集 : bulletin of Japanese Society for the Science of Design 70(1) 11-20 2023年7月  査読有り
  • 呉 竹雅, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(4) 4_9-4_18 2023年3月31日  査読有り
    本研究は,明治時代における社会通念としての美術の形成過程を明らかにするために,計量テキスト分析を用い,新聞にみられる「美術」に関連した社会的出来事が,明治期の歴史的かつ社会的文脈でいかに当時の人びとに共有されたかについてそのプロセスを検証した。その結果,官製用語として誕生した「美術」に対する社会的認識の形成については,第一段階の明治10 年代までは実態,つまりものに重点を置き,第二段階の明治20~30年代においては価値観ないし価値体系を中心に,また第三段階の明治30 年代以降は概念,いわばジャンルを理解するといったプロセスで定着してきた。それは,エリート層を中心とする上流社会の人びとが概念からジャンルに,さらに価値観ないし価値体系という順序で「美術」を受け入れたのに対して,一般民衆はほぼ相反するプロセスに基づき美術を理解してきたといえる。また,明治政府が「美術」という概念を導入し,既存の絵画が「日本画」に統合されたことによって,日常生活における絵画の機能性・意味性は漸次に低下し,鑑賞対象となっていった。
  • 蒋 蘭, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(3) 3_11-3_20 2023年1月31日  査読有り
    本稿は中国遼寧省北鎮市における民居「平房」の建設過程とその内包された文化的特質を明らかにすることを目的としたものである。調査・考察した結果,以下が明らかになった。(1)平房の建設過程と手順は人びとに周知され,図面などの資料は用いられなかった。(2)建設資材は現地での調達が優先され,効果的な材料の組み合わせに工夫を凝らし,材料を巧みに用いた。(3)地産材の制限に応じて,建造物の細部が適宜調整された。(4)人びとの互助行動は自発的に行われており,その関係は生活の交流において構築された。(5)職人と手伝人の年齢構成から地域的な建設の知恵が継承されていた可能性が示唆された。(6)建設過程においては建設に関する事象は家主が担当し,賄いに関する事柄は女主人が受け持つ「男主外,女主内」という家族秩序が表出された。(7)建設過程からは人と神との共生を尊重する観念がみられた。
  • 蒋 蘭, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(3) 3_1-3_10 2023年1月31日  査読有り
    本稿は,中国遼寧省北鎮市の民居である平房を対象として,屋外空間の配置,母屋の構え,間取り,屋内空間の配置,および生活設備の配置などを調査し記録するとともに,それらの使い方を踏まえ,家屋が具備する意匠的特質を明らかにすることを目的としたものである。調査・考察の結果,以下の知見が得られた。(1)平房には満洲族と漢族の両者の生活の知恵が表出している。(2)平房における生活空間は,複数の門や屏で仕切られることによって,複層的に構成されている。(3)高齢者や男性を尊ぶ風習,「男性は仕事,女性は家事」といった秩序,神との共生といった伝統的な様式が重視される一方で,形や間取りは生活する人びとの需要に応じたある程度自由な設定が許容される。(4)長方形の間取りや幅広の窓や厚い壁,炕など,寒冷地である当該地域の気候に対応した工夫を確認することができる。(5)山地・平原・低地といった地域特性に対応して材料選択がなされてきたことが認められる。
  • Han MENG, Tie JI, Hironobu AOKI, Akira UEDA
    [ ] With Design: Reinventing Design Modes (IASDR 2021) 2676-2689 2022年11月  査読有り
  • Zhuya WU, Hironobu AOKI, Akira UEDA
    [ ] With Design: Reinventing Design Modes (IASDR 2021) 1231-1245 2022年11月  査読有り
  • 王 建明, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(2) 2_21-2_30 2022年9月30日  査読有り
    本稿は,苗族の伝統的服飾「百鳥衣」が苗族の人びとの生活づくりに寄与する役割を明らかにすることを目的としたものである。制作・着用・保管の文化を調査・考察し,以下の知見を得た。(1)百鳥衣は身の回りの自然から得られる竹皮・羽・板・樹尖・糠などの資源を利活用し,蚕糸布・薏苡珠・鶏の羽に意味を付与しつつ継承されてきたものである。(2)百鳥衣の着用の類型は鼓蔵節・婚礼・葬礼での着用に関する約束ごとに基づき,4つに分けられる。①鼓(男)・鼓(男)型。②鼓(男)・婚(新婦)・鼓(男)型。③鼓(男)・葬(男)型。④鼓(男)・婚(新婦)・葬(男)型。百鳥衣は,村の共同祖先を祀る鼓蔵節のために制作し着用されるが、祝いの行事である婚礼式にも着用されてきたことがわかる。(3)百鳥衣は制作者,着用者,保管者の関係から見ると,当該地域における苗族の人びとの家族の世代間,村落の人びとの交流を促し,共創意識を創出してきた。(4)以上の(1)~(3)を踏まえると,百鳥衣は,苗族の人びとが,当該地域における生活を構成するもの,人,ことといったさまざまな要素をつなげ共生・共存・共創の生活づくりの知恵を創出・継承する媒体として重要な役割を担ってきた。
  • 王 建明, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(2) 2_11-2_20 2022年9月30日  査読有り
    本稿は,中国貴州省黔東南苗族トン族自治州榕江県における苗族の伝統的な服飾である「百鳥衣」を対象として,図柄の種類や意味,構造を明らかにしたものである。調査・考察の結果,次の知見を得た。(1)百鳥衣の図柄の種類は,さまざまな動植物,神話,人間,幾何学図柄を含み,そのなかで鳥,魚,龍,鶏が共通の図柄として扱われる場合が多い。(2)百鳥衣の図柄は,意味の観点から,①身の回りの自然界に存在する類型Ⅰ,②身の回りの自然界に存在しかつ古歌・民話にも語られている類型Ⅱ,③苗族の古歌あるいは伝統的民話をもとに創作されたと思われる類型Ⅲの3つに分類される。類型Ⅰの図柄には主に現実世界に存在するもの,類型Ⅱと類型Ⅲの図柄には主に精神世界が象徴されており,百鳥衣には総じて人びとの世界観が如実に反映されている。(3)百鳥衣の図柄を構造の観点からみると、「主図柄・従属図柄・並列図柄」「動物・動物」「動物・植物」の組み合わせや,「雌・雄」の区別,図柄の位置・寸法などに一定の約束事が確認された。苗族の人びとは「主図柄」により精神的な力を強調する一方で,その対比として「従属図柄」は物質的なものを重視している。「百鳥衣」の「上部」は「天上・神」を象徴し,「下部」の裾の位置に「人間」「他界」を表していることがうかがえる。
  • Aoki Hironobu, Takagi Yuki, Ueda Akira
    Bulletin of Asian Design Culture Society 14 241-246 2020年  査読有り
  • 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
    デザイン学研究 66(4) 4_21-4_30 2020年  査読有り
    <p>今日,わが国において地方創生は喫緊の課題であり,地域の自律・自立が求められている。一方,地域社会が有する歴史的立体造形は,当該地域のアイデンティティ確立のための重要な要素である。しかしながら,それらの維持・管理者の不在化が進行している。こうした状況が続けば,地域の造形が消失する可能性すら懸念される。<br>上記を受け,本稿は仏像や社寺彫刻等,地域が有する歴史的立体造形の3Dデータの活用について,地域活性化の観点から論じたものである。具体的には千葉県南房総市,館山市,鴨川市を対象とし,当該地域の歴史的立体造形の3Dデータを活用した7つの実践を報告した。また,実践から得られた知見に基づき,今日わが国で叫ばれる地方創生に資する歴史的立体造形の3Dデータ活用の特質として以下を抽出した。(1)多様な造形の提示を易化する,(2)歴史的立体造形への興味・関心の向上に寄与する,(3)地域色ある小規模のものづくりを支援する,(4)歴史的立体造形の「資源」としての認識を喚起する。</p>
  • 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
    デザイン学研究 66(4) 4_11-4_20 2020年  査読有り
    <p>本稿は,歴史的立体造形の3Dデータの取得・保存・活用に基づく地域活性化デザインに関する調査•研究の第二報である。<br>前報では,これまでにデータを取得した歴史的立体造形の104件の取得実践について報告した。本稿では,それらの取得実践によって得られた造形を分類し,3Dデータ取得への指針を導出することを目的とした。調査•研究の結果以下の知見を得た。A)3Dデータ取得に際しての歴史的立体造形の特性として以下の6つの類型を得た:(1)環境制約型,(2)大規模安定型,(3)小規模安定型,(4)破損危険型,(5)大規模破損危険型,(6)大規模多制約型。B)上記を踏まえて,3Dデータ取得への指針としてデータ取得のワークフローを提案した。また,上記ワークフローの各段階で得られる情報を記録するための「3Dデータ取得調査カード」の作成を提案した。</p>
  • 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
    デザイン学研究 66(4) 4_1-4_10 2020年  査読有り
    <p>本稿は,地域に点在する歴史的立体造形の3Dデータの取得について,データ取得実践を通じて得た知見を報告するものである。主に千葉県内の歴史的立体造形を調査・研究対象とし,取得機器の規模,取得可能なデータの精度等の異なる四種の3Dデータ取得法を使用し,104件の3Dデータ取得実践を行った。その結果,対象となる造形の状態,および造形を取り巻く環境を考慮したデータ取得への留意点として以下を明確化した。(1)造形の大きさ,(2)造形の形状,(3)欠損の有無,破損危険性,(4)移動の容易性,(5)造形形状の複雑性,(6)時間的制約。また,取得データの合成および修正•処理を経て得られたデータの詳細を一覧にまとめるとともに,一連の実践を通じて,3Dデータ取得の地域活性化への意義の考察を行い,以下の2点を抽出した。(1)歴史的立体造形の顕在化の促進,(2)保存・共有に向けた歴史的立体造形に関する情報の蓄積。</p>
  • Aoki Hironobu, Ueda Akira
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1597-1606 2018年  査読有り

MISC

 73
  • 陳 正捷, 蘇 日娜, 柴 済洲, 王 思堯, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 508 2024年  
    本研究は、石造歴史災害供養塔群のなかでも、とりわけ「信州浅間山噴火以来天災横死者供養塔」を対象に、その3Dデータの取得、活用を通じて、現代の人びとに被災当時の実情を伝えることにより、自然災害が多発する日本で生活を送る人びとが改めて災害について再考する機会となることを目指すものである。とりわけ本稿では、取得したデータを活用した展示手法について、各制作物と企画展についてを報告し、3Dデータを活用した文化財展示の可能性について議論することを目的とする。
  • 青木 宏展, 今石 みぎわ, 久保 光徳, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 494 2024年  
    本研究では異なる大きさの面岸箕を対象に、それを用いて大豆、アマランサスの風選を行う際の動作のデータをモーションキャプチャにより取得し、その動作の①スティックピクチャの観察、ならびに②高さ方向(Z軸方向)のマーカ変位による解析を試みた。その結果、動作の特徴の明確化がなされるとともに、箕の大きさや内容物によって、使い方に変化がみられる可能性が示唆された。
  • 橋本 紗良, 青木 宏展, 三浦 秀彦, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 502 2024年  
    情報へのアクセスが容易となった現代の移動体験においては、多くの場合目的地が伴う。一方で「目的地のない歩き」には、街中の事象との偶発的な遭遇やそれによる新しい視点の誘発などの有意義な可能性が見出せるのではないかと考え、本研究では「迷う」をテーマに据えた街歩き体験の展開を行った。 目的地の概念が希薄となった移動体験の設計にあたり、こうした体験を「迷う」ことの擬似体験と称し、事前知識に起因する予定調和的行動様式から脱却し、偶発的な出会いを誘発すると仮定した。こうした体験を通じて、①これまで見落としてきた街に対する視点、②街の事物に投影された自身の興味や心的状況の認識を促す手法を導出することを本研究の目的とした。また、上記過程で記録された「街の魅力」や「街歩きの体験的価値」を可視化し、地域の人びとの街に対する愛着形成や自己発見の機会創出の可能性を探った。
  • 土屋 篤生, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 506 2024年  
    本稿は、産学連携による「千葉匠の技」の継承と奨励に関する第2報である。鍛冶文化の継承・振興にあたり、職人たちは自分たちの共通点を自ら再発見し、千葉工匠具をつくる職人の一員として地域のイベントに参加することで、コンセプトを共有する仲間という意識を持つようになった。自分たちのコンセプトを職人たち自らが内発的に再発見することで、女性西洋鍛冶職人を仲間に迎えるなど、固定観念にとらわれない柔軟な結束が生まれた。千葉県打刃物連絡会と千葉大学は、イベントへの参加や大学祭でのワークショップの実施、職人同士の交流会など、市民、職人、学生が鍛冶に実際に触れ、交流し、ものづくりを通して鍛冶文化に触れる機会を提供した。今後、従来の師弟関係などに囚われない柔軟な取り組みによって千葉県の鍛冶技術・文化が継承・振興されていくことが期待される。
  • 陳 娟志, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 498 2024年  
    市原歴史博物館“I'Museum”は、「見学や体験を通じて生活者自身を当該地域の歴史をつなぐ主体者とする」ことを目指して、千葉県市原市に開設された地域博物館である。本稿においては、3D造形技術を用いた文化財の共有をさらに推し進めるために下記の取り組みを遊行した。①「彩色体験」の館内での完結を目指した文化財整理補助員の参与、②当該地域に潜在する造形物の展示、③上記の造形物の3Dデータの「取得体験」の提供。本稿では、本取り組みを報告するとともに、その効果を明確化することを目的とした。以上の取り組みの結果、(1)職員をWSの準備作業に巻き込むことにより、職員の積極的な参与を促し、良いもの・ことを提供しようとする意欲が醸成される。職員自らが、文化財の持続のため体制構築に寄与する可能性が示唆された。(2)本体験は、単なる文化財の興味・関心を喚起するだけではなく、改めて地域の課題を考える機会となり、自らの地域の文化財を守ろうとする意欲を育むことができる。上記から、地域博物館におけるデジタル造形技術を用いた文化財の3Dデータの取得・保存・活用の一連のプロセスの内製化やそれによって、その営み自体が自律していく兆しが見えてきた。

所属学協会

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共同研究・競争的資金等の研究課題

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