本田 大介, 和泉 裕子, 合田 朋仁, 長町 誠嗣, 大澤 勲, 堀越 哲, 関根 亮, 栗崎 愛子, 渡辺 純夫, 八尾 隆史, 富野 康日己
順天堂醫事雑誌 59(3) 284-288 2013年6月
多彩な臨床症状を呈する全身疾患は大変多く、年齢・性別・症状・臨床経過などから慎重に鑑別診断を進める必要がある。その一つにアミロイドーシスがあり、原発性あるいは続発性に分類される。原発性アミロイドーシスは、形質細胞やリンパ球系腫瘍細胞により異型免疫グロブリン軽鎖や重鎖を産生することにより引き起こされる。今回、食思不振と下痢、体重減少を契機に様々な臨床所見を呈し、全身性アミロイドーシスと診断されるも、治療抵抗性の多臓器不全で死に至り、病理解剖によってMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)を原因とする原発性アミロイドーシスと診断された1例を経験した。MGUS症例のうち、多発性骨髄腫やアミロイドーシスなどへ進展するものは年にわずか1〜1.5%である。多彩な臨床症状を呈する状態では、原発性アミロイドーシスも念頭に鑑別することが重要であり、本症例を報告する。(著者抄録)