研究者業績

正木 治恵

マサキ ハルエ  (Harue Masaki)

基本情報

所属
千葉大学 大学院看護学研究院 教授
学位
博士(保健学)(1994年2月 東京大学)

J-GLOBAL ID
200901086673625517
researchmap会員ID
5000023118

外部リンク

論文

 150
  • 近藤 絵美, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 29(2) 77-87 2024年2月  
    目的:本研究は,「豊かな存在としての高齢者のあり様」に着目したリフレクションシート(以下リフレクションシート)の有用性を検討することを目的とした。方法:研究デザインは事例研究法を用いた。まず,一般病棟で高齢者看護に従事している看護師7名に対して,2ヵ月間リフレクションシートを適用した。次に,看護師の記述したリフレクションシートの内容と,看護師への半構造化面接で得られた振り返り内容を事例ごとにまとめた。そして,リフレクションシートの使用による新たな学びや発見,思考や認識の変化について質的記述的に分析しカテゴリー化した。結果:リフレクションシートを適用した結果,【自己理解】,【高齢者に対する気づき】,【態度の変化】,【実践への応用準備】,【実践へのコミットメント】の5つのカテゴリーが明らかになった。また,リフレクションシートの質問項目と事例場面を照合し,高齢者の反応やその関係性のとらえかたが変化していた。考察:看護師に新たな学びや発見,思考や認識の変化が生じ,高齢者との関わりの意味・価値への気づきを得ており,本リフレクションシートの有用性が確認できた。一方で,リフレクションの深まりが不十分であったり,リフレクションの効果と実践を照合する難しさが課題として示された。効果的で臨床で活用できる支援のためには,ファシリテーションや病棟全体でリフレクションできる体制構築の必要性が示唆された。(著者抄録)
  • Ala Szczepura, Harue Masaki, Deidre Wild, Toshio Nomura, Mark Collinson, Rosie Kneafsey
    International journal of environmental research and public health 20(14) 2023年7月12日  査読有り
    Western countries are currently facing the public health challenge of a rapidly aging population and the associated challenge of providing long-term care services to meet its needs with a reduced working age population. As people age, they will increasingly require both health and social care services to maintain their quality of life and these will need to be integrated to provide cost-effective long-term care. The World Health Organization recommended in 2020 that all countries should have integrated long-term care strategies to better support their older populations. Japan, with the most rapidly ageing society in the world, started to address this challenge in the 1990s. In 2017, it introduced a national policy for integrated long-term health and social care services at a local geographical level for older people. England has recently embarked on its first plan aiming for the integration of services for older people. In this article, we compare these approaches to the integration of long-term care systems, including the strengths of each. The paper also considers the effects of historical, cultural and organizational factors and the emerging role of technology. Finally, we identify critical lessons that can inform strategy development in other countries, and highlight the need to provide more international comparisons.
  • 姚 利, 正木 治恵, 呉 小玉
    日本老年医学会雑誌 60(Suppl.) 60-60 2023年5月  
  • 近藤 絵美, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 28(2) 81-90 2023年2月  
    本研究は,一般病棟看護師に対する「豊かな存在としての高齢者のあり様」に着目したリフレクションシート(以下,リフレクションシート)を作成し,専門家による妥当性の検討を行うことを目的とした。Critical Reflective Inquiryモデルを基盤とし,研究者の先行研究のデータを質的帰納的に分析した結果を用いてリフレクションシートを作成した。リフレクションシートは,高齢者へのケア提供場面を想起しながら【Step 1記述の段階】【Step 2リフレクティブな段階】【Step 3批判的な段階】の3つのStepを経て振り返りを行う構成とした。特に,【Step 2リフレクティブな段階】では,高齢者へのケア場面を新たな視点からとらえるためのリフレクションを促す視点を提供する内容とした。その後,高齢者看護実践の専門家6名を対象にしたグループディスカッションにより,リフレクションシートの妥当性を検討し,修正を行った。開発されたリフレクションシートは,日常的に行われている看護師の関わりや,当たり前の高齢者の反応への気づきを促す。そして,それらを意味あるものとしてとらえ,臨床のリアルな現象にある知識や価値を再認識することに役立つことが期待できる。(著者抄録)
  • 深澤 友里, 石井 優香, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 28(2) 91-100 2023年2月  査読有り
    目的:本研究の目的は,認知症高齢者のセルフケアを捉えるためのケア提供者の関わりを明らかにすることである。方法:本研究は著者らによる慢性心不全を併存する認知症高齢者のセルフケアを明らかにした先行研究で収集した参加観察データの二次分析である。援助対象者(以下,対象者)は,介護老人福祉施設に入所している認知症を有する70~100歳代の高齢者5名であった。第一著者が参加観察者として,対象者のセルフケアを捉えようとして関わった参加観察のデータから,「対象者のセルフケアに関与した参加観察者の関わりとそれに対する対象者の反応」を抜き出し,質的帰納的分析した。結果:介護老人福祉施設における認知症高齢者のセルフケアを捉えるためのケア提供者の関わりとして,《テーマ1:セルフケアにまつわる対象者の言動の意図を理解しようとする関わり》,《テーマ2:セルフケアにつながる対象者の認識を確認する関わり》,《テーマ3:セルフケアにつながる対象者のもてる力を支える関わり》の3つのテーマが明らかとなった。考察:認知症高齢者の言動の意図を理解しようと努め,認知症高齢者のセルフケアにつながる認識を確認したり,もてる力を支えたりしていく中で,ケア提供者が認知症高齢者のセルフケアを捉えられることが示唆された。認知症高齢者のセルフケアを捉えるための関わりは,ケア提供者が尊厳と自立を支えるケアを実践する上での具体的な方法として活用できるものである。(著者抄録)
  • 段 暁楠, 河井 伸子, 山﨑 由利亜, 小野 年弘, 正木 治恵
    日本看護科学会誌 43 28-37 2023年  査読有り
    目的:文献検討を通して,高齢者ケアで活用しているセンサーとIoT機器の使用上の詳細を明らかにする. 方法:医中誌Web,CiNii,MEDLINE,CINAHL,CNKIを用いて2021年までに発表された文献を検索し,既に開発されたセンサーとIoT機器の高齢者ケアでの使用目的,使用上のポジティブな面とネガティブな面等の内容を抽出した.使用目的によって,機器を分類した. 結果:26本の文献を採用した.機器は,身体活動量の算出・評価をする,離床や転倒・転落を予防する,安全を見守る,作業位置と場所移動を推定する,睡眠状態を評価する,24時間のバイタルサインをモニタリングする,おむつの使用による不快感を軽減する,尿の膀胱貯留量を把握する,笑いを検出しコミュニケーションを円滑化する,施設の生活環境をモニタリングする,ケア業務を改善・強化するものの11種類に分類した. 結論:文献検討で抽出した機器の使用上の詳細は今後高齢者ケア施設で広範囲に機器を導入する際の参考になる.
  • 藤村 眞紀, 石橋 みゆき, 佐々木 ちひろ, 山﨑 由利亜, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 = Journal of Chiba Academy of Nursing Science 28(1) 1-10 2022年9月30日  査読有り
    type:text [要旨] 本研究の目的は,特別養護老人ホーム(以下,特養)に入所中の認知症を有する高齢者と家族との面会の有り様を明らかにすることである。 研究対象者は,特養に入所中の認知症を有する高齢者(4名)とその家族(7名)であり,データ収集は参加観察法を用いた。研究者は,認知症を有する高齢者に特養の看護師の一員として関わり,家族との面会の有り様を明らかにするために,面会時・面会前後の認知症を有する高齢者と面会時の家族の発言,行動,表情を観察した。観察内容をもとに作成したトランスクリプトを,質的記述的に分析した。個別分析では,4名の高齢者それぞれの家族との面会の有り様を明らかにし,その個別分析をもとに,本研究における認知症を有する高齢者の家族との面会の有り様を求めた。 結果として,本研究の対象となった認知症を有する高齢者たちは,家族が一緒にいる時と,一緒にいない時では,異なる反応を示していた。そして,認知症を有する高齢者は,家族との面会を通して,家族からの愛情や自分 への期待を感じる中で,自らの生き様を貫き,生きていく意欲が喚起され,その思いに応えようとしていたと考えられる。認知症を有する高齢者と家族との面会に着目することにより,普段の関わりの中では知りえない認知症を有する高齢者のその人らしさを理解でき,個別性に合わせたケアの検討が可能となる。 [SUMMARY] The purpose of this study was to explore how family visits affected the behavior of a sample of four older people with dementia who were living in a nursing home. The nurse researcher collected data by observing the residents when they were alone or with visiting family members; documenting their remarks, behaviors, and facial expressions; and determining how these factors differed in the two situations. During family visits, the residents seemed to feel the affection of the visiting family members and raise their self-expectations. It is possible that the feelings invoked during these visits aroused resident’ desire to live as they tried to respond to the family members’ wishes, while maintaining their own way of life. Moreover, the resident’ personalities were more evident during these visits than they were during their regular daily life and interactions in the nursing home. In our opinion, the information gained about residents and their personalities during these visits could be used to tailor care according to their individual needs.
  • 段 暁楠, 山﨑 由利亜, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 = Journal of Chiba Academy of Nursing Science 28(1) 23-34 2022年9月30日  査読有り最終著者
    type:text [要旨] 目的:日本の病院における高齢者のエンドオブライフケア(以下:EOLケア)質指標を作成し,その内容の妥当性を検討する。方法:既存の高齢者の終生期ケア質指標と文献検討によって,日本の病院における高齢者のEOLケア質指標を作成した。作成した質指標の内容の妥当性を,老人看護専門看護師8名,看護管理者20名,計28名を対象にした質問紙調査で検討した。内容の妥当性について,「重要性」「適切性」「実施可能性」「反応性」「実行可能性」は1~5段階のリッカート尺度の評価と記述より,「解釈可能性」は記述より回答を得た。結果:本質指標の内容の妥当性が確認できた。各項目の平均値は,「重要性」「適切性」はすべて4.0以上,「実施可能性」は9割の項目が3.0以上であった。項目全体としての平均値は,「反応性」は4.5,「実行可能性」は4.0であった。項目の平均値を参考にしながら,対象者の意見に基づき, 22項目を削除し,59項目を修正し,1項目を統合し,新たに1項目を作成した。その結果,本質指標は,(1)看護職の基本姿勢と態度(3項目),(2)高齢者の状況に合わせたケア(129項目),(3)組織の体制づくり(9項目)となった。考察:本質指標は,省察的なツールとして,日本の病院における高齢者のEOLケアの質を看護職が評価することに活用でき,高齢者のEOLケアに関する看護職の知識の確認と,看護職の認識,評価,行動の手がかりになる。今後の研究では,質指標の有用性を検討する。 [SUMMARY] Objective: To develop end-of-life (EOL) care quality indicators for older people in hospitals in Japan and verify their content appropriateness. Methods: Based on a review of literature and the existing EOL care quality indicators for older people, new quality indicators were developed. A survey, which included eight Certified Nurse Specialists in Gerontological Nursing and twenty nursing managers, was conducted to examine the content appropriateness of the indicators. They were asked to evaluate the indicators’ importance, validity, practicability, responsiveness, and feasibility on a 5-point Likert scale and provide comments regarding these aspects. Additionally, they were asked to provide comments on their interpretability. Results: The content appropriateness of the quality indicators was confirmed. The average values of items were found to be as follows: the importance and validity of each item was over 4.0; the practicability of 90% of all items was over 3.0; the responsiveness of all items was 4.5; and the feasibility of all items was 4.0. According to the evaluation and comments, 22 items were deleted, 59 items were modified, 1 item was integrated, and 1 new item was created. The quality indicators were revised as follows: (1) Basic attitude of nurses (3 items); (2) Care tailored to the situation of older people (129 items); (3) Creating an organizational structure (9 items). Discussion: The quality indicators can be used as a reflective tool for nurses to evaluate the quality of EOL care for older people in hospitals in Japan. It is essential in reinforcing nurses’ knowledge and aid in their recognition, assessment, and practice pertaining to EOL care for older people. Future research will verify the utility of the indicators.
  • 清水 なつ美, 拝田 一真, 石橋 みゆき, 正木 治恵
    日本看護学教育学会誌 32(1) 55-63 2022年7月  査読有り
    [目的]日本の看護系大学が展開する基礎教育における災害看護教育の現状を明らかにする。[方法]日本看護系大学評議会会員校277校のうちWeb上で公開されている災害看護学のシラバスの記載内容をデータとし、災害看護学科目設置の有無、対象学年、必修選択を集計した。記載された到達目標はKH Coderを用いテキストマイニングを行った。[結果]「災害看護学」を科目設置しているのは166校、単位数は1単位、対象学年が4年生が多くをしめていた。目標の達成レベルを示す頻出語は、"説明"と"理解"であった。また、基礎教育の特徴は、共起関係にも表れており、"土台-知識"のJaccard係数が、全体の中で上位にあったことより、"土台"と"知識"の強い結びつきが示された。[結論]半数以上の大学において災害看護教育を単独科目として設置し、基礎的知識の教授に重きがおかれていることが明らかとなった。(著者抄録)
  • 辻 育恵, 石橋 みゆき, 山崎 由利亜, 正木 治恵
    日本難病看護学会誌 27(1) 64-75 2022年6月  査読有り
    本研究の目的は、患者会に所属するパーキンソン病(PD)を持つ高齢者本人が社会参加をどのように捉えているかを明らかにした上で、その根源にある社会参加の意味を見出すことである。対象者は患者会に所属するPDを持つ高齢者7名であり、半構成的インタビューを実施し、Bennerの解釈的現象学の手法を参考に個別分析と全体分析を行った。社会参加の意味とは【老いを自覚し葛藤しつつも、若い頃から大切にしてきた生き様を基盤に、役割を果たしたいという志を保ち続けながら、パーキンソン病は治せるかもしれないという希望や次世代への思いを胸に、周りとの交流を取捨選択し、受け入れてくれる人との交流を維持し、奮闘し続けている】ことである。PDを持つ高齢者は、昔から変わらない確固たる自分を大事にし、社会参加への意味づけを行っていたことから、生き様を理解しつつ奮闘している今を尊重し、社会的な役割を見出せるような支援が必要である。(著者抄録)
  • 拝田 一真, 正木 治恵
    文化看護学会誌 = The journal of cultural nursing studies 14(1) 48-56 2022年5月  査読有り
  • 姚 利, 石井 優香, 山崎 由利亜, 石橋 みゆき, 正木 治恵
    文化看護学会誌 14(1) 21-30 2022年5月  査読有り最終著者
    目 的 中国人が集まる地域活動に参加する在留中国人高齢者を対象に異国在住での主観的健康感と健康に関わる経験の調査を通して、彼らの健康に関する思いを明らかにすることである。方 法 日本の首都圏に在住する中国人高齢者13名を対象に個別に半構造化面接を実施し、質的帰納的に分析した。結 果 全体分析により、【身体機能や精神状態から主観的に健康の良し悪しを評価している】【安全で便利な社会に住むことを安心だと感じている】【他者の支援を受けることで安心して生活できている】【老いを受け止めて前向きに生きている】【言葉の壁で生活は制限されたが中国人との関わりや趣味を通して気楽に生活している】【家族で互いに支える生活を継続したい】【良い医療サービスをうまく利用できるので安心している】【健康を維持するため中医学に基づき自主的に健康管理をしている】という8つの健康に関する思いが明らかとなった。結 論 在留中国人高齢者においては、高齢期の発達課題や、中国文化、言葉の壁が彼らの健康に関する思いに影響を与えていることが明らかとなった。言葉による制限や母国文化の継続は彼らの安心感や、健康促進、老後生活の希望に強く影響を及ぼすため、言葉の壁を取り除く環境整備や彼らに馴染んだ文化や健康促進方法に基づいたケアの提供の重要性が示唆された。(著者抄録)
  • 佐々木 ちひろ, 石橋 みゆき, 大原 裕子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 27(1) 71-79 2021年9月  査読有り
    地域包括ケアシステム構築に基づき地域完結型の医療が推進されるなか、急性期病院では短期間内での質の高い退院支援が求められている。本研究の目的は、急性期病院で退院支援を要する患者に対して行われている。プライマリーナース(PN)の退院支援に関わる看護援助を明らかにすることである。分析対象データは、入院時に退院支援が必要と判断された患者5名とその家族に対して、筆頭著者がPNとして実施した看護援助とした。看護援助実施に際しては、本研究で定めた看護援助の方針に沿って実施した。実施した看護援助は、「行為」とその「意図」を含めて詳細に記述した。質的帰納的分析の結果、【対象者を生活を営む唯一無二の存在として捉え、生活場面に内在するその人らしさに常に能動的な関心を向ける】【円滑に入院生活を送り退院の準備を進められるために、対象者に潜在しているであろうニーズを汲み取り、働きかける】【対象者の実像に迫るために、多職種間での情報交換によってもたらされた多角的な視点と自らの気付きを統合する】などの10テーマが導かれた。日々状況が変化し退院が迫るなか、PNは日々の生活場面における対話を通して患者との信頼関係を深めていた。さらに、関わりを通して汲み取った真意や意向、ニーズを多職種と共有・補完し合うことで患者中心の退院支援実現に向けた看護援助を実施していた。(著者抄録)
  • 拝田 一真, 石橋 みゆき, 中原 美穂, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 27(1) 103-110 2021年9月  査読有り
    本研究の目的は、慢性疾患を有しながら独居生活を送っている男性高齢者の老いの体験を明らかにすることである。訪問看護を利用している60代前半から70代前半の独居男性6名に対して半構造化インタビューを行い、解釈的現象学に基づいて分析した。研究参加者は糖尿病や脳卒中などによる失明、運動麻痺などの身体障害を有していた。分析の結果、中テーマ:[生活の困難を体験したからこそ、病気を自覚し、食生活を見直す]・[変化した体に残された力を見出し、発揮して、暮らす]・[仕事に代わる時間の使い方を見つけ、仕事をしていない自分を認める]・[生活のために他者からの支援を求め、受け入れて暮らす]・[思い通りにならない生活の中で、一貫して自分らしく暮らそうとする]と、全体テーマ:【体が変化したことによって、生活の困難を体験した一方で、病気の自覚と変化した体に内在する可能性に気づくことができ、自分の力と支援の両方を支えにして、思い通りにならない生活の中で一貫して自分らしく暮らす】が明らかになった。研究参加者らは多様な人間関係が重要であった、生きがいとも言える一貫した"自分らしい暮らし"によって老いを肯定的に捉えていたが、ときに、病気は他者との繋がりを困難にした。つまり、訪問看護師には、"自分らしい暮らし"に関連した人間関係を捉えて老いの体験を解釈し、高齢者と地域を繋ぐ存在であることが求められるだろう。(著者抄録)
  • 楊 惠晴, 田所 良之, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 27(1) 111-120 2021年9月  査読有り最終著者
    本研究の目的は、集中治療室における治療の差し控えや中止に関する意思決定プロセスに焦点を当てて、看護師が終末期高齢患者やその家族の意向を把握しながら、関わる際の特徴を明らかにすることである。終末期高齢患者の治療の差し控えや中止に関する意思決定を支援した経験があるICU看護師8名を対象に半構造化インタビューを用いて質的記述的研究を行った。意思決定プロセスを前、中、後と分けて捉えた看護師の関わりを類似性により分析を行った。意思決定前では、看護師は《現状をどのように理解しているかを家族に確認する》、《患者と家族に働きかける方針を一致させ、チームの連携を取る》など6つの関わりをしていた。意思決定中では、看護師は《家族のわだかまりをなくし、医師・患者・家族の3者間を取り持つ役割を担い、家族が決定できるように寄り添う》など5つの関わりをしていた。意思決定後では、看護師は《家族が心残りのないように、医療職チームで患者と家族に継続性のあるケアを提供し、最期まで支える》など6つの関わりをしていた。《代弁者となった家族へのアプローチに関する困難》は、時期に関係しない関わりであった。ICU看護師は、患者・家族・医療チームの意思決定において調整の役割を担っている。今回の結果から、意思決定における合意形成の過程で、家族に患者のその人らしさを振り返って考えてもらい、本人の希望を擁護するように働きかけることが必要であると示唆された。(著者抄録)
  • Ying-Jie Cai, Harue Masaki, Tie-Ying Shi
    Oncology nursing forum 48(3) 341-349 2021年5月1日  査読有り
    PURPOSE: To describe the supportive care needs of Chinese women newly diagnosed with breast cancer prior to adjuvant chemotherapy. PARTICIPANTS & SETTING: 13 women newly diagnosed with breast cancer were recruited from a public teaching hospital in northern China. METHODOLOGIC APPROACH: Semistructured interviews were conducted, and data were analyzed following a qualitative descriptive approach and qualitative content analysis. FINDINGS: The following five themes emerged. IMPLICATIONS FOR NURSING: Nurses should focus on patients' prechemotherapy supportive care needs and comprehensively assess their specific needs and concerns related to post-surgery discomfort and chemotherapy, with considerations of the Chinese family concept, diet, and traditional culture. Targeted health information and psychological support are necessary to help patients transition to and adequately prepare for chemotherapy.
  • 深澤友里, 山崎由利亜, 山下裕紀, 正木治恵
    千葉看護学会誌 26(2) 33-42 2021年2月  査読有り最終著者
    本研究の目的は、慢性心不全を併存する認知症高齢者のセルフケアを明らかにすることである。オレムのセルフケア理論を用いて、認知症高齢者本人の言動からみられる普遍的、発達的、健康逸脱に対するそれぞれのセルフケアを導き出す質的記述的研究デザインを用いた。介護老人福祉施設に入所している認知症と慢性心不全の診断のある70〜100歳代の高齢者5名を対象に参加観察と半構成的面接を行い、質的に分析した。普遍的セルフケアは【自分にとって適切な量・質・形態の食事と水分を摂取する】、【ケア提供者からの援助を得て、もしくは自ら自分の心の不安定さに気が付き、自分の心が安定するように行動する】等12カテゴリー、発達的セルフケアは【齢を重ねた身体を受け入れる】、【今の健康を維持したり、より健康に生きていくことを望む】等5カテゴリー、健康逸脱に対するセルフケアは【過去の経験が記憶に残っているかどうかにかかわらず、今の自分の身体の感覚を認識する】、【ケア提供者と一緒にもしくは自ら、自分の身体に異変がないかどうかを気にかけている】等11カテゴリーが抽出された。高齢者はケア提供者からのサポートを受けながら自分なりのセルフケアを発揮しており、健康逸脱に対するセルフケアのみではなく、普遍的、発達的セルフケアも含めてみることで、認知症高齢者が発揮している多様なセルフケアをケア提供者が捉えられる可能性があることが明らかとなった。(著者抄録)
  • 坂本 明子, 正木 治恵, 大原 裕子, 黒田 久美子
    日本看護科学会誌 41 733-742 2021年  査読有り責任著者
    目的:看護師と協働する医療職の視点から高齢者ケアの継続に向けた急性期病院看護師のコーディネート機能を明らかにする. 方法:看護師と協働する医療職8名を対象に半構成的面接を行い,質的統合法にて分析した. 結果:看護師と協働する医療職からみた看護師のコーディネート機能は,協働する医療職の【専門性発揮の助け】となる「足掛かり」「羅針盤」「初動」機能と,【多職種間連携に向けた働き】として「本質の見極めとシームレスな橋渡し・役割代行」「求めたい専門領域の尊重・役割移譲」「求めたい確かな情報共有・ズレや誤解を生まない伝達の心掛け」及び【間を結ぶ調整の要】として「間に入っての噛み砕いた伝達とズレの修正」機能が示された. 結論:医療職から見た看護師のコーディネート機能として,関係者の間を結ぶ調整,専門性の発揮,多職種間連携に向けた働きが明らかになり,それらはケア継続に向けて調整機能を礎として発揮された.
  • 石井 優香, 深澤 友里, 大澤 侑一, 鳥海 幸恵, 正木 治恵
    老年看護学 25(2) 80-88 2021年1月  査読有り
    本研究の目的は、文献検討により身体疾患のために入院した認知症のある人の経験を、認知症のある人の言動から探求することである。2004〜2019年8月に発表された質的研究を検索した。日本語の文献は医学中央雑誌WebとCiNiiを用いて、英語の文献はCINAHLを用いて、「認知症」「入院」「経験」とその類語をキーワードとして検索し、日本語の文献は計2件、英語の文献は計10件抽出された。文献の結果に記述された「身体疾患のために入院した認知症のある人の経験」について質的帰納的に分析し、【スタッフの対応が安心にも脅威にもなる】【自分のおかれた不慣れな状況に対して動揺し不安を抱く】【自由を奪われ人としての価値が低められる】【他患者との関わり方を選んで過ごす】【日常から遮断されても生活に豊かさを求める】【体調や受けるケアに対して自律的であろうとする】【慰めや平穏をもたらす家族を支えにする】という7カテゴリーが得られた。この結果は、認知症のある人の入院中の言動が、どのような理由で生じているかを看護師が理解するために活用できるものである。(著者抄録)
  • 中原 美穂, 正木 治恵, 河井 伸子
    日本糖尿病教育・看護学会誌 24(2) 111-119 2020年9月  査読有り
    【目的】2型糖尿病と診断され教育入院を受けた患者の教育入院の体験の意味づけを,成人学習の視点から明らかにする.【方法】診断後6ヵ月以内の2型糖尿病患者4名に,教育入院中の参加観察と退院後に半構造化インタビューを実施し,分析は質的統合法(KJ法)を用いた.【結果】対象の教育入院の体験の意味づけは3つの大タイトルと6つのタイトルで示された.【知識・技術の獲得と自分の身体の新たな理解】はタイトル《教育入院体験の体感を通じて身体を理解し今後の生活をイメージする》を含んだ.【批判的な振り返りと新たな生活のための探求】はタイトル《教育入院をきっかけに過去の出来事を想起し,得た知識と自分の傾向や状況と照らし合わせて解釈して今後について考える》を含んだ.【試しながら能力や自信を構築する修正した準拠枠のもとでの生活】はタイトル《退院後の生活は教育入院生活と同じようにしてもうまくいかないため自分でバランスを見ながら工夫するしかない》を含んだ.【考察及び結論】診断後まもない2型糖尿病患者の教育入院の体験の意味づけは,糖尿病患者としての新たな準拠枠が形作られ,それをもとに生活するという学習プロセスを表した.(著者抄録)
  • 青柳 寿弥, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 26(1) 69-78 2020年8月  査読有り最終著者
    認知症に関する研究が数多く行われているなか、家族介護者向けの教材開発を示している研究は殆ど見当たらない。本研究は、家族介護者向けの認知症ケア教材を開発することである。今回は、第1段階の報告として、開発した認知症ケア教材の開発過程を明らかにした。これにより、家族介護者に適した教材の内容や特徴が明確になる。研究方法は、教材設計システムのモデルやCAI(Computer Assisted Instruction)のコースウェアの開発手順を参考に、初期分析、設計、製作および専門職者による教材評価を実施した。その結果、文献検討に基づく学習対象者分析、学習課題分析、教材媒体分析等により、認知症ケア教材の単元を「認知症高齢者とのコミュニケーションの要点」「認知症高齢者との接し方」「認知症高齢者と家族介護者を支える社会資源」「家族介護者のからだとこころの状態チェックと健康管理法」の4構成に決定した。教材媒体は、家族介護者が時間に制約されず学習できるタブレット端末に決定した。また、教材評価では、認知症専門医2名と看護師2名から、教材内容の妥当性と教材の実用性が明らかになった。教材開発過程を通して、医療者と十分関わることができない時期の介護初期段階の家族介護者に向けた質が確保された認知症ケア教材の作製が可能となった。この教材は、家族介護者自身が健康に留意しながら、認知症高齢者の関わり方を認知症の知識を通して学び、社会資源の情報を獲得ができる。今後、介護初期段階の家族介護者を対象に、実施評価が必要である。(著者抄録)
  • 多田 信子, 山崎 由利亜, 正木 治恵
    日本看護学会論文集: 在宅看護 (50) 3-6 2020年4月  査読有り最終著者
    ケアを受けながら生きる要介護度の高い在宅高齢者の心の支えについて、インタビューガイドに基づく半構造化面接調査を実施した。A地域に住む要介護4または5の在宅高齢者でその期間が半年以上であり、会話が可能で重度の記憶障害のない訪問看護利用者6名(男性3名、女性3名平均年齢86歳)を対象とした。録音した面接内容から逐語録を作成し、質的統合法(KJ法)で分析し、個別分析と全体分析を行った。分析の結果、ケアを受けながら生きる要介護度の高い在宅高齢者の心の支えは、「頑張ってきた誇り」「逆境に耐えてきた経験」を含む「生き抜いてきた自信」、「支え合い、支えてくれる家族」「支えてくれる人たちへの申し訳なさ」「過去・現在の人とのつながり」を含む「周囲の人との結びつき」、「今の満足と希望」「支えてくれる人たちのために今の自分にできること」「困難に対峙する姿勢」を含む「今ある強み」の3点であった。
  • Eiko Umeda, Yasuko Shimizu, Kyoko Uchiumi, Naoko Murakado, Kumiko Kuroda, Harue Masaki, Natsuko Seto, Hidetoki Ishii
    SAGE open nursing 6 2377960820902970-2377960820902970 2020年  
    INTRODUCTION: Considering the situation where the number of people with diabetes is increasing, we need to find ways to support more efficient and effective outpatient clinics. Therefore, it is necessary to develop effective support methods and to elaborate a strategy as a system for support after grasping the characteristics of the entire population of people with diabetes. OBJECTIVE: The purpose of this study was to identify the characteristics of the diabetes population in outpatient settings by differences in self-care agency and to examine how to support them based on the recognized characteristics. METHODS: Participants were 261 people with diabetes under outpatient care in Japanese institutions from whom demographic data on age, gender, HbA1c, and treatment method were collected as well as self-care agency data based on the Instrument of Diabetes Self-Care Agency consisting of 40 items. The data were analyzed using cluster analysis to compare age, gender, HbA1c, duration of diabetes, type of diabetes, and insulin therapy between clusters. RESULTS: The analysis identified six clusters, including a group with favorable HbA1c but low total self-care agency scores that were likely to affect their blood glucose control in the future, although accounting for as small a portion as 3% of the total. In addition, a cluster with poor HbA1c and generally low self-care agency was also identified accounting for about a quarter of the total population. These clusters were considered to require further support. Clusters having markedly low self-care agency items, stress-coping ability, or the ability to make the most of the support available were also identified. CONCLUSION: The six clusters need to be assisted in focusing on mental or social support. Accordingly, consideration of the support system for people with diabetes based on an understanding of the cluster characteristics seemed to enable more efficient and effective support.
  • 大原 裕子, 河井 伸子, 黒田 久美子, 坂本 明子, 石井 優香, 正木 治恵
    日本看護科学会誌 39 202-210 2019年12月  査読有り責任著者
    目的:高齢者ケアの継続に向けた急性期病院看護師のコーディネート機能を明らかにする.方法:看護師16名を対象に半構成的面接を行い質的統合法(KJ法)にて分析した.結果:コーディネート機能は,【他職種を含めたケア実践への動力:日頃の関わりから高齢者の望みや価値観を感性で捉え支える】,【他職種との連携・調整への動力:多角的視点での情報収集・現状判断と予測からの舵取り】,【高齢者の生き様を尊重したケア実践に向けた足固め:高齢者の全体像やケアの方向性一致・集約への働きかけ】,【よりよい連携に向けた足固め:互いの専門性の尊重と担当領域の見定め】,【高齢者をとりまく環境に対する調整:介護者へのケアや関係調整,地域住民への啓発】,【システム環境に対する調整:伝達をスムーズにする為の手段やルートの構築】の6機能であった.結論:コーディネート機能は「足固め-動力-調整」と「高齢者-他職種」からなる2軸構造となった.(著者抄録)
  • 近藤 絵美, 山崎 由利亜, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 25(1) 9-18 2019年8月  査読有り最終著者
    本研究の目的は、内科一般病棟における豊かな存在としての高齢者のあり様が内包された看護実践を明らかにすることである。5名の対象看護師と、その看護師が看護実践を提供する高齢者6名を対象として参加観察を行い、その後対象看護師に対して半構成インタビューを行った。得られたデータについて、Bennerの提唱している解釈的現象学のアプローチに基づき分析を行った。分析により、【周囲との関わり合いのなかにいる存在として見守る】【自分なりの方法で意思表示する存在として応じる】【自分の置かれた状況を認識している存在であると推し量る】【つらい状況のなかを生き抜いている存在として寄り添う】【個別の意味をもつ存在として受け入れる】【発揮されるべき能力を持つ存在として関心を寄せる】の6つの大テーマが導き出された。結果より、看護師は高齢者との相互作用を通して関係性や実践に含まれる意味を共有しながら、複雑な状況でとらえにくい高齢者のあり様を理解し、その人らしく生きることを支援していたことが示された。(著者抄録)
  • 齋藤 多恵子, 石橋 みゆき, 山下 裕紀, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 25(1) 47-56 2019年8月  査読有り最終著者
    【目的】急性期病院の退院支援専任看護師が行う認知症高齢者への退院支援過程の倫理的意思決定支援を明らかにする。【方法】急性期病院に入院する認知症高齢者及びその家族に退院支援専任看護師が実施した援助過程を記載したフィールドノートとプロセスレコードの内容を分析データとし、『本人の意思表出の能力を最大限に引き出し、その意思をくみ取るために本人と話し合い、尊重する支援』(分類I)と『本人の意思決定を基にして家族および医療ケアチームが合意する方向へ向かうための支援』(分類II)に分類した。【結果】小テーマ(計66テーマ、19テーマ)に分類・統合された。そして各々の分類の詳細を適切に表現するテーマが導きだされた。さらに分類IIの中に合意へ向かうために家族や医療者が直接話し合う以外の支援が浮かび上がり分類IIaとし、直接的な話し合いで合意へ向かう支援を分類IIbとした。【結論】急性期病院に入院する認知症高齢者の退院支援過程において分類I『高齢者の能力の適切な見極めと意思表出ができる環境を整え、意思表出能力を最大限に引き出し、その能力を維持する支援』を基盤に、分類II『本人・家族及び医療ケアチームが合意する方向へ向かう支援』の中に分類IIa『本人の意思を間接的に支えることで合意へと向かう支援』と分類IIb『本人の意思決定を基にして家族、院内・院外関係者と話し合いを重ね共有することで合意へ向かう支援』が明らかとなった。(著者抄録)
  • 山村 岳央, 高橋 良幸, 石橋 みゆき, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 25(1) 99-106 2019年8月  査読有り最終著者
    本研究では、中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する人々が、症状悪化予防や治療のため日々どのように生活調整しているのか、特に身体面や社会生活面に着目し分析した。研究対象者は全員が65歳以上の男性で、半構造化面接を行い全員分のデータを質的統合法(KJ法)で分析した。分析の結果、【普段は身体面でCOPDを意識することはなく、むしろ呼吸とは無関係な身体部位のほうが気になる】【互いにCOPDをあまり意識せずに家族や知人と付き合う】【COPDのことを意識せず、隠しも強調もしない】【普段は特に考えもなく自由気ままに余生を送る】【自分が高齢であることを意識して日々の活動を選択する】【症状や健康維持活動への工夫をする】【タバコのマイナス面を強く意識した結果、禁煙を決意し実行する】という7つのシンボルマークが抽出された。研究対象者は意識的に生活調整している部分と、無意識的に生活を調整するに至っている部分とを併せ持つことが判明した。また、研究対象者はすべての生活調整の前提として、自分がCOPDであることを普段あまり意識していなかった。本研究からは、中等度COPDを有する人々に対する看護実践として、1)重症化を防ぐために、社会生活面や精神面に悪影響が出ない程度にCOPDのことを意識して生活するよう指導していくこと、2)禁煙達成のために、タバコに対するネガティブなイメージを何らかのかたちで強く持つよう指導していくこと、が重要であると考えられる。(著者抄録)
  • 清水 なつ美, 石橋 みゆき, 高橋 良幸, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 25(1) 29-36 2019年8月  査読有り
    【目的】高齢者とその家族が在宅で腹膜透析を継続するためにどのように折り合いをつけているかを明らかにすること。【方法】腹膜透析している高齢者とその家族5組を対象に半構造化面接を実施し、質的統合法(KJ法)を用いて個別分析、全体分析を行った。【結果】高齢者とその家族が在宅で腹膜透析を継続するために折り合いをつけている様相とは、高齢者が腹膜透析という新たな出来事に直面し、腹膜透析を継続しながら利点欠点を理解し、家族の協力を得ながら、治療と生活のバランスをとり生活を維持していた。家族は、高齢者の腹膜透析をする生活は高齢者にとって調和のとれた生活であると考え、高齢者の生活に合わせ様々な変化に対応をし、家族自身の生活を維持していた。このように両者が高齢者の腹膜透析をする生活に対応し生活を維持し、お互いに支え合い、お互いの関係を再認識していた。その事は、高齢者が腹膜透析を継続させる生活を前向きに捉え不確かな未来を諦観しながらも今ある生活が続いてほしいと願う気持ちを持てるようになる事が明らかとなった。【考察】高齢者と家族が在宅で腹膜透析を継続させるために折り合いをつけ生活するためには、高齢者がどのような生活を送りたいのかを理解し、支援する事が重要であることが示唆された。(著者抄録)
  • 金盛 琢也, 酒井 郁子, 山川 みやえ, 深堀 浩樹, 石川 容子, 森山 祐美, 正木 治恵, 亀井 智子, 北川 公子
    老年看護学 24(1) 87-91 2019年7月  査読有り
  • 山崎 由利亜, 正木 治恵, 高橋 良幸, 小池 潤, 錢 淑君, 田中 愛, 瀧澤 文雄
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (41) 45-55 2019年3月  査読有り責任著者
    体を使う機会が減少する社会や臨床現場の多様で複雑な状況の中で、看護学習者が一職業人となり看護の技能を身につけ実践に至るまでには、看護学習者の身体観の重要性が示唆されるにもかかわらず、研究の焦点は当てられてこなかった。よって本研究は、看護学習者の身体観を明らかにすることを目的として、フォーカスグループインタビューを行った。対象者は、看護基礎教育課程に所属する大学生7名と大学院博士および修士課程に所属する看護師資格を持つ大学院生13名の計20名であった。インタビューデータを質的帰納的に分析した結果、389コードから7カテゴリを得た。すなわち、【看護師へと作り上げる身体】【状況依存的に感覚が高まる身体】【相手の動きや呼吸のリズムに同調する身体】【アセスメントや実践の道具として活用される身体】【対人関係の中で外見となる身体】【環境に呼応する身体】【看護師として身体化された身体】が導かれた。結果より、看護学習者の身体観は、実習や交代制勤務など特有の生活規制や専門的知識・技術に馴染むように作り上げられ、生活体験や実践知が内在化し、臨床現場の複数の文脈に沿って多彩に見出された。その根底として、人間の身体の環境への呼応を捉えていた。看護学習者の身体観に着目することは、看護学習者の生涯を通した自己教育力の醸成を目指した教育プログラムの開発に役立つと考えられる。(著者抄録)
  • 青木 美智子, 高橋 良幸, 黒田 久美子, 正木 治恵
    日本糖尿病教育・看護学会誌 23(1) 115-127 2019年3月  査読有り最終著者
    <文献概要>本研究は,実践能力の高い看護師が援助を効果的に行うための,自律神経障害を有する糖尿病患者が自分らしく生きるプロセスを支える外来看護援助ガイド(以下,ガイド)の作成を目的とした.自律神経障害のある糖尿病患者への看護援助と結果が詳細に記された先行研究を分析し,ガイド案を作成した.3名の対象患者に適用し,修正したガイドを専門家会議にかけ,有用性と修正意見を求め精錬した.ガイドは,ガイドの説明と適用方法,援助指針[症状マネジメントを支援する][安全安楽な生活調整を支援する][ゆとりある生を支援する]を柱とする援助計画(看護目標・援助指針・患者到達目標・援助方法)で構成した.ガイドを適用した結果,辛い症状の軽減,安全な生活の確保と豊かな自己形成に繋がる効果を認めた.ガイドは,身体・生活・心理社会的側面を包括的かつ関連性を捉えながら,多様なニーズを持つ対象の状況に合う援助を導くことが示唆された.
  • 林 弥江, 正木 治恵, 桑田 美代子, 吉岡 佐知子, 西山 みどり, 石井 優香, 坂井 さゆり
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (41) 25-34 2019年3月  査読有り責任著者
    本研究は、看護師が高齢者の臨死期の兆候をどのように捉えて看取りケアを実践しているかを明らかにするために、老人看護専門看護師を含む熟練看護師15名にインタビューした。質的統合法を用いて分析した結果、逐語録から作成した188枚のラベルは、10段階のグループ編成を経て、最終ラベルの【臨死期の兆候:経験知から判断】【余命を見極める難しさ:臨死期に近づく兆候を捉える】【看取りへつなぐ:臨死期が近い現実を医師や家族と共有】【後悔しない看取り:高齢者の意思や家族の意向を尊重】【看取りの場所:高齢者や家族の希望を叶える難しさ】【看取りの体制に応じたケア:看護師は困難を感じつつも最善を尽くす】に統合された。看護師は、高齢者は突然何が起こるかわからないと認識しながら、臨死期に近づく様々な兆候を捉え、医師や家族と共有して看取りへつなぎ、高齢者の意思や家族の意向を尊重した、後悔しない看取りを選択できるように看取りケアを実践していた。(著者抄録)
  • Yuko Ohara, Nobuko Kawai, Kumiko Kuroda, Akiko Sakamoto, Yuka Ishii, Harue Masaki
    Journal of Japan Academy of Nursing Science 39 202-210 2019年  
  • Norihisa Miyake, Shouta Shibukawa, Harue Masaki, Mihoko Otake-Matsuura
    Journal of Intelligent and Robotic Systems: Theory and Applications 2019年1月1日  査読有り
    © 2019, The Author(s). A small bedside agent for preventing falls has been developed. It talks to a person on a bed to prevent them from getting out of bed abruptly, until a care worker arrives. This paper describes the user-oriented design process of the agent system. The development process involving users, such as nurses and caregivers, as well as older adults is described. First, hardware design, such as the outer shape, size, and function of the agent was reviewed by nurses and caregivers, mainly from a safety viewpoint. The prototype agent incorporating improvements based on their opinions was used experimentally by older adults after several review processes. Second, the software design of the agent, such as the content of voice call, was studied through multiple experiments to improve its acceptability. Lastly, the integrated model was introduced into care facilities and hospitals to investigate the practical serviceability of the system.
  • 田中 貴大, 正木 治恵, 田所 良之
    千葉看護学会会誌 24(1) 53-60 2018年9月  査読有り
    目的:パーキンソン病患者が心理、身体、社会的に揺れ動く状況にありながらも、バランスを取ろうとする様を明らかにし、看護への示唆を得ることである。方法:神経内科外来に通院中のパーキンソン病患者9名に半構造化インタビューを実施した。インタビュー内容を逐語録に起こし、インタビュー内容の切片化とカテゴリ化を行い質的記述的分析を行った。第1段階で個別分析を、第2段階で全体分析を行い、個別分析最終ラベルと全体分析カテゴリを得た。分析の妥当性については、慢性疾患看護の研究に精通する研究者間で確認した。結果:全体分析により、【変化した生活への対処の模索】【未来への期待】【今を保つこと】【取り組みたい気持ちに体や気持ちが応じないこと】【揺れ動く身体の知覚】【周囲からの忠言によらない自己の尊重】【体の状態と人との付き合い方の摺り合わせ】の7カテゴリが得られた。考察および結論:本研究の結果はこれまでの先行研究で得られている対処とは類似した要素を持ちながらも、生活や人間関係の調整、症状のコントロールを並行して行い、時にはパーキンソン病とは揺れ動くものであるというそのままを受け止めていくという特徴を持つものであった。本研究により得られたパーキンソン病患者のバランスを取ろうとする様は、治療や重症度だけではないパーキンソン病患者の送りたい生活とはどのようなものであるのかや、患者自身がよりよい生活を送るためにどのような援助を望むのかという今後の研究の発展の必要を示すものであると考えられる。(著者抄録)
  • 石井 優香, 石橋 みゆき, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 24(1) 33-42 2018年9月  査読有り
    本研究の目的は、一般病棟における看護師の感情に着目した認知症患者のとらえ方を明らかにすることである。一般病棟で認知症患者への看護に喜びややりがいといった感情を抱いている看護師8名を対象にインタビューを実施し、その逐語録をデータとして質的統合法(KJ法)で個別分析と全体分析を行った。全体分析により以下の結果が得られた。一般病棟において看護師は認知症患者に対して【否定的感情が先行し業務と身体疾患の治療を重視】していたが、その後、【否定的感情の思い直しを伴うロールモデルや知識とのすり合せ】をする。だからこそ、そこから発展して【認知症と身体疾患をふまえた患者の言動の理由の理解】をし、【安全管理の目的にも影響する生活していく"人"という理解】をし、また、【責任とやりがいを伴う患者との相互作用の深まりの認知】へと至りこれらは好循環していた。しかし、これらのかたわらには【人として生じてしまう苦手意識や困難感による翻弄】があり、またその対極には【特別な思いが生じる自分の家族との重ねあわせ】があって影響をあたえていた。ここから『看護師として発展する認知症患者のとらえ方』と、『看護師でありながら人としての感情をもつ者としての認知症患者のとらえ方』の様相が浮かび上がった。また、この結果は、一般病棟の看護師自らが認知症患者や自己の看護実践について自己の感情を手がかりに、客観的な視点での気づきと内的変化を得ることを促す看護師の支援に活用できると考えられた。(著者抄録)
  • 正木 治恵, 谷本 真理子, 黒田 久美子, 高橋 良幸, 鳥田 美紀代, 喜多 敏明
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 = Journal of Graduate School of Nursing, Chiba University (40) 9-18 2018年3月  査読有り筆頭著者責任著者
    [要旨] 本研究は,高齢者の主体的な健康を創出・支援する老人看護専門技術の評価指標の開発を目的とした.先行研究の結果を元に研究者間で討議を重ね,指標案を作成し,事例適用による妥当性の検討のための調査票を作成した.調査票は,指標の各項目について,示唆性,診断性,簡明性の観点から評価し,評価時の感想や気づきも合わせて記載するものとした.3名の評価者が6事例に適用して評価した結果,示唆性はほぼ確保されたが,診断性については適用できる対象者や時期が限られること,簡明性については表現内容が不明瞭な点や項目数が多くて時間がかかることなどが指摘された.それらを踏まえ,指標の前提,項目の統合や表現の加筆修正を行い,評価指標として完成させた.完成させた評価指標は,【高齢者の健康アセスメントの指標】(33項目),【高齢者の日常倫理に基づく健康管理の指標】(17項目),【高齢者へのセルフケア支援の指標】(13項目)から成る.本評価指標は,看護師の実践内容や専門技術の自己点検・評価になり,かつ,老年看護の目標として常に提示される尊厳や全人的ケアを,看護実践において具現化していくことに役立つものと考える.
  • 松本啓子, 正木治恵, 河井伸子, 石橋みゆき
    日本看護研究学会雑誌(Web) 41(3) 2018年  
  • 深堀 浩樹, 酒井 郁子, 森山 祐美, 石川 容子, 北川 公子, 亀井 智子, 山川 みやえ, 金盛 琢也, 正木 治恵, 堀内 ふき, 老年看護政策検討委員会
    老年看護学 22(2) 103-107 2018年1月  
  • 北川 公子, 酒井 郁子, 深堀 浩樹, 森山 祐美, 石川 容子, 亀井 智子, 山川 みやえ, 金盛 琢也, 正木 治恵, 堀内 ふき, 老年看護政策検討委員会
    老年看護学 22(2) 97-102 2018年1月  
  • Yasuko Shimizu, Mika Mizuno, Kyoko Uchiumi, Natsuko Seto, Harue Masaki
    International Diabetes Nursing 14(2-3) 76-82 2017年9月2日  
  • Matsumoto K, Masaki H, Kawai N, Kuwata M, Yoshioka S, Nishiyama M, Sakai S, Endo K, Uchino R, Hayashi Y, Teshima M, Nagae H
    Journal of Nursing & Patient Care 2(2) 2017年7月31日  査読有り
  • Harue Masaki, Nobuko Kawai, Keiko Matsumoto, Miyoko Kuwata, Sachiko Yoshioka, Midori Nishiyama, Ryoko Uchino, Hiroko Nagae, Megumi Teshima, Sayuri Sakai, Kazuko Endo
    INTERNATIONAL JOURNAL OF NURSING PRACTICE 23 2017年6月  査読有り筆頭著者責任著者
    Aims and objectivesQuality indicators for end-of-life care have been published; however, none have been developed specifically for nursing in the cultural and traditional context of Japan. This study aimed to develop and build a consensus of quality indicators for end-of-life care for elders in Japan from the perspective of nursing science. MethodsTo develop the quality indicators, we used a literature review, expert panel process, and the Delphi technique among clinical nurse specialists in geriatrics. ResultsQuality indicators were identified in 7 major areas: advance directives and surrogate continuity, ethical daily care, care preferences and decisions about life-sustaining treatment, assessment and management of pain and other symptoms, daily care for the dying, family care, and institutional systems for end-of-life care. ConclusionsThese quality indicators represent the first attempt to develop a best practices approach toward improving the quality of elderly end-of-life care in nursing.
  • 瀬戸 奈津子, 平野 美雪, 林 弥江, 平野 直美, 大原 千園, 清水 安子, 正木 治恵
    日本糖尿病教育・看護学会誌 21(1) 69-75 2017年3月  査読有り
    本研究では,糖尿病外来で看護師が援助に困難を感じていた糖尿病患者に対し,看護師間のディスカッションを通して援助の手がかりを見出すことを目的とした.A糖尿病外来で看護師が援助に困難を感じている72事例を対象に,「看護師が援助に困難を感じている理由」及び,「困難に感じている状況を打破するための気づき」の2点が書かれているヶ所を抽出し要約した.次にディスカッションの中で見出された援助の手がかりを読み取り,類似するものをまとめ質的帰納的に分析した.その結果,63事例から,「患者の内面へ踏み込めなかったり,振り回されている事例は,主治医と連携し関わる」「患者への向き合い方に対して,面接の場所や人をかえること,身体への思いを聞くこと,共通目標を立てる」「入院・治療が必要な病状であるにもかかわらず決定できないケースには,入院治療の後押しをする」「身体の状態をとらえなおす気づきから,身体への危機感・重要性・関心を高めるように関わる」等の16パターンの援助の手がかりが見出された.さらに16パターンの手がかりの焦点をとらえたところ,【看護師の観点に関する手がかり】と【アプローチ方法に対する手がかり】の2つに分類された.本研究で見出された援助の手がかりは,必ずしも難しい看護援助ではなく,できるところから取り組むことが可能な外来看護援助の道標になると考えられた.(著者抄録)
  • 戸田 由利亜, 谷本 真理子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 22(2) 1-10 2017年2月  査読有り最終著者
    [抄録] 本研究の目的は,他者と共に在る認知症高齢者の表現する姿を質的に明らかにすることである。認知症高齢者は自分の意思を維持することが難しく,また他者に伝わる形で意思を表出することも障害されるが,いきいきとした意味深い時間を過ごすこともできる。本研究は統一的存在としての人間観を前提とし,個人の内的本質が環境との相互作用を通して,他者に見える形でどのように表れるのか,すなわち「表現」に着眼し,行為主体と受け手とを分断しない主客両義的な捉え方で現象を記述することを目指した。介護老人保健施設に入居している認知機能低下のある80~90歳代女性5名を対象に,研究者自身が施設職員と共に日常生活援助を行いながら日勤帯に参加観察した33日間の記録を,質的帰納的に分析した。この記録は,言葉だけでなく動作や場面の状況も含んだ。結果として,【今の生活で共に在る他者や物に経験・体験をつなぐ姿】,【人・物事・音楽が作る場に同調し,体で調和していく姿】,【働きかける他者のいる中で自分に向かっている姿】を含む21グループが明らかとなった。表現する姿は,高齢者を今取り巻く関係性と培われてきた関係性が多層的に交錯する様相を浮き上がらせ,認知症高齢者自身の在り方がこの場と不可分であることを示した。表現する姿を視座に据え現象を捉えることで,看護者自身を含めた取り巻く環境と高齢者自身の培ってきた関係性を描出でき,多面的な対象理解の検討に活用できると考えられる。
  • 穴井 えりも, 藤岡 和子, 伊藤 利光, 正木 治恵, 石橋 みゆき
    防衛衛生 64(別冊) 92-92 2016年12月  
  • 穴井 えりも, 藤岡 和子, 伊藤 利光, 正木 治恵, 石橋 みゆき
    防衛衛生 64(別冊) 92-92 2016年12月  
  • 近藤 絵美, 戸田 由利亜, 正木 治恵
    日本看護科学学会学術集会講演集 36回 410-410 2016年11月  

MISC

 161
  • 正木 治恵
    日本認知症ケア学会誌 20(1) 16-16 2021年4月  
  • 坂口 葵, 正木 治恵, 石橋 みゆき, 大原 裕子
    日本看護科学学会学術集会講演集 40回 P17-014 2020年12月  
  • 正木 治恵
    文化看護学会学術集会プロシーディング 12回 34-35 2020年7月  
  • 清水 安子, 正木 治恵, 柴山 大賀, 瀬戸 奈津子, 中山 法子, 日本糖尿病教育・看護学会将来検討委員会(2016年9月〜2018年9月)
    日本糖尿病教育・看護学会誌 24(1) 35-39 2020年3月  
    <文献概要>はじめに 日本糖尿病教育・看護学会(以下JADENと略す)の将来検討委員会は,2012年に数間恵子理事長のもと「糖尿病看護における社会への貢献という見地から,学会の活動,組織,重点施策など将来の方向性を検討し,理事会に提言,提案すること」を目的として発足した委員会である.この第3期の委員会では,委員会活動の方向性として当時の稲垣美智子理事長より「学会としてどのような影響力を糖尿病医療に起こしていきたいか,学会が将来どのような力を付けていったらよいか,という構想の議論と,その仕組みづくりを検討する」ことが示された.そこで委員会では将来の方向性を明確にするために,2017年〜2021年の5か年計画重点目標を提示した(日本糖尿病教育・看護学会,2017;図3参照).これは,社会や医療への貢献のために,糖尿病医療チームでの協働が重要であると考え,糖尿病学会の「『第3次対糖尿病5カ年計画』における重点と目標」(日本糖尿病学会,2015)(1.糖尿病先端研究の結実,2.超高齢社会に向けた基盤整備,3.包括的データベースによるエビデンス構築,4.将来の糖尿病対策を担う人材育成,5.国民への啓発と情報発信)に呼応する形で設定し,2017年915日社員総会で発表した.さらに,その5つの重点目標の各々について主担当となる委員会を決定し,担当委員会と将来検討委員会とが連携することで,目標達成に向けた活動が行える仕組みを整えた.こうしたJADENとしての活動の方向性を決める委員会内での議論の中で,「地域包括ケアの時代において多職種連携が重要で,糖尿病教育は看護師以外も行うため,看護師にしか分からない言葉を使っていては他の職種には通じない」「他の職種からみて看護職の果たす役割がはっきりしていない」「医師は糖尿病治療ガイドのように拠り所があるが,看護師にはそうした拠り所がない」といった意見も出された.5か年計画として重点目標を示すだけでなく,看護職にも他の職種にも分かりやすい形で,糖尿病教育・看護が何を大事にしてどんな役割を果たすべきなのかを明確化する必要があるのではないか,また,それが明確化されることで,重点目標に向けた取り組みの方針もぶれないのではないかとの結論に至り,これまでのJADENの活動の経緯も踏まえ,「糖尿病教育・看護の核となる機能」を明確化する取り組みを行うこととなった.ここでは,「糖尿病教育・看護の核となる機能」を明確化していったプロセスを紹介する.

書籍等出版物

 25

講演・口頭発表等

 67

共同研究・競争的資金等の研究課題

 40