清水 安子, 正木 治恵, 柴山 大賀, 瀬戸 奈津子, 中山 法子, 日本糖尿病教育・看護学会将来検討委員会(2016年9月〜2018年9月)
日本糖尿病教育・看護学会誌 24(1) 35-39 2020年3月
<文献概要>はじめに 日本糖尿病教育・看護学会(以下JADENと略す)の将来検討委員会は,2012年に数間恵子理事長のもと「糖尿病看護における社会への貢献という見地から,学会の活動,組織,重点施策など将来の方向性を検討し,理事会に提言,提案すること」を目的として発足した委員会である.この第3期の委員会では,委員会活動の方向性として当時の稲垣美智子理事長より「学会としてどのような影響力を糖尿病医療に起こしていきたいか,学会が将来どのような力を付けていったらよいか,という構想の議論と,その仕組みづくりを検討する」ことが示された.そこで委員会では将来の方向性を明確にするために,2017年〜2021年の5か年計画重点目標を提示した(日本糖尿病教育・看護学会,2017;図3参照).これは,社会や医療への貢献のために,糖尿病医療チームでの協働が重要であると考え,糖尿病学会の「『第3次対糖尿病5カ年計画』における重点と目標」(日本糖尿病学会,2015)(1.糖尿病先端研究の結実,2.超高齢社会に向けた基盤整備,3.包括的データベースによるエビデンス構築,4.将来の糖尿病対策を担う人材育成,5.国民への啓発と情報発信)に呼応する形で設定し,2017年915日社員総会で発表した.さらに,その5つの重点目標の各々について主担当となる委員会を決定し,担当委員会と将来検討委員会とが連携することで,目標達成に向けた活動が行える仕組みを整えた.こうしたJADENとしての活動の方向性を決める委員会内での議論の中で,「地域包括ケアの時代において多職種連携が重要で,糖尿病教育は看護師以外も行うため,看護師にしか分からない言葉を使っていては他の職種には通じない」「他の職種からみて看護職の果たす役割がはっきりしていない」「医師は糖尿病治療ガイドのように拠り所があるが,看護師にはそうした拠り所がない」といった意見も出された.5か年計画として重点目標を示すだけでなく,看護職にも他の職種にも分かりやすい形で,糖尿病教育・看護が何を大事にしてどんな役割を果たすべきなのかを明確化する必要があるのではないか,また,それが明確化されることで,重点目標に向けた取り組みの方針もぶれないのではないかとの結論に至り,これまでのJADENの活動の経緯も踏まえ,「糖尿病教育・看護の核となる機能」を明確化する取り組みを行うこととなった.ここでは,「糖尿病教育・看護の核となる機能」を明確化していったプロセスを紹介する.