研究者業績

正木 治恵

マサキ ハルエ  (Harue Masaki)

基本情報

所属
千葉大学 大学院看護学研究院 教授
学位
博士(保健学)(1994年2月 東京大学)

J-GLOBAL ID
200901086673625517
researchmap会員ID
5000023118

外部リンク

論文

 150
  • 山本 則子, 岡本 有子, 辻村 真由子, 金川 克子, 正木 治恵, 鈴木 みずえ, 山田 律子, 鈴木 育子, 永野 みどり, 緒方 泰子, 岡田 忍, 本田 彰子, 赤沼 智子, 根本 敬子, 深田 順子, 石垣 和子
    日本看護科学会誌 28(2) 37-45 2008年6月  査読有り
    目的:高齢者訪問看護の質指標(16領域483指標)開発の一部として,全国の訪問看護ステーションで働く看護師を対象に,指標に関する実践の自己評価や指標についての意見を調査した.方法:全国5,322ヶ所の訪問看護ステーションに10,644通の調査票を郵送し回答を得た.結果:回答は3,068通(29.7%)あった.全領域で平均7割程度の指標が実施していると回答されていた.指標への「はい(=実施している)」という回答率は摂食・嚥下障害ケアや口腔ケアが低く,清潔ケア等が比較的高かった.情報収集,精神的支援,医師への報告など侵襲が少なく病棟でも一般的なケアは「はい」の回答率が高く,判断を伴うアセスメント,学習を要する特殊な技術の提供やケア実施後の評価は「はい」の回答率が低かった.全領域で「訪問看護で必要な項目が網羅されている」という意見が7割以上得られた.結論:開発中の訪問看護質指標では,指標ごと,領域ごとに実施率にある程度のばらつきがみられた.今回の結果を参考にしつつ質指標の開発を進めていきたい.(著者抄録)
  • 谷本 真理子, 黒田 久美子, 田所 良之, 北島 美奈, 高橋 良幸, 島田 広美, 正木 治恵
    老年看護学 12(1) 109-116 2007年11月  査読有り最終著者
    高齢者の健康の特質を看護実践事例に適用し、高齢者の健康の特質と要素を、慢性病の増悪で入院中の高齢患者2事例への看護実践事例から分析した。その結果、2事例とも看護援助の過程前半では安定性としての健康、後半では実現性または全体性としての健康が特徴づけられた。安定性としての健康の要素には、《身体機能の回復と安定》《身体状態の維持・回復のための自己調整》《主体的な日常生活の維持》《社会とのつながりの維持》《安寧をもたらす夫婦関係》《自己の状況を見極める》《自尊感情の回復》、実現性としての健康の要素には、《創造的に生活する》《努力の実りの実感》《目標の明確化》《他者(看護者)に対する自己解放》《喜びの表出》、全体性としての健康の要素には、《感情の表出》《他者(看護者)との対話関係》《療養生活と生きる意味の一致》《安寧な気持ち》が抽出された。高齢者の健康の特質と、特質ごとに見出された要素の特徴を看護者が意識的に活用することにより、高齢者にとってのよりよい健康を支援することにつながることが示唆された。(著者抄録)
  • 河井 伸子, 菅谷 綾子, 森野 愛, 今泉 香里, 柳井田 恭子, 坂井 さゆり, 谷本 真理子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 13(1) 119-127 2007年6月30日  査読有り最終著者
    本研究の目的は,日本以外の文化的背景をもつ研究者によって行なわれた,日本のケアに関する事柄を研究対象としている研究の中で言及されている日本の特徴の記述を統合することにより,ヘルスケアにおける日本の文化的特徴を明らかにすることである。 分析対象は,CINAHL 1982年1月~2006年4月までのデータベースより「Japanese 」と「care 」を掛け合わせた検索によって得られた文献の中から,選択基準に沿って選択した18文献であり,それらを「ヘルスケアに関する外国文献では日本についてどのように言及されているのか」をテーマとしてKJ 法により質的に統合し,文化的な視点から考察した。 その結果,【全体に融合した個】が基盤となって,【黙従する患者】という現状がある。その中で【困難を伴う状況の調整役の請負】と【柔軟な患者,家族中心のケア】がなされており,これらには【他者に負わせず身を挺して受け入れる姿勢】と【価値づけられている間接的コミュニケーション】が浸透している。しかし一方で,【個の自律への社会的な要請】がなされてきているという特徴が明らかとなった。以上の結果から,ヘルスケアに影響している日本文化とヘルスケアの現状が明確になり,今後の看護への示唆を得ることができた。
  • 張 平平, 正木 治恵
    老年看護学 11(2) 48-55 2007年3月  査読有り
    本研究は,高齢者服薬能力の向上を目指した服薬支援システムづくりのために,中国で活用できる高齢患者の服薬アセスメントツールの開発を目的とした.23件の先行文献と中国国内の在宅高齢患者10名および家庭訪問看護師4名への面接調査の分析から,ツールの構成項目を抽出し原案を作成した.ツールの信頼性と妥当性を検証するために,5名の評定者看護師に作成したツールを用いて20名の在宅高齢患者の服薬状況を評価してもらった.また,入退院を頻回に繰り返す高齢患者に一貫して服薬支援を提供するために,56名の評定者看護師に126名の入院高齢患者の服薬状況を,入院高齢患者の退院後の生活を想定して評価してもらった.その結果,18の質問項目からなる面談聞き取り方式のツールの内容妥当性が日本と中国の看護学専門家により確かめられた・評定者間信頼性係数は0.83,再テスト法信頼性係数は0.92,基準関連妥当性の相関係数は0.82,内的整合性を示すクロンバックアルファ係数は0.73であった構成概念妥当性について因子分析を行った結果,予測構成概念の内容とほぼ一致した6因子が抽出された.以上より,本研究で開発した18項目からなる高齢患者の服薬アセスメントツールの信頼性と妥当性が検証された.
  • 鳥田 美紀代, 正木 治恵
    老年看護学 11(2) 112-119 2007年3月  査読有り
    本研究の目的は,看護者が援助を行う際にその主体性をとらえて援助を行うことに困難を感じる高齢者の主体性のありようを明らかにすることである.対象者は3名の高齢入院患者であり,看護援助を行いながらデータ収集を行った・援助過程のプロセスレコードの記録を質的・帰納的に分析した.その結果,看護者がその主体性をとらえて援助を行うことが難しいと感じる高齢者の主体性のありようとして,【影響を受けて存在しつつ行おうとする】,【自然な自分を保とうとする】,【自分で行う・行おうとする/自分で伝える・伝えようとする】, 自分のために行い楽しむ】,【周囲の状況や看護者に応ずる・合わせる・任せる】,【看護者との関わり合いによって自己を認め,自分なりに行う】の6つが明らかになった.看護者は,高齢者の主体性の発揮の仕方に影響する要因を理解し,高齢者が他者との関係を通して主体的に依存しながら生活を構築する視点をもって関わる必要性が示唆された.
  • 張 平平, 正木 治恵
    千葉大学看護学部紀要 29(29) 67-71 2007年3月  査読有り
    中国における認知症高齢者看護に関する既存文献の検討から認知症高齢者看護の現状を把握し今後の課題を明らかにした。1992年〜2006年の中国国内の文献で、「老年人」「痴呆」「看護」という3つのキーワードを用いて中国生物医学文献数据庫より検索した79文献を対象とした。「痴呆の名称が変更されていない」・「認知症高齢者看護に関する研究が少ない」・「病院における認知症高齢者看護が主流である」・「認知症高齢者個人への看護が中心となっている」という現状が判明した。課題として、「認知症高齢者看護への関心を高める」・「認知症高齢者看護を地域へ広げる」・「認知症高齢者の家族への看護を強化する」・「認知症高齢者看護の人材を育成する」などが挙げられた。
  • 小澤 三枝子, 水野 正之, 佐藤 エキ子, 高屋 尚子, 正木 治恵, 廣瀬 千也子, 竹尾 惠子
    国立看護大学校研究紀要 6(1) 3-9 2007年3月  査読有り
    「身体的侵襲を伴う看護技術」について新人看護職員研修を行っている医療施設の特性を明らかにすることを目的に、東京・神奈川・大阪・兵庫の全病院を対象にアンケート調査を実施し、440施設より回答を得た(回収率22.7%)。身体的侵襲を伴う看護技術として、ヒヤリハット事例の多い11項目の研修状況について調査した結果、200床以上の一般病院群のほぼ全数で研修を行っていることが分かった。
  • 島田 広美, 谷本 真理子, 黒田 久美子, 田所 良之, 北島 美奈, 高橋 良幸, 菅谷 綾子, 正木 治恵
    老年看護学 11(2) 40-47 2007年  査読有り最終著者責任著者
    <高齢者の健康>を包括的に捉えるために,<高齢者の健康>に関する国内外の文献を幅広くレビューし,<高齢者の健康>の特質を検討した.その結果,<高齢者の健康>を捉える観点として,安定性,実現性,全体性の3つの観点が見出された.<安定性としての高齢者の健康>は,生理的機構が正常であり,環境と適応し,生活機能が自立し,個々の健康の側面がトータルに調和している状況を表し,<実現性としての高齢者の健康>は,その人が目指す方向をもっており,自己の可能性を実現する性質を表し,<全体性としての高齢者の健康>は,その人自身の価値や信念に関わる人生の意味と現実が一致することで得られる全体的感覚を表していた.これらの3つの<高齢者の健康>の特質は,老年期が,加齢に伴う全身的な衰退の影響を受ける一方,それに伴う発達危機を乗り越え,自我を統合する時期にあるという特徴が反映されていると考えられた.
  • 鳥田 美紀代, 清水 安子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 12(2) 63-68 2006年12月30日  査読有り
    The purpose of this study was to investigate the structure of nurses&#039; perceptions of difficulties interacting with elderly individuals. The method of this research was a meta-synthesis of qualitative studies. The results of three qualitative research papers that filled the criteria were integrated. As a result of the analysis, the following five concepts were identified: &quot;Understanding the elderly from a single perspective&quot;, &quot;Understanding the elderly based on interactions with other people and the environment&quot;, &quot;Understanding the elderly as autonomous individuals&quot;, &quot;Understanding the elderly based on his/her unique individuality&quot;, and &quot;Understanding the elderly based on specialist knowledge&quot;. In addition, the nurses&#039; perceptions of &quot;Understanding the elderly as autonomous individuals&quot; were based on their perceptions of &quot;Understanding the elderly based on specialist knowledge&quot;, &quot;Understanding the elderly based on his/her unique individuality&quot;, and &quot;Understanding the elderly based on interactions with other people and the environment&quot;. These five concepts were structuralized as a development process of nurses&#039; perception ranging from &quot;Understanding the elderly from a single perspective&quot; to &quot;Understanding the elderly as autonomous individuals&quot;. The present findings suggest that this development process of nurses&#039; perception can be used by nurses in order to r本研究の目的は,&quot;看護援助を行う際にその意思をくみ取って援助することに困難を感じる高齢者&quot;に対する看護師のとらえ方とその構造を明らかにし,そのような高齢者と対人援助関係を構築するための方法を検討することである。研究方法は,設定した選定基準を満たす既存の質的研究論文のメタ統合の手法を用いた。3つの質的研究論文の成果が統合された。その結果,看護師のとらえ方は《断片的な側面からのとらえ方》,《他者や環境との関係の中でのとらえ方》,《高齢者を主体としたとらえ方》,《個別性の理解に基づいたとらえ方》,《専門的なアセスメントに基づいたとらえ方》の5つのカテゴリーに統合された。さらに,カテゴリー間の関係を対人援助関係の構築の視点から分析した結果,看護師のとらえ方は,《断片的な側面からのとらえ方》から《高齢者を主体としたとらえ方》に向かうプロセスとして示された。また,《高齢者を主体としたとらえ方》は,《個別性の理解に基づいたとらえ方》,《専門的なアセスメントに基づいたとらえ方》,《他者や環境との関係の中でのとらえ方》を基盤としていることが示された。このプロセスを発展的に変化させることは,看護師が意思をくみ取ることに困難を感じる高齢者と対人援助関係を構築するための方法論として活用できる可能性が示唆された。
  • 長瀬 明日香, 清水 安子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 12(2) 50-56 2006年12月30日  査読有り
    「身体に向かっている意識あるいは心的な状態のあり様」を身体志向性と定義し,病状の経過が緩慢な慢性病を持つ患者の身体志向性を明らかにするために,患者のセルフケアの促進を目的とした5名の患者の援助場面から,患者の身体志向性について分析した。その結果,身体志向性は17に分類でき,さらに大きく以下のように3分類された。1.【身体を捉えることに関する身体志向性】は身体についての情報を得たり,得た情報を解釈したりすることを通して身体を捉えたり,今まで以上に身体を捉えようとしているものであった。2.【身体志向性を思考することに関する身体志向性】は,身体を捉えたことを基に,その身体について予想したり,判断,評価したり,その身体にかかわる行動を探したりするものであった。3.【身体を引き受けていくことに関する身体志向性】は身体を捉えるということが前提となり,その捉えた身体に対し情緒的な変化が見られたり自分の身体を自分のものとして引き受けて行こうとしたりするものであった。身体志向性は,病状の経過が緩慢な慢性病をもつ患者が,セルフケアのプロセスの各段階において,意図的に,主体的にセルフケアを行っていくことに寄与し,さらにセルフケアのプロセスを発展させていくことにも寄与すると考えられる。The purpose of this study is to clarify the &quot;body intentionality&quot; of patients with chronic illness. Body intentionality is defined as a form of consciousness or mental state of one&#039;s body. With the aim of promoting self-care among patients with chronic illness, we analyzed body intentionality in five patients receiving nursing care. Based on the data obtained, body intentionality was classified into 17 categories, and further grouped into three categories as follows: 1.&lt;Perception of one&#039;s body&gt; This means to perceive in a physical sense, to obtain information of one&#039;s body, to have an interest in one&#039;s body or try to perceive one&#039;s body by interpreting information obtained of the body. 2.&lt;Consideration of one&#039;s body&gt; Based on the This means that based on the &quot;perception of one&#039;s body, the patient expects,judges or evaluates his physical course and state, or search or consider action that affect his body. 3.&lt;Acceptance of one&#039;s body&gt; Here, the &quot;perception of one&#039;s body&quot; become a premise. An emotional change happens toward one&#039;s body, or acceptance of the body as one&#039;s own is realized. Body intentionality may contribute to realizing self-care intentionally in each stage of the self-care process, and may contribute to development of the self-care process.
  • 瀬戸 奈津子, 山本 育子, 岡崎 優子, 岡田 ゆかり, 河井 伸子, 坂井 さゆり, 森 小律恵, 清水 安子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 12(1) 65-70 2006年6月30日  査読有り最終著者
    本研究の目的は,海外文献(英語論文)から看護ケアを捉える文化の視点を導き出し,構造化することで,文化的枠組みを構築することである。分析対象は,&#039;culture&#039;をキーワードに老人看護,慢性疾患看護を主題としてMEDLINEやCINAHL等のweb版(2000〜2005)から文献検索した24の海外文献で,それらをKJ法の手法を用いて「看護ケアを捉える文化的視点」のテーマに沿って分析した。その結果,【暖昧で特定し難く広がる文化の概念】がある一方で,【生活や生きる世界に織りこまれ浸透している伝統的概念】や【個人が操作することのできない文化の影響】が互いに関係しあっていた。また,【ケアが伝えられる組織・専門家文化による意志決定や価値への影響】と【個人のもつ文化のヘルスケアシステムとの相互作用への影響】が互いに関係しあっていた。したがって,【看護師自らの文化を意識化することによって多様な患者の文化に柔軟で開放的なケア方法の検討】をしており,そこには,【生活や生きる世界に織りこまれ浸透している伝統的概念】【個人が操作することのできない文化の影響】に支えられ,【ケアが伝えられる組織・専門家文化による意志決定や価値への影響】【個人のもつ文化のヘルスケアシステムとの相互作用への影響】が浸透していた。以上の看護ケアを捉える文化の視点を構造化することで文化的枠組みを構築した。これにより,看護ケアを捉える文化的視点が明確になり,文化の視点を考慮した看護ケアを明らかにすることができる。The purpose of this study was to structuralize the viewpoint of culture to extract nursing care from an overseas literature review, and then construct a cultural framework. The subjects were 24 overseas articles. Their articles were selected by a key word &#039;culture&#039; in articles about chronic illness nursing or gerontological nursing. These selections were carried out in a literature review from the web versions (2000-2005), such as MEDLINE and CINAHL, 7 researchers used the technique of the KJ method and analyzed them along with the theme of &quot;the cultural viewpoint which extracts a nursing care.&quot; The results showed [the flexible and open care method was examined in various patients&#039; culture by the consciousness of the nurse&#039;s own culture]. This is supported by [the influence of the traditional concept which was incorporated into the life or the phenomenon and has permeated there] and [the culture which an individual cannot operate]. And [the influence on decision making and value by the organization and specialist culture] and [the influence on the interaction of an individual culture and health care system] had permeated through this. By construction of this cultural framework, the cultural viewpoint which makes a nursing care clear, and the nursing care in consideration of the viewpoint of culture can be clarified.
  • Kazuko Ishigaki, Harue Masaki, Nobue Nakamura, Misako Miyazaki, Noriko Yamamoto-Mitani
    Japan Journal of Nursing Science 3(1) 77-82 2006年6月  
    Aim: The Center of Excellence for the Creation and Dissemination of a New Japanese Nursing Science at Chiba University School of Nursing is now in its third year of operation. This center aims to develop nursing science that is appropriate for Japanese culture and to internationally disseminate the importance of culturally based care. Our project seeks to systematically transform the art of nursing practise into a nursing science. Method: To date, multiple frameworks have been created through the qualitative meta-synthesis of research on effective nursing care. To create a nursing science, these frameworks derived from meta-synthesis must be verified and internalized in nursing practise. Results: After three years of research, the following findings are emerging: professional care relationships in nursing practise in Japan are characterized by the bidirectional process between the nurse and the client, in which both gradually undergo a transformation in order to establish a collaborative, therapeutic relationship; Japanese nurses emphasize the importance of understanding adolescent clients' subjective understanding of their own life with self-care, as well as social support; and the priority for community health nurses in Japan is to create support systems in the community, regardless of whether the intended client is an individual, a family, a specific group, or the community as a whole. Conclusions: Our future efforts will focus on verifying our findings through interdisciplinary and international comparative research and by integrating various frameworks in order to create a new Japanese nursing science. © 2006 Japan Academy of Nursing Science.
  • 小澤 三枝子, 水野 正之, 中島 健一朗, 廣瀬 千也子, 正木 治恵, 佐藤 エキ子, 高屋 尚子, 竹尾 惠子
    国立看護大学校研究紀要 5(1) 3-12 2006年3月  査読有り
    厚生労働省報告書が新卒看護師研修施設として備えることが望ましいとする教育体制や学習環境について質問紙調査を行い,その結果をもとに10項目からなる仮設基準を作成,それを満たす施設がどの程度あるのか,そこで何人くらいの育成が可能なのか試算を行った.調査は,東京・神奈川・大阪・兵庫(調査A)と,独立行政法人国立病院機構(調査B)において2005年に行った.調査Aと調査Bとでは回収率の傾向が大きく違ったため,同じ仮設基準を用いたものの,異なる計算方法で試算を行った.試算の結果,仮設基準スコア9点以上の施設は50施設,育成している新卒看護職員数817人,育成可能新卒者数(看護職員の1割)は992人であった.仮設基準スコア8点以上でみると,該当施設は82施設,育成している新卒看護職員数1361人,育成可能新卒者数は1633人であった.以上,新人看護職員研修の推進にあたり,これらの医療施設でモデル事業を行うことも今後の可能性の一つであろうと考えられた
  • 清水 安子, 黒田 久美子, 内海 香子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 11(2) 23-30 2005年12月30日  査読有り
    本研究の目的は,糖尿病患者の看護効果測定ツールの開発に向けて,糖尿病患者のセルフケア能力の要素を抽出することである。1990年以降,千葉大学大学院看護学研究科の修士論文・博士論文で糖尿病患者を対象に看護援助や面接を通して行われた質的研究8論文を選択し,質的分析によりセルフケア能力の要素を抽出し,その要素の構造が導き出された。抽出されたセルフケア能力の要素は,【糖尿病や自己管理に関する基礎知識】【ストレス対処力】【サポート活用力】【モニタリング力】【応用力】【調整力】【自己の身体を捉える力】【自己管理の自己推進力】【糖尿病をもちつつ自己実現していく力】の9つの要素であった。セルフケアの能力の要素は,【糖尿病や自己管理に関する基礎知識】を基点に,【応用力】【調整力】を高めつつ発展する『自己管理方法の確立』という方向と,【自己の身体を捉える力】【自己管理の自己推進力】を高めつつ発展する『自己理解の深まりと自己実現』という方向の2つの方向が見出され,両方向の能力の中心に【モニタリング力】が位置づけられた。そして,これらの能力を総合的に活用していく中で,【糖尿病をもちつつ自己実現していく力】を高め,2つの方向が融合していく構造が導き出された。また,【ストレス対処力】【サポート活用力】は,この全てのプロセスで活用するセルフケア能力として位置づけられた。The purpose of this study was to extract the self-care agency elements for patients with diabetes toward the development of nursing effect measurement tools. From among the masters&#039; and doctoral theses written by students of the Graduate School of Nursing at Chiba University after 1990, which involved the provision of nursing support for or interviews with diabetics, eight theses that dealt with qualitative study were selected to extract the self-care agency elements for diabetics by qualitative analysis. As a result, the structure of these elements was drawn. The nine self-care agency elements extracted are as follows: &quot;basic knowledge of diabetes and self-management,&quot; &quot;stress-coping ability,&quot; &quot;ability to make the most of support,&quot; &quot;monitoring ability,&quot; &quot;application ability,&quot; &quot;adjustment ability,&quot; &quot;ability to obtain a clear understanding of one&#039;s body,&quot; &quot;ability to promote self-management,&quot; and &quot;ability to achieve self-realization despite having diabetes.&quot; With &quot;basic knowledge of diabetes and self-management&quot; as the starting point, the self-care agency elements are divided into two directions. One direction is toward the &#039;establishment of self-management methods&#039; while enhancing &quot;application ability&quot; and &quot;adjustment ability.&quot; The other is toward &#039;deeper self-understanding and self-realization&#039; while enhancing the &quot;ability to obtain a clear understanding of one&#039;s body&quot; and the &quot;ability to promote self-management.&quot; On the other hand, the &quot;monitoring ability&quot; is positioned at the center of those two directions. As a result, the structure was found wherein, the utilization of these abilities in a comprehensive manner leads to the enhancement of the &quot;ability to achieve self-realization despite having diabetes&quot; and the eventual fusion of the two directions. The &quot;stress-coping ability&quot; and the &quot;ability to make the most of support&quot; are positioned as the abilities used in all processes.
  • 田所 良之, 菅谷 綾子, 榎元 美紀代, 清水 安子, 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 11(2) 39-47 2005年12月30日  査読有り最終著者
    本研究の目的は,日常生活上の改善を要するが切迫感を抱きにくい成人・老人患者に対して看護師が用いている対人援助技術を,国内の雑誌論文の記述から明らかにすることである。医学中央雑誌による検索ならびに自作の文献選定基準を用いた文献選定で得られた6文献を分析した結果,61ラベルを抽出し,それらを続合することで,16の対人援助技術が得られた。これらの対人援助技術は,2つに大別することができ,【対人援助関係を促進する可能性のある対人援助技術】として,1)まだ対象特性のつかめていない対象者を全人的に理解するために,現在までの生活・経過も含めた情報を得る,2)対象者の変化の可能性をアセスメントしつつ,関係性や援助の発展の方向性・タイミングを見据えて試みる,3)対象者の状況が変化しても関心を寄せ続ける,4)その人のために専念して存在する,5)イメージしやすい情報を提供する/対象者の関心を引き寄せる理解しやすい方法で情報を提供する,6)対象者の意思・気持ち・決定・主体性を尊重し,また,それを引き出すようにする,7)対象者からの要求に対して親切に対応したり,察して不足・不便を解消する,8)対象者の体験・気持ち・おかれている状況に思いを寄せ,推し量り,共感を示す,9)対象者の反応に照らしながら,その人に合った対応・援助方法を模索していく,10)これまでに構築された「なじみ」の関係を意図的に援助に活かすの10の対人援助技術が,また,【対人援助関係を阻害・停滞させる可能性のある対人援助技術】として,11)対象者の個別な体験や思い・感情を注目・尊重するより,医療者としての客観的で一般的な立場で対応する,12)対象者の思いや感情に十分思いを寄せたり,推し量ることThe purpose of this study was to identify interpersonal nursing skills for patients without a sense of urgency and need by using Japanese nursing literature. Igakuchuouzasshi system (Japanese medical literature database system) and the researcher&#039;s own criteria were utilized for searching and picking out appropriate literature. As a result of qualitative analysis and synthesis of 6 articles, 16 interpersonal nursing skills were obtained. These skills were divided into two groups. Firstly, interpersonal nursing skills with the possibility of facilitating interpersonal relations which includes 10 interpersonal nursing skills and secondly, interpersonal nursing skills with the possibility of disturbing/stagnating interpersonal relations which includes 6 interpersonal nursing skills.
  • 正木 治恵, 清水 安子, 田所 良之, 谷本 真理子, 斉藤 しのぶ, 菅谷 綾子, 榎元 美紀代, 黒田 久美子
    千葉看護学会会誌 11(1) 55-62 2005年6月30日  査読有り筆頭著者責任著者
    The purpose of this study was to construct a theoretical & analytical framework for meta-synthesis of clinical knowledge of interpersonal relationship in Japanese nursing. We constructed the framework by meta-synthesis of 13 qualitative research which were impressed paper in Journal of Chiba Academy of Nursing Science in 2003~2004, original papers of a thesis or a dissertation, and qualitative research about nursing interventions. As a result, the following were identified: Nurse's cognition/action and Client's (patient, family, citizen) cognition/action were changed through reciprocity between a nurse and a client. Nursing goals and interventions became equivocal, focused, wholistic and professional while clients became growing, empowered as outcome through the reciprocity. These finding suggested the themes of meta-synthesis according as attribute of a nursing subject.本研究の目的は、日本型対人援助関係の実践知の抽出・統合のための理論的分析枠組みを構築することである。メタ統合の手法を用いて、千葉看護学会会誌の最近2年間に掲載された修士論文・博士論文に関する原著論文で,看護実践に関する質的研究13論文より、対人援助関係の理論的分析枠組みを導いた。その結果、次のことが明らかになった。すなわち、看護実践過程において,看護専門職の認識・行動ならびに対象(個人,家族,地域住民)の認識・行動は質的に変化し,それぞれ援助の発展,アウトカムをもたらす。これらの変化は,両者の相互作用の現象を通して生じる。この相互作用の結果,看護専門職の認識・行動は,より多義的で,個別的かつ包括的になり,焦点化され,専門性も高まる。一方,対象もその過程を通して,潜在力が発現し,主体性が発揮され,新たな気づきや能力を獲得し,より豊かな自己を作り出す。この枠組みの構築により,対象特性に応じたメタ統合の課題として,(1)相互作用を通した看護専門職の質的変化(援助の発展),(2)対象の看護専門職との相互作用を通した質的変化(アウトカム),(3)両者が作りあげていく相互作用の現象が明らかになった。
  • 堀之内 若名, 正木 治恵, 清水 安子
    整形外科看護 10(4) 398-405 2005年4月  査読有り
    人工股関節全置換術(以下,THA)患者の自己管理に関する認識と行動を明らかにすることを目的に,術後15年以内にルーズニングや脱臼などの合併症があった患者8名(うち,女性7名.平均年齢64.9歳)を対象に半構成的面接を実施した結果,自己管理上の問題点として以下の8つが明らかになった.1)人工股関節や脚の状態を正しく認識できていない.2)人工股関節の保護のために行っている散歩が,人工股関節の摩耗を早める可能性がある.3)歩くことで人工股関節が摩耗するのではないかと不安.4)意識的な運動が継続できず,下肢の筋力低下や転倒などによる損傷の可能性がある.5)家事を1人で行うことで人工股関節に負担がかかる.6)食事や生活様式などの生活習慣を変えることがむずかしい.7)活動と安静の調節が困難である.8)受診以外で,自分の行動や身体の状態について相談できる場がない
  • 正木 治恵
    家族看護学研究 10(1) 57-61 2004年6月  
  • 高橋 綾, 清水 安子, 正木 治恵
    埼玉県立大学短期大学部紀要 (5) 11-21 2004年1月  
    糖尿病患者の看護に熟練した看護師4名(34〜42歳)が外来で実践している看護活動を,援助場面の観察と面接から明らかにした.その結果,いずれの場合にも自分のとらえた患者像に基づいて,「声をかける」「話を聞く」等の行為を通して意図のある看護活動を行っていることがわかった.「声をかける」行為で行われた看護活動では,患者との関係性を築こうとする一方で,看護師が患者を気にかけていることを患者に示す効果も有しており,場面によっては一つの行為で異なる意図を同時に行っていることも窺えた
  • 瀬戸 奈津子, 正木 治恵, 野口 美和子
    日本糖尿病教育・看護学会誌 4(1) 4-13 2000年3月  
    糖尿病外来に通院している患者,或いは付き添っている家族を対象に質問紙を478部配布し,回収期間中に350部回収した.質問紙を分析した結果,電子メールを使った看護相談へのニーズありと興味のみを合わせて6割以上を占め,特に社会的に多忙とされる病院が開いている時間帯に時間の融通が利かないと思われる者にニーズが高い傾向がみられた.又,キーボードやコンピュータ,電子メールに対する親和性に伴って,ニーズも高くなる傾向がみられた反面,コンピュータの操作が大変なことを危惧する者が4割以上,電子メールを使う者は1割未満であった
  • 渡辺裕子, 鈴木 和子, 正木 治恵, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 20(20) 107-112 1998年3月  査読有り
    透析患者をもつ家族の対処に関わる認識を明らかにする目的で,19家族に家族ストレス対処理論を枠組みとした半構成面接を行い,面接内容を二重ABCXモデルを用いて分析した.その結果,家族の対処に関わる認識に対するアセスメントの視点が明らかになった.また,家族の認識に働きかける援助では,(1)家族の生活を視座に据えた相談・助言の重要性や(2)患者に対するケア方針の確立過程における援助内容(3)家族関係に関する判断に働きかける援助内容(4)対処資源の導入の判断に関わる援助内容が明らかになった.
  • 正木 治恵
    千葉看護学会会誌 3(2) 102-108 1997年12月26日  
  • 有藤 由理, 正木 治恵, 野口 美和子
    日本糖尿病教育・看護学会誌 1(2) 84-95 1997年12月  
    「患者教育者」では個別指導・集団指導の実施率は共に高く,「ケア提供者」では糖尿病の特性に合わせた対処がとられていた.施設内での「スタッフへの相談・調整役」を果たしている者は多かったが,施設を越えた連携をとっている者は半数以下であった.「研究者」としての役割を果たしている者は少なかった.又,個別指導実施者は他の役割も果たしており,糖尿病教育歴が長く,自己学習を行っており,受診システム上の工夫がなされた外来に所属していた.糖尿病外来は患者教育実施率の高い分野であり,個別指導実施の有無は外来での看護婦の活動を示す1つの目安となることが考えられた
  • 今村美葉, 正木 治恵, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 19(19) 79-87 1997年3月  査読有り
    パーキンソン病患者の疾病受容過程および効果的な看護援助を明らかにするために,パーキンソン病患者との面接により,8名に対して疾病受容過程の調査を行い,4名に対して疾病受容に対する看護援助を行った。疾病受容過程は,疾病受容に関連する疾病の経過に伴う気持ちの変化を分析し,時期ごとにまとめて取り上げた。パーキンソン病患者の疾病受容過程において特徴的なことは,時間の経過との関係ではなく,疾患の進行による症状の悪化や薬物効果による症状の改善といった,症状の程度との密接な関係があることであった。パーキンソン病患者は薬物効果に伴う症状の日内変動によって気持ちが正反対にも揺れ動くという特徴を看護者が理解し,「ありのままの患者」を看護者が受け入れることが,パーキンソン病患者の疾病受容にとって重要であると考えられた。The purpose of this study is to make clear the illness-acceptance process and the effective nursing interventions for patients with Parkinson&#039;s Disease. Data were conected by interviews with patients. The changes of feelings of the patients, which followed the course of the disease and were related to illness-acceptance, were analyzed and grouped by stages of the disease. The illness-acceptance process of patients with Parkinson&#039;s Disease was closely connected with physical conditions that either become more serious by the progress of disease or improve by the effect of medications. It is important for a nurse to understand the fact that the feelings of patients with Parkinson&#039;s Disease fluctuate completely opposite direction by daily changes of symptoms due to medications. It is suggested that nurse&#039;s acceptance of &quot;patients as they are&quot; is extremely important.
  • 田川 由香, 原崎 信子, 正木 治恵
    千葉大学看護学部紀要 (19) 103-109 1997年3月  査読有り
    神経障害を持つ者が多く,血管障害を持つ者は少なかった.足の観察をいつもしている者は少なく,電気あんか等の低温熱傷の危険のある物を使用している者が多く,糖尿病を考慮して靴を選んでいる者は少なかった.危険因子の多い者と少ない者にフットケアの実施の内容には特徴的な違いは見られなかった.フットケアに関する援助にあたっては,自分の危険因子の状況を知ってもらい,観察と熱傷への注意と靴の選択について指導が必要である
  • 正木 治恵, 野口 美和子, 湯浅 美千代, 佐藤 弘美, 黒田 久美子
    千葉大学看護学部紀要 19(19) 27-34 1997年3月  査読有り筆頭著者責任著者
    成人内科系看護実習でのカンファレンスの内容をテープ録音し,その実習カンファレンスの展開を分析し,教育的意義を検討した。その結果,4種類の展開のパターン,すなわち,「看護過程」を吟味する展開,看護活動を発展させる展開,看護活動の意味を抽出する展開,ならびに学生の自己理解を促す展開,を抽出した。『看護活動を発展させる展開』が最も多かったのは,患者の変化をもたらすにはある程度長期間を必要とする内科系看護実習の特徴を反映していると考えられ,これによって内科病棟における慢性疾患患者の看護を短期間に学ぶことを可能にしていると考えられた。また,このカンファレンスの展開の効果は,教師の発問等,教師の力量に影響されると考えられた。The purpose of this study was to analyze a teacher&#039;s approach in the group discussion of nursing clinical practicum. Twelve groups&#039; (62 students) discussions were recorded on tapes and were transcribed word for word. The following four approaches were claryfied from the data : an approach of discussing the Nursing Process, an approach of developing nursing interventions, an approach of deriving meanings of nursing interventions, an approach of paying attention to students&#039; self-understanding. The approach of developing nursing interventions was frequently appeared in the group discussions.This approach helps students learn nursing for the patients with chronic illness in a short term.
  • 正木 治恵
    Quality Nursing 2(12) 1020-1025 1996年12月  
  • 田川 由香, 正木 治恵, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 18(18) 89-95 1996年3月  
    慢性腎不全保存期の患者を対象に疾病認識と自己管理について調査を行った。慢性腎不全患者は病気に対して,「絶望・つらい・怖い」といった気持ちを持っている者が多かった。その気持ちには&quot;&quot;いずれ透析になる&quot;&quot;ということが影響しているのではないかと考えた。また,慢性腎不全患者は慢性腎不全の治療には食事療法が大切だと思い,食事の努力をしていた。そして,食事療法と指示された安静を行えていると自己評価している者が多かった。慢性腎不全は自己管理の効果を客観的に判断できる指標がなく,患者は自己管理行動で判断していた。
  • 湯浅 美千代, 正木 治恵, 佐藤 弘美, 酒井 郁子, 野口 美和子
    老年看護学 1(1) 79-89 1996年  
    施設・病院に入っている老人8名の生活リズムを観察し,その結果から援助方針をたて看護を行った.観察の結果,生活リズムの乱れがあった4名の生活リズムの有り様とその要因,ならびに看護について分析し,以下の知見を得た.(1)生活リズムの振幅が小さくなっているケースがあり,他者に頼るしかない寝たきりの老人に特有の生活リズムであった.(2)生活リズムの周期に乱れを生じたケースがあり,痴呆性老人に多い障害と考えられた.(3)リズムが形成されにくいケースがあり,これは病院に入院しているケースであった.その要因として無リズムで刺激の多い環境と,過敏で反応性の高い身体状況が挙げられた.(4)特別養護老人ホームは生活リズムがととのえられやすく,病院は妨げられやすい環境であった.(5)生活リズム回復への共通した援助として,苦痛を緩和し心地よいケアを継続して行うことが挙げられた.
  • 正木 治恵
    千葉大学看護学部紀要 16(16) 51-59 1994年3月  
    慢性疾患患者のセルフケアの発展を促す援助について検討するために,セルフケアが発展したと考えられる糖尿病患者59歳男例の看護経過を分析した。1)自己管理態度をより積極的な方向に変化させるためには,患者が糖尿病の自己管理をその患者にとっての価値の系列に位置づけることを援助することが必要であり,そのためには存在認知的アプローチが効果的である。2)自己管理行動の習得を促すためには,セルフケアのプロセスに則した指導的アプローチが効果的である。3)セルフケア援助には,存在認知的アプローチと指導的アプローチという2つの異なる種類の援助を使い分けることのできる専門的判断が必要である
  • 黒田 久美子, 正木 治恵, 栗林 伸一
    千葉大学看護学部紀要 (15) 17-24 1993年3月  
  • 正木 治恵, 瀬下 律子, 佐藤 弘美
    千葉大学看護学部紀要 (15) 145-148 1993年3月  
  • 永江 美千代, 正木 治恵, 佐藤 弘美, 酒井 郁子, 中山 桂子, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 15(15) 111-117 1993年3月  
    本研究は,1人の入院している老人(75才,女性)について生活リズムの把握と援助を試みたケーススタディである。対象老人の生活リズムの乱れは頻尿による断眠と様々な心身の苦痛によっておこっていた。さらに,同室者への影響があり,互いのストレスとなっていた。これは自ら生活リズムを形成する力は弱まっているにもかかわらず,過剰な刺激を受けている状態と考えられた。我々の行った援助は,心理面の過剰な刺激や苦痛を減らすことにおいて効果があったと考えられるが,病状の悪化があり,生活リズム回復には至らなかった。This study was a case study of the hospitalized elderly (75 years old, female). The rhythm of living was our centra concept. The subject&#039;s rhythm of living was disturbed by intermittent sleep, which was caused by frequent urinating, and by mental and physical suffering. Further, a patient, who shared the subject&#039;s room,was influenced by her disturbed rhythm, and they were found stressful each other. In spite of the elderly&#039;s weaken ability to keep the rhythm of living, she was given many stimuli. Our supports were effective to reduce stimuli and mental suffering. But her rythm of living didn&#039;t recover, because her condition grew worse.
  • 佐藤 弘美, 正木 治恵, 永江 美千代, 黒田 久美子, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 15 155-159 1993年3月  
    老年期を生きることについて理解すること,そして老齢者への対応についての心構えを動機づけることを目的として,シミュレーションゲームによる演習プログラムを開発した。ゲームは,老年期の不確実性の要素と老年期に遭遇する生活できごとの体験を実感できるように考案したものである。ゲームで体験された感情は,『怒り』,『あきらめ』,『悲しみ』,『辛さ』,『寂しさ』,『不安』, 『不快感』,『無力感』,『安心感』の9つに分類された。自分の老人像を描いて体験するこのシミュレーションゲームは,老いを生きるときに生じると考えられる様々な感情を引き出し,自分におこる老いとして,老年期を直視させるのに有効であった。
  • 谷本 真理子, 正木 治恵, 野口 美和子
    日本看護科学会誌 13(3) 70-71 1993年  査読有り
  • 小山 敦子, 正木 治恵, 野口 美和子
    看護教育 33(10) 770-776 1992年10月  
  • 正木 治恵, 兼松 百合子, 小野 ツル子
    日本看護科学会誌 12(2) 1-9 1992年9月  査読有り筆頭著者
  • 横山 美樹, 野口 美和子, 正木 治恵
    日本看護科学会誌 12(1) 23-32 1992年4月  査読有り
  • 正木 治恵, 小田 和美, 森 淑江
    千葉大学看護学部紀要 (14) 7-16 1992年3月  査読有り
  • 前川 弘美, 鳴海 喜代子, 佐瀬 真粧美, 正木 治恵, 永江 美千代, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 14 103-106 1992年3月  査読有り
    糖尿病外来に通院している25人の老年糖尿病患者に対して,質問紙による面接調査を行い,セルフケアの状態と老人の性格特性や生活意欲との関係を探った。(1)セルフケアの実施の有無とモラール得点,SDS得点,エゴグラムの各自我状態得点との関係は特にみられない。いずれの患者も家族の協力を含めてできることをやっているようである。(2)外来通院中の老人糖尿病患者では,エゴグラム得点において,知識の活用がみられる者の(FC)得点が高い傾向がみられた。知識を自分にかかわらせて活用することは,自主的な取組の第一歩といえ,今回の調査結果は,(FC)は自主性と関係するのではないかという,当講座野口の調査において推測されていた知見の裏づけとなり,老人患者においても同様であると言えそうである。
  • 宮本 千津子, 野口 美和子, 正木 治恵
    千葉大学看護学部紀要 (13) 9-17 1991年3月  査読有り
  • 正木 治恵, 小田 和美, 宮本 千津子
    千葉大学看護学部紀要 (13) 37-45 1991年3月  査読有り
  • 正木 治恵, 蔵宗 良江, 宮川 昌子
    看護技術 36(15) 1662-1669 1990年11月  
  • 正木 治恵, 野口 美和子, 滝本 美佐子
    千葉大学看護学部紀要 12(12) 21-30 1990年3月  査読有り筆頭著者
    Baldreeらの透析ストレッサースケール(1982)とJalowiecらのコーピングスケール(1981)を日本語に訳して188名の対象に調査を行った.1)将来への不安や・食事・行動面での制限に関する透析ストレッサーを高かった.2)自分の病気は運命とあきらめ,あるがままに受け入れようとする,ある種の達観ともいえるコーピング行動が高かった.3)透析ストレッサーおよびコーピング行動と,性,年齢,職業との間にいくつかの傾向が見出された.4)水分管理不良者は透析治療に関連するストレス認知が高かった.5)情緒不安定な,現実逃避的なコーピング行動をとる者は,ストレス認知が高かった
  • 正木 治恵
    日本看護科学会誌 8(2) 2-16 1988年10月  査読有り筆頭著者
  • 鳴海 喜代子, 佐藤 敏子, 藤沢 里子, 永江 美千代, 正木 治恵, 土屋 陽子, 野口 美和子
    千葉大学看護学部紀要 10 13-24 1988年3月  査読有り
    本研究は老人看護教育内容の検討のために,看護学生を対象にして入学から卒業までの老人観の経時的変化について調査を行い,学生の老人観の発達に及ぼす要因について分析を行うものである。前報では,老人看護の講義受講後の学生の老人観について分析した結果,学生のイメージは入学時と比較し,より客観的,両価的な傾向を示していたことを明らかにした。今回は臨床実習終了後に,学生の実習中の体験内容についてのアンケート調査と,前報と同様のSCTの様式を用いて老人観を調査し,その変化について分析した。その結果は以下の通りであった。1)一般的な老人像においては,学生のイメージは「退行」が減少し,それに代わって「悲嘆」が増加していた。2)家族との関連でみた老人像は,「負担」が増加しており,社会との関連では「悲嘆」が増加していた。1)および2)の変化は学生の臨床実習の場が主に病院であり,体験が病気を持った老人の看護であったため,特に「悲嘆」等の否定的な老人観が多くなったと思われる。3)世話する立場からみた老人像では,肯定的な反応の中で「行動」が増加し,老人看護への動機づけが増していることが示された。また,中立的な反応の中では「両価的内容」が増加し,学生のイメージには両価性の気持ちが存在していた。4)全般的には学生の老人観は大きな変化はみられなかった。しかし同一カテゴリーの中で感情を伴った現実性のあるものに変化していた。The image of the olf of 318 nursing students was studied using of Sentence Completion Test after the clinical nursing practice. The results were as follows ; 1) In general image of the old, they showed decrease &quot;decline&quot; and increase &quot;sorrow&quot; in their negative response. 2) In the image of the old on their family members, they showed increase &quot;burden&quot; in their negative response. 3) In the image of the old in society, they showed increase &quot;sorrow&quot; in their negative response. 4) In the image of the old in the point of nursing, they showed increase &quot;activity&quot; in their positive response and increase &quot;mixture&quot; in their neutral response.
  • 正木 治恵, 鳴海 喜代子, 土屋 陽子
    腎と透析 24(2) 317-323 1988年2月  

MISC

 161
  • 正木 治恵
    日本認知症ケア学会誌 20(1) 16-16 2021年4月  
  • 坂口 葵, 正木 治恵, 石橋 みゆき, 大原 裕子
    日本看護科学学会学術集会講演集 40回 P17-014 2020年12月  
  • 正木 治恵
    文化看護学会学術集会プロシーディング 12回 34-35 2020年7月  
  • 清水 安子, 正木 治恵, 柴山 大賀, 瀬戸 奈津子, 中山 法子, 日本糖尿病教育・看護学会将来検討委員会(2016年9月〜2018年9月)
    日本糖尿病教育・看護学会誌 24(1) 35-39 2020年3月  
    <文献概要>はじめに 日本糖尿病教育・看護学会(以下JADENと略す)の将来検討委員会は,2012年に数間恵子理事長のもと「糖尿病看護における社会への貢献という見地から,学会の活動,組織,重点施策など将来の方向性を検討し,理事会に提言,提案すること」を目的として発足した委員会である.この第3期の委員会では,委員会活動の方向性として当時の稲垣美智子理事長より「学会としてどのような影響力を糖尿病医療に起こしていきたいか,学会が将来どのような力を付けていったらよいか,という構想の議論と,その仕組みづくりを検討する」ことが示された.そこで委員会では将来の方向性を明確にするために,2017年〜2021年の5か年計画重点目標を提示した(日本糖尿病教育・看護学会,2017;図3参照).これは,社会や医療への貢献のために,糖尿病医療チームでの協働が重要であると考え,糖尿病学会の「『第3次対糖尿病5カ年計画』における重点と目標」(日本糖尿病学会,2015)(1.糖尿病先端研究の結実,2.超高齢社会に向けた基盤整備,3.包括的データベースによるエビデンス構築,4.将来の糖尿病対策を担う人材育成,5.国民への啓発と情報発信)に呼応する形で設定し,2017年915日社員総会で発表した.さらに,その5つの重点目標の各々について主担当となる委員会を決定し,担当委員会と将来検討委員会とが連携することで,目標達成に向けた活動が行える仕組みを整えた.こうしたJADENとしての活動の方向性を決める委員会内での議論の中で,「地域包括ケアの時代において多職種連携が重要で,糖尿病教育は看護師以外も行うため,看護師にしか分からない言葉を使っていては他の職種には通じない」「他の職種からみて看護職の果たす役割がはっきりしていない」「医師は糖尿病治療ガイドのように拠り所があるが,看護師にはそうした拠り所がない」といった意見も出された.5か年計画として重点目標を示すだけでなく,看護職にも他の職種にも分かりやすい形で,糖尿病教育・看護が何を大事にしてどんな役割を果たすべきなのかを明確化する必要があるのではないか,また,それが明確化されることで,重点目標に向けた取り組みの方針もぶれないのではないかとの結論に至り,これまでのJADENの活動の経緯も踏まえ,「糖尿病教育・看護の核となる機能」を明確化する取り組みを行うこととなった.ここでは,「糖尿病教育・看護の核となる機能」を明確化していったプロセスを紹介する.

書籍等出版物

 25

講演・口頭発表等

 67

共同研究・競争的資金等の研究課題

 40