野島 博, 丸尾 達, 内野 敏剛, 高垣 美智子, 北条 雅章
千葉大学園芸学部学術報告 47 17-22 1993年3月25日
マスクメロンの客観的品質評価として炭水化物(単少糖類),タンパク質量,インピーダンスを測定し,これらと食味テストとの相関を求め解析した結果,以下のような知見を得た.1.食味テストによる「甘味」と可溶性固形物(Brix値)との間には有意な相関があり(r=0.653),「甘味」とBrix値との間の相関はサッカロース及び全糖量間の相関に比べ高かったが,同一Brix値でも広範な「甘味」を示した.このようにBrix値のみによる甘味の評価は必ずしも正確でなく, Brix値13.5%以上で,かつサッカロース量が35mg・gFW^<-1>以上の範囲に「甘味」評価値+1以上の多くの個体が入り,Brix値とサッカロース量の両方を用いることで「甘味」をより的確に表すよい指標となりえた.2.食味テストの「肉質」と比重,新鮮重との間に有意な相関はみられなかった.3.重回帰分析の結果,食味試験のマスクメロンの「うま味」は「肉質」,「香り」よりも「甘味」に依存することが明確となった.4.主成分分析により全サンプルは3グループに大別され,1グループは全糖,「甘味」,「うま味」,IIグループはIグループと相反するもの, IIIグループは全糖,「甘味」,「うま味」,Brix値が大きいもののサッカロース量が少なく,フラクトース,グルコース量の多いものであった.これらのグループは主に産地によって特徴づけられたが,産地による価格差は必ずしも総合評価「うま味」を反映していなかった.5.いずれの糖も静電容量との間に有意な相関は見られないが,表面に打ち傷をもつ障害果はCole-Cole円の形状が他と大きく異なり,静電容量と「肉質」との間に有意な相関があることから,インピーダンスによる品質の判定はさらに検討を要する.