高屋敷 吏, 高野 重紹, 鈴木 大亮, 酒井 望, 細川 勇, 三島 敬, 小西 孝宜, 西野 仁惠, 鈴木 謙介, 仲田 真一郎, 大塚 将之
胆と膵 45(6) 651-655 2024年6月
血行再建術を伴う肝門部領域胆管癌手術は,肝胆膵外科高度技能手術においてもっとも高難易度の手術であるが,一方で標準的な手技の一つとして安全に施行する技術を取得しておくことも胆道外科医にとって重要といえる。動脈再建時には,吻合血管の口径,長さ,再建時の屈曲の程度などを考慮して,再建動脈を選択する。原則としては端々吻合を行うが,再建距離が長く直接吻合が難しい場合や,吻合に緊張がかかる場合には,胃十二指腸動脈や右胃大網動脈などを用いて再建することもある。門脈再建においては,その切除長が長い場合にはグラフト間置による再建が必要になり,その種類には外腸骨静脈,外頸静脈,左腎静脈グラフトなどいくつかの種類がある。動脈再建などで協力をあおぐ他診療科(心臓血管外科,形成外科など)と再建方法のシミュレーションを十分に行っておくことも,安全な手術を完遂するために重要である。血管合併切除・再建術後の周術期対策として,ドップラーエコーによる定期的な血流の確認と,出血や血栓症を疑った場合の遅滞のないdynamic CT撮影が必要である。(著者抄録)