江口, 和, 大鳥, 精司, 山下, 正臣, 山内, かづ代, 鈴木, 宗貴, 折田, 純久, 鴨田, 博人, 新井, 玄, 石川, 哲大, 宮城, 正行, 桝田, 喜正, 木川, 隆司, 越智, 茂博, 高橋, 和久
千葉医学雑誌 = Chiba medical journal 86(2) 43-50 2010年4月1日
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整形外科診療において診断に難渋することの多い腰椎椎間孔狭窄について文献的考察を行った。腰椎椎間孔狭窄は脊椎退行性変化により脊柱管より外側の椎間孔内外で神経根・腰神経が絞扼を受ける状態と定義される。頻度は腰椎変性疾患の中で8-11%と報告されており,まれな病態ではない。臨床症状では,安静時下肢痛,腰椎後屈制限が高率に認められる。90%は保存加療可能だが,78%は遷延化すると報告されている。画像診断では,単純X線,CT,MRIが有用だが,false positiveが多く,選択的神経根造影・ブロックを組み合わせ総合的に診断する。最近では3D-CT,MR myelograpy,3D-MRI,電気生理学的診断などが有用との報告がある。しかし,Macnabらがhidden zoneと紹介したごとく,画像診断法が進歩した現代でも見落とされやすく,Failed back surgery syndromeの約60%を占め,手術成績を悪化させる一因となり,画像診断の進歩が期待される。われわれは最近,腰椎椎間孔狭窄診断に対する新たな試みとして拡散強調MRIを用いた検討を行っており,あわせて報告する。