白石 成明, 近藤 克則, 伊勢 眞樹
理学療法学 35(2) B1603-B1603 2008年4月20日
【目的】<BR> 平成17年度より厚生労働科学研究費補助金(主任研究者 山口明)を受け研究班を組織し多施設でデータ共有する「脳卒中リハビリテーション(以下リハビリ)患者データバンク(DB)」を開発しデータ集積中である。今回は集積の現状及び今後の課題について報告する。<BR>【方法】<BR> 日本リハビリ医学会ガイドラインに準拠し,DB ver2が開発できた。本DBは病院基本情報,患者基本情報(年齢,性別,発症,病型,Modified Rankin Scale等),意識障害,機能障害,日常生活活動,合併症,リハビリ単位数,転帰,介護力等の約400項目(うち必須入力項目は約100項目)から構成されており,多施設からの参加が可能である。2007年9月までに1300例余りの患者登録がなされている。<BR>【結果・考察】<BR> 平成19年10月末までに参加した病院は19病院で患者数1309人を登録した.参加病院19病院中17病院でリハビリ専門医が勤務し,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の人数は平均38.5±37.5名であった。登録患者1309名の内訳は男性729(55.7%)名,女性580名(44.3%),平均年齢70.9±12.7歳(23-104歳)であった。入院時と退院時のBarthel index (BI)は37.2±34.1点,67.8±36.1点,入院時から退院時のBI変化は24.6±25.7点であった。平均入院日数56.0±48.6日,発症後リハ初日病日20.3±34.2日,介護力1人相当が22.3%で一番多く,自宅退院が48.8%,転院・転科が29.4%であった.<BR> 一方,明らかな入力間違いや欠損値のあるデータは患者基本情報では年齢6件,発症日5件,発症前のModified Rankin Scale51件などみられ,他の意識障害,機能障害,日常生活活動などでも入力間違いや欠損値が見られた。<BR> 今後の課題として,欠損値や入力間違いをできる限り少なくするため,必須入力項目をさらに厳選する,入力時間の短縮化を図る,入力漏れ・異常値への警告がでるなどの対策が必要と思われた。さらに,直接入院と転入院など病像の異なる患者が混在しているため層別分析などが必要であったり,交絡因子が多いため因果関係に迫るには,より多数例のデータを用いた注意深い分析が必要であるなどの課題が明らかとなった。<BR>【まとめ】<BR> 多施設参加型DB ver2を開発し,http://rehadb.umin.jp/からダウンロードできる環境を整えた.今後の正確なデータの集積,多数の患者登録のための課題が明らかになった。