研究者業績

小林 達明

コバヤシ タツアキ  (Tatsuaki Kobayashi)

基本情報

所属
千葉大学 大学院園芸学研究院ランドスケープ・経済学講座 教授
学位
博士(農学)(京都大学)
農学修士(京都大学)

J-GLOBAL ID
200901040994957970
researchmap会員ID
1000357218

外部リンク

経歴

 1

論文

 142
  • 廣木 真理, 小林 達明, 高橋 輝昌
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 33(1) 71-76 2007年8月31日  
    アズマネザサが下層に優占する半日陰地と樹林内で下刈り,落ち葉掻き管理を3年間行い,土壌中の無機態窒素量とアズマネザサの窒素利用特性およびアズマネザサ現存量の変化を調べた。下刈りの結果,半日陰地・林内ともに地上部の現存量は減少する傾向が見られた。地下部現存量に下刈りによる変化はなかったが,落ち葉掻きによって減少が見られた。表層土壌の全窒素含有率は半日陰地の下刈り区と下刈り+落ち葉掻き区で減少する傾向が見られた。土壌中無機態窒素は,半日陰地,樹林地ともに処理開始後3年目に,放置区,下刈り区,下刈り+落ち葉掻き区の順に低い値となった。管理方法による植物体の硝酸還元酵素活性の違いは見られなかったが,土壌中の硝酸量や受光条件により酵素活性が変化していた。樹林地では上層が落葉する冬期に硝酸還元酵素活性が上昇しており,窒素利用の面からは秋季の下刈りがササの抑制に効果があると考えられた。
  • 林 直樹, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 33(1) 42-46 2007年8月31日  
    北総台地上に位置する湧水地,こんぶくろ池は都市域の中にありながら,希少な湿生植物の千葉県における貴重な生育地となっている。本研究はこんぶくろ池周辺に生育しているズミ(<I>Malus Sieboldii</I> Rehd.)の生育状態を環境条件とあわせて調査することで現状を把握し,今後の保全方法を導くことを目的とした。ズミは樹高150cm以上で着花が見られたが,着花量が多かったのは林冠空隙率10%以上の所だった。結果率は低く,着花個体の半分以上で結果が見られず、3/4は結果率5%以下だった。実生の発生数も少なかったが、その成立立地の多くはリターに覆われない裸地だった。今後ズミを保全していくために,植生管理や実生更新サイトのための人為的な攪乱等の保全策をとっていくことが必要と考えられた。
  • 市川 隆子, 高橋 輝昌, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 32(1) 154-158 2006年8月31日  
    ミミズを用いた土壌改良についての基礎的知見を得るために,圃場試験地においてミミズを土壌に添加することによる土壌の化学的・生物的性質の変化を調査した。地表の落葉中で見つかった表層性ミミズと,地中で見つかった地中性ミミズでの土壌改良効果の違いや,地温の影響について検討した。その結果,特に地中性ミミズの添加により、微生物活性の増加が大きく,表層性ミミズよりも大きな土壌改良効果を得られることが示唆された。また,夏季の地温上昇を抑制することで,土壌水中の硝酸イオン濃度が高い状態で維持されたことから,ミミズによる微生物の活性化に地温が影響を及ぼすことが示唆された。
  • 白 龍, 鄭 紀勇, 小林 達明, 松岡 延浩, 張 興昌, 邵 明安
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 32(1) 149-153 2006年8月31日  
    黄土高原北部の陝西省神木県六道溝村において,斜面畑,段々畑,草地とアブラマツ植林地の4つの土地利用形態の土地の土壌全炭素・全窒素・全リンの変化を検討し,アブラマツの成長状況を明らかにした。その結果,斜面畑と段々畑の場合,全炭素含量・全窒素含量は0.3%,0.03%と低かったが,畑作を廃止して20年経過している草地,植林地では畑土壌の2倍ほど増えていた。しかし,20年たっているものの,アブラマツの樹高は4m以下で,年平均伸長量は20cm以下で,成長が遅かった。同じ立地条件のところで,アブラマツの成長は土壌硬度に影響されていたことが示唆された。
  • 白 龍, 高橋 輝昌, 小林 達明, 張 興昌, 邵 明安, 神近 牧男
    日本緑化工学会誌 31(1) 87-91 2005年8月31日  
    中国黄土高原北部の半乾燥地に位置する中国科学院西北水土保持研究所の神木試験地において, 退耕還草地の中から25m^2の調査区を50ヶ所設置して, 植生調査を行い, 土壌炭素・窒素及びFDA加水分解活性を測定し, 微生物による有機物分解能力の把握を試みた。その結果, 土壌炭素量・窒素量は植生量と正の相関関係にあり, FDA加水分解活性は土壌炭素量と高い正の相関関係にあった。したがって, 微生物活性は植生の発達にともない高くなると考えた。FDA加水分解活性は土壌pHの上昇, 土壌の硬化によって低下していた。
  • Junko MORIMOTO, Tomoko KAMICHI, Ibuki MIZUMOTO, Shuzo HASEGAWA, Masashi NOMURA, Tatsuaki KOBAYASHI
    Landscape and Ecological Engineering 1(2) 149-156 2005年  
  • 小林 達明
    Landscape Ecol. Eng. 1 17-24 2005年  査読有り
  • 西尾 紀彦, 神澤 嘉顕, 高橋 輝昌, 小林 達明, 浅野 義人
    日本森林学会大会発表データベース 116 350-350 2005年  
  • 劉 利民, 今 久, 松岡 延浩, 小林 達明
    農業氣象 61(3) 143-152 2005年  
    トウモロコシの気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの関係を調べるために,2004年夏の8月10日と11日にトウモロコシ畑において野外実験が行われた。この2日間に,気孔コンダクタンス,蒸散速度,体積土壌含水率,葉の水分ポテンシャルが独立に測定された。通水コンダクタンスは蒸散速度と土壌―葉の水ポテンシャルの差によって計算された。各項目の日変化及びサンプリングデータの標準偏差を調べることによって,データの信頼性が確認された。結果は,気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの間に強い正の相関を示した。2日間の決定係数はそれぞれ0.66と0.74であった。この2日間の通水コンダクタンスは,単位葉面積当り蒸散速度と強い正の相関があった。決定係数はそれぞれ,0.87と0.84であった。通水コンダクタンスと気孔コンダクタンスの関係を説明できる理由が議論された。蒸散に関係する両者の関係は,土壌水分ストレスのない条件で,気孔コンダクタンスと通水コンダクタンスの相互調節を起こしていると結論された。これらの結果は,2つの貢献をすると期待される。(1)現在の植物過程に関わるモデルの多くは,通水コンダクタンスを明確な形で取り扱っていないので,これらのモデルに通水コンダクタンスを組み込むことによってモデルを改良するだろう。(2)気孔コンダクタンスと関連する植物のガス交換に関わる通水コンダクタンスの調節メカニズムに新しい視点を供給し,SPAC水関係の理解を進めるだろう。
  • 田中 崇之, 菅本 裕介, 宮崎 郁美, 伊藤 裕太, 浜口 昌巳, 野田 泰一, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 30(1) 193-198 2004年8月31日  
    東京湾の人工渚におけるアサリの個体群動態と生残規定要因について2002年から2003年にかけ調査した。春に産卵された浮遊幼生は秋には生殖が可能になり,翌年の春には産卵を行っていると見られた。葛西海浜公園では2002年, 2003年ともに着底後のアサリの個体数減少が見られ,大雨時の河川水の流入に伴う塩分濃度の低下が主な生残規定要因として考えられた。また,幕張の浜では浮遊幼生は供給されているにもかかわらず,稚貝が見られなかったことから,波浪の影響, 青潮の影響が考えられた。これに対し,金沢海の公園,小櫃川河口干潟はアサリの個体数は安定していた。これらのことから,東京湾におけるアサリの生息条件は多様であり,生息地を再生するためには,その場に応じた対処が必要と考えられた。
  • 上地 智子, 小林 達明, 野村 昌史
    日本緑化工学会誌 30,133-138(1) 133-138 2004年  
    房総低山地におけるミツバツツジとキヨスミミツバツツジの種間交雑実態を把握しようと試みた。ミツバツツジ節の自生地である千葉県君津市清和県民の森で調査を行った結果,形態と開花フェノロジーにおいて両種の中間的な特徴を持つ個体が全調査個体中の約8%確認された。これら二種はポリネーターを共有し、人工的な交配は容易な事から、このグループは自然雑種由来と考えられる。一方,それらは生育立地と種子形態,葉緑体DNAにおいてミツバツツジと同様であった。よって雑種個体群の母系親はミツバツツジと推察された。それらは,ミツバツツジを子房親とした雑種個体である事が示唆された。
  • 清水 良憲, 高橋 輝昌, 小林 達明, 浅野 義人, 犬伏 和之
    日本緑化工学会誌 30,199-204(1) 199-204 2004年  
    渚の保全と再生に際し,底質における亜酸化窒素(N_20)の大気への放出ないし吸収の量を考慮することは重要である。東京湾の複数の渚において,底質表面のN_2Oフラックスと環境諸因子を測定した。その結果,調査サイトによって,放出傾向もしくは吸収傾向のN_20フラツクスが観測された。このN_20フラックスの正負に影響する環境因子を検討するため,諸因子について重回帰分析をおこなったところ,海水のpH,底質粒径,抽水植物密度,底質温度が影響していることが示された。また,同一海水の影響下では,N_2Oフラックスはより嫌気的な状態の底質で吸収に傾く傾向を示した。
  • 松浦 光明, 東 季実子, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 30,121-126(1) 121-126 2004年  
    狭山丘陵のコナラ二次林において,上層木の伐採・下刈管理と草本層種組成の関係を,微地形型の違いも含めて検討した。管理タイプおよび微地形型の違いによって調査区を299ヶ所選定して植生調査を行ない,得られた調査区の草本層種組成データをTWINSPANによって解析した結果,管理タイプでは伐採区,微地形型では谷頭凹地の種組成がそれぞれ特異的な群落に分類された。各植物種の出現傾向は,管理タイプと微地形型の組み合わせによって多様なパターンを示し,伐採区において出現頻度が滅少する種も確認された。一方,伐採区では,帰化植物や先駆性植物などが優占する傾向を示し,適切な管理が行なわれない場合,偏向遷移を起こす可能性が示唆された。
  • 白 龍, 小林 達明, 李 裕元, 張 興昌, 邵 明安, 神近 牧男
    日本緑化工学会誌 30,187-192(1) 187-192 2004年  
    中国の黄土高原北部に位置する陝西省神木県の六道溝村(中国科学院西北水土保持研究所の試験地)において,斜面畑を放棄した後発達した二次的草地の中から58箇所を選び,5×5m^2のコドラードを設置して,植生調査と土壌調査を行った。これらのデータを重回帰分析して,植被率に影響する土壌要因を明らかにした。その結果,土壌pH,土壌窒素,C/N比が植生に影響を与えていたことが明らかになった。また,それらの土壌要因には,斜面方位や斜面長が影響していた。
  • 田中 崇之, 菅本 裕介, 宮崎 郁美, 伊藤 裕太, 浜口 昌巳, 野田 泰一, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 30,193-198(1) 193-198 2004年  
    東京湾の人工渚におけるアサリの個体群動態と生残規定要因について2002年から2003年にかけ調査した。春に産卵された浮遊幼生は秋には生殖が可能になり,翌年の春には産卵を行っていると見られた。葛西海浜公園では2002年・2003年ともに着底後のアサリの個体数減少が見られ,大雨時の河川水の流入に伴う塩分濃度の低下が主な生残規定要因として考えられた。また,幕張の浜では浮遊幼生は供給されているにもかかわらず,稚貝が見られなかったことから,波浪の影響・青潮の影響が考えられた。これに対し,金沢海の公園,小櫃川河口干潟はアサリの個体数は安定していた。これらのことから,東京湾におけるアサリの生息条件は多様であり,生息地を再生するためには,その場に応じた対処が必要と考えられた。
  • 古賀 陽子, 小林 達明
    ランドスケープ研究 67,503-506(5) 503-506 2004年  
    The actual conditions of commercial sales and productions of 2 species of wild Rhododendrons growing on the Boso Peninsula were studied through fieldworks and interviews to gardeners. The results showed these 2 species were treated as the same plant in the marketplace, due to difficulties in visual differentiation. Sales of these plants were at their height during 1982-1985 when they were heavily hunted from their native habitat. The production of seedlings was started in the 1970' s with the great demand for them as garden trees.
  • 小林 達明, 野田 泰一, 鈴木 奈津子, 稲田 陽介, 清水 良憲, 桑原 茜, 高橋 輝昌
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 29(1) 62-67 2003年8月31日  
    東京湾内の主な自然渚, 人工渚におけるマクロベントスの種と個体数さらに海水, 底土等の性質を2001年夏に一斉に比較調査した。種組成による主成分分析の結果,底生動物群集は前浜, 河口, 潟湖という基本的なハビタットタイプによって規定されていた。いっぽう自然渚, 人工渚といった人為的関与の類型による違いは明らかでなかった。主成分得点を環境要因によって重回帰分析した結果,海水の化学的酸素要求量と塩分量および底土のシルト, クレイ率が主要な規定要因だった。しかし同じ前浜ハビタットでも,湾口部と湾奥部では生物相が異なり,水域の影響があることを示した。カニ相は潮間帯のヨシ群落の発達状況とシルト, クレイ率および潮上帯の植生空間の豊富さにより規定されていた。
  • 小林 達明, 浅野 義人, 國分 尚
    千葉大学園芸学部学術報告 57(57) 137-147 2003年3月  
    1909年の千葉県立園芸専門学校開校以来、松戸キャンパスの緑地は学生教職員の憩いの場、実習教育の場として利用されてきた。園芸学部という性格上、庭園が整備され、たくさんの植物が導入されてきたが、近年の都市化に伴い、松戸市の貴重な自然としての役割もあわせ持つにいたっている。本報では、インベントリー作成の準備作業として、露地に生育する木本植物の調査を行ったので、その分布状況を報告する。なお調査はキャンパス全域に及んでいるが、研究圃場で明らかに研究中で過渡的な植栽と思われるバラや果樹などの植物は除外している。ところでカエデ、ツバキ、ツツジ、サクラについては、内外より多数の種、品種が導入されているが、整理は終了していない。また品種全般については、本報告では原則として扱わない。よってここに掲げた目録は暫定的なものであることを断っておく。今後、実際にインベントリーが活用されながら、改善がはかられることを期待したい。
  • 佐藤 隆士, 岡村 まゆみ, 小林 達明, ほか
    千葉大学園芸学部学術報告 57(57) 17-25 2003年3月  
    1)園芸学部構内に生息する鳥類の種構成、季節推移を明らかにするために、2001年春から2002年春までの1年間、構内のルートセンサスを行った。2)観察期間中に43種類の鳥類が確認され、2000年以降では45種類の鳥類が確認された。3)観察された鳥類のうち14種が繁殖に、27-29種が越冬に、4-6種が渡りの中継地として構内を利用していたものと推察された。4)構内に残存する二次林で、最も多くの種類の鳥類が確認され、このなかには稀少鳥類も含まれていた。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 28(3) 448-450 2003年2月28日  
    イオン交換樹脂(IER)は緑地生態系内の養分動態に関する研究に用いられているが, IERの乾燥に伴うイオン吸着能の低下が懸念されている。そこで本研究では, IERによる雨水中の養分イオン量を簡易測定するための基礎的研究として, IERの乾燥がイオン吸着能に及ぼす影響について検討を行った。その結果, IERにおけるイオンの吸着量は重量含水率51.9%から1.4%への減少にかかわらず低下しなかった。このことから, IERは乾燥状態に置かれても十分溶存イオンを吸着する能力を有し, 雨水中の養分イオン量の簡易測定に使用可能であることが示唆された。
  • Gui-Rui Yu, Tatsuaki Kobayashi, Jie Zhuang, Qiu-Feng Wang, Le-Qing Qu
    Plant and Soil 249(2) 401-416 2003年2月  
    The study presents a theoretical basis of a stomatal behavior-based coupled model for estimating photosynthesis, A, and transpiration, E. Outputs of the model were tested against data observed in a maize (Zea mays L.) field. The model was developed by introducing the internal conductance, gic, to CO2 assimilation, and the general equation of stomatal conductance, gsw, to H2O diffusion, into models of CO2 and H2O diffusion through the stomata of plant leaves. The coupled model is easier for practical use since the model only includes environmental variables, such as ambient CO2 concentration, leaf temperature, humidity and photosynthetic photon flux received at the leaves within the canopy. Moreover, concept of gic, and factors controlling A and E were discussed, and applicability of the model was examined with the data collected in the maize field.
  • 上地 智子, 小林 達明, 野村 昌史, 瀬戸口
    日本生態学会大会講演要旨集 50 111-111 2003年  
  • 小澤 徹三, 小林 達明
    森林立地 45,75-80(2) 75-80 2003年  
    緑化における工事・管理の中心となる樹木生育評価には従来から科学技術庁資源調査会によるランク評価法が用いられてきた。しかし,この活力度評価法は個人差等が生じ易く経年性や地域性等に問題があった。そこで,客観的な数値として表現できる新しい活力度が必要となり,蒸散活動に伴い樹幹を流れる樹液が樹幹外部の温熱環境からの影響を受け温度が変化する度合いにより活力度評価を行う樹幹温変化率を既報(小澤・小林,1999)により提案した。本研究では,生育良好木・不良木の樹幹における純放射,樹幹内部の温度変化を測定し,それらから樹液流量等を推定した。その結果,気温等の温熱環境が等しく蒸散活動が活発な時期であれば,樹幹温度から算定される樹幹温変化率によって,蒸散作用により示標される樹木活力度がほぼ判定でき,また,樹幹温変化率の生理的な意味が明らかとなった。
  • 上地 智子, 小林 達明, 野村 昌史
    日緑工誌 29,91-94(1) 91-94 2003年  
    ミツバツツジ節自生地復元に用いられている種苗における雑種の発生について調べた。民家由来の種子から苗木を生産育成している花木センターの苗木畑において形態調査を行ったところ,様々な雑種形態を持つ個体が全調査個体中27%確認された。また,人工受粉実験を行ったところ,ミツバツツジ節内では結実率が80%近く,交配親和性は高かった。さらに,ミツバツツジが植栽された庭において,ミツバツツジとキヨスミミツバツツジがコマルハナバチをポリネーターとして共有していることが確認できた。よって導入苗木に雑種が存在する可能性は高く,自生地以外の地より導入されたミツバツツジ節苗木が存在する庭からは,自生地復元用の種子は採取しない方が望ましいと言える。
  • 東 季実子, 小林 達明
    日緑工誌 29,131-134(1) 131-134 2003年  
    二次林の適正な林床管理のため,近年その繁茂が問題となっているアズマネザサ(Pleioblastus chino Makino)の生育に及ぼす諸要因を検討した。数量化I類で分析をおこなった結果土壌pHの4.9以上の地点でササの生育が良好で,pHの4.3未満の地点でササの生育が抑制されていることが明らかになった。他には,下部の緩やかな斜面,園路・伐採区に接している地点でササの生育が促進されていた。またアカマツ林下では,ササの生育が劣る傾向にあった。ササの生育の旺盛な地点ではササの防除管理を重点的におこなうことが必要である。
  • 古賀 陽子, 若木 優子, 小林 達明, 長谷川 秀三
    ランドスケープ研究 66,231-237(3) 231-237 2003年  
    房総半島に自生するミツバツツジ節2種の生育立地を明らかにした。その結果,両種は侵食されやすい新第三紀を中心とする砂岩,泥岩層に分布していた。キヨスミミツバツツジの自生地は常緑樹林に特徴的に確認された。両種の生育立地は土壌pHとECが低く土層厚が薄かった。ミツバツツジの自生地は,急傾斜であり,その土層はより薄く,高木層と亜高木層の植被率は低かった。一方キヨスミミツバツツジの自生地は,傾斜はより緩やかで土層も比較的厚く,高木層と亜高木層の植被率は高かった。ミツバツツジは稚樹が少なく,今後自生個体は減少することが予想される。薪炭林管理の放棄によってミツバツツジの自生地が減少している可能性がある。
  • 清水 良憲, 桑原 茜, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 28(1) 313-316 2002年8月31日  
    東京湾盤洲干潟の後背湿地帯にみられるヨシ原において, 植物生育, 土壌性質, 地形について調査し, それぞれの関係を検討した。その結果, 植生におけるヨシ(<i>Phragmites communis</i> Trin.)とアイアシ(<i>Phacelurus latifolius</i>(Steud.)Ohwi)の構成比や植生地上部の植物量は, 土壌の塩分と酸化還元電位の影響を受けることが示された。これは, ヨシとアイアシの塩分と嫌気状態に対する耐性の程度の相違により説明される現象であると推測された。また, 土壌の塩分と酸化還元電位は, 地盤の高さにより変化していた。これらのことから, ヨシとアイアシの生育は地盤の高さによって間接的に規定されていると考察された。
  • 高橋 輝昌, 伊藤 香那子, 野口 敬記, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 28(1) 263-266 2002年8月31日  
    植物性発生材を粉砕して土壌に敷きならし, 土壌改良材として利用するための基礎的知見を得るために, 植物性発生材の粒径(長さ)と, 敷きならされた植物性発生材への窒素肥料の添加が, 植物性発生材の分解特性, 土壌の化学性, 植物生育に及ぼす影響について調査した。植物性発生材の粒径が小さいほど植物性発生材中の易分解性有機物の分解と苗木の生育が促進され, 土壌の酸が中和された。植物性発生材への窒素肥料添加によって, 微生物による植物性発生材の分解活性が高まり, 土壌中の有機物含有量が増加した。過剰な施肥は苗木の生育を阻害した。植物性発生材への施肥量は植物性発生材のC/N比を20程度にする量より少なくするべきである。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(4) 623-626 2002年5月31日  
  • 亀山 章, 倉本 宣, 小板橋 延弘, 小林 達明, 中野 裕司, 則久 雅司, 藤原 宣夫, 森本 幸裕, 山田 一雄
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(3) 481-491 2002年2月28日  
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    森林立地 44(2) 15-22 2002年  
    迅速,簡易であるFDA加水分解活性法を用いた微生物活性の測定法を我が国の森林土壌に適用させるための一事例として,同一地質の微生物活性の異なる土壌を用いてFDA濃度の改変および測定条件について検討した。FDAの発色を波長490nmでの吸光度(A_<490>)で表した。その結果,A_<490>は0.25g乾土相当の生土をとり,pH7.6の0.06Mリン酸ナトリウム緩衝液を20mL加えたのち,FDA溶液を1.0mL程度加え,直ちに25℃の恒温器内で30分間振とうした後,直ちにアセトン20mLを加え,No.3のろ紙でろ過し,ろ液の490nmでの吸光度を測定することにより求められる。これにより測定されたA_<490>は微生物バイオマス炭素量や土壌呼吸速度,糸状菌数,有機物分解能などを反映していた。これらのことから,A_<490>は森林生態系内における分解者としての微生物活性を示す指標になるものと考えられる。
  • ランドスケープ研究 66,86-90 2002年  
  • 松浦 光明, 小林 達明, 有田 ゆり子
    日本緑化工学会誌 28(,115-120) 115-120 2002年  
    管理が行なわれず放置され,大径木化したコナラ二次林において,更新伐採後のコナラ(Quercus serrata Thunb.)萌芽率の規定要因を検討した。伐採後より年1回の下刈管理を伴う伐採区を50ヶ所選定し,光条件と下層植生の状態を調べた。また,その中の全てのコナラ切株について,萌芽枝の有無と最近の年輪成長量,および伐採高を調べた。その結果,林冠空隙率が高く光条件が良好な伐採区の萌芽率が高かった。また,伐採前5年間の年輪成長量が5mm以下であった切株の萌芽率が低く,さらに伐採高が低い切株ほど萌芽率が高かった。これらの3要因について,数量化II類による分析を行った結果,実際における萌芽の有無の83%を説明できた。
  • 古賀 陽子, 小林 達明
    ランドスケープ研究 65(,569-547) 569-574 2002年  
    房総半島に自生するミツバツツジ類の山採りとその後の民家移出の実態について調査した。その結果,現在の分布域は新第三紀起源の砂岩・泥岩地域の小起伏山地域内に縮小していた。一方市内には自生区域で7割弱,市街地でも1割程度の民家でミツバツツジ類が植栽されており,その採取地や入手方法は自生地に近いほど地元の山探りが多かった。こうした山採りは1970年から1985年の間に激化するが,この時期は炭焼きの衰退や山間部の開発等により自生地周辺の農山村生活に変化が生じた。さらに臨海部で工業開発が進行したことを契機に既存市街地周辺で急速な人口増加が生じており,こうしたことがミツバツツジ類の庭木としての需要を増大させた。
  • 高橋 輝昌, 新井 麻里子, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology 27(2) 448-453 2001年11月30日  
    樹木由来の各種植物性発生材 (チップ材, ソメイヨシノ, クスノキ, クロマツそれぞれの枝葉部と幹部) の化学的性質, 分解・無機化特性を調査し, それらの関係について検討した。また, 無機態窒素 (N) や無機態マンガン (Mn) をチップ材に添加することによる分解・無機化の促進効果についても検討した。チップ材の養分含有量は幹部よりも枝葉部に多く, クスノキ枝葉部でもっとも多かった。土壌に混入されたチップ材からの二酸化炭素発生量 (C無機化量) は概ねチップ材のC/N比やC/P比と負の相関関係にあった。分解初期 (土壌への混入後50日間) のチップ材のC無機化量は無機態N添加によって増加したが, 無機態Mn添加の影響を受けなかった。無機態N添加によるC無機化促進効果は, チップ材のC/N比が高いほど大きかった。野外 (地表) に設置されたチップ材の重量は, 枝葉部では設置後の積算地温とともに減少したが, 幹部では微生物によるNの有機化によってC/N比が低下してから減少した。チップ材の重量減少はC/N比, C/P比といった化学的な性質の影響を強く受けていた。
  • 高橋 輝昌, 伊藤 梓美, 三星 暢公, 桑原 茜, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(1) 320-323 2001年8月31日  
    摘要土壌に敷きならされた様々な植物性発生材 (チップ材)の分解特性とその敷きならしが土壌の化学的性質と苗木の生育に及ぼす影響について調査した。チップ材の分解はチップ材の初期のC/N比だけでなく、チップ材の形状の影響も受けるようであった。チップ材の分解に伴うチップ材のC/N比の減少と土壌中の無機態窒素量の減少から, 土壌中の無機態窒素の有機化の可能性が示唆された, チップ材を敷きならした土壌では苗木の生育と葉中N濃度の減少が認められた。以上のことから, チップ材敷きならしが土壌中の無機態窒素の有機化を引き起こし, 苗木の生育を阻害することが示された。
  • 桑原 茜, 三星 暢公, 伊藤 梓美, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(1) 316-319 2001年8月31日  
    植物性発生材 (チップ) の分解特性と, 敷き均しが土壌に与える影響を把握するために, チップとその下の土壌の化学的変化を調査した。その結果, 堆積しているチップ層の厚さ, C量, N量, 及びCO&lt;SUB&gt;2&lt;/SUB&gt;放出量は敷き均し後の時間とともに減少していた。C/N比は20ヵ月後に有機物資材腐熟の基準である20以下になった。チップを敷き均し続けることで, 土壌への可給態養分の含有量が増加し, 土壌の微生物活性が高まり, 腐植量及びCECが増加した。また, 敷き均し後の時間の経過に伴う土壌からのCO&lt;SUB&gt;2&lt;/SUB&gt;放出量の減少から, 多くの難分解性のCが土壌中に固定されると考えられた。よって, 剪定枝葉を焼却せずにチップ化して敷きならし続けることで, CO&lt;SUB&gt;2&lt;/SUB&gt;放出量が削減され, 土壌状態が改善され植物にとって良好な植栽基盤が形成されていくことが期待できる
  • 三星 暢公, 伊藤 梓美, 桑原 茜, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(1) 312-315 2001年8月31日  
    近年循環・リサイクル社会の考えから都市緑地から排出される剪定屑などを粉砕して利用する動きが広まっている。本研究で, 植物性発生材の粉砕材 (チップ材) の分解は原料のチップ材のC/N比の他, チップの分解者である微生物の増殖と温度, 含水率の影響をうけていることがわかった。これらの諸要因を重回帰分析で評価したところ, チップの分解には温度による影響 (標準偏回帰係数: 0.58) がもっとも大きかった。
  • 篠原 明日香, 小林 達明, 浅野 義人
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(1) 38-43 2001年8月31日  
    切土軟岩のり面に生育する木本植物の実生発生条件を明らかにするために, 異なった発芽床実験区を設定し, 実生発生・初期生育実験を行った。その結果, 発芽床の違いによる実生発生タイプには3タイプが認められた。種子サイズが比較的大きく実生のT/R率の小さなキハギ, ヤマハギはどのような条件であっても実生が発生し, 生存率も高かった。種子サイズが小さく, T/R率の大きなウツギ, マルバウツギ, ニシキウツギ, タマアジサイ等低木樹種はリター区とピートモス区で実生発生率が低下した。また, ツツジ属低木はリター区と表層土区では実生発生率も生存率も低下し, 貧栄養条件を好むことを示した。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 26(4) 337-342 2001年5月31日  
    有機物を比較的多く含むわが国の森林土壌の土壌微生物活性をFDA加水分解活性法を用いて測定するための測定条件について検討した。また, FDA加水分解活性法の測定結果 (A490) をセルロース分解能と比較し, FDA加水分解活性法の有効性について検討した。その結果, SCHN&Uuml;ER and ROSSWALL (1982) の方法を一部改変し, 緩衝液100mlに対して土壌試料の量を乾重で5g以下とし, FDAの反応時間を30分にすることで, わが国の森林土壌にFDA加水分解活性法を適用できるものと考えられた。また, 得られた.A490は年間を通じてほぼ一定であり, 土壌問のセルロース分解能の大小関係を概ね反映していた。このことから, 測定時期に関わらず, 1回のA490の測定によって, 土壌の相対的な微生物活性を概ね明らかにできると推察された。
  • 高橋 輝昌, 御代田 泉, 綛谷 珠美, 浅野 義人, 小林 達明
    ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture 64(5) 521-524 2001年3月30日  
    火山灰起源の森林表土の植栽基盤としての有効性について検討するため,比較的浅い表土(表土(浅)),比較的深い表土(表土(深)),心土,比較的浅い表土と心土の混合土壌,施肥した心土(施肥土)で土壌の化学性と植栽された苗木の生育を比較した。施肥土の無機態窒素含有量と電気伝導度は施肥直後には他の土壌を上回ったが,急激に減少し,3ケ月後には他の土壌と同等になった。施肥土の苗木は1年目にはその他の土壌より良好に生育したが,2年目にはほとんど生育しなかった。表土(深)の苗木の生育は表土(浅)よりも劣り,心土とほぼ同等であった。表土(浅)での苗木の葉の高い光合成速度と比較的低い呼吸速度が苗木の安定的な生育の原因と推察された。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 27(4) 623-626 2001年  
    簡易かつ精度よく雨水や塩化カリウムによる土壌抽出液に含まれるアンモニア態窒素を定量するために, 水質分析で用いられているインドフェノール青法 (原法) の試料・試薬を少量化し, 簡易化した。すなわち, 試料2mlを25mlの試験管にとり, 水を10ml加える。つぎにフェノール・ニトロプルシッドナトリウム溶液を2ml加えたのちに, すばやく次亜塩素酸ナトリウム溶液を2ml加えて混和し, 室温で一・定時間放置する。この液の吸光度を635nmで測定する (試験管法)。本研究では, 吸光度に及ぼす試料の塩化カリウム濃度, 反応させた温度, 反応時間の影響について検討した。その結果, 吸光度は塩化カリウム濃度, 反応させた温度, 反応時間の上昇に伴い高まる傾向にあった。また, 測定結果を原法と試験管法で比較したところ, 両者はよく一致し, ほぼ1: 1の直線で回帰できた。このことから, 試験管法は簡易かつ原法と同様の精度で雨水や塩化カリウムによる土壌抽出液に含まれるアンモニア濃度を測定することができる。
  • 高橋 輝昌, 新井 麻里子, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 25(4) 631-632 2000年5月20日  
  • 鈴木 裕美, 勝見 典子, 小林 達明, 長谷川 秀三, 新井 雅夫
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 25(4) 421-426 2000年5月20日  
    千葉県小櫃川・小糸川流域の民家において, ミツバツツジ類植栽木の生育状況と自然発生実生の調査を行った。ミツバツツジ類はヤマツツジより樹勢が悪かった。数量化理論1類の解析結果より, キヨスミミツバツツジは排水良好で低温多湿の壌土のところ, ミツバツツジは排水良好の埴壌土で西日を遮るものがあるところ, ヤマツツジは根系が制限されない立地で, 低温多湿の酸性土壌が生育に適した環境であるということがわかった。また, 実生はターフ型のコケ上に多く分布しており, ミツバツツジ類は半日陰の壌土か埴壌土のところ, ヤマツツジは日陰で壌土のところで発芽・更新するということがわかった。
  • 有田 ゆり子, 小林 達明
    ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture 63(5) 485-490 2000年3月30日  
    近年変化が著しい里山「谷津田」の保全に関する基礎的研究として, 千葉市内の谷津の伝統的水田, 谷津の整備水田, および平野部の整備水田で土地利用図の作成, 水田, 畦と水路際の植生調査水田と畦の土壌水分測定を行った。谷津の伝統的水田の多くは耕作放棄され, 草地となっていた。土壌水分, 単位面積当たりの種数や多年草と水湿植物の種数は谷津, 特に伝統的水田で多かった。希少種は谷津で多く確認された。水路際の種数は整備水田におけるコンクリート水路より伝統的水田における土水路で著しく多かった。谷津田は平野の水田に比べ種多様性が高いことがわかり, その特異的環境を保っている斜面林との一体的な景観保全の必要性が指摘された。
  • 高橋 輝昌, 長沼 多恵子, 浅野 義人, 小林 達明
    ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture 63(5) 457-460 2000年3月30日  
    中低木植栽を通過した降雨が土壌へのイオン供給に及ぼす影響を明らかにするために, 降雨の樹冠通過に伴う水量と水質の変化を1998年5月から10月にかけて調査した。多くの場合, 降雨は樹冠によって40%以上遮断された。樹冠通過雨のpHは林外雨よりも高かった。降雨のイオン濃度は植栽の樹高が高いほど上昇し, 降雨量が多いと低下する傾向にあった。H&lt;SUP&gt;+&lt;/SUP&gt;, アルカリ度, 無機態窒素を除くイオン濃度は樹冠通過によって上昇した。降雨によるK&lt;SUP&gt;+&lt;/SUP&gt;, Ca&lt;SUP&gt;2+&lt;/SUP&gt;, Mg&lt;SUP&gt;2+&lt;/SUP&gt;, Cl&lt;SUP&gt;-&lt;/SUP&gt;供給量は植栽によって2~5倍に増加した。ほとんどの場合, これらのイオンの70%以上が植物からの溶脱に由来していた。一部の植栽では無機態窒素とSO4&lt;SUP&gt;2-&lt;/SUP&gt; の葉面吸収の可能性が考えられた。
  • 山中 典和, 韓 海栄, 馬 欽彦, 王 香明, 小林 達明, 玉井 重信
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 25(3) 230-241 2000年2月28日  
    中華人民共和国山西省沁源県に位置する麻池背地区 (N36゜39&#039;8&#039;&#039;, E112゜04&#039;18&#039;&#039;, alt. 1, 670m) で&lt;I&gt;Pinus tabulaeformis&lt;/I&gt;の天然生林に50m×50mのプロットを2つ設置し, 林分構造と更新に関する調査を行った。調査地付近の年平均気温は7.8℃, 年降水量は581.4mmであり, 調査林分は山西省では最も蓄積が大きいと考えられている&lt;I&gt;P. tabulaeformis&lt;/I&gt;林である。2つの調査プロットにおける胸高断面積合計は48.6m&lt;SUP&gt;2&lt;/SUP&gt;/haおよび50.1m&lt;SUP&gt;2&lt;/SUP&gt;/haであり, 胸高直径3cm以上の樹木の平均樹高はそれぞれ17.5mと13.9mであった。調査プロットの胸高直径3cm以上の樹木では10-14種出現したが, 最も優占していたのは&lt;I&gt;P. tabulaeformis&lt;/I&gt;であり, 胸高断面積合計の99%を占めた。&lt;I&gt;P.tabulaeformis&lt;/I&gt;上層木の齢分布は両プロットとも60-70年のクラスに集中し, 調査地の上層木は約70年前に一斉に更新したものであると考えられた。高木の後継樹としては&lt;I&gt;P.tabulaeformis&lt;/I&gt;と&lt;I&gt;Quercusliaotungensis&lt;/I&gt;が多くみられた。&lt;I&gt;P. tabulaeformis&lt;/I&gt;の稚樹はギャップに多く出現し, &lt;I&gt;Q.liaotungensis&lt;/I&gt;はギャップと林冠下の両方に出現した。このような&lt;I&gt;P.tabulaeformis&lt;/I&gt;と&lt;I&gt;Q.liaotungensis&lt;/I&gt;の更新様式の違いが今後の林分動態に影響を与えるものと考えられた。
  • 彦坂 洋信, 小林 達明, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 25(3) 221-229 2000年2月28日  
    神奈川県の丹沢山地において, 周辺植生と登山道荒廃の程度等との関係について調査を行った。その結果, 傾斜度や登山道周辺植生の低木・草本層の違い, あるいは土性の違いによって, 侵食量・侵食幅・侵食深といった登山道荒廃の程度等に明らかな差異が認められた。特に, 草本層の植被率が低い所やイネ科の草地内など, 周辺植生の表土中に太い根が少なく, 植被率や植生高が低く人が脇にそれやすい地点では, 登山道幅の拡大が顕著にみられた。また, 登山道内の土性が, 透水性が悪く侵食されやすい壌土の地点では, 侵食深が拡大する傾向がみられた。逆に, ササ類が密に生育し, 表土中の太い根の量が多い地点では, 侵食幅の拡大はほとんどみられず, また透水性の良い砂壌土の地点では比較的侵食深の拡大は抑えられていた。
  • 高橋 輝昌, 小出 恭子, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 25(3) 196-207 2000年2月28日  
    樹林の形態の違いが緑地土壌の養分特性に及ぼす影響を明らかにするために, 千葉県松戸市内の総合公園内の常緑広葉樹を主とする自然林, 高木を植栽した造成緑地 (高木植栽地), 低木を密植した造成緑地 (低木密植地) において, 土壌深30cmまでの土壌の化学的性質, 有機物の分解・無機化特性を調査し, 比較した。土壌に供給される有機物量の差を反映して, 自然林の土壌中の炭素含有率, 窒素含有率, 陽イオン交換容量 (CEC) は造成緑地よりも高かった。低木密植地の交換性カリウム含有量は, 自然林や高木植栽地よりも高い傾向にあり, 植物体から溶脱されるカリウム量の差の影響を受けていると推察された。交換性塩基を生成しやすい未風化な土壌で造成されている造成緑地では, 交換性塩基含有量が自然林より多かった。高木植栽地では交換性塩基が表層土壌から下層土壌に溶脱する傾向にあり, CECを高める必要性が示唆された。造成緑地では自然林に比べて塩基飽和度が高く, pHも高かった。土壌呼吸速度や窒素無機化速度は土壌の有機物含有率を反映しておらず, 有機物の質や土壌pHの影響を受けていると考えられる。造成緑地の表層土壌のセルロース分解率は自然林と大差なかった。

MISC

 119

書籍等出版物

 25

講演・口頭発表等

 116

担当経験のある科目(授業)

 18

Works(作品等)

 5

共同研究・競争的資金等の研究課題

 28

メディア報道

 4