大塚 萌
千葉大学大学院人文公共学府研究プロジェクト報告書 = Chiba University Graduate School of Humanities and Study on Public Affairs Research Project Reports (352) 12-26 2020年2月28日
[はじめに]昨今、ポップカルチャーを入り口にした文化振興に関するニュースを目にする機会が多くなってきた。ゲーム作品やマンガ作品の舞台化、様々な企業とのコラボレーションをはじめとして、注目すべきはゲーム等のファンの一部が学術的な分野、ハイカルチャーにも興味を持ち、そのファンによる需要に答える形で絶版本の復刊や講演会の開催など、文化復興に結び付くという活動である。本稿では、18世紀から19世紀にかけてウィーン宮廷で活躍しながらも、長らくその存在と作品が忘れ去られ、また同時代の作曲家モーツァルトを毒殺した疑惑をかけられた人物として創作物の中で扱われてきた、アントニオ・サリエリに関する文化振興をもとに、ポップカルチャーを発端とする文化振興について、その動向を概観する。