中村 伸枝, 出野 慶子, 谷 洋江, 金丸 友, 高橋 弥生, 内海 加奈子, 仲井 あや, 佐藤 奈保
日本糖尿病教育・看護学会誌 18(2) 187-194 2014年9月 査読有り
インスリンポンプ療法(continuous subcutaneous insulin infusion:以下CSIIとする)を行う小児は増加してきているものの,小児やその家族がどのように療養行動を行い生活しているのかを示した研究は少ない.CSIIを行う小児や家族の療養生活や,療養上およびCSIIを続けるうえでの課題を小児と家族の視点から明らかにすることを目的に,海外の文献検討を行った.Academic Search Premier CINAHL,MEDLINE,PsycINFOを用いて,「insulin pumps」および「continuous subcutaneous insulin infusion」に対して,それぞれ「children」「addescent」「youth」の3語を掛け合わせ,検索期間を2003年1月から2012年12月まで,学術論文,全文に絞って検討し,31論文を分析した.その結果,インスリンポンプ療法への移行において親はストレスを体験していたが学童期以降の小児は純粋に再教育に興味を示しポンプの機器操作に精通していた.インスリンポンプ療法の利点として【子どもも親もエンバワーされる】ことが最も多く,インスリン注射と比較してQuality of lifeが改善していた.課題として【ポンプを装着したままの生活に困難を感じる】,【学校生活での問題が生じる】が多く挙げられていた.学童・思春期の療養行動上の課題では食事のボーラスミスが多く,インスリンポンプ療法の中止は,10歳以上,女子,導入時のHbA1cが高い者で多く,ボーラスミスを防ぐための親子の責任分担や,親の関わりの重要性が示されていた.本研究の結果を基に,日本におけるCSIIを行う小児と家族の療養生活の現状を明らかにするとともに、支援を充実させていきたい.(著者抄録)