西田顕郎, 樋口篤志, 近藤昭彦, 松田咲子
水文・水資源学会誌 13(4) 304-312 2000年7月 査読有り
衛星リモートセンシングの,地表面過程への応用方法として,分光植生指標(VI)と放射地表面温度(Ts)を組み合わせて用いるVI-Ts法がある.ここでは,様々なVI-Ts法を概括し,その一部を草地での地上観測によって検討した.VI-Ts法には,(1)直線分布の傾きによる方法,(2)三角領域の方法,(3)VITTコンセプト,(4)分布に着目して現地観測を利用する方法,そして(5)土地被覆分類に応用する方法,という5種類の方法がある.(1)は土壌水分やコンダクタンス等の有用な物理量が得られるが,解像度が落ちる.(2)(3)は解像度を落とさずに面的なフラックスが得られるが,解析対象域に様々な地表面が混在しなければならない.(4)は,地表面でのフラックス観測が必要だが,状況に応じて観測・解析手法を検討できる.(5)はフラックス分布を直接推定できない.地上観測では,上記(1)と(4)を裏付ける結果として,土壌の乾燥化に伴ってVI-Ts図の直線分布の傾きが急になり,また,散布図が面的に広がって行く傾向を見出した.