岡田 忍, 西尾 淳子, 木幡 暁子, 福元 恵, 丹下 真希, 鈴木 明子, 吉沢 花子
千葉大学看護学部紀要 24 31-36 2002年
ネブライザーの使用液として,人工的にAcinetobacterで汚染した滅菌蒸留水,滅菌生理食塩水,滅菌常用水およびStaphylococcus epidermidisで汚染した滅菌生理食塩水を,37℃,室温,4℃(Acinetobacterのみ)で3日間保存し,菌の生育状況を保存前と比較したところ,蒸留水,生理食塩水では,いずれの保存条件でもほとんど菌の増殖は認められなかったが,常用水では室温,37℃の2条件で菌の増殖がみられた.薬液槽の汚染菌量とエアロゾル中の検出菌数の関係については,薬液槽の汚染菌液の濃度が2×10^2CFU/mlの場合には,エアロゾル中にほとんど菌は検出されなかったが,2×10^3CFU/ml以上では,エアロゾル中の1分あたりの検出コロニー数は,薬液槽の菌量と相関して増加した.乾燥による菌の不活化についてはAcinetobacter,Staphylococcus epidermids, Pseudomonas aeruginosaとも5時間の乾燥で99〜100%の菌が不活化された.以上より,ネブライザーの使用液には滅菌蒸留水または滅菌生理食塩水を用い,その保存は冷蔵庫で行い,汚染は2×10^2CFU/ml以下に抑えるべきであると考えられた.また,ネブライザー本体の管理における乾燥の重要性が示された.