梁取 美智雄, 架谷 昌信, 松田 仁樹, 小倉 裕直, 平松 正義, 井上 俊夫
化学工学論文集 17(6) 1067-1073 1991年11月 査読有り
蓄熱槽内の蓄熱材に, ヒーター (発熱体) によって蓄熱し, この熱を取出して利用するには熱交換器が必要である.本報では, 同一伝熱面を利用して蓄熱操作と放熱操作が行え, かつ同一のヒーターによって熱交換器内の伝熱体部に設けた熱媒流路に流入する熱媒体の追焚きも行える, 全く新しい概念の熱媒流路/発熱体一体型蓄熱槽用熱交換器を提案した.そして, その単体実験装置を作って出湯実験, 伝熱実験を行った.その結果熱交換器を構成する伝熱体の熱容量は小さく, 熱媒流路内の熱媒体は, 伝熱体を包囲する円筒外面から流入する熱と, 伝熱体内のヒーターで発生する熱の両方を受けて効果的に加熱され, 前記ヒーターによって追焚きができること, および90度の折れ曲がり部, 水平部, 180度の折れ曲がり部を有する本熱交換器の熱媒流路内に水が流れる時の熱伝達率を無次元化したヌッセルト数Numは, レイノルズ数Reが300から5000の範囲においてレイノルズ数の関数で表せ, 従来の強制対流伝熱の式より求められる値より1.6~2倍大きくなることを明らかにした.