石田 祥代, 松田 弥花, 本所 恵, 渡邊 あや, 是永 かな子
北ヨーロッパ研究 = Japanese journal of Northern European studies / 北ヨーロッパ学会・学会誌編集委員会 編 17 37-51 2021年 査読有り
本稿では、文献調査と聞き取り調査を通して、スウェーデンの義務教育からの移行支援およびインクルーシブ教育の構造を明らかにする。スウェーデンでは、義務教育後の進路の選択肢は、後期中等教育機関としての高校・知的障害高等部・聴覚障害高等部・肢体不自由高等部があり、セーフティネットとしての若年者支援プログラムとリカレント教育としての社会教育機関も受け皿として存在する。移行支援では、キャリアカウンセラーと特別教育家が連携し、最適な学習環境の視点からの進路選択、進学希望先への見学促進、教育的支援の情報伝達を行っている。後期中等教育におけるインクルーシブ教育システムを支えるのは子ども健康チーム、対応プログラム、高校の入門プログラムであった。特徴としては、途切れのない障害児教育システム、前期・後期中等教育間の接続、移民の子どもへの教育的支援、学習を保障する生涯教育システムが挙げられた。