北島 善夫, 細川 かおり, 真鍋 健, 石田 祥代, 宮寺 千恵
千葉大学教育学部研究紀要 66(2) 121-126 2018年3月
[要約] 特別支援教育が学校教育法に位置づけられ,施行された平成19(2007)年以降,各学校では幼児児童生徒の実態把握を行い支援や配慮を検討するとともに,校内委員会の設置,特別支援教育コーディネーターの配属,個別の教育支援計画および指導計画の作成と活用,教員の専門性の向上等の体制整備を行ってきた。本稿では,このような特別支援教育の歴史的な変遷を背景にして,知的障害,肢体不自由,病弱・虚弱の障害別から教育課程ならびに指導法に関する現代的課題について論じる。各学校ともに,在席する児童生徒の増加に伴い,様々な障害の児童生徒が共に学ぶ場となることで個人の教育的ニーズが多様になっていることに対する課題,学習に対する評価に関する課題,ICTの活用に関する課題,共同および交流学習に関する課題などが明らかになった。これらの課題に関するポイントを整理するとともに,今後の議論の方向性について考察した。