研究者業績

植田 憲

ウエダ アキラ  (Akira Ueda)

基本情報

所属
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート 教授
学位
博士(学術)(千葉大学)
修士(学術)(千葉大学)

J-GLOBAL ID
200901078554451516
researchmap会員ID
5000043186

外部リンク

主要な論文

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  • 孟 晗, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究作品集 28(1) 1_40-1_45 2023年7月31日  
    ドキュメンタリー映画「もうひとつの明日へ」は長野県上田市の市民団体蚕都くらぶ・ま〜ゆはじめ、千葉大学デザイン文化計画研究室の学生、映像制作の専門家、上田市の行政など多様な主体が協働的に推進した「コミュニティドキュメンタリー」のデザイン実践の成果品である。本稿は、当作品の企画、撮影、編集、宣伝、集金、上映の各段階において得られた知見を報告するとともに、上映会において収集した質問紙調査の結果の分析を通じて、本作品制作における実践を評価し、内発的生活創生に寄与するコミュニティドキュメンタリー映画制作の指針を導出することを目的とする。<br>
  • 呉 竹雅, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(4) 9-18 2023年3月31日  査読有り最終著者
    本研究は,明治時代における社会通念としての美術の形成過程を明らかにするために,計量テキスト分析を用い,新聞にみられる「美術」に関連した社会的出来事が,明治期の歴史的かつ社会的文脈でいかに当時の人びとに共有されたかについてそのプロセスを検証した。その結果,官製用語として誕生した「美術」に対する社会的認識の形成については,第一段階の明治10 年代までは実態,つまりものに重点を置き,第二段階の明治20~30年代においては価値観ないし価値体系を中心に,また第三段階の明治30 年代以降は概念,いわばジャンルを理解するといったプロセスで定着してきた。それは,エリート層を中心とする上流社会の人びとが概念からジャンルに,さらに価値観ないし価値体系という順序で「美術」を受け入れたのに対して,一般民衆はほぼ相反するプロセスに基づき美術を理解してきたといえる。また,明治政府が「美術」という概念を導入し,既存の絵画が「日本画」に統合されたことによって,日常生活における絵画の機能性・意味性は漸次に低下し,鑑賞対象となっていった。
  • Han MENG, Tie JI, Hironobu AOKI, Akira UEDA
    IASDR 2021 2021年12月  査読有り最終著者
  • Zhuya WU, Hironobu AOKI, Akira UEDA
    IASDR 2021 2021年12月  査読有り最終著者
  • 孟晗, 植田憲
    デザイン学研究 67(2) 11-20 2020年9月  査読有り最終著者
  • Meng Han, Ueda Akira
    International Journal of Community Currency Research 24 54-63 2020年9月  査読有り最終著者
  • Pandu PURWANDARU, Dudy WIYANCOKO, Akira UEDA
    BULLETIN OF JAPANESE SOCIETY FOR THE SCIENCE OF DESIGN 63(4) 59-68 2016年11月  査読有り最終著者
  • Akira UEDA
    BULLETIN OF JAPANESE SOCIETY FOR THE SCIENCE OF DESIGN 57(2) 101-110 2010年7月  査読有り筆頭著者
  • UEDA Akira, OOGA Satoru
    デザイン学研究 57(1) 65-74 2010年5月  査読有り筆頭著者
    In this paper, the goal will be to explore the Tokoname Region of Aichi Prefecture as one of the representative ceramic producing regions in Japan, in particular, examining its special characteristics and grappling with how the cultural concept of mottainai might appear as part of the identity of the region in question. This research is based on documentary literature, a field survey. As a result of Investigation, the author can summarize below the special cultural characteristics of mottainai as seen in the ceramic-producing region of the Tokoname in Aichi Prefecture. 1) The lifestyle principle of mottainai in the Tokoname Region is shared by residents through common modes of behavior and lifestyle, and it has transmitted and encouraged the thorough and optimal use of scrap and discarded pottery. 2) The special characteristics of symbiosis with the environment in the Tokoname Region are passed on as an expression of compassion toward people who live in harmony with their environment, people who evaluate the special characteristics of materials at hand and focus their knowledge subjectively. 3) Today, there are indications of actions designed to build regional identity based on an inheritance of a cultural lifestyle of traditional symbiosis with the environment while local people use tangible and intangible historical assets in a variety of ways.
  • UEDA Akira, MIYAZAKI Kiyoshi
    デザイン学研究 53(3) 41-48 2006年9月  査読有り筆頭著者
    In this paper, the authors discuss the transition in people's world views caused by mechanization, as evidenced by the case of the production process of the rice cake. This research is based on documentary literature, a field survey, and other sources. Originally, the rice cake was made for special events, and people recognized it as one of the most important offerings to the gods. The traditional process of rice cake making required much time and effort and the use of many tools. In the 1950's, these tools were largely replaced by multi-functional machines. In the field survey, the process of rice cake making was observed: after choosing the best location, people made the traditional rice cake by relying on their senses and experience to use fire, steam, and other resources to careful and deliberate effect, then the finished cake was offered to the gods. As a result of our investigation, the following assertions can be made: (1) In the traditional process of rice cake making, people conceive of the medium of the rice cake as holy, and the process informs them about the stages of life. (2) During this process, the people are engaged in a direct sensuous experience, using their senses to learn more about the nature of their environment. This kind of experience affords people world views that spring from living interactively with the environment and within communities. (3) With the introduction of machines, the preparation process ceased to require direct experience. Concomitantly, the meaning and ceremony which the preparation of rice cakes had assumed socially and culturally gradually dissipated, and, subsequently, the people's world views shifted from a deeply ingrained and holistic foundation to a more superficial one.
  • UEDA Akira, MIYAZAKI Kiyoshi
    デザイン学研究 53(3) 59-66 2006年9月  査読有り筆頭著者
    Nowadays, in Japan, circumstances of "mono-dukuri (making objects)" are in a turning point, because of diversifying of life, advancing and enlarging the scale of "mono-dukuri (making objects)" itself, transfer of production base to foreign countries and an economic depression, etc.. Especially, in recent years, "disinterest in the technology" "disinterest in the science" of the younger generation are tend to grow, it is evermore necessary to engage them in the science & technology with nurture their inquisitiveness towards natures and expand their logical thinking and creative abilities. At the same time, the fact above-mentioned brings the necessity to consider design education fundamentally. In this paper, the authors discuss the significance of design in science education, through practice of "Design workshops -Mono-dukuri (Making objects) workshops" for elementary schoolchildren and junior high school students by the staff of the faculty of engineering of Chiba University. Through an investigation and a questionnaire survey, following assertion can be made: It was possible to cultivate elementary schoolchildren and junior high school students following important points: (1) there is a science in the background of "mono-dukuri (making objects)," (2) there is the pleasure with the creation can be learnt by accomplishing "mono-dukuri (making objects)," (3) there are various solutions in "mono-dukuri (making objects)."
  • 翁群儀, 植田憲, 宮崎清
    デザイン学研究 52(5) 35-44 2006年1月  査読有り
    本稿は、台湾漆器「蓬莱塗」の意匠特質を調査・研究したものである。「蓬莱塗」は、日本領有時代の台湾において、日本人の漆器制作者であった山中公が、台湾で体験した異国情緒をモチーフとして日本人向けに制作を始めたことを起源とする漆器である。本研究では、台湾漆器の発展史とともに、「蓬莱塗」の位置づけ、ならびに、制作工程、モチーフの調査・分析などを通して、「蓬莱塗」の特徴を明らかにした。「蓬莱塗」の特徴は以下の通りである。(1)地域の実風景をモチーフとした地域性の溢れる絵柄が施されている。(2)原色の多用によって、台湾の活力が表現されている。(3)力強い彫刻によって、台湾の素朴な民風が表現されている。「蓬莱塗」は、今後においても、台湾社会を映し出す漆器デザインとして発展していくことが期待される。また、漆器のみならず、伝統的工芸品産業の発展に向けてデザインにおけるアイデンティティを確立していくことは、今後、台湾のさまざまな分野で検討されるべき重要課題である。
  • 植田 憲, 朴 燦一, 宮崎 清
    デザイン学研究 48(3) 77-86 2001年  査読有り筆頭著者
    本稿では、北ベトナム・ニンビン省において進められている「ベトナム伝統工芸村」設立計画を取りあげた。フィールド調査、資料解析に基づき、内発的発展論の観点から当該工芸村の設立に向けた指針を抽出した。北ベトナムにおける伝統的工芸の現状と課題を解析した結果、以下の指針が得られた。(1)北ベトナムにおいて振興が期待される12の伝統的工芸品目のうち、ニンビン省の工芸村においては、省内で継承されている4品目の振興を図る。(2)工芸村は、伝統的工芸技術の伝承・発掘・創新の拠点であるとともに、伝統的工芸を核とした地域間および異業種間の連携・交流の拠点としての機能を担う。(3)工芸村の設立・運営においてはエコロジカルな理念を堅持し、かつ、各種地域資源の全体活用を実践する。伝統的工芸品が村を単位として生産されているベトナムにおいては、4品目を一ヶ所に集めて展開される工芸村は、国内における地域連携のモデルでもある。また、その工芸村は、広くアジア諸地域とも連携し、その運営・展開が図られる必要がある。

MISC

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  • 陳 雨璇, 夏 彬, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 436-436 2017年  最終著者
    「梳箆」とは、中国の古代社会における8の髪に関する生活 用品の「櫛」に相当するものである。 本研究は、梳箆の歴史を踏まえつつ、その制作、使用および意 匠的特質を再認識し、当該地域の日常および非日常生活における 梳箆の役割を把握するとともに、現代において梳箆の文化を振興 するためのあり方を導出することを目的としたものである。 本研究は今日消失しつつある常州梳箆文化を分析すると ともに今後の方策を提案した。今後にあっては、常州梳箆の諸特 質に基づき、単に機能的の商品としてではなく、文化として伝承 することがきわめて重要である。日常および非日常生活において 梳箆に内包された思いを共に巡らせ伝え合いながら、梳箆の使用 や制作等の共同体験が、同じ地域人としての意識や結び付きを呼 び覚まし、梳箆は文化としての機能・役割を再び取り戻すことに なるといえよう。
  • 高木 友貴, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 440-440 2017年  最終著者
    千葉県南房総地域には、仏像や寺社彫刻など多くの木彫の歴史的造形物が存在する。しかし、現代では寺社の管理者不在や檀家の減少などにより、これらの維持管理が難しい状況にある。このような状況の中で、地域の歴史的造形物は劣化、潜在化の一途を辿っており、地域の人びとがその造形に触れる機会が減っている。そこで、それらの造形物を顕在化させるための手法として、対象の3Dデータを取得し、そのデータを利用して製品を制作した。制作した製品を展示し、アンケートにより、その有用性の評価を行った。結果として、歴史的造形物を顕在化させる方法として、3D技術を用いた製品制作を行い、人びとに使ってもらうことは有効だと考えられる。そしてその評価を元に、数点の製品を提案し、また地域の工芸家とも協力しての製品制作も行った。制作方法として鋳造や、レジンキャストを利用した方法を用いた。これにより、工芸家に限らず地域の人が、地域のものを活用して、作り、使うという内発的発展にもつながると考えられる。
  • 郭 庚熙, 青木 宏展, 高木 友貴, 宮田 佳美, 岸本 大輝, 松崎 さおり, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 444-444 2017年  最終著者
    伝統的工芸品とは、美術品のように展示、鑑賞するものではなく、多くの人の目や手に触れることでこそ、価値が向上するものであるといえよう。しかし、今日では、多くの伝統的工芸品が、生活様式の変化により人の目につかない場所に収納されている場合や、伝統的工芸品が持つ魅力や価値を使い手が認知しないまま衰退を余儀なくされている状況が多く存在する。作り手側においても、需要の減少、職人の減少などの問題を抱えている。本研究で取り上げた千葉県指定伝統的工芸品である「万祝」も例外ではなく、人びとの認知度不足によりその歴史的、文化的価値が潜在化し、伝統的技術、技法が消失しつつある。そういった状況のなか、現代において、作り手と使い手がともに万祝を貴重な地域資源として再確認・再認識することが求められている。本研究では、「万祝」の型紙の図柄をベクター形式でデータ化することでデジタル資料として保存・記録するとともに、万祝の共有化に資するベクターデータの活用方法を模索し、技術的に職人を支援することや使い手がより身近に万祝に触れられるための製品デザインを行うことを目的とする。
  • LIRAANINDITAUTAMI, WIYANCOKO DUDY, UEDA AKIRA
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 12p 2016年10月  
  • PURWANDARU PANDU, WIYANCOKO DUDY, UEDA AKIRA
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 10p 2016年10月  
  • PURWANDARU PANDU, WIYANCOKO DUDY, UEDA AKIRA
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 997-1006 2016年10月  
  • LIRAANINDITAUTAMI, WIYANCOKO DUDY, UEDA AKIRA
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 1037-1048 2016年10月  
  • 鋤田 光彦, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 8p 2016年10月  査読有り最終著者
  • 植田 憲, 松崎 さおり, 青木 宏展
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 10p 2016年10月  査読有り筆頭著者最終著者
  • 金 主榮, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 6p 2016年10月  査読有り最終著者
  • 張 夏, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 8p 2016年10月  査読有り最終著者
  • 夏 彬, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 12p 2016年10月  査読有り最終著者
  • 青木 宏展, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 10p 2016年10月  査読有り最終著者
  • 阮 将軍, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 10 12p 2016年10月  査読有り最終著者
  • 孟 晗, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 971-980 2016年10月  査読有り最終著者
  • 植田 憲, 松崎 さおり, 青木 宏展
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 981-990 2016年10月  査読有り筆頭著者最終著者
  • 金 主榮, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 991-996 2016年10月  査読有り最終著者
  • 張 夏, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 1007-1014 2016年10月  査読有り最終著者
  • 夏 彬, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 1015-1026 2016年10月  査読有り最終著者
  • 青木 宏展, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 1027-1036 2016年10月  査読有り最終著者
  • 阮 将軍, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 1049-1060 2016年10月  査読有り最終著者
  • 鋤田 光彦, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 10 963-970 2016年10月  査読有り最終著者
    今日、日本の地方圏においては、急激な過疎・高齢化が進展しており、農業人口の減少に伴う耕作放棄地の増加が大きな社会的課題のひとつとなっている。千葉県山武市のほぼ中央部に位置するJR成東駅の北側には 50年程にも及んで放置されてきた広大な休耕地がある。筆者らは、2015(平成27)年4月より、当該地域の有志らとともにその土地を「なるきたむら」と命名し、稲作や草刈りなどを中心に行いながら、発見した資源の活用を考察し、それの実践を始めた。さらに、その実践のなかで新たな資源を発見し、資源への認識が深まり、関わる人が増えていった。人、資源を動かすことで活動の渦をつくり出していった。本研究は、それらの実践活動を記録するとともに、その過程で得られた知見に基づき、休耕地の内発的な活用のあり方を導出した。その結果、(1)地域が有する知識・技術・資源が集積する場所と位置づけ、それらが常に活用させる状況を創出する。(2)子どもの野外での遊びの場・学びの場として利活用できるよう整備を行う。(3)誰しもが散歩したくなる環境づくりを行う。(4)日本の本来の農ある暮らしが広がる場にする。
  • 孟 晗, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 271-271 2016年  最終著者
    今日、日本の地方圏の多くにおいて、急速な過疎化・高齢化をはじめ、里山や耕作地等の放棄などの多様な問題が顕在化している。こうした人口の減少・転出と地域資源の放棄といった悪循環は、これまでなされてきた「上からの」「外発的」な地域振興策では断ち切ることは困難であり、代わって、地域固有の資源やその使われ方などを地域の「宝」と位置付け、生活者が自らの手で地域の風土に応じた「内発的地方創生」を展開することが求められている。本研究は、その一手段としての「地域通貨」の可能性を検討したものである。地域通貨とは、人びとが自主的に設計・発行・管理し、特定地域・コミュニティ内でのみ流通する利子が付かない「お金」であり、また、人びとをつなぎ合わせ、共通の価値や関心を表現・伝達・共有するための媒体でもある。本研究は、地域通貨を「地域資源の循環ツール」と捉え、アンケート調査に基づき、これまで実践されてきた地域通貨の運営実態および地域資源の活用状況を把握した上で、代表的な事例を取り上げ、それらに対するさらなる調査・考察を通して、「内発的地方創生」に寄与する地域通貨のあり方の指針を導出することを目的としたものである。
  • 王 健, 久保 光徳, 植田 憲, 田内 隆利
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 85-85 2016年  
    &nbsp; 本研究は武志伊八と後藤義光の彫刻作品の形態を造形工学の視点から説明し、伊八を代表する「波の造形」と義光を代表する「龍の造形」の形態特徴を解析し、彫刻師の基本的な造形傾向を解読した。まずは彫刻の表面における曲率変化の分布状況により、特徴曲線を作成し、特徴形態を抽出した。そして彫刻の形態から伊八の波の形態に潜む「仮想的な円」と義光の龍の形態に潜む「仮想的な球体」を測出し、波に対する「2.5次元の平面積層の造形手法」と龍に対する「3次元の量塊の中心を巡る造形手法」を提出した。次は木彫の曲面を構成するポリゴン群の法線ベクトルを座標値によって単位球体に写像し、k-means法によって法線ベクトルを分解し、伊八と義光の形態について、法線ベクトルの方向の集中状況と分布状況の特徴と差異を解析し、平面積層と量塊中心の造形手法を検証した。最後には彫刻美術の視点から伊八と義光の造形傾向を影響した可能性がある奈良時代から藤原時代への日本彫刻の変容について検討した。
  • 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 166-166 2016年  最終著者
    本研究は、潜在化の進む千葉県の歴史的造形物の3Dデータを優良な状態で取得・保存するための技術面での重要な要素を抽出し、地域造形の顕在化・共有化に資する3Dスキャンデータの利活用方法について考察を行い、当該地域でのデザイン支援の活動モデルを導出することを目的としたものである。結果、VIUScan使用時での優良データ取得の重要な要素として以下を抽出した。(a)マーカを貼付けた板の上に像を載せ、その上にシール台からはがさない状態のマーカを載せて撮影する、(b)データの取得領域拡張には透明梱包材が有効である、(c)テクスチャ取得にはレーザー照射量、シャッター速度調整が重要であり、取得対象に合わせての手動調整が重要である。また、歴史的造形物の3Dスキャンデータの利活用方法の可能性として以下が導出された。(a)彫刻復元と後代へ伝える造形資料、(b)仏像のミニチュアと地産材を利用したお守り、(c)彫金による製品展開、(d)地域資源としての歴史的造形物の顕在化と共有化に資する展示。最後に、本研究を通して得た知見から、デザイン支援のための歴史的地域造形物の3Dデータを用いた活動モデルを導出した。 <br>
  • ウタミ リラアニンディタ, ウィヤンチョコ デゥディ, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 255-255 2016年  最終著者
    テンガナン村のコミュニティにて生産され、継承されるグリンシンの文化的特質、とりわけ、その制作過程、使用法、そして形態について、現地での調査に基づき再確認を行った。その結果以下の知見を得た。(1)織物は神に近づく媒体とされ、供物や儀式といった宗教的行事のために制作、使用されており、当該地域の人びとは、グリンシンを使用した儀式的活動を通して、神との関係性を認識し、その実現を目指している。(2)織物制作の過程において、人びとは日常の社会的活動と母娘のつながりを通して織物の文化を伝え、人と人とが相互に作用する関係性を実現させている。しかし、(3)今日においては多くの人びとが拡大する貨幣経済の中で、ものづくりを通して形成されてきた村落のアイデンティティおよびを失いかけている。そのため、(4)織物制作と象徴的文様において表現された精神的価値から、伝統のアイデンティティと共同体の目的を再発見する必要がある。
  • プルワンダル パンドウ, ウィヤンチョコ ヅヂ, スリワルノ アンダル バグス, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 253-253 2016年  最終著者
    インドネシアの中部ジャワに位置するクラテンは、古くから稲作が盛んに行われてきた地域である。年間の米の生産量は350.395トンに達する。しかしながら、今日、稲作によって産出される稲藁は廃棄物とみなされ、それらの多くが圃場で焼却処分されているのが現状である(62%)。一方、当該地域の中小企業の多くが木材を扱っていることから、当該地域には、多様な木材加工の技術が存在する。本研究は、こうした木材加工の専門知識を稲藁の利活用に適応することを目指した基礎的研究である。藁の積層材は構造材としては使用できないものの、文房具などの日常生活用品の材料としての使用は可能であり、当該地域の自然資源ならびに人的資源の有効活用に基づく経済活動に寄与する可能性がある。 <br>
  • 王 寧, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 252-252 2016年  最終著者
    泥咕咕は楊玘屯の内部だけではなく、楊玘屯と近隣の村との間に、文化交流や物流を増進させる役割を備えている。泥咕咕に関わる道具作りや制作過程は、近隣集落のさまざまな材を調達しながら行われた。また、廟会での残りものの販売は主に物々交換で行われてきたが、その中で泥咕咕は貴重な地域通貨として機能している。泥咕咕の道具や、資源の調達を含む一連の制作過程の中には一物全体活用の優れた知恵が多様にみられ、今日に至るまで継承されている。 制作は家族単位であり、口伝により親から子の世代へと受け継がれてきたが、この継承方法が、一物全体活用に不可欠な材に対する観察と体験の蓄積を促している。「楊玘屯の水を少しさえ飲めば、泥咕咕ができる。楊玘屯のご飯を一回さえ食えば、泥咕咕ができる。」と当地に歌えられる民謡のように、代々、楊玘屯で暮らす村民は、現代においても幼少の頃から知らず知らずのうちに気候風土で見聞きしたことの影響を受けて、自由にごく当たり前のように泥咕咕を作っている。 総じて、泥咕咕が長らく当該地域に存続してきた理由は、当地に経済的収入をもたらすものであるよりも、まず集落の「顔」と自由な精神の現れとして集落や近隣地域を賑わす、発展に向けた掛け替えのない動力として親しまれてきたからである。
  • 鐘 瑋, 植田 憲, 張 夏
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 264-264 2016年  
    地域の手工芸は、素材、加工、制作、使用方法などの相違により、地域文化の特徴を表現し伝達する重要な媒体である。本稿は、中国四川省汶川地域における少数民族・羌族の手工芸「羌繍」を取り上げたものである。地域性を強調しつつ、伝統的な羌族の手工芸の意味の変遷と表現を分析することにより、現代の民衆の生活様式に立脚し、羌繍をはじめとした地域手工芸を、今日の生活のなかでどのように継承するべきかを論じることを目的とした。なお、情報収集は、主として現地調査によって行った。
  • 宮田 佳美, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 266-266 2016年  最終著者
    千葉市若葉区いずみ地区においては、千葉市内でも自然に恵まれた土地であり、この地域の特色として、農林業の中に生活が成り立ってきたものと考えられる。また、当該地域では千葉市が主体となり、「いずみグリーンビレッジ構想」計画の下、様々な行政の取り組みが行われている。しかしながら、少子高齢化の影響により、農林業の次世代の担い手が減少してきており、農林業を取り巻く環境は厳しい状況にある。本研究ではこのような状況を打開するため、内発的発展論に基づき、今一度地域の生活を見直し、地域の中にある「宝」を見つけ地域活性化に繋げていくことを目的とする。
  • 阮 将軍, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 63 259-259 2016年  最終著者
    本研究は、今日消失の危機にある中国湖南省隆回県における花瑶族の挑花服飾文化を対象としたものである。挑花服飾の制作・使用・廃棄の各様態にみられる資源循環型生活の知恵を再認識することを目的とした。主として現地における聞き取り調査に基づき考察を行った。その結果、挑花服飾文化は、花瑶族の人びとが周囲の自然と寄り添うなかで、自然資源を徹底的に観察し利活用しつつ、主体的に構築してきたものであることを明らかとした。今後にあっては、その確かな理解に基づき、当該地域の生活文化を振興させていくことが求められている。
  • 戴 薪辰, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 849-860 2015年5月  最終著者
  • 金 主榮, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 907-918 2015年5月  査読有り最終著者
  • 青木 宏展, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 935-944 2015年5月  査読有り最終著者
  • 郭 暁蘇, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 945-954 2015年5月  査読有り最終著者
  • 黄 曼寧, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 965-972 2015年5月  査読有り最終著者
  • 趙 理, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 973-980 2015年5月  査読有り最終著者
  • 孟 晗, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 1007-1014 2015年5月  査読有り最終著者
  • 王 淑宜, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 9 1015-1024 2015年5月  査読有り最終著者
  • 金 主榮, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 62 233-233 2015年  最終著者
    地方創生が訴えられている現代の日本では、地域の資源を活かした内発的地域づくりが注目されている。しかし、その導入は容易ではなく、地域内で方向性を共有するための「グランドデザイン」を策定し、取り組む手だてを見出す必要がある。<br> 本研究は、山武市の成東駅周辺地域をフィールドとして、地域振興グランドデザインを導出し、それらの共有化・実現化のための方法論を見出し、地域住民をはじめ山武市役所に提案することを目的としたものである。<br> 対象地域における内発的な地域振興グランドデザインの策定のため、対象地域を三地区にゾーニングした上で、ワークショップ形式による現地調査を行った。その結果、成東城址周辺71、成東駅南側73、成東駅北側78の潜在的地域資源を再発見・再認識した。それらの宝に基づいた地域グランドデザインとして、①成東城址周辺地域:歴史と文化に基づいた人作りの町、②成東駅南側地域:海と山と田んぼの駅「成東」、③成東駅北側地域:世界に見せる日本農村という地域づくりの方向性が導出された。それらを当該地域の住民から肯定的な意見が得られ、その有効性・実現可能性を検証することができた。<br>
  • 路 鵬, 戴 薪辰, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 62 236-236 2015年  最終著者
    &nbsp;&nbsp; 大連市は中国の遼寧省の南部に位置し、中国の最初の対外観光都市の一つとして、いち早く「都市観光」が展開された地域である。近年、農民の生活水準の向上や都市と農村交流の手段として、「郷村観光」と称される新たな観光が積極的に推進されている。<br>&nbsp;&nbsp;&nbsp; しかしながら、今日、中国において展開されている経済発展政策と「都市観光」の影響で、大連市近郊農村地域においても大規模な観光リゾートを建設するなどの「都市観光」と同様の「郷村観光」の開発が行われている。その結果、農村地域の自然破壊や地域性の喪失など、地域の魅力が失われる場合が少なくなく、「郷村観光」の現状の把握と今後のあり方の検討が求められている。<br>&nbsp;&nbsp; 本研究は、「内発的発展」の視点に立脚し、大連市近郊農村地域における「郷村観光」の実態調査を通し、その開発と地域生活の関係性を明確にし、それに基づき地域の類型化を行い、類型毎に今後の方向性を導出しながら、中国・大連市の「内発的な郷村観光」の展開の方向性を導出することを目的としたものである。
  • 土屋 篤生, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 62 237-237 2015年  最終著者
    本研究は、「地域コミュニティ」の持つ役割を明らかにすることを通して、内発的地域づくりにおける指針を導出することを目的とした。文献調査を中心とした考察により、次の結論を得た。(1)コミュニティの本体は、生活者の間で共有されている「地域での生活のあるべき姿」である。それらはしばしば、結界や記号、ルール、習俗などになって、生活の中に具体的に現れる。(2)生活者自身の手による地域資源の利活用を通して、自らの生活文化を更新していくなかで、地域アイデンティティは形成される。(3)地域コミュニティを再形成するための第一歩として、今日に残る「あるべき姿」を再確認することを通して、共有され受け継がれてきた「地域のあるべき姿」を明らかにすること、および、今日における地域資源を明らかにすることを通して、今日の地域の姿を明らかにすることが必要である。これらは、生活者自身が、自らの生活環境をつくり上げていくなかで確認することが望ましい。
  • チン ガ ビン, Su Pei Chi, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 62 230-230 2015年  最終著者
    台湾主要な民族は、閩南、客家、外省と14の原住民族であるが、多くの民族文化が混在していることがわかる。本研究で取り上げる「眷村」とは、中国における內戦時代(1927~1949年頃)に、台湾に駐屯した国民政府の軍隊の兵士とその家族が生活した村の総称である。眷村での生活が、台湾を代表する一つの文化として定着したことを如実に表しているといえよう。台湾に到来した外省人たちの文化は、それ以前から台湾に居住していた人びとの文化とは大きく異なっていた。眷村は、1996年に発表された台湾政府の施策である「老舊眷村改建計畫」に基づいて政府に買い取られ、古い文化とみなされ破壊される傾向にある。また、その跡地には、新しいマンションが建設されるなど、眷村文化は次第に消滅しつつあり、その生活文化を見直すことが急務である。なお、今日、眷村の子孫の多くは、上述したマンションでの生活を余儀なくされているため、かつて、自分の先祖が残した文化を知る機会はほとんど与えられていない。それゆえに、人びとが、自らのアイデンティティを確認することも少なく、眷村文化を保存することは、眷村の子孫がそのアイデンティティを守り、台湾における一つの文化を継承していくという点で、極めて有意義であると考える。
  • 阮 将軍, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 62 262-262 2015年  最終著者
    本研究は、挑花を核として形成された花瑶地域の人びとの風習や約束事などを把握し、その特質を考察・抽出するとともに、その知見に基づいて、今後、当該地域の人びとが目指すべき地域振興の方向性を見出すことを目的としたものである。現地における聞き取り調査や、挑花によって制作された服飾の2,000点の資料を対象として考察を行った。その結果、以下の二つの知見を得た。(1)&nbsp;花瑶族の女性たちは、心を込めた挑花服飾によって、主体的・能動的に自己表現しつつ、当該地域の生活を創造してきた。(2)挑花服飾は、花瑶族の人々の結びつき、社会秩序、文化信仰を維持・継承する重要な媒体であった。
  • 張 夏, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 62 261-261 2015年  最終著者
    本稿は、中国四川省汶川県羌鋒村における少数民族である羌族の刺繍文化を取り上げたものである。文献調査ならびに現地調査に基づき、刺繍の作り方や使われ方を記録するとともに、維持・継承の指針を導出することを目的とした。 本稿は、羌繍のハード面を取り上げ、制作のプロセスを含む記録を行った。特に、当該地域を中心として羌族の刺繍変遷の歴史を把握するとともに、地域により独特な構図と紋様が潜在的に存在することを明らかにした。 また、羌繍のソフト面の研究を行った。紋様と使用に関する考察によって、当該地域で共有されてきた意味を読み取った。社会における自己、家々の位置付けを明らかにするとともに、日常・非日常生活の生活空間の演出にも結び付き、人と社会、人と自然とのつながりを読み取った。 総じて、当該地域の人びとが自らの手でアイデンティティーを確認する手段の特徴を読み取ったものであり、最終的には、それらの知見に基づいて羌繍の維持・継承の手段を論じた。
  • 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 61 282-282 2014年6月  最終著者
    かつて寺院は地域形成のための様々な役割を担っていた。寺院の象徴的存在である仏像も同様の機能を有していた。昨今は「仏像ブーム」と言われ、仏像の美術的側面に大きな注目が集まっているが、かつての機能は失われつつある。一方、近年は文化財保護の観点から三次元スキャニング技術が注目を集めている。造形データは永続的であり、なおかつそのデータを利用することにより様々な効果が期待されている。こうした背景をうけて、本研究では仏像の文化的・造形的価値を伝えていく手法として、仏像の三次元造形データに着目し、それらを親近感もって共有化するためのツールを作成した。作成した仏像のデジタル閲覧ツールである「3D仏像アーカイブ」はウェブブラウザを利用し、仏像の三次元データの回転、拡大、縮小を行いながら文字情報と照らし合わせることで仏像の造形への理解を深め、同時に所蔵寺院の写真や地図を紹介することにより、「地域」の潜在的資源であることを理解できる仕様とした。本ツールは仏像美術展にて公開し、来場者に実際に操作してもらう等して質問紙による評価を受けた。その評価をふまえながら本ツールの有用性および、今後の展望について検討した。
  • 久保光徳, 奥村恵美佳, 田内隆利, 植田憲
    形の科学会誌 29(2) 2014年  

講演・口頭発表等

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  • 呉 竹雅, 張 淑怡, 沈 恵園, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    本研究は、江戸時代からものづくりが盛んに行われてきた東京都墨田区を対象に、伝統的ものづくりを文化の側面から振興するための指針と提案を導出することを目的としたものである。文献調査により墨田区における伝統的ものづくりの歴史的文脈を概観したうえ、「長板中形」を対象に事例調査を行った。その結果、かつて当該地域内で「長板中形」の生産と使用のエコシステムが成り立っていたと考えられる。調査結果に基づき、墨田区における伝統的ものづくりの振興の指針として以下の三点を導出した。①身近にあるもの・人・ことといった資源の全体活用を志向する、②つくり手と使い手をより緊密に繋ぐ展開を志向する、③地域で伝統的ものづくりの製品の使い方を創出する機会を作る。
  • 陳 祉佑, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    近年の生活の変容を要因として、多くの歴史資産が急速に潜在化する傾向にある。この状況は、千葉県市原市においても例外ではない。当該地域は、養老川がもたらした肥沃な土地と緑豊かな山々に恵まれ、古くから、有形・無形のさまざまな資産が創出・継承されてきた。こうした地域にある大切な資源を再発見するとともに、後世へつなぐネットワークを構築することを目指して、2015(平成27)年、「市原歴史博物館」事業が始められた。同博物館においては、近年急速に発展・普及しつつあるデジタル造形技術をいかに導入するかの検討がなされている。 本研究は、市原歴史博物館事業における試行に基づき、地域博物館におけるデジタル造形技術の導入の可能性を見出すとともにそのあり方を明確化することを目的としたものである。 具体的事例として、実物が残されていない藤原式揚水機を取り上げ、さまざまな文献資料に基づきデジタル再現し、実験・検証を繰り返し、動作モデルを制作した。このプロセスの記述を通じて、以下の各点を明らかにした。 (1)デジタルデータは修正し易いことから、比較的柔軟に「復元」「保存」へのアプローチが可能である。その場合、頻繁に出力し検証するなど、学芸員らとの密な情報共有が重要である。(2)デジタルデータは共有し易いことから、地域資源を「共有」する有効な手段になり得る。(3)デジタルデータを出力するなどの「活用」を通して、実物が残されていない歴史資産の価値を高めることが可能である。なお、本研究においては、上述した知見に基づき、教育キットの提供を行い、その効果を確かめた。
  • 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    地域社会の自立・自律が求められる今日において、いかにして地域の文化を伝達・共有していくかは喫緊の課題である。本稿は、地域の生活者が参与可能な、デジタル時代における地域文化の発信・共有の場としての地域博物館の構築を目指す研究の一環である。 とりわけ本稿では地域博物館におけるデジタル造形機器を活用した展示器具の制作の事例を取り上げ、一連の活動から得られた知見ならびに課題を報告した。聞き取り調査・現地調査に基づき、地域の博物館における展示器具の不足に伴う展示の限界、収納庫のひっ迫等の課題を把握したのち、デジタル造形機器を活用した3点の展示器具の制作を行った。それらは、上記の課題に応えるものであったが、未だ①展示対象の大きさや重量における強度の限界の検証、②制作過程において放出される汚染物質量の検証等の必要性、③レーザー加工機をはじめとした一般的なデジタル造形機器で制作可能な仕様の検討等取り組むべき課題は少なくない。今後はこうした課題に取り組みつつ、本稿で制作したデジタルデータをはじめ、得られた知見を地域内で蓄積、共有するためのデジタル造形機器活用事例のアーカイブの構築等も視野に入れ、活動を展開したい。
  • 宮田 佳美, 李 月, 都 宥林, 沈 恵園, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    千葉市若葉区いずみ地区において、「炭焼き小屋再生プロジェクト」を展開した。文献調査および現地調査を実施し、当該地域において炭焼き小屋が生活文化の形成において重要な位置づけにあったことが確認された。これを再生することにより、森林保全を行うだけではなく、地域づくりにつなげる活動へと展開することが重要といったことが参与者の間で確認され、任意団体が設立された。今後、炭焼き小屋の具体的な利活用方法について検討し、多くの人が地域づくりに参与できる体制づくりを行いたい。
  • 土屋篤生, 青木宏展, 植田憲
    アジアデザイン文化学会 第15回国際研究発表大会 概要論文集 2021年10月

共同研究・競争的資金等の研究課題

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