研究者業績

植田 憲

ウエダ アキラ  (Akira Ueda)

基本情報

所属
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート 教授
学位
博士(学術)(千葉大学)
修士(学術)(千葉大学)

J-GLOBAL ID
200901078554451516
researchmap会員ID
5000043186

外部リンク

主要な論文

 101
  • 孟 晗, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究作品集 28(1) 1_40-1_45 2023年7月31日  
    ドキュメンタリー映画「もうひとつの明日へ」は長野県上田市の市民団体蚕都くらぶ・ま〜ゆはじめ、千葉大学デザイン文化計画研究室の学生、映像制作の専門家、上田市の行政など多様な主体が協働的に推進した「コミュニティドキュメンタリー」のデザイン実践の成果品である。本稿は、当作品の企画、撮影、編集、宣伝、集金、上映の各段階において得られた知見を報告するとともに、上映会において収集した質問紙調査の結果の分析を通じて、本作品制作における実践を評価し、内発的生活創生に寄与するコミュニティドキュメンタリー映画制作の指針を導出することを目的とする。<br>
  • 呉 竹雅, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 69(4) 9-18 2023年3月31日  査読有り最終著者
    本研究は,明治時代における社会通念としての美術の形成過程を明らかにするために,計量テキスト分析を用い,新聞にみられる「美術」に関連した社会的出来事が,明治期の歴史的かつ社会的文脈でいかに当時の人びとに共有されたかについてそのプロセスを検証した。その結果,官製用語として誕生した「美術」に対する社会的認識の形成については,第一段階の明治10 年代までは実態,つまりものに重点を置き,第二段階の明治20~30年代においては価値観ないし価値体系を中心に,また第三段階の明治30 年代以降は概念,いわばジャンルを理解するといったプロセスで定着してきた。それは,エリート層を中心とする上流社会の人びとが概念からジャンルに,さらに価値観ないし価値体系という順序で「美術」を受け入れたのに対して,一般民衆はほぼ相反するプロセスに基づき美術を理解してきたといえる。また,明治政府が「美術」という概念を導入し,既存の絵画が「日本画」に統合されたことによって,日常生活における絵画の機能性・意味性は漸次に低下し,鑑賞対象となっていった。
  • Han MENG, Tie JI, Hironobu AOKI, Akira UEDA
    IASDR 2021 2021年12月  査読有り最終著者
  • Zhuya WU, Hironobu AOKI, Akira UEDA
    IASDR 2021 2021年12月  査読有り最終著者
  • 孟晗, 植田憲
    デザイン学研究 67(2) 11-20 2020年9月  査読有り最終著者
  • Meng Han, Ueda Akira
    International Journal of Community Currency Research 24 54-63 2020年9月  査読有り最終著者
  • Pandu PURWANDARU, Dudy WIYANCOKO, Akira UEDA
    BULLETIN OF JAPANESE SOCIETY FOR THE SCIENCE OF DESIGN 63(4) 59-68 2016年11月  査読有り最終著者
  • Akira UEDA
    BULLETIN OF JAPANESE SOCIETY FOR THE SCIENCE OF DESIGN 57(2) 101-110 2010年7月  査読有り筆頭著者
  • UEDA Akira, OOGA Satoru
    デザイン学研究 57(1) 65-74 2010年5月  査読有り筆頭著者
    In this paper, the goal will be to explore the Tokoname Region of Aichi Prefecture as one of the representative ceramic producing regions in Japan, in particular, examining its special characteristics and grappling with how the cultural concept of mottainai might appear as part of the identity of the region in question. This research is based on documentary literature, a field survey. As a result of Investigation, the author can summarize below the special cultural characteristics of mottainai as seen in the ceramic-producing region of the Tokoname in Aichi Prefecture. 1) The lifestyle principle of mottainai in the Tokoname Region is shared by residents through common modes of behavior and lifestyle, and it has transmitted and encouraged the thorough and optimal use of scrap and discarded pottery. 2) The special characteristics of symbiosis with the environment in the Tokoname Region are passed on as an expression of compassion toward people who live in harmony with their environment, people who evaluate the special characteristics of materials at hand and focus their knowledge subjectively. 3) Today, there are indications of actions designed to build regional identity based on an inheritance of a cultural lifestyle of traditional symbiosis with the environment while local people use tangible and intangible historical assets in a variety of ways.
  • UEDA Akira, MIYAZAKI Kiyoshi
    デザイン学研究 53(3) 41-48 2006年9月  査読有り筆頭著者
    In this paper, the authors discuss the transition in people's world views caused by mechanization, as evidenced by the case of the production process of the rice cake. This research is based on documentary literature, a field survey, and other sources. Originally, the rice cake was made for special events, and people recognized it as one of the most important offerings to the gods. The traditional process of rice cake making required much time and effort and the use of many tools. In the 1950's, these tools were largely replaced by multi-functional machines. In the field survey, the process of rice cake making was observed: after choosing the best location, people made the traditional rice cake by relying on their senses and experience to use fire, steam, and other resources to careful and deliberate effect, then the finished cake was offered to the gods. As a result of our investigation, the following assertions can be made: (1) In the traditional process of rice cake making, people conceive of the medium of the rice cake as holy, and the process informs them about the stages of life. (2) During this process, the people are engaged in a direct sensuous experience, using their senses to learn more about the nature of their environment. This kind of experience affords people world views that spring from living interactively with the environment and within communities. (3) With the introduction of machines, the preparation process ceased to require direct experience. Concomitantly, the meaning and ceremony which the preparation of rice cakes had assumed socially and culturally gradually dissipated, and, subsequently, the people's world views shifted from a deeply ingrained and holistic foundation to a more superficial one.
  • UEDA Akira, MIYAZAKI Kiyoshi
    デザイン学研究 53(3) 59-66 2006年9月  査読有り筆頭著者
    Nowadays, in Japan, circumstances of "mono-dukuri (making objects)" are in a turning point, because of diversifying of life, advancing and enlarging the scale of "mono-dukuri (making objects)" itself, transfer of production base to foreign countries and an economic depression, etc.. Especially, in recent years, "disinterest in the technology" "disinterest in the science" of the younger generation are tend to grow, it is evermore necessary to engage them in the science & technology with nurture their inquisitiveness towards natures and expand their logical thinking and creative abilities. At the same time, the fact above-mentioned brings the necessity to consider design education fundamentally. In this paper, the authors discuss the significance of design in science education, through practice of "Design workshops -Mono-dukuri (Making objects) workshops" for elementary schoolchildren and junior high school students by the staff of the faculty of engineering of Chiba University. Through an investigation and a questionnaire survey, following assertion can be made: It was possible to cultivate elementary schoolchildren and junior high school students following important points: (1) there is a science in the background of "mono-dukuri (making objects)," (2) there is the pleasure with the creation can be learnt by accomplishing "mono-dukuri (making objects)," (3) there are various solutions in "mono-dukuri (making objects)."
  • 翁群儀, 植田憲, 宮崎清
    デザイン学研究 52(5) 35-44 2006年1月  査読有り
    本稿は、台湾漆器「蓬莱塗」の意匠特質を調査・研究したものである。「蓬莱塗」は、日本領有時代の台湾において、日本人の漆器制作者であった山中公が、台湾で体験した異国情緒をモチーフとして日本人向けに制作を始めたことを起源とする漆器である。本研究では、台湾漆器の発展史とともに、「蓬莱塗」の位置づけ、ならびに、制作工程、モチーフの調査・分析などを通して、「蓬莱塗」の特徴を明らかにした。「蓬莱塗」の特徴は以下の通りである。(1)地域の実風景をモチーフとした地域性の溢れる絵柄が施されている。(2)原色の多用によって、台湾の活力が表現されている。(3)力強い彫刻によって、台湾の素朴な民風が表現されている。「蓬莱塗」は、今後においても、台湾社会を映し出す漆器デザインとして発展していくことが期待される。また、漆器のみならず、伝統的工芸品産業の発展に向けてデザインにおけるアイデンティティを確立していくことは、今後、台湾のさまざまな分野で検討されるべき重要課題である。
  • 植田 憲, 朴 燦一, 宮崎 清
    デザイン学研究 48(3) 77-86 2001年  査読有り筆頭著者
    本稿では、北ベトナム・ニンビン省において進められている「ベトナム伝統工芸村」設立計画を取りあげた。フィールド調査、資料解析に基づき、内発的発展論の観点から当該工芸村の設立に向けた指針を抽出した。北ベトナムにおける伝統的工芸の現状と課題を解析した結果、以下の指針が得られた。(1)北ベトナムにおいて振興が期待される12の伝統的工芸品目のうち、ニンビン省の工芸村においては、省内で継承されている4品目の振興を図る。(2)工芸村は、伝統的工芸技術の伝承・発掘・創新の拠点であるとともに、伝統的工芸を核とした地域間および異業種間の連携・交流の拠点としての機能を担う。(3)工芸村の設立・運営においてはエコロジカルな理念を堅持し、かつ、各種地域資源の全体活用を実践する。伝統的工芸品が村を単位として生産されているベトナムにおいては、4品目を一ヶ所に集めて展開される工芸村は、国内における地域連携のモデルでもある。また、その工芸村は、広くアジア諸地域とも連携し、その運営・展開が図られる必要がある。

MISC

 249
  • 植田 憲, 青木 宏展, 高木 友貴
    Abrasive technology : 砥粒加工学会誌 : journal of the Japan Society for Abrasive Technology 63(12) 604-607 2019年12月  筆頭著者
  • 郭 庚熙, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 478-478 2019年6月  最終著者
    <p>近年、長い歴史のなかで培われてきた生活文化の再認識と、それに基づく地域振興が必要とされている。本研究では、万祝の型紙のデジタル化に基づき、認知向上や共有化に資する持続的な活用方法を模索することを目的とした。その活動の一つとして、製品展開を行い、地域内外の人に向けて発信することで、地域の人が万祝の共有と活用を自発的に行うといった一連の流れを構築することを試みている。本稿ではその実践的販売から得られた成果を報告する。</p>
  • 王 甯, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 184-184 2019年  最終著者
    <p>本稿は中国河南省浚県楊&#29592;屯における伝統的工芸「泥&#21653;&#21653;」に関する調査・研究の一部である。泥&#21653;&#21653;を制作している78人と彼らの作品を対象に、数量化III類を用い、素材、制作技術、意匠の特徴と販売流通の経路などの視点から18のカテゴリで評価して類型化した。その結果、現在の泥&#21653;&#21653;の制作には、屋台型、伝承人型、芸術家型と量産型の4種類がある。この変化と複雑な現状を明確化することは、今後、当該地域の文化を保護・継承することに大きく寄与できる。</p>
  • 土屋 篤生, 陳 誼菲, 高木 友貴, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 490-490 2019年  最終著者
    <p>鍛冶においてハンマーで鉄を叩く動作をモーションキャプチャを使用して分析した結果、熟練者と初心者では頭の上下方向の動きが異なることが明らかになった。このことは、職人から得た「腰掛けは鍛冶屋にとって重要」という助言の意味を理解するのに役立った。</p><p>このように、伝統的な鍛冶職人が有する技術に関するアーカイブを作成する際に、熟練者から情報を引き出し、理解するための時間を、モーションキャプチャを活用することで、通常の修行にかかる期間と比較して短縮できると考えられる。</p>
  • 宮田 佳美, 芳村 友輔, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 484-484 2019年  最終著者
    <p>本稿は日本郵便と千葉大学の産学連携による切手アートプロジェクトを取り上げ、企業による地域連携のあり方を導出することを目的とする。切手は、自国・地域の文化を伝えるこがのできる「小さな外交官」と呼ばれ、手紙は人と人をつなぐツールとして利用されてきた。一方で、パラリンピックスポーツはアダプテッドスポーツとして、さまざまな人が参与していくことにより、人と人をつなぐことができるという特性があると考えられる。このような双方の特性を活用し、使用済み切手を使用したモザイクアートを製作した。このような活動の中でデザイン的視点から再び価値を見出していくことで、持続的な活動に繋がっていくと考えられる。</p>
  • 髙橋 真央, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 482-482 2019年  最終著者
    <p>近代化・工業化により生起した効率を重視する今日の社会においては、地域に根ざした生活や知恵が消失の危機を迎え地域アイデンティティの消失が危惧されている。<br/>千葉県山武市に位置するJR 成東駅北側においてはおよそ50 年にわたり放置されてきた休耕地が広がっており、地域住民から問題視されてきた。<br/>しかしながら、これまで当該地域に継承されてきたハレの文化や農と密接な暮らしが残存している。筆者らは2015(平成27)年4月から当該地域の有志らと共に休耕地で継続的に潜在的な地域資源活用による支援を行ってきた。<br/> 本研究を通して調査・考察の結果、稲作や餅搗き、鏡餅づくり、正月飾りなどの活動を地域住民とともに実践し、関わるなかで以下のような結果が得られた。(1)異なる世代間での交流が活発に行われるきっかけとなり、文化継承の場としての役割を担うことができた。(2)子どもにとって実体験から生まれる学びの場としての可能性が示唆された。(3)普段は関わることのない人と人を繋ぐきっかけづくりに寄与することができた。(4)人と自然の触れあいが起こる場としての可能性を把握した。</p>
  • 高木 友貴, 岸本 大輝, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 486-486 2019年  最終著者
    <p>本研究は今日の地域社会において潜在化している歴史的造形資源の3Dデータを取得・保存すると共に、3Dデータ上で多角的にデフォルマシオンを施し活用することで、歴史的造形資源の顕在化・共有化に資する3Dデータ活用の指針を導出することを目的としたものである。著者らは、デフォルマシオンが社会、文化の中でどのように受容され、生活の質の向上に寄与してきたか、また今後どのように寄与していくかを文献調査に基づいて論考した。 さらに、対象地域において地域の歴史的造形資源の3Dデータを取得し、デフォルマシオンを中心とした3Dデータを活用した取り組みを行った。結果として、著者らは地域の歴史的造形資源を対象としたデフォルマシオンによる3Dデータ活用の指針を導出した。</p>
  • 陳 誼菲, 土屋 篤生, 郭 庚熙, 宮田 佳美, 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 496-496 2019年  最終著者
    <p>今日の日本においては、近代化・工業化に伴い大量生産・大量消費型の社会が形成された一方で、地域の伝統的ものづくり産業が衰退し、その価値が十分に認識されずに潜在化する傾向にある。また、日本の地方圏においては、急激な過疎・高齢化が進展しており、人口減少に伴い、地域産業の後継者不足による廃業等の課題を抱えていることが少なくない。本研究で取り上げる「千葉工匠具」も例外ではない。千葉工匠具とは千葉県の伝統的工芸品であり、鍛冶職人が伝統的な技法でつくる刃物、仕事道具である。砂鉄の産地である房総半島は、古くから製鉄・鍛冶が行われ、各時代の需要に応じて打刃物の製作技術が発展してきた。長い歴史を経て、それらには職人の知恵や生活文化が内包されているといえる。本稿は、千葉県における伝統的工芸・千葉工匠具の歴史と製作技術、産業の実態などを記録するとともに、その過程で得られた知見に基づき、今後の振興の方策を導出することを目的としたものである。本取り組みを通して、最終的に、千葉工匠具が自律的地域づくりと連動しつつ展開することを目指した。</p>
  • 陳 ヨンジ, 伊藤 紗瑛, 高木 友貴, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 498-498 2019年  最終著者
    <p>東京都横網町公園は震災と戦災の歴史的過去をもった公園である。しかしながら、東京都民にもその認知度は低くなり、悲しい過去をもつことから触れる機会が少なくなった。本研究は、東京都慰霊堂にある妖怪彫刻を対象にして、それらを3Dスキャンし、データとして取得、保存するとともに活動を行うことで、東京都横網公園の魅力を引き出し、知名度を向上させることにつながる製品の提案を行った。さらに誰もがものづくりを行える社会において、3Dスキャニング技術の地域における活用の例となり、地域資源の顕在化・共有化を目指した。</p>
  • 青木 宏展, 高木 友貴, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 510-510 2019年  最終著者
    <p>本稿は,主に千葉県内の歴史的立体造形を対象とし,それらの3Dデータ取得の指針を導出することを目的とした。104件の3Dデータの取得実践を通じた考察から以下の知見を得た。A)全104件の取得実践を分類した結果,3Dデータ取得に際しての歴史的立体造形の特性として以下の4つの類型を得た:(1)小&#8226;中規模自立型,(2)小規模単純型,(3)大規模型,(4)中&#8226;大規模多制約型。B)上記を踏まえて,3Dデータ取得への指針としてデータ取得のワークフローを提案した。また,上記ワークフローの各段階で得られる情報を記録するための「3Dデータ取得調査カード」の作成を提言した。</p>
  • 高山 裕貴, 柴田 一樹, 陳 ヨンジ, 泉 菜穂, 芳村 友輔, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 500-501 2019年  最終著者
    <p>千葉県南房総市の三芳地区では、観光における地元住民との触れ合いが少ないという課題があり、住民の地元に対する関心の無さが原因の一つとして考えられる。</p><p>したがって、この研究では、地域への関心を高めるために、潜在的な地域資源の発見と、それを共有することによる地元住民の地元に対する関心の向上を目指している。</p><p>この目的を達成するための方法として、実地調査により得られた地域資源を利用したガイドマップの作成を行った。</p><p>作成したお散歩サイクルガイドマップに対してどのように思うかについて、地域住民に対してアンケート調査を行ったところ、概ね高評価を得ることができた。</p><p>そのため、地域資源を活用したガイドマップを作成するこの提案が、本研究の目的を達成する方法としての提案が有効であると考えられる。</p>
  • 柴田 一樹, 泉 菜穂, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 66 506-506 2019年  最終著者
    <p>観光において、二次交通として利用される交通手段には公共交通機関、自動車、自転車、徒歩が挙げられる。なお、千葉県は平均標高が47都道府県のなかで最も低く、気温も一年を通して温暖であることから、観光とサイクリングを組み合わせた「サイクルツーリズム」への関心が高まっている。また、自転車は、気になった場所ですぐに停車することができる、自動車では入れない細い道にも入ることができる、徒歩で散策するよりも広範囲を回ることができる、などの利点から、地域の魅力を伝える手段のひとつとして有効であると考えられる。<br/>さらに、2017(平成29)年5月から国土交通省より「自転車活用推進法」が施行され、その基本方針の一つに「観光旅客の来訪の促進その他の地域活性化の支援等の施策を重点的に検討・実施する」とある。このことからも、国全体で自転車を活用した地域活性化の取り組みへの機運が高まっているといえる。<br/>そうしたなか、木更津市では2017(平成29)年10月に馬来田地区にて木更津市初の道の駅「道の駅木更津うまくたの里(以下、うまくたの里)」がオープンし、2018(平成30年)年7月からレンタサイクルのサービスを開始した。馬来田地区を中心としたマップは2種類存在するが、自転車で移動できるほどの範囲の情報を掲載したマップは存在しないため、レンタサイクル利用者に向けたサイクルマップを新たに用意する必要がある。<br/>本研究では、自転車の利用者に向けたサイクルマップを作成し、そのマップ上の情報として、馬来田地区を中心とした周辺地域に潜在化する地域資源を掲載することで資源の顕在化を図ることを目的とした。なお、マップ作成の過程においては、地域住民に対して聞き取り調査を積極的に行うことを通して、協同でマップを作り上げていくなかで、地域住民に対して地域資源の再発見・再認識を促すことを目指した。</p>
  • Aoki Hironobu, Ueda Akira
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society No.12(vol.3) 1597-1606 2018年11月  査読有り
  • 高木 友貴, 青木 宏展, 岸本 大輝, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 406-407 2018年6月  最終著者
    千葉県南房総地域には、仏像や寺社装飾彫刻などの木彫に代表される多くの歴史的造形物が存在する。しかし、現代では管理者・支援者の減少などを主な要因として、それらの維持管理が困難な状況を迎えている。その結果、劣化、潜在化の一途を辿る造形資源は少なくない。本研究は、3D造形技術の援用に基づき、歴史的造形物の3Dデータを取得・保存し、地域内でそのデータを活用したものづくりが展開するための具体的な方法を導出するとともに、その試行を通して地域活性化に向けた3Dデータを活用した「ものづくり」の効果と意義を明確化することを目的とした。 本研究は以下のように行った。(1)いくつかの方法を用いて歴史的造形資源の3Dスキャンを実施し、保存に耐える造形データを構築した。(2)上記により得られた造形データを利用し、製品制作や展示、ものづくり体験を行い、その有用性の評価を行った。(3)上記(2)に基づき多分野にわたる人びとと共に3Dデータを活用したものづくりを行った。 評価からは、歴史的造形資源の3Dデータを活用したものづくりにより、作り手・使い手どちらにも歴史的造形物への理解が深まるという教育的効果が得られた。また、歴史的造形資源の顕在化に有効であることが確認された。総じて、歴史的造形物の3Dデータを活用してものづくりを行うことを通して、さまざまな人びとの関係が生まれ地域の内発的活性化が実現していくことが示唆された。 以上の知見から、新たなものづくり支援として小松寺本尊薬師如来像の復元モデルの制作とその展示を提案した。
  • 楊 鵬, 久保 光徳, 植田 憲, 田内 隆利
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 116-117 2018年  
    浄真寺(東京都世田谷区)の九品印相の造型に対する形態分析と印象評価を実施し,九品印相から受ける印象とその形態との関係,さらには宗教的意味との関係性を解明することを目的とした。九品印相(上品上生,上品中生,上品下生,中品上生,中品中生,中品下生,下品上生,下品中生,下品下生)のうち,修理中の印相(中品上生)を除き,八体の印相の3D データを取得するとともに,その形態に対する印象評価を目的とした印相CADデータの再現を試みていた。また同時に,この印相CADデータに対する曲率分布解析,特徴線の抽出,重力下での応力構造解析も実施し,テクスチャや印相形態以外の情報を外すことで単純化された印相モデルに対する印象評価を実施した。印象評価から,数量化三類で構成する三つの要因としては「安定性」,「活動性」,「力量性」で定義できることが明らかとなり,印相それぞれが持つ本来の宗教的意味である「安定」,「説法」,「救済(力)」と合致することを考察した。また,構造解析より求められた重心位置と応力分布及び印相形態(手指の配置)との比較検討より,重心位置が「安定性」および「安定」に対して影響を与えていることを考察した。
  • 柴田 一樹, 渡口 ひかり, 渡辺 裕之, 武藤 衣純, 松崎 さおり, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 400-401 2018年  最終著者
    千葉県木更津市にて、潜在化している地域資源を地域住民に提示することで、地方における新たな観光のあり方を創出する。具体的には、空き店舗の活用や地域住民に対するミニツアーを通して潜在化した地域資源を提示することで、今まで当たり前のように感じていたものこそが特別であり、観光資源となりうることを認識してもらう。
  • 青木 宏展, 岸本 大輝, 高木 友貴, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 316-317 2018年  最終著者
    本稿では、近年叫ばれる「地方創生」に対して、社会の動向を概観し、筆者らがこれまでに行った歴史的造形物3Dデータの取得・保存・活用への研究を通して、「分散・協働型社会に向けた地方創生3D技術活用デザインモデル」を導出した。導出への論拠は以下である。①「地方創生」に謳われる「地域の存続」への可能性を高めるためには、地域の生活者主体の社会形成が必要である。そのためには、生活者が身のまわりの資源の再確認・再認識を行い、それらの活用を実践し、自身たちの豊かな生活のあるべき姿を模索しなくてはならない。筆者らは、その資源の一つとして歴史的造形物を提案する。②今日、国家規模での文化財の維持・管理は困難な状況にあり、このままでは文化財の消失が懸念される。その再確認・再認識への機運が高まりつつある今日を契機に、「文化財」の枠組みを超え、生活者視点から歴史的造形物全般の資源的価値の見直しが重要であると考えられる。③上記資源に対する、分散・協働型社会形成に適合した手段としての3D技術の活用、およびクリーンエネルギーの併用を視野に入れることにより、持続可能な地域づくりの一つのモデルとして成立し得ると考えられる。
  • 渡辺 裕之, 武藤 衣純, 柴田 一樹, 渡口 ひかり, 松崎 さおり, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 410-411 2018年  最終著者
    本研究は住民の交流、地域資源の交流を生み、地域の活性化を図ることを目的とした。<br>千葉県木更津市をフィールドに資源発見のため現地調査をした。調査では箒作りや竹、貝殻などものづくりや自然に関する資源を発見することができた。中でも木綿と貝殻に対してそれぞれ次世代に継承するための活用方法として子ども向けのワークショップを考え実践した。木綿に関しては小学校や和綿棒染織家、木綿農家など、貝殻に関しては学童や水産業者が連携し資源を循環させ、活性化するきっかけになったと考えられる。また新たな住民間の交流や次世代に向けた資源の継承ができた。<br> 現地調査では木綿や貝殻に限らず木更津には魅力的な自然資源や人的資源があることがわかった。しかし、十分に活用出来ているものは少ないと感じた。竹や杉の伐採やしめ縄づくりなどやったことがない人にとっては魅力的に感じるものがある。そういったものを木更津の魅力として認識することで自然資源を次世代に継承することにつながる。
  • 金 主榮, 林 旻毅, 陳 雨璇, 陳 熙, 張 詩典, 松崎 さおり, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 404-405 2018年  最終著者
    地域にあるものと生活者が主体となる「内発的観光」の施行として、地域資源の再発見・再認識を行い、それらを地域内外の人々が共有するための手段として「地域資源マップ」を制作した。<br><br>木更津市金田地区をフィールドにデザインサーベイを行い、そこで発見した資源をイラスト化し、住民の意見を反映しつつ、マップに資源アイコンを入れ込んだ。<br><br>そのマップを大学生に配布し、「地域について新しく知った」「生活文化を資源として認識できた」「マップが役に立った」というフィードバックをもらい、内発的観光における資源マップ作りの有効性を確認した。現在木更津市DMOではこのマップのさらなる活用への取り組みを始めている。
  • 宮田 佳美, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 65 414-415 2018年  最終著者
    今日、われわれの社会は、従来の中央集権型から分散・協働型へと大きな転換を余儀なくされている。換言すれば、地域の人びとが自らの地域の各種資源を認識・共有し、それらの利活用に基づき活性化を展開する体制づくりがますます重要になりつつあるといえよう。その実現に際してデザインが果たす役割は決して少なくない。現在、農業振興地域に指定されている千葉市若葉区いずみ地区は、ライフスタイルの変化や少子高齢化の影響により、地域が立ち行かなくなる問題に直面している。これに対し千葉市は、当該地域の特性を生かした再開発・活動をすることによって地域を活性化させるための政策を行ってきた。拠点となる、3箇所の「都市農業交流センター」を中心に活動を展開しており、都市と田舎の交流を図っている。本研究は、千葉市若葉区いずみ地区における富田、中田、下田の3か所の「都市農業交流センター」におけるロゴ・愛称の策定事業を取り上げ、そのプロセスの記述と解析に基づき、分散・協働型社会への転換に資するデザインの役割を明確化することを目的としたものである。
  • 王 淑宜, 植田 憲, 黄 世輝
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1277-1286 2018年  査読有り
  • 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1387-1398 2018年  査読有り筆頭著者
  • 王 甯, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1455-1466 2018年  査読有り最終著者
  • 張 夏, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1467-1478 2018年  査読有り最終著者
  • 金 主榮, 林 旻毅, 陳 雨璇, 陳 熙, 張 詩典, 松崎 さおり, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1607-1616 2018年  査読有り最終著者
  • 孟 晗, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1631-1642 2018年  査読有り最終著者
  • 阮 将軍, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1643-1648 2018年  査読有り最終著者
  • 宮田 佳美, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 12 1659-1668 2018年  査読有り最終著者
  • 王 淑宜, 植田 憲, 黄 世輝
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 12 1277-1286 2018年  査読有り
  • 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 12 1387-1398 2018年  査読有り筆頭著者
  • 王 甯, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 12 1455-1466 2018年  査読有り最終著者
  • 張 夏, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 12 1467-1478 2018年  査読有り最終著者
  • 金 主榮, 林 旻毅, 陳 雨璇, 陳 熙, 張 詩典, 松崎 さおり, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 12 1607-1616 2018年  査読有り最終著者
  • 吉日木図, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 12 1617-1630 2018年  査読有り最終著者
  • 高木 友貴, 岸本 大輝, 郭 庚熙, 宮田 佳美, 青木 宏展, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 11 477-486 2017年10月  査読有り最終著者
  • 宮田 佳美, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society 11 487-496 2017年10月  査読有り最終著者
  • 王 甯, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 11 497-506 2017年10月  査読有り最終著者
  • 郭 庚煕, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 11 507-514 2017年10月  査読有り最終著者
  • 戴 薪辰, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 11 515-524 2017年10月  査読有り最終著者
  • 青木 宏展, 高木 友貴, 岸本 大輝, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 11 525-536 2017年10月  査読有り最終著者
  • 阮 将軍, 植田 憲
    Bulletin of Asian Design Culture Society : International Symposium of Asian Design Culture Society 11 537-548 2017年10月  査読有り最終著者
  • 青木 宏展, 大海 知広, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 442-442 2017年6月  最終著者
    千葉県南房総市に位置する石堂寺の多宝塔には千葉の彫工「波の伊八」が制作した16枚の脇間彫刻が取り付けられていた。しかし現在では劣化防止などのため取り外され、本堂内にて保管されている。これらの彫刻は多宝塔に取り付けられてこそ意味を持つよう制作されており、現状は彫刻の本来的な意味を伝えるには不十分であると考えられた。本研究はそれらの3Dデータを取得し、取得したデジタルデータを用いて、①3Dプリンターを用いたハンズオン復元模型、②デジタル上での視点再現動画、を制作し、本来の状態の仮想復元を試みた。制作物は当該寺院にて行われたイベントの際に公開し、来場者から質問紙による評価を行った。評価の結果「彫刻に対する印象が変わったか」や「当時の様子をイメージする際の助けになった」という回答が約9割得られるなど、彫刻を取り付けていた当時の様子を伝えていくことに十分な成果が挙げられたと考えられた。本研究により、潜在化した歴史的造形資源に対し3D 技術を用いて復元・展示することで本来の魅力の共有化に寄与できることが伺えた。また、データの品質向上や新たな活用法の検討など今後の展開の可能性が期待できると考えられた。
  • 久保光徳, 植田憲
    形の科学シンポジウム講演予稿集(Web) 83rd 2017年  
  • 久保 光徳, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 160-160 2017年  
    千葉県匝瑳市木積に伝えられる藤箕(国指定重要無形文化財)への形態分析を実施した。その結果,この箕の形態は,イタミと呼ばれる平面状の基本形に,ウデキと呼ばれる弾性体の復元力を用いて,その特徴的な曲面を生成していることが確認できた。この曲面生成過程において,イタミとウデキの,主に曲げ変形に対する材料特性の均一性が,箕としての最終形態の完成度に大きな影響を与えることが確認された。そして,その曲面が自然で合理的な形であるエラスティカに類似したものであることを示唆した。
  • 岸本 大輝, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 428-428 2017年  最終著者
    千葉県南房総市に位置する小松寺には県指定有形文化財である御本尊の薬師如来立像をはじめ歴史的に貴重な仏像が多数伝来している。しかし保護や防犯の観点から収蔵されてしまい、潜在化している。これらの造形資源のなかから鎌倉時代後期の仏像である十二神将立像の三次元データを取得し、三次元造形機で出力、その特性を活かした展示を行うことで、興味・関心を高め、ひいては内発的地域活性化を促すための指針と方策を導出することを目的とした。三次元データの活用として、普段触れないようなものでも触れるようになる、さまざまな角度から見ることができる、色付けが可能である、などの多数の利点が挙げられた。それらを踏まえて、仏像の魅力的な点を提示した新たな見方の提案、当時の極彩色で表現されていた仏像の再現、小松寺の仏像群で構成された立体曼荼羅の表現、を触れる展示として行った。最後に、本研究から得た知見として、このような取り組みは地域活性化への指針と方策になり得る。これらを地域の人が理解し、地域のなかで資源活用のために動くことで、内発的地域活性化につながることが期待される。
  • 王 甯, 張 夏, 孟 晗, 陳 雨, 張 慧, 松崎 さおり, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 322-322 2017年  最終著者
    「龍門司焼」とは、鹿児島県姶良市においてつくられている伝統的工芸品・薩摩焼の一種である。同地域にて300年以上の歴史を有しており、全ての材料が工房から半径4km以内で採取されたものしか使用していない。土地の豊かさの象徴であると同時に、職人たちの創意工夫の賜物であると言えよう。一方で、工房の奥には「ものはら」と呼ばれる焼き損じを集める場所がある。かつては、「ものはら」に集められた焼き損じの陶器は周辺地域の道の舗装や、窯の補修などに用いられ活用されてきた。しかし、現在ではそういった利用はほとんどされていない。<br>筆者らは、数年前から、龍門司焼の企業組合と協働して、毎年12月に開催される「陶器まつり」において、当該地域の陶器の端材・廃材の利活用に基づくものづくりワークショップを実施している。2016(平成28)年にあっても、焼き物の端材・廃材を使用しつつ、生活者自身の観察力・創造力を引き出し、生活創生に寄与する方法を検討し、「アクセサリーづくりワークショップ」を開催した。本稿は、同ワークショップの概要を報告するとともに、その効果を明確化することを目的とした。
  • 宮田 佳美, 郭 庚熙, 高木 友貴, 松崎 さおり, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 432-432 2017年  最終著者
    千葉市若葉区いずみ地区(図1)は、千葉市内でも豊かな自然に恵まれた地域である。人びとは江戸時代に整備された御成街道沿いの自然資源を活用しながら、土地を開墾し、生活を営んできた。現在では農業振興地域として指定されているものの、近年、ライフスタイルの変化や少子高齢化による、農業の担い手の高齢化や減少から、地域が立ち行かなくなる問題に直面している。<br>千葉市は、2000年(平成12年)に、農業・農村の振興を図るため、「いずみグリーンビレッジ構想」を策定し、これまでさまざまな地域振興のための取り組みを行ってきた。2015年度(平成27年)からは、千葉大学と連携し、グリーンビレッジ構想の3つの拠点である「都市農業交流センター」の内発的発展論に基づく効果的利活用について検討し、これまでの活動を踏まえた地域振興の在り方を検討することとした。そのなかで、地域のアイデンティティを効果的に共有するための、地域に即した交流センターのロゴマークおよび愛称を提案・共有化することを目指した。<br>本稿では、2015年度の活動を踏まえ、2016年度の活動ならびに、導出されたロゴマークおよび愛称を報告する。
  • 阮 将軍, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 64 434-434 2017年  最終著者
    本研究は、花瑶族の伝統的な葬儀とそれに関連する服飾を取り上げ、その使用状況によって形成された人間関係、家族関係などから、服飾の社会的役割を抽出することを目的とした。実物調査ならびに現地における聞き取り調査によって、花瑶族の葬送儀礼に用いられる174点の服飾を分類し、服飾と関連した所作を手掛かりに社会的役割を考察した。その結果、以下の知見を得た。(1)死装束、喪服、喪章の制作と使用は、孝悌の心を表し家族の連帯感を強化させる役割を果たしていた。(2)杯抱の燃やし、新婦服を死装束として死者に着せ、「来世」へ行っても、婚姻関係を継続する婚姻観を反映されるものと考える。また、生者の衣服から布を切り取って、死者の胸に置くことは、生者と死者は異なる境界にいても密接に繋がる。布を切り取った衣服は、死生観が反映され、生者と死者の絆づくりに欠かせない役割を担ってきた。(3)遺体にかける布や着せる死装束は、死者だけではなく、死者が代表する実家の尊厳と存在を表すものと考えられている。これらの服飾は、人や、家族との間に尊厳・存在を守り合う要求を表すものとして重要な役割を果たしていた。

講演・口頭発表等

 20
  • 呉 竹雅, 張 淑怡, 沈 恵園, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    本研究は、江戸時代からものづくりが盛んに行われてきた東京都墨田区を対象に、伝統的ものづくりを文化の側面から振興するための指針と提案を導出することを目的としたものである。文献調査により墨田区における伝統的ものづくりの歴史的文脈を概観したうえ、「長板中形」を対象に事例調査を行った。その結果、かつて当該地域内で「長板中形」の生産と使用のエコシステムが成り立っていたと考えられる。調査結果に基づき、墨田区における伝統的ものづくりの振興の指針として以下の三点を導出した。①身近にあるもの・人・ことといった資源の全体活用を志向する、②つくり手と使い手をより緊密に繋ぐ展開を志向する、③地域で伝統的ものづくりの製品の使い方を創出する機会を作る。
  • 陳 祉佑, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    近年の生活の変容を要因として、多くの歴史資産が急速に潜在化する傾向にある。この状況は、千葉県市原市においても例外ではない。当該地域は、養老川がもたらした肥沃な土地と緑豊かな山々に恵まれ、古くから、有形・無形のさまざまな資産が創出・継承されてきた。こうした地域にある大切な資源を再発見するとともに、後世へつなぐネットワークを構築することを目指して、2015(平成27)年、「市原歴史博物館」事業が始められた。同博物館においては、近年急速に発展・普及しつつあるデジタル造形技術をいかに導入するかの検討がなされている。 本研究は、市原歴史博物館事業における試行に基づき、地域博物館におけるデジタル造形技術の導入の可能性を見出すとともにそのあり方を明確化することを目的としたものである。 具体的事例として、実物が残されていない藤原式揚水機を取り上げ、さまざまな文献資料に基づきデジタル再現し、実験・検証を繰り返し、動作モデルを制作した。このプロセスの記述を通じて、以下の各点を明らかにした。 (1)デジタルデータは修正し易いことから、比較的柔軟に「復元」「保存」へのアプローチが可能である。その場合、頻繁に出力し検証するなど、学芸員らとの密な情報共有が重要である。(2)デジタルデータは共有し易いことから、地域資源を「共有」する有効な手段になり得る。(3)デジタルデータを出力するなどの「活用」を通して、実物が残されていない歴史資産の価値を高めることが可能である。なお、本研究においては、上述した知見に基づき、教育キットの提供を行い、その効果を確かめた。
  • 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    地域社会の自立・自律が求められる今日において、いかにして地域の文化を伝達・共有していくかは喫緊の課題である。本稿は、地域の生活者が参与可能な、デジタル時代における地域文化の発信・共有の場としての地域博物館の構築を目指す研究の一環である。 とりわけ本稿では地域博物館におけるデジタル造形機器を活用した展示器具の制作の事例を取り上げ、一連の活動から得られた知見ならびに課題を報告した。聞き取り調査・現地調査に基づき、地域の博物館における展示器具の不足に伴う展示の限界、収納庫のひっ迫等の課題を把握したのち、デジタル造形機器を活用した3点の展示器具の制作を行った。それらは、上記の課題に応えるものであったが、未だ①展示対象の大きさや重量における強度の限界の検証、②制作過程において放出される汚染物質量の検証等の必要性、③レーザー加工機をはじめとした一般的なデジタル造形機器で制作可能な仕様の検討等取り組むべき課題は少なくない。今後はこうした課題に取り組みつつ、本稿で制作したデジタルデータをはじめ、得られた知見を地域内で蓄積、共有するためのデジタル造形機器活用事例のアーカイブの構築等も視野に入れ、活動を展開したい。
  • 宮田 佳美, 李 月, 都 宥林, 沈 恵園, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 2022年 一般社団法人 日本デザイン学会
    千葉市若葉区いずみ地区において、「炭焼き小屋再生プロジェクト」を展開した。文献調査および現地調査を実施し、当該地域において炭焼き小屋が生活文化の形成において重要な位置づけにあったことが確認された。これを再生することにより、森林保全を行うだけではなく、地域づくりにつなげる活動へと展開することが重要といったことが参与者の間で確認され、任意団体が設立された。今後、炭焼き小屋の具体的な利活用方法について検討し、多くの人が地域づくりに参与できる体制づくりを行いたい。
  • 土屋篤生, 青木宏展, 植田憲
    アジアデザイン文化学会 第15回国際研究発表大会 概要論文集 2021年10月

共同研究・競争的資金等の研究課題

 15