大月 恵理子, 陳 東, 望月 良美, 安藤 みか, 柏原 英子, 森 恵美, オオツキ エリコ, モチヅキ ヨシミ, アンドウ ミカ, カシワバラ エイコ, モリ エミ, OTSUKI Eliko, CHEN Dong, MOCHIZUKI Yoshimi, ANDO Mika, KASHIWABARA Eiko, MORI Emi
千葉大学看護学部紀要 28 29-34 2006年3月
本研究の目的は,独自に開発した不妊治療中の女性ヘの看護介入ガイドラインを実践できる看護職者を育成するために,不妊看護研修会を企画・運営し,その成果を評価し,検討することである.不妊看護研修会は,現在不妊治療を行っている施設に勤務する,臨床経験3年以上の看護師・助産師を対象として,日本不妊看護学会などでの参加募集とあわせて研究協力依頼を行った.研修会参加に応募し,研究参加ヘの同意をした5名に対し,この看護介入ガイドラインを行うための知識と技術を修得することを目的とし,2回にわたり研修会を実施した.研修会の評価は,研修会の目的・目標に照らし,不妊看護における専門的価値と,看護介入ガイドラインの理解度,看護介入ガイドライン実施の自己効力感および基礎的情報について,データを収集した.データ収集方法は,文章完成法やvisual analog scaleを中心とする自記式質問紙法および参加観察法ならびにビデオ撮影・ICレコーダー録音を用いた.本報告では,自記式質問紙法の結果を中心に報告する.その結果,研修会参加者の専門的価値における「不妊看護実践における価値観」に関して,受身的な姿勢から対象者の認知にも積極的に働きかけようという変化が認められた.また,看護介入ガイドラインの実践についての自己効力感はVAS値で1回目研修会終了時を振り返ったものと2回目の研修終了時を比較すると平均35.8(28〜50)上昇した.以上より,研修会は,一定の成果が認められた.しかし,参加者のレディネスなどによって,専門的価値や,ガイドラインの理解度には個人差が多く認められ,今後の研修会運営上,配慮が必要である.