研究者業績

小川 玲子

オガワ レイコ  (Reiko Ogawa)

基本情報

所属
千葉大学 大学院社会科学研究院 教授
早稲田大学 訪問研究員
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター  境界研究 共同研究員
学位
国際学修士(上智大学)
MA Cultural Anthropology(ライデン大学)
満期退学(東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士後期課程)

J-GLOBAL ID
200901090369520382
researchmap会員ID
6000010067

経歴

 1

論文

 57

MISC

 35

主要な書籍等出版物

 31

講演・口頭発表等

 140

共同研究・競争的資金等の研究課題

 29

主要な社会貢献活動

 9

メディア報道

 54
  • 朝日新聞 2021年11月30日 新聞・雑誌
    イスラム主義勢力タリバンが権力を掌握し、混乱が続くアフガニスタン。現地で危険な状態に置かれたアフガン人を救おうと、千葉大学の教授がビザ取得などの支援を続けている。在日アフガン人も家族の安否を心配しているが、「命のビザ」の取得までの道のりは、とても厳しい。 タリバンが8月15日に首都カブールを制圧してから11日後。千葉大大学院の小川玲子教授(社会学)の携帯電話に、カブールにいる若い女性が泣きながら電話をかけてきた。日本にいる家族の知人を通じて、小川教授の連絡先を知ったという。 女性は少数民族で、タリバンとは異なる宗派であるため、狙われやすいという。女性は母親や姉妹らと生活するが、タリバンが怖くて外に出られない状況が続く。 女性は「タリバン政権であれば、多くの女性は教育や就労が認められない。殺される恐れもある。人生を終わらせたくない。タリバンの奴隷としてではなく、安全で平和で自由な社会で暮らしたい」と訴えた。 将来、大学でMBAを取得し、女性を支援するのが目標だといい、「たとえ危険であっても海外に行きたい」と、1時間ほど熱弁したという。驚いた小川教授は、女性の一家のために支援を始めた。 行政書士やNGOと連携し、対応を相談。カブールの日本大使館でビザの発給ができない状況だと知り、隣国パキスタンの日本大使館でビザを取得し、日本に渡航する計画を立てた。 パキスタンのビザ取得の手続きを行いながら、パキスタンや日本に渡るための旅行業者の手配や、パキスタンでの新型コロナのワクチン接種情報など、来日するための様々な情報も収集し、女性の一家に伝えた。 日本にいる家族と連絡をとり、日本のビザ取得に必要な大量の書類も集め、現地の一家に送った。 最大の壁は、日本の外務省からのビザが認められるかどうかだ。 国は9月時点で、新型コロナの水際対策として「特段の事情」がある場合を除き、アフガンなどからの新規入国を原則認めていなかった。そのため、小川教授らは9月上旬、今回の日本への退避は「特段の事情」にあたるとして、外務省に退避が必要な人のリストを提出し、ビザを要望した。 1カ月以上経ち、外務省からは、日本での勤務先や留学先を決めてからビザ取得の手続きをしてほしいとの返答を受けた。ただ、退避を求める女性の多くは、母国で受けた教育が限られており、留学先や就労先を見つけるのが、非常に困難な状態だという。 パキスタンのビザは10月に取得できたが、日本のビザが取得できない状況が続く。小川教授は「冬が来る前に、早く対応してほしい」と焦りも見せる。 小川教授は他にも、複数の家族の来日支援を行っている。日本政府に対し、「人道的な観点から、安全な退避や定住のための支援をする仕組みを作ってほしい。個人での支援では限界がある」と訴える。 日本にいる、女性の義兄は、タリバンがカブールを制圧してから、眠れない日々が続いたという。タリバンと敵対する過激派組織「イスラム国」の支部組織が犯行声明を出した、モスクの爆破事件が相次ぎ、今もニュースを見る度に気分が悪くなるという。 カブールにいる家族とは連絡を取っているというが、女性宅にもタリバンの集団が訪れたという。「銃はあるか」「若い男はいるか」「前の政権で働いていた人はいるか」と質問されたといい、家族はすごく怖がっていたという。 「たとえ日本にいても、タリバンが怖い。すごく危険な政府になってしまった。将来がどうなるか、いまは待つしかない」。家族の来日を待ち望んでいる。(伊藤繭莉)
  • 外国人特派員協会 2021年10月 インターネットメディア
  • TBSラジオ 荻上チキSession 2021年9月10日 テレビ・ラジオ番組
  • 毎日新聞 毎日新聞 2020年12月15日 新聞・雑誌
    千葉大の小川玲子教授(移民研究)は「大使館やJICAの現地職員や元留学生は日本に関わっていたことが理由で命の危険を感じている人たちだ。日本に定着してもらうためには日本語教育や住宅、就労、子供の教育などの支援が必要だが、こうした支援が不十分で、定住に向けたスキーム(構想)はほとんどが民間任せになっている。政府は退避者を日本に定住させるという覚悟がどこまであったのだろうか」と指摘。また、ロシアの侵攻を受け避難してきたウクライナ人に対しては自治体などの支援が進んでいる点に触れ「ウクライナ避難民と同様、アフガン人についてもビザの発給や受け入れ後の支援を明確化して、透明性のある制度を作るべきだ」と話す。