研究者業績

阪上 弘彬

サカウエ ヒロアキ  (Hiroaki Sakaue)

基本情報

所属
千葉大学 教育学部 准教授
学位
学士(教育学)(2011年3月 広島大学)
修士(教育学)(2013年3月 広島大学)
博士(教育学)(2016年3月 広島大学)

研究者番号
30791272
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0001-8941-1145
J-GLOBAL ID
201501005974479254
researchmap会員ID
B000245430

Dr. SAKAUE Hiroaki is an Associate Prof. for social studies education at Chiba University in Japan.


論文

 58
  • 渡部 竜也, 阪上 弘彬, 石川 照子, 草原 和博, 川口 広美
    教科教育学コンソーシアムジャーナル 2(1) 1-15 2024年6月30日  招待有り
    本稿では,「理解」に着目し,日本の教科の学習指導要領で出現状況等を確認するとともに,教科教育学コンソーシアムの加盟学協会の事典・用語集等における意味内容を比較した。その結果,次のような特徴が明らかになった。1)教科によって学習指導要領内での用語「理解」の登場回数,活用および研究者の「理解」という用語への問題関心には顕著な差異を確認できる。2)「理解」については,事典・用語集の次元で見るとブルームのタキソノミーに登場する「理解」の定義と同じ活用をする教科と,あえてドイツの精神科学から「理解」の考え方を重視する教科があり,前者は理科・保健体育科など自然科学系,後者は社会科など人文・社会科学系の教科に見られる傾向にある。 3)事典・用語集においてドイツの精神科学の「理解」の考え方を参照した教科では,その教科の学習指導要領において、人間への「共感的理解」を通して何らかの態度形成を求めるというアプローチが採用される傾向にある。特に社会科においてそれは顕著である。4)「共感的理解」が学習指導要領内で重視されていない教科では,事典・用語集においても「理解」はブルームの定義がそのまま採用される傾向にある。理科などがその典型である。
  • 由井 義通, 阪上 弘彬, 横川 知司, 潘 意涵, 原田 歩, 劉 暁一, 沈 彧磬, 王 莹, 木村 海斗, 首藤 慧真, 村上 正龍, 徐 敏諾, 田渕 雄一朗, 溝口 雄介, 森 俊輔, 高 亦揚
    学校教育実践学研究 30 19-26 2024年3月15日  
  • 阪上 弘彬, 山下 義史, 清水 優菜, 徳島 祐彌, 殿岡 貴子, 清遠 和弘, 永田 智子, 森山 潤
    日本教育工学会論文誌 advpub 2023年5月20日  査読有り筆頭著者
    本研究では,JANG and TSAI(2012,2013)がTPACKの概念に「文脈に関する知識」(Context Knowledge)を付与し開発したContextualized TPACK尺度の日本語版を,中学校教員向けに作成し,妥当性を検証した.邦訳した項目を用いて中学校教員615名に調査を実施した.MESSICK(1995)に基づき,尺度の構造的,内容的,一般化可能性,外的側面に関する証拠を検討した結果,TPCKCx(文脈におけるテクノロジーと関わる教育的内容知識),PCKCx(文脈における教育的内容知識),CK(内容に関する知識),TK(テクノロジーに関する知識)からなる日本語版Contextualized TPACK尺度の妥当性が確認された.また,担当教科や情報担当経験等の属性による差異を検討したところ技術・家庭科教員のTPCKCxとTKなど一部に有意差が認められたもののPCKCxやCKには教科間の顕著な差は認められなかった.これに対して情報担当経験のある教員では,経験のない教員に比べて全ての下位尺度の水準が有意に高かった.
  • 阪上 弘彬
    社会科教育研究 (146) 73-85 2022年9月  査読有り招待有り筆頭著者
  • SUENAGA, Takuya, SEKI, Hirokazu, SAKAUE, Hiroaki
    The Journal of Social Studies Education in Asia 11 17-32 2022年9月  査読有り招待有り
    This research aimed at designing a lesson plan in elementary social studies that enhances interactivity by utilizing information and communications technology (ICT). Taking into consideration that lessons created along with students and ICT-based elementary social studies classes enhance students’ learning, and based on the features of iPad, applications, and Zoom, a lesson for the fifth grade—called “Agriculture in Japan-Smart Agriculture in Yabu City, National Strategic Special Zone”—was designed. To clarify the actual situation pertaining to ICT utilization in the classroom, the lesson plan was examined from the perspectives of “information gathering,” “information examination/thinking,” and “reflection.” Information gathering enabled searching the Web for supplementary/additional materials using learning content-related keywords, and also helped share information and enhance teaching materials. Information examination/thinking enabled the use of map-based applications to improve reading skills. Zoom also enabled interaction with persons mentioned in the learning and teaching materials. This way, students could apply their learning beyond the classroom to the real world. LoiLoNote, a class-support application, helped organize thoughts on cards. Like a portfolio, students were able to build a learning history on their own. All these made instant sharing of classmates’ learning possible. Thus, utilizing ICT contributed to upgrading teaching and learning style and designing elementary school social-studies lessons to enhance interactivity.
  • 徳島 祐彌, 清水 優菜, 阪上 弘彬, 山下 義史, 清遠 和弘, 永田 智子, 森山 潤
    教育情報研究 38(1) 3-14 2022年7月31日  査読有り
  • 由井義通, 熊原康博, 阪上弘彬, 佟亜斎藤娜, 横川知司, 藩意涵, 孟瑜, 陶子, 岩佐佳哉, 原田歩, 劉暁一, 沈彧磬, 鄧竹珂, 清水優生, 住谷侑也, 近沢菜々子, 中村光希, 王莹
    学校教育実践学研究 28 121-128 2022年3月  
  • 山下義史, 清水優菜, 徳島祐彌, 阪上弘彬, 清遠和弘, 永田智子, 森山潤
    兵庫教育大学研究紀要 60 187-195 2022年2月  
  • 南埜猛, 松尾陽平, 阪上弘彬, 大津留麻代, 村上恵美
    兵庫教育大学研究紀要 60 111-124 2022年2月  
  • Takumi Watanabe, Hiroaki Sakaue, Yu Osaka, Ryosuke Okada
    Geographical review of Japan series B 94(2) 49-64 2021年12月  査読有り
    This paper is a systematic review of scholarly articles published in Japan from 1989 to 2019 that discuss instruction regarding the formation of spatial cognition in the context of elementary school social studies. This study aims to examine the trends, transitions, and challenges of this field of research and clarify the backgrounds of these studies. Based on the results of the review, four research themes were determined: “objectives, principles, and curriculum,” “lesson design,” “maps and globes,” and “learning assessment.” For the continued development of this field, we assert the need for further research into (1) the construction of a lesson model that encourages participation in community development and its actual practices based on children's formation of their worldview; (2) collaboration between researchers and teachers to investigate actual situations and obstacles to teaching and propose strategies for teacher competence development based on evidence; and (3) assessment of the relationships between geography, geography education, and social studies, and consideration of curricula and learning instruction with respect to the formation of children's spatial cognition, via collaboration among researchers involved in these fields.
  • 關 浩和, 山内 敏男, 福田 喜彦, 阪上 弘彬, 東宇 孝浩, 伊藤 文彬, 石飛 彰太, 末永 琢也
    兵庫教育大学学校教育学研究 (34) 39-50 2021年11月  
    本アイテムは、リポジトリシステムの更新に伴い、2022年3月以降URLが変更になります。引用時にはご注意ください。
  • 福田 喜彦, 森 秀樹, 阪上 弘彬, 藤春 竜也, 橘 理美, 安永 修
    兵庫教育大学学校教育学研究 (34) 23-34 2021年11月  
    本アイテムは、リポジトリシステムの更新に伴い、2022年3月以降URLが変更になります。引用時にはご注意ください。
  • 泉村 靖治, 徳島 祐彌, 阪上 弘彬, 池田 匡史, 山本 真也, 坂口 真康, 内海 友加利, 花輪 由樹
    兵庫教育大学学校教育学研究 (34) 177-188 2021年11月  
    本アイテムは、リポジトリシステムの更新に伴い、2022年3月以降URLが変更になります。引用時にはご注意ください。
  • 森山 潤, 和田 直久, 殿岡 貴子, 徳島 祐彌, 阪上 弘彬, 永田 智子
    教育メディア研究 28(1) 33-44 2021年9月  査読有り
    学習者用デジタル教科書の普及・活用のための教員研修デザインに向けて,学習者用デジタル教科書の機能に対する教員の活用期待を構造的に把握した。小・中学校教員計1,264名を対象に,学習者用デジタル教科書の計25機能に対する活用期待を調査し,因子分析を行った。その結果,F1「付加的な情報アクセス・制御機能」,F2「紙面の視認性向上機能」,F3「紙面への書き込み機能」,F4「文章読み上げ機能」の4因子が抽出された。抽出された因子のうち,指導者用デジタル教科書の使用経験がある教員はF4の水準が,小学校教員は中学校教員よりF2,F4の水準がそれぞれ高かった。
  • 由井 義通, 阪上 弘彬, 村田 翔, 横川 知司, 潘 意涵, 陶 子, 岩佐 佳哉, 藤村 大智, 頼富 収吾, 原田 歩, 藤岡 柚衣, 劉 暁一, 耿 静文, 沈 彧磬, 奥村 尚, 玉井 慎也, 真崎 将弥, 渡邉 竜平, 鄧 竹珂, 安藤 瑛啓, 村田 一朗, 王 莹
    学校教育実践学研究 (27) 39-47 2021年3月19日  
    In Britain, the volume of "Regional Geography" was decreased in "the National Curriculum". The aim of this paper is to cralify the contents of "Regional Geography" in Britain. We analyzed the geographical school textbook "Geog 4th edition" by Oxfor University Press. We find that "Geog" has only 2 or 3 case studies in each grade. The students don't learn all of the world in geographical class. That is because it is important to learn the geographical skill.
  • 津多 成輔, 徳島 祐彌, 泉村 靖治, 阪上 弘彬
    日本教育大学協会研究年報 39 15-26 2021年3月  査読有り
  • 永田 智子, 小川 修史, 掛川 淳一, 阪上 弘彬, 徳島 祐彌, 福井 昌則, 森広 浩一郎, 森山 潤, 𠮷水 裕也
    兵庫教育大学研究紀要 : 人間発達教育専攻 特別支援教育専攻 教育実践高度化専攻 附属学校園 (58) 31-38 2021年2月  
  • 福田 喜彦, 阪上 弘彬, 安永 修, 藤春 竜也, 橘 理美
    兵庫教育大学学校教育学研究 (33) 9-18 2020年11月  
  • 阪上 弘彬
    兵庫教育大学学校教育学研究 (33) 105-112 2020年11月  筆頭著者責任著者
  • 關 浩和, 山内 敏男, 福田 喜彦, 阪上 弘彬, 𠮷水 裕也, 伊藤 文彬, 東宇 孝浩, 安永 修, 森 清成, 小寺 研
    兵庫教育大学学校教育学研究 (33) 25-35 2020年11月  
  • 阪上 弘彬
    人文地理 72(3) 245-248 2020年10月  査読有り招待有り筆頭著者責任著者
  • 阪上 弘彬
    兵庫教育大学研究紀要 57 195-205 2020年9月  筆頭著者
    稿は,日本の中学校に相当するイギリスおよびドイツの中等教育前期における地理教科書geog.,TERRA Erdkunde,Diercke Erdkundeの分析から,地理における「持続可能性/持続可能な開発」の考え方の位置づけ,その指導を明らかにするものである。 教科書の分析から4点が明らかになった。1つが「持続可能性/持続可能な開発」の考え方はカリキュラムレベルでは示されず,教科書レベルでも,本文中で必ずしも説明されるわけではないが,「持続可能性/持続可能な開発」の状態を説明したモデル図が提示されていることである。2つが「持続可能性/持続可能な開発」について,環境,経済,社会の3つの領域から捉えるモデル図が用いられていることである。3つが,環境,経済,社会の3領域を踏まえて,開発による影響あるいは人々の行動を分類したり,事象を説明したりする学習活動が設定されていることである。4つが,「持続可能性/持続可能な開発」の考え方を学ぶことを位置づけた単元は,各教科書で差異があることである。「持続可能性/持続可能な開発」の考え方を学ぶに際しては,3領域の関係性を認識したり,3領域から分析したり,判断したりすることが意図されている。このことより,イギリスおよびドイツの地理では,「持続可能性/持続可能な開発」の考え方を活用し,実際に持続可能なのか否かを分析したり,判断したりできる能力を養おうとしている。 一方,本稿の課題として,分析対象とした教科書の数の少なさが指摘できる。分析対象を増やし,事例研究を続ける必要がある。それにより,「持続可能性/持続可能な開発」の考え方を学ぶ汎用的な方略を示すことができると考える。
  • 池田 匡史, 徳島 祐彌, 津多 成輔, 坂口 真康, 泉村 靖治, 阪上 弘彬, 山本 真也
    兵庫教育大学研究紀要 57(57) 95-108 2020年9月  
    稿は,中堅教員に求められる資質・能力を再検討し,社会改造主義の立場を手がかりとしたリフレクション研修の具体像を探ることを目的としたものである。中堅教員には,個人の専門性の伸長だけでなく,学校運営を円滑に進められるような組織マネジメントの面が求められており,近年の中堅教員研修ではこの面が重視されているとの声がある。ただし,これらはどちらも重要な側面である。その中で近年,主には教員個人の力量の伸長に向け,教員研修の場において,リフレクションに関する取り組みが数多く展開されてきている。しかし,これに対しては,社会的な文脈への視点の希薄さが問題にされることもあり,教員個人の発達のみを見据えるのではなく,社会的アクターの役割を担う教員としてのリフレクションの重要性が指摘されている。しかしながら,それら2つのリフレクションの考え方を両輪のように駆動させることのできる研修の具体像は十分に蓄積されているとはいい難い。このような現状に鑑み,本稿ではそのような研修の具体像を構想した。さらに,同じ方向性のもとで構想し,2019 年度に実施した中堅教員研修の事例から,社会的文脈への視点が含まれていた受講者の学修の成果を取り上げ,考察を加えた。その結果,ここで構想した研修が,受講者にとって,社会的文脈を踏まえた教育実践の構想への志向を生むために有効である可能性が示唆された。本稿で構想した中堅教員を対象とした研修を実施し,受講者の学修に即して成果の検証をすることが今後の課題である。
  • 阪上 弘彬, 渡邉 巧, 大坂 遊, 岡田 了祐
    人文地理 72(2) 149-161 2020年6月  査読有り筆頭著者責任著者
    欧米の地理教育・社会科教育では近年,古典的な地理情報システム(GIS)教育の代替案として提案された「空間的な市民性教育(Spatial Citizenship Education;以下 SCE)」が注目されている。本稿では文献研究を通して,欧米の地理教育・社会科教育における SCE の研究動向および特質を明らかにする。SCE では,空間,場所,スケール,権力,そして人間―環境関係といった地理の概念が重視されるとともに,社会的な意思決定プロセスに参加できる市民の育成が目指されている。その際に重要とされるのが地理空間情報や GIS をはじめとするジオメディアである。具体的な取り組みに関しては,初等・中等教育におけるジオメディアを用いた学習だけでなく,地理教師のためのコンピテンスや研修カリキュラムといった教師教育に関するものもみられた。SCE の動向の検討から,日本の地理教育・社会科教育においても,地理学者・地理教育の専門家と社会科教育の専門家によるそれぞれの専門性を踏まえた SCE 研究,教師教育の推進が不可欠である。
  • 川端 光昭, 阪上 弘彬
    土木学会論文集H(教育) 76(1) 25-34 2020年3月20日  査読有り
    土木の社会的役割・責任を理解した土木技術者の育成のためには,専門科目を学習する初期段階からシティズンシップの醸成を視野に入れた授業カリキュラムの展開が必要である.本稿では,高等専門学校の低学年を対象に,土木と地理が連携したモビリティ・マネジメント教育の実践内容を報告するとともに,この学習成果を分析し今後の授業展開に向けた知見を得ることを目的とする.学習成果の分析の結果,学生は地理で事前に学習した知識を土木分野の具体的社会問題(本稿で言えば岐阜市へのLRTの導入是非)に対応づけて考察できていることを確認した.一方で,交通計画や都市計画に関する専門知識の習得が進めば賛否態度が変容すると思われる思考過程も確認できたことから,学習段階(学年)に応じたカリキュラム設計が今後の課題と言える.
  • 阪上 弘彬
    兵庫教育大学研究紀要 56(56) 209-218 2020年2月  筆頭著者最終著者
    本稿の目的は,日本の地理教育における地理に関連した「資質・能力」の在り方や学習の連続性に関する議論のための基礎資料を提供することである。そのために,初等教育スタンダードの『事実教授の展望枠組み』および中等教育スタンダードの『ドイツ地理教育スタンダード』の検討から,初等教育・中等教育を通じてどのような地理的コンピテンシーの育成を目指しているのかを明らかにする。ドイツの初等地理学習は,子どもの生活空間を中心に,世界を知り,わかり,世界のなかで自己の位置が理解でき,行動できる子どもの育成を,中等地理学習では多様な空間スケール・性質をもつ空間における「人間―環境」関係を理解し,それを踏まえて新たな空間を(再)構築できる能力をもった子どもの育成を目指している。2つの教育スタンダードでは,「人間―環境」関係にかかわるコンピテンシー(教科専門),地図コンピテンシーを含む空間定位に関するコンピテンシー(空間定位),地理的認識を獲得するための調査方法を含む方法に関するコンピテンシー(認識獲得/方法)がどちらにも提示されていた。一方でこれらコンピテンシー領域の内容(スタンダード)を初等教育・中等教育で比較した場合,次の相違点が指摘できる。「教科専門」に関して,初等教育では人間や人間の環境に対する関わりという点から空間の在り方を理解するのに対して,中等教育は人文地理学,自然地理学,「人間―環境」関係の視点から空間を理解することを求めている。「空間定位」では,初等教育は地図の基本的な読み方や地図の活用が意図されている。対して中等教育では,読図と活用に加えて,主題図の作成やGISの活用が加わっている。さらに「認識獲得/方法」に関しては,初等教育では子どもが直接体験・調査できる身近な場所(地域)を対象に観察方法や情報の収集を学ぶのに対して,中等教育ではフィールド調査だけでなく,文献調査も含めて地理的に探究したり,情報を収集したりすることを学習の意図としている。 地理学習における初等教育と中等教育の連続性を考えるにあたっては,地理学習の入り口である初等教育段階での地理学習の在り方に関する議論もまた深める必要があると思われる。
  • 南埜 猛, 森 清成, 阪上 弘彬, 𠮷水 裕也
    兵庫教育大学学校教育学研究 32(32) 33-41 2019年11月  
    プロジェクトは,2017・18年に告示された学習指導要領を前提としたESD実践の検討を目的とし,ESDの授業プランをPDCAサイクル適用により開発・構築するものである。本稿では,Do段階で開発した加古川流域を事例とする授業プラン(小学校第5学年社会科)とその授業実践にかかわってのCheck段階ならびにAction段階について報告した。効果検証の方法としてカテゴリー分析とESDの視点からみた分析を加え,そこから見出された課題とその課題に対する改善案を提示した。さらに学校教育におけるESDの視点を取り入れた流域学習の今後の展望を示した。
  • 福田 喜彦, 阪上 弘彬, 安永 修, 藤春 竜也
    兵庫教育大学学校教育学研究 32(32) 43-52 2019年11月  
    研究の目的は,クロスカリキュラムを活用して「共生」の視点から生徒の見方・考え方の発達的変容を明らかにすることである。本研究で対象としたのは地理的分野と公民的分野を学習する生徒である。特に,「共生」の見方・考え方を育成するために,以下のリサーチ・クエスチョンを設定し,オリンピック・パラリンピックを事例とした授業実践を分析した。 ?クロスカリキュラムを活用した中学校社会科の各学習分野の授業モデルをどのように計画することができるのか。 ?「共生」の視点を育成する地理的分野と公民的分野の学習内容をどのように開発し,実践することができるのか。 ?生徒が??の学習成果を踏まえて,「人権」や「環境」をどのように「共生」と結びつけることができるのか。 地理的分野と公民的分野の2つの授業事例を比較し,「共生」の視点をフレームワークとする生徒の見方・考え方がどのように変容したのかを分析した結果,公民的分野の授業では,「人権」と「共生」,地理的分野の授業では,「環境」と「共生」の視点を結びつけた見方・考え方をオリンピック・パラリンピックの学習から生徒が習得できたことが明らかとなった。
  • 關 浩和, 𠮷水 裕也, 山内 敏男, 福田 喜彦, 阪上 弘彬, 森 清成, 伊藤 文彬, 柴田 映里, 安永 修, 藤春 竜也, 橘 理美, 小寺 研
    兵庫教育大学学校教育学研究 32(32) 53-62 2019年11月  
    研究は,社会科授業開発を通して,児童が,未来をデザインするための資質・能力形成のあり方を探るものである。本研究を始めるにあたり,次の仮説を立てている。(1)未来をデザインする資質・能力形成は,社会科授業における有意味なコンテクスト(脈略)で学んだ概念を基にしたものの見方や考え方が,資質・能力の基本となるものである。(2)未来をデザインする資質・能力形成の方法は,体験的活動とそれに基づく表現活動による分析的な探究活動を通して形成されるものである。(3)未来をデザインする資質・能力形成で得られるものは,社会における諸課題に対して既存の知識を統合して新たな知識として創造できるものである。 上記の仮説に基づき,今年度は,第5学年単元「日本の工業生産(自動車)」の開発・実践を行った。2030年という未来社会を想定し,その時代に走る車の機能や役割をイメージし,三木市緑が丘地区の自動運転を活用しての町づくりにおいて,資質・能力形成の有効性が,未来予想図案作成や振り返りシートのポートフォリオ的評価により明らかになった。
  • 阪上 弘彬, 渡邉 巧, 大坂 遊
    兵庫教育大学学校教育学研究 32(32) 173-182 2019年11月  筆頭著者責任著者
    イツの初等教育における地理学習は,現実世界に気づき,わかり,そのわかり方(調査方法)を学んだりするだけでなく,空間への関わり方を省察させている。また,持続可能な開発(nachhlatige Entwicklung)の視点から空間を捉えることを視野に入れたものである。事実教授スタンダードの『事実教授の展望枠組み(Perspektivrahmen Sachunterricht)』では,中等教育における教科への接続および子どもの生活世界の経験への接続を保障するために,5つの視点が設定されている。その1つが地理的視点(geographische Perspektive)である。地理的視点は自然現象,「人間−環境」関係や地理的スケールといった地理学的特徴のみから構成されるのではなく,子ども自身がもつ生活世界に対しのイメージや経験といった要素を含むものであった。加えて地理学習の方向性は,「思考・活動・行動方法(DAH GEO)」および「テーマ領域(TB GEO)」によって規定されていた。とりわけ「テーマ領域」は地理の視点にとどまるものではなく,社会科学や歴史,自然科学的視点といった他の視点と結びつけて学習されることが意図されていた。
  • 阪上 弘彬
    地理科学 74(3) 107-115 2019年10月  査読有り招待有り筆頭著者責任著者
    <p>本稿は,新学習指導要領における「地理総合」を中心に,他国の地理カリキュラムおよびユネスコ等が示す国際的なESDに関する指針の検討を踏まえ,地理学習における「システム(思考)」の観点について報告するものである。</p><p>地理学習の目標として,「持続可能な社会づくりの担い手づくり」を視野に入れ,地理的事象を人文と自然の観点からシステム的に捉える地理学習が目指されている。さらに,ESDへの取り組みを視野に入れた場合,システム思考の育成も同時に学習目標に位置づけることができる。</p><p>上述の学習目標に対応した学習において学習内容の中心となるのが,自然システムと社会―経済システムに関するものである。そして,その理解に基づいた持続可能性に関する,あるいはSDGsに関連する諸問題の解決に向けた学習活動である。地理的な見方や考え方,その中でも人間と自然環境との相互依存関係,空間的相互依存作用に着目して地理的事象を捉えて,考察するという学習過程の中に,「システム(思考)」の観点が含まれていると考えられる。すなわち,システム思考の育成という学習目標からみた場合,地理学習の過程ではシステム思考を育み活用できる土壌があると考えられる。</p>
  • 阪上弘彬, 村田翔
    兵庫教育大学研究紀要 55 141-151 2019年9月  筆頭著者責任著者
    近年頻発する自然災害を受けて,防災教育に対する取組はますます活発になった。本稿は文献研究を通じて,阪神淡路大震災および東日本大震災の2つの災害を視点に,日本の学校教育における防災教育の展開の特徴について整理することを目的とする。防災教育は現代諸問題を扱う他の教育課題とのつながりが強く,近年では安全教育や今日注目されるESD(持続可能な開発のための教育),SDGs(持続可能な開発目標)といった国際的に展開される教育と結びついて展開されていることが多い。また歴史的にみれば,日本の防災教育の取組や方向性は常に変化してきた。学習指導要領に関しては,防災教育が盛り込まれる教科あるいはそれに関する内容の記述量には時代毎に大きな変化があった。日本では学校教育における防災教育の推進を支援するために,学習指導要領を含めた制度・枠組み作り,そしてこれらに関する研究が盛んになされてきた。その一方で,学校教育において防災教育を担う教員に関する研究は,上述の取組や研究に比べると依然として少ない状況にある。防災教育を担うことのできる教員の養成および研修の充実,これらに関連する研究は,今後の防災教育を進めるうえで重要な課題である。
  • 森清成, 南埜猛, 阪上弘彬, 吉水裕也, 安永虎吉, 石井瑛之, 松岡茉奈
    兵庫教育大学研究紀要 55 153-164 2019年9月  
    本プロジェクトは,新学習指導要領を前提としたESD実践の検討を目的とし,ESDの授業プランをPDCAサイクル適用により開発・構築するものである。本稿ではDo段階として,小学校社会科を対象にした授業プランの開発過程と授業実践について報告する。授業プランの開発にあたっては,水教育を推進しているProjectWETInternationalFoundationとプロジェクトWETジャパンに着目し,そこで提案された学習活動(アクティビティ)をもとに加古川流域を事例とした。その授業プランにもとづいた授業の実施とふり返りまでの過程を対象とする。まずProjectWETInternationalFoundationとプロジェクトWETジャパンの概要ならびに両組織が作成した流域ガイドブックの内容について整理した。流域ガイドブックが学校教育との関係が強く意図されていることに注目した分析を行い,その特徴の一つとして,個々のアクティビティが複数の教科にまたがっており,教科横断的な学習の可能性をみいだした。また提案されたアクティビティは,それぞれの流域固有の事象にもとづく活動ではなく,汎用性のあるものであることを指摘した。国交省の地方整備局が作成している「河川整備計画」などを用いて,加古川流域の概要をまとめ,教材開発にあたっての基礎的知識を整理した。本稿では,プロジェクトWET「木曽川流域版ガイドブック」作成検討委員会監修(2014)で示された12のアクティビティから,「木曽川のできごと・今,昔」を取り上げ,「加古川のできごと・今,昔」の開発を試みた。教材であるシナリオカードについて,詳細に分析し,加古川版教材作成のための基本を確認した。その上で,本プロジェクトの新たな工夫として,シナリオカードの構造化とESDの視点を加えた。以上の検討を踏まえ,具体的な授業プランを作成し,2018年9月14日,兵庫教育大学附属小学校において,第5学年社会科で授業を行った。授業者のふり返りでは,シナリオカードを用いることで子どもたちの学習意欲を喚起できた点や,小縮尺の流域図を用いたことによって俯瞰的に見ることができた点が評価された。一方,産業と加古川とのつながりについての話し合いが極めて感覚的な推論で留まり,根拠が乏しい議論となってしまったという課題も指摘された。
  • 由井義通, 阪上弘彬, 村田翔, 横川知司, 潘意涵, 佟亜斎娜, 安倍成美, 池田葵, 倉本尚, 岩佐佳哉, 池田直樹, 植野裕行, 冨田大智, 藤村大智, 頼富収吾
    学校教育実践学研究 25 59-66 2019年3月  
  • 阪上弘彬, 南埜猛, 吉水裕也
    兵庫教育大学研究紀要 54(54) 193-201 2019年2月  
    本プロジェクトは, 新学習指導要領を前提としたESD 実践の検討を目的とし, ESD の授業プランをPDCA サイクル適用により開発・ 構築するものである。本稿ではPlan 段階の検討を報告する。具体的には, 学習指導要領におけるESD の位置づけとESD 実践の対象および学習活動地域について, 取り扱う諸問題(諸課題・ 戦略的視点) や地理教育での位置づけの諸点から言及する。考察の結果, 以下のことが明らかとなった。学習指導要領におけるESD の位置づけについては, ESD の理念が新学習指導要領の中核に位置づけられていること, 社会系教科のほとんどの学年でESD にかかわる内容が明示的に示されたこと, ESD にかかわる学習が段階的・ 系統的に配置されていることを明らかにした。 ESD 実践の対象および学習活動地域については, 流域に焦点をあてて検討した。流域はESD 実践において有効な素材であることを示した上で, ESD 実践における4 つのポイント(持続可能な社会の社会基盤, コンビテンシー獲得, 未来志向, 持続可能な社会の創り手) を指摘した。
  • 阪上弘彬, 川端光昭
    E-journal GEO 13(2) 549-559 2018年12月  査読有り
    近年,地理と土木の連携が注目されており,また土木技術者の育成において地理を学ぶことの重要性が指摘されている.本稿の目的は,高等専門学校(以下,高専とする)における地理と土木が連携したモビリティ・マネジメント教育(以下,MM教育とする)の学習単元開発・実践を示すこと,およびそれを踏まえて高専地理が土木と連携してMM教育に取組む意義について示すことである.岐阜市におけるコンパクトシティ構想を題材に,政策提案者の立場から,LRT導入の影響を持続可能な開発の観点から判断し,交通政策を提案する学習単元を開発し,実践した.開発・実践を踏まえて,地理が土木と連携してMM教育に取組む意義として,土木技術者の育成と公民的資質の涵養双方に貢献できる点,地理の学習成果が土木の学習においても活用できることを学生に気付かせることができる点,街づくりをより実社会のやり方に即して学習することができる点を指摘した.
  • 阪上弘彬, 空健太, 久保田圭司
    岐阜工業高等専門学校紀要 (53) 13-18 2018年3月  筆頭著者責任著者
    This study aims to elucidate the concept of“sustainable development,”the core idea of Education for Sustainable Development( ESD). It also aims to clarify the characteristics and possible use of the models of sustainability/sustainable development in school education by analyzing them from the viewpoints of ecology/nature, economics, and society. The results of the analysis are as follows: 1)the concept of “sustainable development” makes people aware of how they should participate in a society or the world; 2)based on various opinions and interpretations of sustainable development, there are diverse models that demonstrate the conditions of sustainable development; and 3)the models can be utilized in a lesson as a thinking tool to visualize conflicting interests and backgrounds regarding an issue, and to adjust conflicting contentions or values in order to solve a problem.
  • 阪上弘彬
    地理科学 72(4) 209-222 2018年2月  査読有り筆頭著者責任著者
  • 阪上弘彬
    学習システム研究 (5) 125-132 2017年3月  筆頭著者責任著者
    本稿では,2016 年7 月2 日および5 日に広島大学学習システム研究センター主催で行われた講演会「アメリカの教育改革と学校教育の再設計-シカゴ大学実験学校の21 世紀型学習-」におけるロブ・レイ教諭の発表「小学校のクラスにおける社会科の統合」および同教諭の編著本Homework Done Right: Powerful Learning inReal-Life Situations をとりあげ,「統合カリキュラム」,「統合カリキュラムとしての社会科の学習内容」,そして「教室と社会・生活をつなぐ学習」の3 つの視点から報告・紹介するものである。<br /> 3種類の統合カリキュラムの中でも,健全型統合は,子どもの達の社会やコミュニティにおける生活や経験をもとにした社会科の内容や考え方だけでなく,読みや計算の力の活用もまた求めており,社会に関する学習やよい市民の育成が,社会科の枠,時には学校での学習を超えて行われるものであることを示していた。また編著本所収の宿題「選挙人登録により拡大する民主主義」における学習・課題は,子どもたちの「主体的・対話的で深い学び」の保障をするものであった。
  • 阪上 弘彬, 村田 翔, 由井 義通, 杉谷 真理子, 佟 亜斎娜, 中村 勇介, 橋本 訓典, 今井 貴秀, 氏原 秀, 兒玉 泰輔, 茂松 郁弥, 竹下 紘平, 陶 子, 潘 意涵, 山本 稜, 横川 知司, 吉川 友則, 劉 思純
    広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 65(2) 45-52 2016年12月  筆頭著者責任著者
    In this study, we have analyzed the English geography textbook “Collins Primary Geography”, in order to clarify the characteristics of geographical contents in primary school. Results of this study are as follows: age (grade)-appropriate teaching through different process of leaning (awareness, understanding, cognition and value judgement) and physical, human, environmental geography and topography as a content. However, there are no contents across physical and human geography, one of the features of geography, in the textbook.
  • 由井 義通, 村田 翔, 阪上 弘彬
    広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 65(2) 37-44 2016年12月  
    Environmental education in elementary school in Japan is defined as “Moral Education” by the national curriculum. However, environmental education is one of the most important contents in geographical education. This study aims to clarify the contents in elementary geography in the United Kingdom by analyzing the elementary geographical textbook, in order to develop the basic environmental geographical education. And also we want to know how to educate environmental study in elementary school and how to improve it, from the view point of ESD (“Education for Sustainable Development”). Analyzed the elementary geographical textbooks, we find that it is effective for environmental education in UK to use various activities. All geographical textbooks foster problem solving abilities by using geographical activities and rearing scientific thinking.
  • 阪上弘彬
    E-journal GEO 11(2) 401-414 2016年11月  査読有り筆頭著者責任著者
    本研究ではドイツ・ニーダーザクセン州ギムナジウムを事例に,ESD(持続可能な開発のための教育)の視点を入れた地理カリキュラムおよび学習の構造ならびに特質を明らかにするために,同州中等地理カリキュラム『コアカリキュラム』ならびに教科書TERRA Erdkundeを分析した.分析結果から,カリキュラムならびに教科書の特質として,学習プロセスに対応して持続可能性および持続可能な開発を反復して学ぶ構造となっていることと,持続可能性および持続可能な開発のもつ価値観を,所与のものとして学習を展開しない構造が明らかとなった.この分析により,日本の地理教育におけるESDの学習にとって,多様な学習プロセスを通じて,ESDの学習を繰り返し学ぶ地理カリキュラム作成,および持続可能な開発の起源あるいは概念を学ぶ機会を設定する必要があることを指摘した.
  • 阪上弘彬
    広島大学 2016年3月  査読有り筆頭著者
  • 草原和博, 岡田了祐, 渡邉巧, 大坂遊, 阪上弘彬, 岩下真也, 上嶋智江, 小川征児, 木坂祥希, 魏思遥, 佐々木拓也, 辻本成貴, 寺嶋崇, 山田健司, 杠拓哉
    学校教育実践学研究 22 181-192 2016年3月  
    The purposes of this paper are to develop the draft of handbook for planning, teaching and accessing the class of social studies and evaluate effects of the handbook for teacher training and their professional development. The structure of the first draft was designed based on Kolb&#039;s learning theory.The present results suggested that the usefulness of the contents structure was perceived by (1) pre-service teachers and (2) in-service teachers, and the possibility for application was also recognized by the teacher educator as (3) university professor who teach methods courses, (4) senior supervisor who is in charge of designing the professional development programs and (5) younger supervisor who is in charge of tutoring the novice teacher, but they illustrated their different types of the significances, limits and utilization according to their purposes and as well as their responsibility. The authors implicated the alterative design of the handbook based on Korthagen&#039;s reflective learning model for meeting their purposes and solving the structural problems inherit in the handbook.
  • 由井義通, 阪上弘彬, 村田翔, 杉谷真理子, 亜斎娜, 魏思遥, 後藤雄大, 都築宏幸, 孟瑜, 鎌田祥子, 鎌田祐介, 迫有香, 中村勇介, 橋本訓典, 藤本理志, 復本真利江
    学校教育実践学研究 22 79-88 2016年3月  
    The purpose of this study is to clarify the aims, contents and activities of education for disaster prevention on geographical education in England, by analysis of secondary textbooks. Thereby, we want to contribute the improvement of Japanese geographical education. As a result, we clarified the following: 1) when students study a natural disaster in UK, they learn a plurality of cases including domestic and foreign regions, 2) all textbooks contain activities that students can form attitudes and decide what to do for disaster prevention. On the basis of these results, we suggest improvements of education for disaster prevention. The first is to develop a clear understanding of a natural disaster with multi-area including Japan. The second is to place contents and activities for forming a value relevant to awareness of disaster prevention into Japanese geography textbook. The third is to set an activity to learn practical strategies for disaster prevention in the real world.
  • 阪上弘彬
    広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 64(2) 17-25 2015年12月  査読有り筆頭著者責任著者
    The purpose of this paper is to clarify how Education for Sustainable Development (ESD) plays important roles in the reformation of geographical education. In this study, I analyzed the past and current conditions of geographical education with regard to ESD. Since geographical education was introduced in schools, it has seen various turning points and improvements. Geographical education has always emphasized its value in each society and nation as a means of helping students understand the world, contribute to global understanding, and improve their local communities. Because the aim of geographical education, including its contents and function, is to interconnect the natural and social sciences, geography makes a significant contribution to sustainable society. Recently, ESD or its concepts have been built into geography curricula. I clarified the following: 1) geographical education is strongly influenced by ESD, because geographical education has a close relationship with the educational policy of UNESCO and 2) the educational conditions of each area have various impacts on geographical education.
  • 阪上弘彬
    社会科教育研究 126 38-48 2015年12月  査読有り筆頭著者責任著者

MISC

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  • 阪上 弘彬
    日本地理学会発表要旨集 2024s 168 2024年  
    1.はじめに 地誌学習は小学校から高校に至るまでどのような連続性のもとで構成され,また地誌学習は何のために,何を,どのように教えられるべきか.上記の問いを考えるため,本発表ではドイツの地理カリキュラムの実態を報告する.なお発表では,ラインラント=プファルツ州(以下,RP州)における初等・中等地理カリキュラム(Ministerium für Bildung, Wissenschaft, Weiterbildung und Kultur RP, 2015, 2021, 2022)を取り上げる. 2.ドイツの地理教育における地誌学習 地理教育では地誌に相当する用語は主に地域地理Regionalgeographieが用いられ,「地球表面の特定の部分空間または国家,州,州の一部もしくはより広い関連ある空間ないしは文化的部分のような社会的空間構造の研究および説明」を意味している.また中等地理教育を対象とした『ドイツ地理教育スタンダード』(DGfG 2017)では,コンピテンス領域「空間定位räumliche Orientierung」において地誌に関連した知識や技能のスタンダードが設定されている. 3.初等教育および中等教育における地誌(的)学習 初等では地誌的学習は,統合的教科の事実教授Sachunterrichtの中に位置づけられる.初等の地誌的学習の方向性としては,現実,仮想,私的,公的空間Raumの相違点,特徴的な空間的事象の把握を通じて空間を探検,気づく,その中での自身の位置がわかること,が示される. RP州では中等教育前期と後期を通じて地理,歴史,日本の公民的分野に相当するゾチアルクンデSozialkundeが統合された教科が採用される.前期中等教育において5/6学年では特に空間的体系,7/8学年では地図コンピテンスと空間認知,9/10学年では空間認知と空間構築が中心となり地誌学習が設計される.一方後期中等教育では,地球的課題をテーマにカリキュラムが構成され,地誌に直接かかわる学習領域は設定されていない.しかしながら,事例空間やそのスケール選択において偏りが出ないような配慮がなされている. 4.暫定的な結果 初等教育から中等教育にかけてドイツの地理教育は,「人間―環境関係に気づき,分析し,評価する,そしてこれに基づく空間に関連した行為コンピテンスを発展させ,実行に移すことができる人物の育成」(Hemmer 2013, S.99)を目指す.その中で地誌(的)学習は,初等教育では空間を学ぶことに関する導入的な学習,前期中等教育では学年が進行することに空間を認知・構築する学習が重視され,後期中等教育においては地誌に関わる学習は設定されていないが,事例空間の選択肢を示すことで学習で扱う空間に偏りが出ないようになされている.またカリキュラムの連続性については,①同心円的拡大よりもさまざまな空間およびそのスケールの選択,②コンピテンス志向による各学校段階で重視される学習目的および学習プロセスの違い,などが見受けられた.
  • 阪上 弘彬
    学校教育 (1270) 112-115 2023年10月  招待有り筆頭著者

主要な書籍等出版物

 15
  • 関浩和, 吉川芳則, 河邊昭子 (担当:分担執筆, 範囲:持続可能な社会に向けた社会系教科教育研究の成果と展望)
    風間書房 2024年3月 (ISBN: 9784759925050)
  • 兵庫教育大学連合大学院・防災教育研究プロジェクトチーム (担当:分担執筆, 範囲:第3章1 中等社会系教科における防災学習の動向ー3.11後の研究を対象にしたシステマティックレビューー)
    協同出版 2021年3月 (ISBN: 9784319002566)
  • 地理教育システムアプローチ研究会編, 山本 隆太, 阪上 弘彬, 泉 貴久, 梅村 松秀, 河合 豊明, 中村 洋介, 宮﨑 沙織 (担当:編者(編著者), 範囲:国際地理学連合・地理教育委員会とユネスコの指針にみるシステムの考え方)
    古今書院 2021年3月
  • 阪上弘彬
    古今書院 2018年2月 (ISBN: 4772253068)
    本書はESD先進国であるドイツ連邦共和国の地理教育を対象に,地理教育改革においてESDが果たす役割を明らかにする。日本学術振興会出版助成図書。書評紹介:荒井正剛先生(東京学芸大)『地理』63(7)、2018;田部俊充先生(日本女子大)『社会科教育研究』、134、2018;永田成文先生(三重大)『社会科研究』、89、2018、西脇保幸先生(横浜国立大・名誉)『地理学評論』、92(1)、2019;吉水裕也先生(兵庫教育大)『社会系教科教育学研究』、30、2018

講演・口頭発表等

 92

担当経験のある科目(授業)

 20

所属学協会

 12

主要な共同研究・競争的資金等の研究課題

 13

社会貢献活動

 2

その他

 1
  • 2024年2月
    本文献リストは、「社会系教科ではESD実践に関わる研究はどのようなテーマのの下で、何が明らかにされてきたのか」というリサーチ・クエスチョンのもとで実施したシステマティックレビューにより特定されたレビュー対象35件の書誌情報、テーマ、研究目的、方法等を整理したものである。 書籍名:『レリバンスの構築を目指す令和型学校教育』 章タイトル:第Ⅳ章 令和型学校教育を創る新たな開発視点、 節タイトル:第5節 持続可能な社会に向けた社会系教科教育研究の成果と展望 なおダウンロード用のパスワードは註(3)に記載しています。