生稲 直美, 潤間 励子, 吉田 智子, 齊川 郁子, 藤本 浩司, 齋藤 佳子, 大渓 俊幸, 長尾 啓一, 今関 文夫
CAMPUS HEALTH 50(2) 51-56 2013年5月
平成17年4月の学校保健法施行規則改正により、結核の有無の検査は大学の第一学年において行うことと改められた。しかし、本学ではその後も在学生全員を検査対象としてきた。平成22年に国立大学法人保健管理施設協議会が「胸部X線検査のあり方」で健康診断時における胸部X線検査対象学生に関する案を示したことを受け、本学においても、平成23年度からその案に沿うかたちに変更した。今回は、平成23年度の現状調査第1報を踏まえて行った平成24年度の胸部X線検査の省略とその結果について検討した。一般定期健康診断受診者10,111名(受診率66.9%)のうち胸部X線検査受検者は7,638名で省略者は2,473名(24.5%)であった。受検者のうち要医療の判定で医療機関へ紹介された者は13名、うち活動性結核と診断された者は2名であった。前年度胸部X線検査有所見者の今年度受診率は83.3%(20名/24名)であった。外国人留学生の胸部X線検査受検率は45.0%(441名/980名)と低かった。今後は、要医療の学生の検査漏れを防ぐため、1)学生全体、特に外国人留学生の定健受診率の向上、2)問診項目の工夫、3)有症状者が確実に胸部X線検査を受ける仕組みを作ること、が重要と考えられた。(著者抄録)