樹木生理のひとつである“自発休眠”について、リンゴやニホンナシを対象に研究をしています。自発休眠は樹木が冬季の低温下で生存するために、自ら成長を停止させる生命現象です。成長を再開(=開花)させるためには一定時間の低温にさらす必要がありますが、この低温時間は遺伝的に決まっています。私は樹木がこの低温時間をどのように感受・記憶しているのかについて、遺伝子制御の観点から解析をしています。特にエピジェネティクス制御、ヒストン修飾(Plant Cell Environ. 2015)やクロマチンリモデリング(Plant Mol. Biol.2017)に注目して解析しています。最近は“小さな”人工知能(AI)を活用したクロマチンリモデリングの解析により、自発休眠を制御する遺伝子配列の探索を行っています(Tree Physiol.:2024)。またリンゴの培養細胞系を応用してシャーレ上で自発休眠に関する遺伝子を制御する技術の開発も始めています。
加えてブドウやリンゴ果実の成熟(着色や香り成分)制御について、植物工場をにおける環境制御を活用ししつつ、次世代シークエンサーから得られる遺伝子ビックデータに基づき、特にアブシシン酸などの植物ホルモンの観点から研究も行っています(Hort. J. 2024: Hort. J. 2022: Acta Physiol. Plant. 2019: Plant Gene 2018:詳細は【こちら】からご覧いただけます)。ブドウの香りついての知見は、醸造への利用を着目したにプロジェクトとして進めており、シャインマスカットを使ったエールビールなどの製品開発につながりつつあります。
【TOPIC】松戸キャンパスで"シャインマスカット"ビール造りへ挑戦!
【CHIBADAI NEXT】気候変動に左右されない果実のデザインで世界へ!~特別な日を彩るオーダーメイドワイン用のぶどう開発に挑む
【研究室の最新情報】@CU_kajyu_2023
【兼務機関・千葉大学内】植物分子科学研究センター / 環境健康フィールド科学センター / 宇宙園芸研究センター(園芸学研究院附属)