東京湾盤洲干潟の後背湿地帯にみられるヨシ原において,植物生育,土壌性質,地形について調査し,それぞれの関係を検討した。その結果,植生におけるヨシ(Phragmites communis Trin.)とアイアシ(Phacelurus latifolius(Steud.)Ohwi)の構成比や植生地上部の植物量は,土壌の塩分と酸化還元電位の影響を受けることが示された。これは,ヨシとアイアシの塩分と嫌気状態に対する耐性の程度の相違により説明される現象であると推測された。また,土壌の塩分と酸化還元電位は,地盤の高さにより変化していた。これらのことから,ヨシとアイアシの生育は地盤の高さによって間接的に規定されていると考察された。