研究者業績

高橋 輝昌

タカハシ テルマサ  (Terumasa Takahashi)

基本情報

所属
千葉大学 大学院園芸学研究院園芸環境科学講座 准教授
学位
博士(農学)(東京農工大学)

J-GLOBAL ID
200901028850047669
researchmap会員ID
1000221991

1968年 新潟市出身。1996年 東京農工大学大学院連合農学研究科 資源・環境学専攻(博士課程) 修了。博士(農学)。1996年 千葉大学園芸学部 採用され、現在に至る。主な専門は生態系生態学、緑化工学、造園学。これまで山岳地の森林から里山、都市域の公園、海辺の干潟まで、様々な緑地を対象に、植栽基盤の性質、改良、および緑地の物質循環特性の解明に取り組んできた。フィールドワーク大好き。常に「いま行っている教育・研究がどのように現場に応用され、役に立つのか」を考えるように心がけている。


経歴

 4

論文

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  • 市川 隆子, 高橋 輝昌, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 32(1) 154-158 2006年8月31日  
    ミミズを用いた土壌改良についての基礎的知見を得るために,圃場試験地においてミミズを土壌に添加することによる土壌の化学的・生物的性質の変化を調査した。地表の落葉中で見つかった表層性ミミズと,地中で見つかった地中性ミミズでの土壌改良効果の違いや,地温の影響について検討した。その結果,特に地中性ミミズの添加により、微生物活性の増加が大きく,表層性ミミズよりも大きな土壌改良効果を得られることが示唆された。また,夏季の地温上昇を抑制することで,土壌水中の硝酸イオン濃度が高い状態で維持されたことから,ミミズによる微生物の活性化に地温が影響を及ぼすことが示唆された。
  • 高橋輝昌, 吉田亮, 井上政義, 小柳倫生, 中野裕司
    日本緑化工学会誌 32(1) 50-55 2006年8月31日  
    木材チップ材に副資材として下水汚泥コンポストを添加したときの堆肥化特性をバーク堆肥の堆肥化特性と比較した。木材チップ材に下水汚泥コンポストを添加して堆肥化させることで,炭素濃度の減少や窒素濃度の増加がバーク堆肥よりも顕著であった。木材チップ材由来の堆肥では,堆肥の湿度がバーク堆肥よりも高めに推移した。下水汚泥コンポストを副資材に使うことで,交換性Mgの割合が多くなり,また,塩基飽和度が低くなった。木材チップ材に発酵鶏糞や尿素を添加して堆肥化すると,下水汚泥コンポストを添加した堆肥化と比べてCECや堆肥の温度が低く推移し,微生物の活動が不活発になると推察された。これらのことから,木材チップ材を堆肥化させるときの副資材には下水汚泥コンポストが適していると考えられた。
  • 白 龍, 高橋 輝昌, 小林 達明, 張 興昌, 邵 明安, 神近 牧男
    日本緑化工学会誌 31(1) 87-91 2005年8月31日  
    中国黄土高原北部の半乾燥地に位置する中国科学院西北水土保持研究所の神木試験地において, 退耕還草地の中から25m^2の調査区を50ヶ所設置して, 植生調査を行い, 土壌炭素・窒素及びFDA加水分解活性を測定し, 微生物による有機物分解能力の把握を試みた。その結果, 土壌炭素量・窒素量は植生量と正の相関関係にあり, FDA加水分解活性は土壌炭素量と高い正の相関関係にあった。したがって, 微生物活性は植生の発達にともない高くなると考えた。FDA加水分解活性は土壌pHの上昇, 土壌の硬化によって低下していた。
  • 市川 貴大, 岡部 紀宏, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    森林立地 47(1) 21-27 2005年  
    樹種の違いが土壌の微生物の量および活性に及ぼす影響を,斜面位置(上部,中部,下部)ごとに明らかにした。調査地には,同一斜面上に尾根から沢すじまで,ヒノキとスギが隣接して植栽されている。ヒノキ林の土壌深O-10cmにおける糸状菌数,放線菌数,微生物バイオマス炭素量,微生物活性は,斜面位置にかかわらずスギ林に比べて1.1〜3.9倍であった。斜面下部のヒノキ林の土壌深O-10cmにおける一般細菌数は,スギ林に比べて約2.6倍であった。リターの滞留時間(A_O層量/年間リターフォール量)は土壌深O-10cmにおける細菌数と有意な負の相関関係にあり,斜面下部のヒノキ林で特に短かった。特に斜面下部のヒノキ林では糸状菌だけでなく,一般細菌によっても,リターの分解が促進されていると推察された。
  • 石井 匡志, 高橋 輝昌, 荻野 淳司, 原 和久
    日本緑化工学会誌 30(1) 320-323 2004年8月31日  
    少量のチップ材を短期間で堆肥化する手法の検証を目的とし,未分解のチップ材に完成した堆肥(種菌)を10%または30%加え切返しの間隔を24時間とする区と,種菌を30%加え切り返しの間隔を1週間とする区で,堆肥化過程を比較した。種菌添加量の増量と,短期間(4週間)での集中的な切り返しによって堆肥化は促進された。また,種菌を減量させても比較的短期間での堆肥化は可能と考えられた。
  • 清水 良憲, 高橋 輝昌, 小林 達明, 浅野 義人, 犬伏 和之
    日本緑化工学会誌 30(1) 199-204 2004年8月31日  
    渚の保全と再生に際し,底質における亜酸化窒素(N_20)の大気への放出ないし吸収の量を考慮することは重要である。東京湾の複数の渚において,底質表面のN_2Oフラックスと環境諸因子を測定した。その結果,調査サイトによって,放出傾向もしくは吸収傾向のN_20フラツクスが観測された。このN_20フラックスの正負に影響する環境因子を検討するため,諸因子について重回帰分析をおこなったところ,海水のpH,底質粒径,抽水植物密度,底質温度が影響していることが示された。また,同一海水の影響下では,N_2Oフラックスはより嫌気的な状態の底質で吸収に傾く傾向を示した。
  • Ichikawa, T, Takahashi, T, Asano, Y
    Korean Journal of Ecology 27(4) 217-224 2004年  査読有り
  • 小林達明, 野田泰一, 鈴木奈津子, 稲田陽介, 清水良憲, 桑原茜, 高橋輝昌
    日本緑化工学会誌 29(1) 62-67 2003年8月31日  
    東京湾内の主な自然渚・人工渚におけるマクロベントスの種と個体数さらに海水・底土等の性質を2001年夏に一斉に比較調査した。種組成による主成分分析の結果底生動物群集は前浜・河口・潟湖という基本的なハビタットタイプによって規定されていた。いっぽう自然渚・人工渚といった人為的関与の類型による違いは明らかでなかった。主成分得点を環境要因によって重回帰分析した結果,海水の化学的酸素要求量と塩分量および底土のシルト・クレイ率が主要な規定要因だった。しかし同じ前浜ハビタットでも,湾口部と湾奥部では生物相が異なり,水域の影響があることを示した。カニ相は潮間帯のヨシ群落の発達状況とシルト・クレイ率および潮上帯の植生空間の豊富さにより規定されていた。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society 85(3) 222-233 2003年8月16日  
    本研究の目的は樹種の違いが養分動態特性および土壌養分特性に及ぼす影響を斜面位置 (上部,中部, 下部) ごとに明らかにすることにある。本調査地では同一斜面上に尾根から沢すじまでスギとヒノキが隣接して植栽されている (スギ林, ヒノキ林) 。本研究では, 鉱質土壌の化学的性質, A0層とリターフォールの乾重および養分含有量,林外雨, 林内雨による養分供給量, および生態系外への流亡した養分量をスギ林とヒノキ林で斜面位置ごとに比較した。スギ林の有機物の回転率 (A0層量/年間のリターフォール量) はヒノキ林に比べて斜面上部および中部でほぼ同じであり,斜面下部で約3倍であった。斜面下部のヒノキ林では可給態養分の植物への供給量はスギ林に比べて同等かまたはそれ以上であったが, 生態系外 (根系以深) への養分流亡量も多かった。斜面下部のヒノキ林ではスギ林に比べて樹木の生育が劣ることから, 林分の養分吸収量が少ないことが養分流亡量を増加させる原因と考えられる。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 28(3) 448-450 2003年2月28日  
    イオン交換樹脂(IER)は緑地生態系内の養分動態に関する研究に用いられているが, IERの乾燥に伴うイオン吸着能の低下が懸念されている。そこで本研究では, IERによる雨水中の養分イオン量を簡易測定するための基礎的研究として, IERの乾燥がイオン吸着能に及ぼす影響について検討を行った。その結果, IERにおけるイオンの吸着量は重量含水率51.9%から1.4%への減少にかかわらず低下しなかった。このことから, IERは乾燥状態に置かれても十分溶存イオンを吸着する能力を有し, 雨水中の養分イオン量の簡易測定に使用可能であることが示唆された。
  • 曽我 一成, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    芝草研究 32(1) 70-71 2003年  
  • 市川 貴大, 山口 倫之, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    森林立地 45(2) 81-87 2003年  
    本研究目的は,ヒノキおよびスギ人工林化による土壌の全炭素(C)量の変化の原因を明らかにすることにある。調査地は落葉広葉樹天然林伐採後に人工造林されたヒノキおよびスギ林(針葉樹林)と,天然更新した広葉樹林が同一斜面上に成立した森林である。針葉樹林の斜面上部にはヒノキが(ヒノキ林),斜面下部にはスギが(スギ林)それぞれ植栽されている。本研究では,斜面位置ごとにC動態を広葉樹林と針葉樹林の間で比較した。土壌深0-30cmにおける全C量は斜面上部のヒノキ林では広葉樹林の約0.6倍,斜面下部のスギ林では広葉樹林とほぼ同じであった。土壌中のバイオマスC量,土壌呼吸速度,微生物の加水分解酵素活性,セルロース分解能,窒素無機化量は斜面上部のヒノキ林では広葉樹林の0.3〜0.5倍,斜面下部のスギ林では広葉樹林の0.6〜1.3倍であった。これらの傾向は概ね土壌の全C量を反映していた。落葉のC無機化速度は斜面上部ではヒノキ落葉で広葉樹落葉の約1.2倍,斜面下部ではスギ落葉で広葉樹落葉の約0.8倍であった。このことから,ヒノキ落葉は斜面上部の広葉樹落葉より無機化されやすく,土壌中に有機物を蓄積されにくいこと,スギ落葉は斜面下部の広葉樹落葉より無機化されにくく,土壌中に有機物を蓄積されやすいことが考えられた。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    森林立地 45(1) 35-42 2003年  
    ヒノキおよびスギ人工林化による養分動態特性の変化が土壌養分特性を変化させる機構を明らかにすることを目的に,落葉広葉樹天然林(広葉樹林)と同一斜面に隣接した広葉樹林を伐採して造成されたヒノキおよびスギによる人工林(針葉樹林)において,リターフォールの乾重および元素含有量,林害雨,林内雨による養分供給量,および生態系外へ流亡した養分量を調査し,斜面位置ごとに広葉樹林と針葉樹林間で比較した。斜面上部のヒノキ林では広葉樹林に比べて土壌深0-30cmにおける全C量は約0.6倍で,リターフォールによるC供給量は約0.9倍であることから,ヒノキ林の土壌では有機物が無機化されやすく,蓄積しにくい可能性が示唆された。斜面下部のスギ林では広葉樹林に比べて土壌深0-30cmにおける全C量はほぼ同じであったが、リターフォールによるC供給量は約0.8倍であることから,スギ林の土壌では有機物が無機化されにくく,蓄積しやすい可能性が示唆された。斜面上部のヒノキ林ではAo層を通過して鉱質土壌に供給されるK^+量は広葉樹林の約0.4倍であった。斜面下部のスギ林ではAo層を通過して鉱質土壌に供給されるCa^<2+>量は広葉樹林の約2.1倍であった。土壌深0-10cmの交換性K量と土壌深0-30cmの交換性Ca量は鉱質土壌に供給されるK^+,Ca^<2+>量と有意な正の相関関係にあった。このことから,鉱質土壌に供給されるK^+,Ca^<2+>量が土壌の交換性塩基量に影響を及ぼしていた。
  • 高橋 輝昌, 伊藤 香那子, 野口 敬記, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 28(1) 263-266 2002年8月31日  
    植物性発生材を粉砕して土壌に敷きならし,土壌改良材として利用するための基礎的知見を得るために,植物性発生材の粒径(長さ)と,敷きならされた植物性発生材への窒素肥料の添加が,植物性発生材の分解特性,土壌の化学性,植物生育に及ぼす影響について調査した。植物性発生材の粒径が小さいほど植物性発生材中の易分解性有機物の分解と苗木の生育が促進され,土壌の酸が中和された。植物性発生材への窒素肥料添加によって,微生物による植物性発生材の分解活性が高まり,土壌中の有機物含有量が増加した。過剰な施肥は苗木の生育を阻害した。植物性発生材への施肥量は植物性発生材のC/N比を20程度にする量より少なくするべきである。
  • 清水 良憲, 桑原 茜, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 28(1) 313-316 2002年8月31日  
    東京湾盤洲干潟の後背湿地帯にみられるヨシ原において,植物生育,土壌性質,地形について調査し,それぞれの関係を検討した。その結果,植生におけるヨシ(Phragmites communis Trin.)とアイアシ(Phacelurus latifolius(Steud.)Ohwi)の構成比や植生地上部の植物量は,土壌の塩分と酸化還元電位の影響を受けることが示された。これは,ヨシとアイアシの塩分と嫌気状態に対する耐性の程度の相違により説明される現象であると推測された。また,土壌の塩分と酸化還元電位は,地盤の高さにより変化していた。これらのことから,ヨシとアイアシの生育は地盤の高さによって間接的に規定されていると考察された。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 27(4) 623-626 2002年5月31日  
  • 曽我 一成, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    芝草研究 31(1) 10-11 2002年  
  • 齋藤 紘文, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    芝草研究 31(1) 8-9 2002年  
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    森林立地 44(2) 15-22 2002年  
    迅速,簡易であるFDA加水分解活性法を用いた微生物活性の測定法を我が国の森林土壌に適用させるための一事例として,同一地質の微生物活性の異なる土壌を用いてFDA濃度の改変および測定条件について検討した。FDAの発色を波長490nmでの吸光度(A_<490>)で表した。その結果,A_<490>は0.25g乾土相当の生土をとり,pH7.6の0.06Mリン酸ナトリウム緩衝液を20mL加えたのち,FDA溶液を1.0mL程度加え,直ちに25℃の恒温器内で30分間振とうした後,直ちにアセトン20mLを加え,No.3のろ紙でろ過し,ろ液の490nmでの吸光度を測定することにより求められる。これにより測定されたA_<490>は微生物バイオマス炭素量や土壌呼吸速度,糸状菌数,有機物分解能などを反映していた。これらのことから,A_<490>は森林生態系内における分解者としての微生物活性を示す指標になるものと考えられる。
  • 市川 貴大, 深澤 文貴, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    森林立地 44(2) 23-29 2002年  
    ヒノキおよびスギ人工林化による土壌の養分特性の変化を明らかにすることを目的に,落葉広葉樹天然林伐採後に人工造林されたヒノキおよびスギ林と,天然更新した広葉樹林が同一斜面上に成立する調査地において,A_0層の乾重および養分含有量,鉱質土壌の化学的性質を調査した。針葉樹林の斜面上部にはヒノキが(ヒノキ林),斜面下部にはスギが(スギ林)それぞれ植栽されている。本研究では,斜面位置ごとに調査結果を広葉樹林と針葉樹林において比較した。ヒノキ人工林化によって土壌深0-30cmにおける交換性塩基量に違いは見られなかった。スギ人工林化によって土壌深0-30cmにおける交換性塩基量は隣接する広葉樹林に比べて多く,特に交換性Ca量は約1.9倍であった。土壌深0-30cmにおける全C,N量,CECは斜面上部のヒノキ林では広葉樹林に比べそれぞれ約0.6,0.6,0.8倍であったが,斜面下部のスギ林では広葉樹林とほぼ同じであった。A_0層量は斜面位置にかかわらず,広葉樹林で約7.1Mg/ha,ヒノキ林とスギ林では共に約9.5Mg/haであった。本調査地のA_0層のC/N比は広葉樹林に比べて針葉樹林で高かった。各調査区のA_0層中の元素含有量と土壌深0-30cmの全C,N量および交換性K,Ca,Mg,Na量の関係について検討したところ,Caについてのみ有意な正の相関関係がみられた。スギ人工林化によってA_0層中に蓄積されたCaの影響を受けて交換性Ca量が増加していると推察された。
  • 高橋 輝昌, 新井 麻里子, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 27(2) 448-453 2001年11月30日  
    樹木由来の各種植物性発生材(チップ材, ソメイヨシノ, クスノキ, クロマツそれぞれの枝葉部と幹部)の化学的性質, 分解・無機化特性を調査し, それらの関係について検討した。また, 無機態窒素(N)や無機態マンガン(Mn)をチップ材に添加することによる分解・無機化の促進効果についても検討した。チップ材の養分含有量は幹部よりも枝葉部に多く, クスノキ枝葉部でもっとも多かった。土壌に混入されたチップ材からの二酸化炭素発生量(C無機化量)は概ねチップ材のC/N比やC/P比と負の相関関係にあった。分解初期(土壌への混入後50日間)のチップ材のC無機化量は無機態N添加によって増加したが, 無機態Mn添加の影響を受けなかった。無機態N添加によるC無機化促進効果は, チップ材のC/N比が高いほど大きかった。野外(地表)に設置されたチップ材の重量は, 枝葉部では設置後の積算地温とともに減少したが, 幹部では微生物によるNの有機化によってC/N比が低下してから減少した。チップ材の重量減少はC/N比, C/P比といった化学的な性質の影響を強く受けていた。
  • 高橋輝昌, 生原喜久雄, 峰松浩彦
    日本緑化工学会誌 27(2) 430-435 2001年11月30日  
    皇居東御苑の二の丸に雑木林を造成する際に, 森林土壌の表層部をできるだけ攪乱せずに造成緑地に移植する表土移植工法が採用された。二の丸雑木林に移植された表層土壌が, 造成後約10年間でどのように変化したのかを検討するために, 土壌の理化学的性質を二の丸雑木林と表土採取地の雑木林(武蔵野林)で比較した。二の丸雑木林土壌は武蔵野林土壌と比べてpHが高く, 炭素および窒素濃度が低く, 交換性塩基濃度が高かった。これらの原因の一つとして造成地周囲からの粉塵の影響が考えられた。二の丸雑木林土壌の化学的性質の変化は植生や土壌生物の組成・数に影響を及ぼすと考えられ, さらに調査していく必要がある。
  • 高橋 輝昌, 伊藤 梓美, 三星 暢公, 桑原 茜, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 27(1) 320-323 2001年8月  
    土壌に敷きならされた様々な植物性発生材(チップ材)の分解特性とその敷きならしが土壌の化学的性質と苗木の生育に及ぼす影響について調査した。チップ材の分解はチップ材の初期のC/N比だけでなく、チップ材の形状の影響も受けるようであった。チップ材の分解に伴うチップ材のC/N比の減少と土壌中の無機態窒素量の減少から, 土壌中の無機態窒素の有機化の可能性が示唆された。チップ材を敷きならした土壌では苗木の生育と葉中N濃度の減少が認められた。以上のことから, チップ材敷きならしが土壌中の無機態窒素の有機化を引き起こし, 苗木の生育を阻害することが示された。
  • 桑原 茜, 三星 暢公, 伊藤 梓美, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 27(1) 316-319 2001年8月  
    植物性発生材(チップ)の分解特性と, 敷き均しが土壌に与える影響を把握するために, チップとその下の土壌の化学的変化を調査した。その結果, 堆積しているチップ層の厚さ, C量, N量, 及びCO_2放出量は敷き均し後の時間とともに減少していた。C/N比は20ヶ月後に有機物資材腐熱の基準である20以下になった。チップを敷き均し続けることで, 土壌への可給態養分の含有量が増加し, 土壌の微生物活性が高まり, 腐植量及びCECが増加した。また, 敷き均し後の時間の経過に伴う土壌からのCO_2放出量の減少から, 多くの難分解性のCが土壌中に固定されると考えられた。よって, 剪定枝葉を焼却せずにチップ化して敷きならし続けることで, CO_2放出量が削減され, 土壌状態が改善され植物にとって良好な植栽基盤が形成されていくことが期待できる。
  • 三星 暢公, 伊藤 梓美, 桑原 茜, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 27(1) 312-315 2001年8月  
    近年循環・リサイクル社会の考えから都市緑地から排出される剪定屑などを粉砕して利用する動きが広まっている。本研究では, 植物性発生材の粉砕材(チップ材)の分解は原料のチップ材のC/N比の他, チップの分解者である微生物の増殖と温度, 含水率の影響をうけていることがわかった。これらの諸要因を重回帰分析で評価したところ, チップの分解には温度による影響(標準偏回帰係数:0, 58)がもっとも大きかった。
  • 市川 貴大, 高橋 輝昌, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology 26(4) 337-342 2001年5月31日  
    有機物を比較的多く含むわが国の森林土壌の土壌微生物活性をFDA加水分解活性法を用いて測定するための測定条件について検討した。また, FDA加水分解活性法の測定結果 (A490) をセルロース分解能と比較し, FDA加水分解活性法の有効性について検討した。その結果, SCHN&Uuml;ER and ROSSWALL (1982) の方法を一部改変し, 緩衝液100mlに対して土壌試料の量を乾重で5g以下とし, FDAの反応時間を30分にすることで, わが国の森林土壌にFDA加水分解活性法を適用できるものと考えられた。また, 得られた.A490は年間を通じてほぼ一定であり, 土壌問のセルロース分解能の大小関係を概ね反映していた。このことから, 測定時期に関わらず, 1回のA490の測定によって, 土壌の相対的な微生物活性を概ね明らかにできると推察された。
  • 高橋 輝昌, 御代田 泉, 綛谷 珠美, 浅野 義人, 小林 達明
    ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture 64(5) 521-524 2001年3月30日  
    火山灰起源の森林表土の植栽基盤としての有効性について検討するため,比較的浅い表土(表土(浅)),比較的深い表土(表土(深)),心土,比較的浅い表土と心土の混合土壌,施肥した心土(施肥土)で土壌の化学性と植栽された苗木の生育を比較した。施肥土の無機態窒素含有量と電気伝導度は施肥直後には他の土壌を上回ったが,急激に減少し,3ケ月後には他の土壌と同等になった。施肥土の苗木は1年目にはその他の土壌より良好に生育したが,2年目にはほとんど生育しなかった。表土(深)の苗木の生育は表土(浅)よりも劣り,心土とほぼ同等であった。表土(浅)での苗木の葉の高い光合成速度と比較的低い呼吸速度が苗木の安定的な生育の原因と推察された。
  • 曽我 一成, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    芝草研究 30(1) 42-43 2001年  
  • 深堀 真大, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    芝草研究 30(1) 134-135 2001年  
  • 高橋 輝昌, 深堀 真大, 浅野 義人
    日本緑化工学会誌 26(2) 154-158 2000年11月30日  
    芝生地へのシロツメクサの混植による粗放的管理方法について検討するために, ノシバのみで造成された芝生地と, ノシバとシロツメクサを混植した芝生地において, 刈り高を2.5cmと5.0cmの2段階に設定し, 土壌中の無機態窒素量, 土壌酸度, 刈り込み後のノシバ, シロツメクサの再生量と雑草の発生量を調査した。調査期間は1998年7月から10月である。シロツメクサの混植によって土壌中の無機態窒素量は増加した。土壌pH(H_2O)はいずれの調査区でも6.0〜6.8であった。刈り高2.5cm区では, ノシバ・シロツメクサ混植区のノシバの再生量は, ノシバ単植区よりも少なかった。刈り高5.0cm区では, ノシバ・シロツメクサ混植区のノシバの再生量がノシバ単植区よりも多かった。ノシバ・シロツメクサ混植区のシロツメクサの再生量は刈り高5.0cm区では一定に保たれたが, 刈り高2.5cm区では減少し続けた。雑草発生量は全植生の再生量の1割以下であり, 刈り高2.5cm区よりも刈り高5.0cm区で少なかった。以上の結果から, ノシバによる芝生地では, シロツメクサを混植し, 刈り高を5.0cm程度にすることでシロツメクサの施肥効果を維持しながら, 雑草の発生もある程度抑制できるといえよう。
  • 高橋 輝昌, 新井 麻里子, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 25(4) 631-632 2000年5月20日  
  • 篠原 明日香, 林 佳貴, 小林 達明, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    日本緑化工学会誌 25(4) 373-378 2000年5月20日  
    岩盤のり面緑化のために適切な立地区分を行い, 適当な樹種を抽出するため, 房総低山地に出現する軟岩のり面30ヶ所の植生調査を行い, 植生の成立条件と構成種の生活形態を多変量解析により明らかにした。数量化I類により植生成立条件を解析したところ, 日当たり, 地形, 斜面方位が植生の成立に大きな影響を与えていた。主成分分析により, 植物組成はのり面内ののり肩, のり腹, のり尻という微立地に強く規定され, 外部要因や遷移段階の影響は小さかった。また, クラスター分析により成立植物群落の生活型組成を解析したところ, 岩盤のり面ののり腹には低木で種子サイズが小さく, 葉のサイズは小型の樹種が適していると考えられた。
  • 高橋輝昌, 長沼多恵子, 浅野義人, 小林達明
    ランドスケープ研究 63(5) 457-460 2000年3月30日  
    中低木植栽を通過した降雨が土壌へのイオン供給に及ぼす影響を明らかにするために,降雨の樹冠通過に伴う水量と水質の変化を1998年5月から10月にかけて調査した。多くの場合,降雨は樹冠によって40%以上遮断された。樹冠通過雨のpHは林外雨よりも高かった。降雨のイオン濃度は植栽の樹高が高いほど上昇し,降雨量が多いと低下する傾向にあった。H^+,アルカリ度,無機態窒素を除くイオン濃度は樹冠通過によって上昇した。降雨によるK^+, Ca^&lt;2+&gt;, Mg^&lt;2+&gt;, Cl^-供給量は植栽によって2〜5倍に増加した。ほとんどの場合,これらのイオンの70%以上が植物からの溶脱に由来していた。一部の植栽では無機態窒素とSO_4^&lt;2-&gt;の葉面吸収の可能性が考えられた。
  • 彦坂 洋信, 小林 達明, 浅野 義人, 高橋 輝昌
    日本緑化工学会誌 25(3) 221-229 2000年2月28日  
    神奈川県の丹沢山地において, 周辺植生と登山道荒廃の程度等との関係について調査を行った。その結果, 傾斜度や登山道周辺植生の低木・草本層の違い, あるいは土性の違いによって, 侵食量・侵食幅・侵食深といった登山道荒廃の程度等に明らかな差異が認められた。特に, 草本層の植被率が低い所やイネ科の草地内など, 周辺植生の表土中に太い根が少なく, 植被率や植生高が低く人が脇にそれやすい地点では, 登山道幅の拡大が顕著にみられた。また, 登山道内の土性が, 透水性が悪く侵食されやすい壌土の地点では, 侵食深が拡大する傾向がみられた。逆に, ササ類が密に生育し, 表土中の太い根の量が多い地点では, 侵食幅の拡大はほとんどみられず, また透水性の良い砂壌土の地点では比較的侵食深の拡大は抑えられていた。
  • 高橋 輝昌, 小出 恭子, 浅野 義人, 小林 達明
    日本緑化工学会誌 25(3) 196-207 2000年2月28日  
    樹林の形態の違いが緑地土壌の養分特性に及ぼす影響を明らかにするために, 千葉県松戸市内の総合公園内の常緑広葉樹を主とする自然林, 高木を植栽した造成緑地(高木植栽地), 低木を密植した造成緑地(低木密植地)において, 土壌深30cmまでの土壌の化学的性質, 有機物の分解・無機化特性を調査し, 比較した。土壌に供給される有機物量の差を反映して, 自然林の土壌中の炭素含有率, 窒素含有率, 陽イオン交換容量(CEC)は造成緑地よりも高かった。低木密植地の交換性カリウム含有量は, 自然林や高木植栽地よりも高い傾向にあり, 植物体から溶脱されるカリウム量の差の影響を受けていると推察された。交換性塩基を生成しやすい未風化な土壌で造成されている造成緑地では, 交換性塩基含有量が自然林より多かった。高木植栽地では交換性塩基が表層土壌から下層土壌に溶脱する傾向にあり, CECを高める必要性が示唆された。造成緑地では自然林に比べて塩基飽和度が高く, pHも高かった。土壌呼吸速度や窒素無機化速度は土壌の有機物含有率を反映しておらず, 有機物の質や土壌pHの影響を受けていると考えられる。造成緑地の表層土壌のセルロース分解率は自然林と大差なかった。
  • 伊藤 健一, 浅野 義人, 高橋 輝昌, 市川 貴大
    芝草研究 29(1) 90-91 2000年  査読有り
  • 高橋 輝昌
    森林立地 42(1) 23-28 2000年  
    ヒノキ林林床への広葉樹リターの供給が土壌の養分特性に及ぼす影響について検討するために,隣接する落葉広葉樹林から落葉広葉樹リターが供給されるヒノキ林(広葉混入区),落葉広葉樹リターが供給されないヒノキ林(ヒノキ純林区),落葉広葉樹天然林(広葉天然林区)において,A_0層,鉱質土壌層の化学的性質と窒素無機化特性を調査した。A_0層量は広葉天然林区と広葉混入区で約17Mg ha^&lt;-1&gt;,ヒノキ純林区で約8Mg ha^&lt;-1&gt;であった。広葉天然林区のA_0層中のK,Ca,Mg含有量は広葉混入区よりも2〜7割多く,また,ヒノキ純林区の3〜9倍であった。鉱質土壌層の全C,全N含有率,CEC,土壌深0〜10cmまでの交換性Ca,Mg含有量およびpH(H_2O)は概ね広葉天然林区≧広葉混入区&amp;gt;ヒノキ純林区の傾向にあった。7月から11月にかけての鉱質土壌層(土壌深0〜10cm)のN無機化量は広葉天然林区,ヒノキ純林区,広葉混入区でそれぞれ100,77,67mg kg^&lt;-1&gt;であった。N無機化量に占めるNH_^+_4-Nの割合は広葉天然林区と広葉混入区で約4割,ヒノキ純林区で約1割であった。以上の結果から,広葉樹リターの供給はヒノキ林の土壌養分特性の改善に概ね有効であると考えられる。
  • 高橋 輝昌, 鷲辺 章宏, 浅野 義人, 小林 達明
    ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture 62(5) 525-528 1999年3月30日  
    木本植物種の他感作用物質の有無や他感作用の程度・様式を把握する目的で,関東地方に見られる木本種30種類について,葉からの水抽出液とエタノール抽出液を用いた,レタスを検定植物とする発芽・生育試験を行った。発芽開始時間,発芽速度,最終発芽率,幼根・胚軸の伸長量を求め,種間比較を行った。いずれの樹種でも発芽速度の低下と幼根の伸長阻害が見られた。陽樹であるアカマツ・クロマツ・イイギリ・エゴノキは水抽出液,工タノール抽出液のいずれについても顕著な他感作用を示すことから,他感作用物質を持つと考えられる。このような他感作用物質を持つ樹種を緑地へ植栽することによる,雑草の発生や生育の抑制が期待される。
  • 高橋 輝昌, 生原 喜久雄, 相場 芳憲
    日本林學會誌 78(3) 244-249 1996年8月16日  
    ヒノキ林への広葉樹の混交が土壌の化学的性質に及ぼす影響を調べるために, 広葉樹の侵入した85年生ヒノキ壮齢林および隣接する広葉樹林内において広葉樹の混交率(胸高断面積に占める広葉樹の断面積割合)の異なる5力所(0, 16, 30, 35, 100%)でのA_0層量とA_0層中の養分含有量, 土壌深0〜5 cmの鉱質土壌の化学的性質および窒素の無機化特性を調査した。A_0層量やA_0層中の養分含有量は, 混交率0%区では最も少なかったが, 16〜100%区では混交率との関係が明らかでなかった。鉱質土壌の全C, N含有率, CEC, C/N比には混交率によって大きな違いはなかった。混交率が高まると鉱質土壌中の交換性塩基量が増加し, 交換性Al量が減少し, pHが高くなった。混交率の高い調査区の土壌では, 室内培養による窒素の無機化量が多く, 無機化された窒素の硝化率が低いことから窒素の無機化と硝化に伴うH^+の生成量は少ないと推測された。広葉樹の混交による土壌の化学的性質の変化として, A_0層から鉱質土壌への養分供給量の増加と, 土壌中のH^+量の減少が特徴的であった。
  • 高橋 輝昌, 添谷 稔, 戸田 浩人
    日本林學會誌 78(2) 127-133 1996年5月16日  
    同一斜面の上下に隣接するスギおよびヒノキ壮齢人工林における元素の垂直的な移動特性を明らかにするために, A_0層, 鉱質土壌層, リターフォール, 林外雨, 林内雨およびA_0層通過雨(スギ林のみ)に含まれる元素量と土壌水中での元素濃度, 土壌中の元素通過量を調査した。スギ林のA_0層量はヒノキ林の2倍の18t ha^&lt;-1&gt;であった。スギ林では鉱質土壌中の全C, N量, 交換性塩基量がヒノキ林よりも多く, 特に交換性Caでは500kg ha^&lt;-1&gt;とヒノキ林の4.2倍であった。スギ林のリターフォール量はヒノキ林の1.2倍の5.2t ha^&lt;-1&gt;であり, 元素含有量も同様にスギ林で多い傾向であった。林外雨から林内雨にかけて, H^+量はヒノキ林で2/3, スギ林では1/3に減少し, それぞれ0.2, 0.1kg ha^&lt;-1&gt;になった。スギ林の林内雨中のN, K, Ca, Mg量は19.4, 22.7, 29.1, 5.0kg ha^&lt;-1&gt;であり, それぞれヒノキ林の0.8, 1.4, 1.3, 1.2倍となった。スギ林のA_0層通過雨のH^+量は林内雨の1/10であった。ヒノキ林の土壌水中ではNO^-_3がほとんど溶存しておらず, Ca^&lt;2+&gt;, Mg^&lt;2+&gt;濃度はスギ林と比較して極めて低かった。土壌深5 cmのN, K, Caの通過量はヒノキ林では林内雨の溶存量とほぼ等しかったが, スギ林では2〜3倍であった。
  • 高橋 輝昌, 生原 喜久雄, 相場 芳憲, 戸田 浩人, 福田 誠
    森林立地 37(2) 67-76 1995年  
    雑草木と下刈りが幼齢林の養分循環に及ぼす影響を明らかにする目的で,スギとヒノキの幼齢林において,雑草木量と雑草木中の養分量の変化,下草通過雨の水質,下草通過雨に含まれる養分量と下刈りで林地に供給された有機物の分解を調査した。また,下草通過雨の水質を生態的に安定した壮齢林の林内雨と比較するために,隣接するスギとヒノキの壮齢林(85年生)で調査した。3〜5年生時の雑草木量は3〜5t・ha^&lt;-1&gt;であり,雑草木中の養分含有量は壮齢林での年間の吸収量に相当した。幼齢林では植栽木の養分吸収量が少なく,幼齢林の地上部への養分吸収の多くは雑草木によって行われていた。下草通過雨量は林外雨量の約90%であり,壮齢林の林内雨量の70%よりも多かった。下草通過雨のpH(5〜7)は,林外雨や壮齢林の林内雨のpH(4〜5)よりも高かった。また,落葉期にはN以外の溶存元素濃度が著しく増加した。このように雑草木はスギやヒノキの壮齢林に比べて元素が溶脱しやすかった。下刈りで土壌に供給された粗大有機物は急激に分解され減少した。下刈り後の累積地温と有機物の残存率の関係は指数曲線で近似できた。土壌への養分供給量は下刈りを行った方が,下刈りを行わなかった場合に比べて多かった。しかし,下刈り直後に多量の養分が土壌に供給され,養分吸収量の少ない植栽木には利用されにくいと考えられた。下刈りを行わなかった場合には雑草木から土壌への養分供給は比較的安定していた。
  • 高橋 輝昌, 生原 喜久雄, 相場 芳憲
    森林立地 36(2) 15-21 1994年  
    野外培養法の一つであるシリンダー法を用い,スギとヒノキの壮齢林(83年生)及び幼齢林(2年生)の表層土壌(地表0〜10cm)の窒素無機化量を自然により近い状態で推定した。壮齢林の斜面上部,中部,幼齢林の斜面上部にはヒノキが,壮齢林の斜面下部,幼齢林の斜面中部,下部にはスギが植栽されている。植生や斜面位置による土壌中(地表0〜10cm)の無機態窒素量の違いは明確でなく,年間を通して1〜10kg・ha^&lt;-1&gt;で,無機態窒素量に占めるNH_4-Nの割合は,壮齢林,幼齢林ともに斜面下部になるほど小さかった。1か月間の平均地温がおよそ5℃以上になると,みかけの窒素無機化が始まり,地温の上昇に伴って増加した。窒素無機化量は壮齢林,幼齢林ともに斜面下部になるほど多かった。窒素無機化量に占めるNH_4-Nの割合は壮齢林に比べて幼齢林で少なかった。また斜面位置による窒素無機化量に占めるNH_4-N割合は壮齢林の斜面上部になるほど高かったが,幼齢林では明かでなかった。1年間の窒素無機化量は壮齢林で45〜55kg・ha^&lt;-1&gt;,幼齢林で50〜80kg・ha^&lt;-1&gt;であった。
  • 高橋 輝昌, 生原 喜久雄, 黒田 孝一
    森林立地 36(1) 60-62 1994年  

MISC

 29

書籍等出版物

 12
  • 亀山, 章, 池邊, このみ, 小野, 良平, 加藤, 和弘, 倉本, 宣, 小林, 達明, 斉藤, 庸平, 佐々木, 邦博, 下村, 彰男, 塚本, 瑞天, 梛野, 良明, 濱野, 周泰, 藤井, 英二郎, 村上, 曉信, 本中, 眞, 横張, 真 (担当:分担執筆, 範囲:706 有機物のリサイクルと土壌再生, 707 水域生態系の循環と水質の浄化(小林達明 と共著), 805 芝草, 821 施肥, 822 芝生, 1206 土壌の調査,)
    朝倉書店 2022年7月 (ISBN: 9784254410419)
  • 小野, 良平, 一ノ瀬, 友博, 亀山, 章 (担当:分担執筆, 範囲:7. 緑化・植栽設計)
    朝倉書店 2021年9月 (ISBN: 9784254440317)
  • 東京農工大学農学部森林・林業実務必携編集委員会 (担当:分担執筆, 範囲:20章 造園)
    朝倉書店 2021年4月 (ISBN: 9784254470574)
  • 日本森林学会 (担当:分担執筆, 範囲:落葉落枝や植物廃材の利用)
    丸善出版 2021年1月 (ISBN: 9784621305843)
  • 藤井英二郎, 松崎 喬, 編集代表 (担当:分担執筆, 範囲:植栽基盤)
    朝倉書店 2018年12月

講演・口頭発表等

 116

担当経験のある科目(授業)

 17

共同研究・競争的資金等の研究課題

 15

産業財産権

 1