綾野 雄幸, 太田 冨貴雄, 野崎 郁夫, 江頭 祐嘉合
千葉大学園芸学部学術報告 38 9-18 1986年10月30日
SHならびにSHから分離,調製したDF標品を高コレステロール飼料(コレステロール1%,コール酸ナトリウム0.25%を含む)に添加してラットに投与し,コレステロール代謝に及ぼす影響について試験した.(1)SH(NDF63.6%,ADF51.6%,リグニン2.0%,水溶性DF3.9%)を高コレステロール飼料にNDF含量5%レベル(8.22%添加)で添加し,ラットに投与した.SHは小麦フスマ(NDF47.3%,ADF15.2%,リグニン3.7%)に比し,血清コレステロールの上昇を有意に抑制した.(2)SHから"ヘミセルロースB"に相当する画分を希アルカリで抽出,分離した.このヘミセルロース標品(非セルロース多糖類61.0%,全窒素4.5%,灰分6.3%)を高コレステロール飼料に1%レベルで添加して,ラットに投与した.標品は血清中の総コレステロールの上昇ならびにHDL-コレステロールの降下をそれぞれ有意に抑制した.肝臓コレステロールに対しては上昇抑制作用を示さなかった.(3)SHヘミセルロース標品を限外濾過法により高分子領域画分(ヘミセルロースF I)と低分子領域画分(ヘミセルロースF II)に分け,高コレステロール飼料に,前者は0.59%,後者は0.41%レベルでそれぞれ添加してラットに投与した.ヘミセルロースF I標品には血清コレステロール上昇抑制能が認められた.(4)ヘミセルロースF IならびにF IIの両標品をコレステロールを負荷しない標準飼料にそれぞれ添加してラットに投与した.ヘミセルロースF II標品は血清中のグルコース,インシュリンを有意に上昇させた.ヘミセルロースF I標品には,それらの作用は認められなかった.本実験を行なうにあたり,試料をご提供下さった不二製油(株),日東製粉(株)ならびにインシュリンの測定にご便宜をいただいたダイナボットRI(研)に深謝します.