研究者業績

杉田 由加里

スギタ ユカリ  (Yukari Sugita)

基本情報

所属
千葉大学 大学院看護学研究院 文化創成看護学 看護政策・管理学 准教授

連絡先
ysugitachiba-u.jp
J-GLOBAL ID
202101004834496770
researchmap会員ID
R000016380

主要な研究キーワード

 10

論文

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  • 杉田 由加里, 鈴木 悟子, 齋藤 良行, 赤松 利恵, 田原 康玄, 中山 健夫
    日本公衆衛生雑誌 71(4) 231-239 2024年4月  
  • 齋藤 良行, 中山 健夫, 杉田 由加里, 鈴木 悟子, 田原 康玄, 赤松 利恵
    日本公衆衛生学会総会抄録集 81回 307-307 2022年9月  
  • 杉田 由加里, 井出 成美, 石川 麻衣
    日本公衆衛生学会総会抄録集 79回 387-387 2020年10月  
  • 上原 たみ子, 吉本 照子, 杉田 由加里, 飯野 理恵
    千葉看護学会会誌 25(2) 25-34 2020年2月  査読有り責任著者
    目的:「高齢者虐待に対する地域包括支援センター(センター)看護職の支援行動指標(指標)」の有用性と実用可能性を検証する。方法:3センターの初任期看護職3人が指標を2ヵ月間試用し、試用後に半構造化面接調査を行った。その結果をもとに有用性を虐待対応の改善、実用可能性を活用に伴う負担感の有無により検証した。また、センター長(看護職1人、他職種2人)による評価を得た。結果:初任期看護職全員が、指標の示す「支援対象者」をもとに高齢者と養護者のみへの支援であったことに気づき、多様な支援対象者に対する支援の必要性と地域ケア力向上への支援が課題であると認識した。看護職のセンター長は、多様な支援対象への働きかけや事例の全体像の把握等、初任期看護職の虐待対応の改善を認め、他職種のセンター長1名は、看護職に養護者や家族を支援する役割があることを理解した。また、初任期看護職は状況に応じて「支援行動の意図」や「支援行動例」を選択し活用し、全員が負担なく活用でき、自身の課題解決に向けて継続的に活用する意向を示した。考察:初任期看護職が高齢者と養護者のみならず多様な支援者への働きかけを習得した等、センターの看護職の役割と支援行動を理解し高齢者虐待防止に関する対応を改善したこと、さらに他職種による看護職の役割の理解が深化したことから本指標はセンターの高齢者虐待に対する看護職および協働による組織的対応の改善に有用と考える。また、自身の課題解決に向けて「支援行動の意図」と「支援行動例」を選択して活用できることが実用可能性を高めたと考える。(著者抄録)
  • 能見 清子, 吉本 照子, 杉田 由加里
    千葉看護学会会誌 24(1) 43-52 2018年9月  査読有り責任著者
    目的:中堅看護師の自己教育を促す目標設定における病棟看護管理者の支援行動指標を作成し内容妥当性を検証する。方法:急性期病院6施設の上級看護管理者より、中堅看護師の育成に実績を有する看護師長11名の推薦を受け、その支援対象の中堅看護師11名の計22名に半構成的個人面接を実施し、質的帰納的に分析し支援行動指標を作成した。目標管理に実績を有する看護管理者、看護管理学分野の学識経験者5名からなる専門家会議で支援行動指標の内容妥当性を検証した。結果:中堅看護師が専門職組織人として継続的に役割遂行する上で困難な状況として、専門職組織人として自己理解が不明確でキャリアビジョンが描けていない、業務や役割過多による精神的・身体的負担感がある、等7項目とその下位項目19項目、および各状況に対応した支援行動のねらいとして、未来を見据え専門職組織人としてのキャリアビジョンを考える、業務や役割過多による負担感と使命感のバランスがとれる、等28項目、各ねらいに対する支援行動として、5年後の専門職組織人としてどの分野、何科に興味があるのか、教育や管理なども含め、ありたい姿、あるべき姿について尋ねる、業務や役割に対する中堅看護師の負担感を受け止め、自分自身で気持ちを整理できるようにする、等77項目による指標を導き、その内容妥当性が確認された。考察:本指標は、病棟看護管理者が各々の中堅看護師の状況より支援ニーズを把握し、状況に即した支援をするための手がかりになると考える。(著者抄録)
  • 石丸 美奈, 鈴木 悟子, 鶴岡 章子, 鈴木 美和, 飯野 理恵, 宮崎 美砂子, 杉田 由加里, 雨宮 有子, 佐藤 紀子, 安藤 智子, 原田 静香, 鈴木 明子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 40 19-26 2018年3月  査読有り責任著者
  • 杉田 由加里, 石丸 美奈, 松下 光子, 石川 麻衣, 井出 成美, 緒方 泰子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 40 27-34 2018年3月  査読有り筆頭著者
  • 清水 みどり, 吉本 照子, 杉田 由加里
    千葉看護学会会誌 23(1) 11-20 2017年8月  
    目的:摂食嚥下機能低下を認める特別養護老人ホーム(以下、特養)入所者が、本人や家族の希望に沿って最期まで可能な限り安全・安楽に経口摂取できるよう、介護職との連携に着目した看護職の役割行動指標を作成する。方法:経口摂取支援に積極的に取り組む特養で、支援に責任を持つ立場の看護職7名、介護福祉士12名に半構成的面接を実施した。入所者や家族の希望に沿って最期まで安全・安楽な経口摂取を支援した事例を想起してもらい、支援行動、支援上の困難と解決のための工夫、多職種からの支援を質的・帰納的に分析し、指標案を作成した。次に摂食嚥下障害高齢者のケアを熟知した看護師、学識経験者等、6名から成る専門家会議で指標の内容妥当性を検証した。結果:中長期的に経口摂取の限界を見極めながら可能な限り経口摂取の可能性を探る行動、リスクに備えながら、その日の食事を安全・安楽に介助する行動、家族や介護職に入所者のハイリスクな身体状況を説明し、経口摂取の継続・中止の合意を形成する行動、介護・看護職が省察的実践により支援に必要な力量を開発する行動から成る看護職役割行動指標を作成した。考察:本指標は可能な限りの経口維持に向け、特養の看護職が中長期的に経口摂取の限界を見極めながら経口摂取の可能性を探る医療職の役割遂行をもとに、家族・介護職と連携して、ハイリスクであっても本人の希望を叶えるといった考え方と、その考え方を具現化するための行動を示したと考える。(著者抄録)
  • 上原 たみ子, 吉本 照子, 杉田 由加里
    千葉看護学会会誌 23(1) 33-42 2017年8月  
    本研究の目的は、地域包括支援センター看護職が高齢者虐待事例に適切に対応するための支援行動指標(以下、指標)を開発することである。研究1では、5名の地域包括支援センター熟練保健師へインタビューし、指標案を作成した。研究2では、指標案の妥当性を熟練保健師及び学識経験者4名で構成される専門家会議で検証し、項目を修正した。研究3では、指標案の実行可能性を中堅期の地域包括支援センター看護職等4名で構成される専門家会議で検証し、項目を修正し指標とした。本指標は、【的確に緊急性を判断し、高齢者の生命の危機を回避する】ことを最優先に行い、次いで【高齢者・養護者・家族成員の意向や権利が尊重かつ擁護される家族関係を見極める】ことを示した。そして、見極めた家族関係を見据え、【支援者の力量形成を図りながら、高齢者・養護者・家族成員・支援チームと共に新たな家族関係の構築を目指す】支援を行うことを示した。事例対応を重ねながら、【高齢者虐待の予防・早期発見・早期対応・再発防止にむけた地域のケア力の向上を図る】ことを目指し、向上した地域ケア力を活用して、よりよい支援を提供することにより、高齢者虐待事例に適切に対応できることを示した。これらの支援をより確実かつ円滑に行うために【看護職自身が虐待事例に的確に対応できる条件を整える】ことを示した。(著者抄録)
  • 小熊 亜希子, 吉本 照子, 杉田 由加里
    千葉看護学会会誌 23(1) 63-70 2017年8月  
    本研究は、老健職員の入居者に対する肺炎の罹患予防、発見、治療開始後の取り組みと結果を分析し、看護の課題を考察した。データベースに医学中央雑誌とMedline、CINAHLを用い、検索語を「介護老人保健施設」&「肺炎」、"health care facilities"&"pneumonia"、"care facilities"&"pneumonia"として検索し、316件が該当した。これらから老健職員の取り組みと結果が書かれた31件を分析対象とした。老健職員の取り組みは、予防医学の一次予防から三次予防を用いて分類し、意図と行動の結果、看護師と老健職員間の連携の内容を分析し、看護の課題を考察した。結果、一次予防から三次予防の継続的な取り組みは見られなかった。また、一次予防から二次予防に向けて、肺炎罹患の予防と発見に向けた多職種からの情報収集と肺炎か否かの判断に至る看護判断、二次予防から三次予防に向けて、罹患した入居者の身体状態に即した治療や療養の場の意思決定支援、一次予防からの肺炎予防とADL維持に向けた支援、繰り返して肺炎に罹患する入居者に対する看取りケアにおける多職種協働に向けた行動は明らかではなかった。老健看護師は、入居者の肺炎ケアを継続して取り組む必要があり、肺炎の確実な予防と早期発見、治療内容や療養の場の選択、ADLの維持、看取りケアに向けた支援における、看護師の情報収集と分析、問題の抽出と入居者・家族、多職種との連携に向けた行動を明らかにする必要がある。(著者抄録)
  • 杉田 由加里, 井出 成美, 石川 麻衣, 池崎 澄江, 中山 健夫
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (39) 27-34 2017年3月  
    平成20年より実施されている特定健康診査(以下、特定健診)では、標準的な質問票が提示され、特定保健指導での活用を意図した14の選択項目が示されている。本研究の目的は、市区町村において特定健診質問票のより効果的な活用に向け、特定健診の質問票における14の選択項目の採用状況、および特定保健指導における選択項目の活用状況の実態を明らかにすることである。全国の全市区町村1,741ヶ所の特定健診・特定保健指導業務の主担当者に対し、特定健診・特定保健指導の実施方法、特定健診における14の選択項目の採用状況、特定保健指導における選択項目の活用状況に関する自記式の質問紙調査を実施した(平成28年1月)。倫理審査委員会の承認後、調査に着手し、回答をもって同意を得たとした。有効回答は1,006件(57.8%)であった。特定健診における選択項目の採用状況は、各項目間に大きな違いは見られなかったが、14項目を全て採用している自治体は751件(74.7%)であり、14項目全てを採用していないは129件(12.8%)みられた。特定保健指導では14の選択項目の活用状況に関し項目間に差がみられた。特定健診にて全ての項目を採用している751件のうち、特定保健指導において、484件(64.4%)が全ての項目を活用していたが、267件(35.6%)がいずれかの項目を活用していなかった。特定保健指導での活用を意図し例示されている、詳細な質問票との整合性や連動も考慮し、特定保健指導での活用につながる選択項目を開発する研究が必要である。(著者抄録)
  • 水野 智子, 杉田 由加里, 津下 一代
    日本地域看護学会誌 19(3) 50-59 2016年12月  
    本研究の目的は、自治体における生活習慣病予防の保健指導スキルの向上に必要な条件を、保健指導実施者が実施すべきことと保健指導実施者の取り組みを促進するために所属組織に必要とされる条件の2つの側面から明らかにすることである。保健指導スキルの向上に向け、組織的な取り組みがされていると推薦された7市の計15人を研究参加者とし、自治体ごとに半構成的面接を実施した。面接項目は特定健診およびその後の保健指導の実施内容と従事者、保健指導スキルが向上したと思えた事実、保健指導の実施体制、OJTのなかでの保健指導スキルの向上に向け工夫している点等とした。逐語録から保健指導実施者が実施すべきこと、あるいは所属組織に必要とされる条件として要約を作成し、同質性からカテゴリーを抽出した。保健指導実施者が実施すべき条件として、<保健指導の事業目的の明確な意識化><対象者を尊重する徹底した姿勢><対象者の反応からの自己の実践の振り返り><得た知識を生かそうとする積極的な姿勢>が明らかとなった。組織の条件として、【保健指導スキルの向上に向けた組織の基盤づくり】【成果を目指した保健指導の実践のなかでの相互支援】【実践を踏まえたスキル向上のための学習時間・機会の保障】が抽出された。保健指導実施者の経験学習が促進するよう、所属組織として予算を確保し、OJTが機能する条件、マニュアルや記録の整備、新人の育成体制といった条件整備が必要である。(著者抄録)
  • 清水 みどり, 吉本 照子, 杉田 由加里
    自治医科大学看護学ジャーナル 13 3-10 2016年3月  
    本研究の目的は,特別養護老人ホームで重度の摂食・嚥下障害を有する入所者が,最期まで可能な限り安全で安楽に経口摂取するのに必要な看護職の役割行動を明らかにすることである。1施設の聴取調査から,6つのカテゴリー【入所者の全身状態を看ながら経口摂取の可能性を極力保持する】【予想される病態の変化に対して予防的なケアを行う】【摂食・嚥下機能の向上に努め食事を味わえるようにする】【看護職・介護職の役割遂行における不安・負担を軽減する】【経口摂取支援の過程で手を尽くし随時入所者の最善を念頭に家族・介護職と合意を形成する】【各職種の経口摂取支援に関する力量開発を促す】が抽出された。看護職は安全を確保しつつ,入所者にとっての最善を中核として,関係者が経口摂取の可否に納得できるように,事実および予測をもとに医療的な根拠を説明して合意形成を支援し,各職種自身の経験学習と力量開発を支援する役割を担うと考えられた。(著者抄録)
  • 杉田 由加里, 水野 智子, 横山 徹爾
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (38) 39-46 2016年3月  
    自治体にて生活習慣病予防の保健事業を展開する上で、特定健康診査・特定保健指導等のデータ及びレセプト等を分析し課題を抽出し、保健事業を立案、実施、評価し、次年度の事業計画に役立てるといった、PDCAサイクルを確実に回すことが求められている。本研究の目的は保健事業を展開する上で、データを分析・活用している取組みの基盤となっている体制づくりに関する条件を明らかにすることである。研究参加者は7市にて、保健事業の実施に1年以上直接関わっており、保健事業の実施に関する体制づくりについて語れる職員(保健師、管理栄養士)1名以上とし、調査は自治体ごとの半構成的インタビューとした。筆頭著者の所属大学院研究科の倫理審査委員会の承認を受け、文書と口頭により研究の趣旨、匿名性の保持と途中棄権も可能であること等を説明し同意を得た。体制づくりにおける所属内外の条件として以下の点が重要と考えられた。1. 予算の獲得において関係者からの合意を得やすくするために、分析したデータを説明用の資料に活用する。2. データを分析することと、分析したデータを事業へ活用できる体制となるよう、担当部署の連携を意識して体制を構築していく。3. 医療機関との継続的な体制を維持していけるよう、制度開始時だけでなく毎年、医療機関の医師および事務職にも説明し合意形成を図っていく。4. 業務を委託している場合、委託機関の従事者のオーナーシップを引き出せるように、分析したデータの提示により情報の共有を図る。(著者抄録)
  • 村本 あき子, 中村 誉, 杉田 由加里, 武見 ゆかり, 中村 正和, 林 芙美, 真栄里 仁, 宮地 元彦, 横山 徹爾, 和田 高士, 津下 一代
    人間ドック 30(3) 623-631 2015年9月  
    目的:保健指導に関する技術について書面調査を行い、生活習慣改善支援をするために必要なことを抽出することを目的とした。方法:平成26年度人間ドック健診情報管理指導士ブラッシュアップ研修会受講者982人のうち、有効回答を得た842人(医師351人、保健師305人、管理栄養士186人)を対象とした。保健指導者の習得度に関する調査票を用い、研修会開始時に書面により習得度を4段階で自己評価した。習得度を項目ごとに全体と職種別に分析、保健師の一部については保健指導経験年数別に分析した。結果:習得度は、全体として個別支援に関する項目で高いのに対し、集団的支援は低かった。AUDITを用いた適正飲酒支援、ABC/ABR方式に基づく禁煙支援等の節酒や禁煙に関する具体的な支援に関する項目が低かった。運動リスクマネジメントの習得度は医師で高いのに対し、保健師・管理栄養士では低かった。特定保健指導の制度に関する項目は保健師・管理栄養士で高かった。食事に関する項目は管理栄養士で高く、医師・保健師では低かった。経験年数が長い群で、特定保健指導のしくみや評価、身体活動に関する項目、酒・たばこと生活習慣病の関連等で有意に習得度が高かった。結論:保健指導効果を高めるためには、習得度が低い項目に重点をおいた研修会内容にすること、多職種が連携し補完しあうことが望ましいと考えられた。(著者抄録)
  • 杉田 由加里, 山下 留理子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (37) 47-56 2015年3月  
    先行研究から明らかにした保健指導実施者が捉えていた課題を、特定保健指導の展開過程ごとに整理し、それらの課題に対する特定保健指導熟練者の対応を明らかにした。グループインタビュー法を用い、現象の多様性、重要性を記述する質的記述的研究を行った。計11名(保健師9名、管理栄養士2名)を対象とした。分析の結果、保健指導の準備の段階として、「特定保健指導を通知し届いた頃に電話で勧奨する」などの21項目があげられた。対象との信頼関係の構築の段階では、「来所に対して感謝の態度を示し、対象者の話を聞く」などの3項目があげられた。アセスメントの段階は困難状況として10項目に整理できた。対応方法は、「特定保健指導が何か説明し、理解を促す」など41項目があげられた。気づきの促しの段階では、「飲酒量が減る状況を思い出してもらう」などの6項目があげられた。目標設定の段階では、「対象者に目標を決めてもらうのを徹底する」などの21項目があげられた。
  • 安藤 智子, 吉本 照子, 杉田 由加里
    千葉科学大学紀要 (8) 123-130 2015年2月  
    【目的】「地域ケアシステムの評価」に関する先行研究をもとに、行政保健師が行う地域ケアシステムの評価に関する課題を明らかにする。【方法】医学中央雑誌及びCiNiiArtclesで、「地域ケアシステム」または「ケアシステム」または「ネットワーク」と「評価」または「機能」と、「保健師」または「保健婦」で検索した。さらに「ケアシステム」「評価」と「ケアシステム」「機能」「地域」で検索し、保健師活動と関連が深いものを選定し、14件を対象とした。【結果】評価目的は、「システム改善」、「ケアシステム構築に必要な活動の把握」「保健師の役割・支援技術の明確化」等であり、「アカウンタビリティのための評価」、「価値判断のための評価」は見られなかった。支援対象者や関係者からの評価、保健師の自己評価、研究者による評価を単独または組み合わせていた。評価尺度や開発された評価指標は全て異なり、共通した評価尺度はみられなかった。構造、プロセス、アウトカムの視点で評価指標を整理したところ、いくつかの指標は明らかにされたが、これらの因果関係を想定した評価モデルは明らかではなかった。ケアシステムの目標の記述がない文献が多く、アウトカムとして目標達成度を挙げている文献は見られなかった。【考察】行政保健師は、ケアシステムの目的や成果を住民や関係者に説明する責任があり、ケアシステムの評価により自らの課題を見出す必要がある。評価方法については、業務管理手法であるPlan(計画)→Do(実施)→Check(評価)→Act(改善)によるPDCAプロセスに基づく評価、ケアシステムの構造やプロセス、アウトカムの因果関係を想定した評価、システムの変化を捉えるアウトカム指標等が不十分であり、行政保健師が行う効果的な評価モデルを開発する必要がある。(著者抄録)
  • 杉田 由加里, 石川 麻衣
    文化看護学会誌 6(1) 1-11 2014年4月  
    本研究は、住民同士の支えあいを目指し、長期にわたる保健ボランティアの活動に対する保健師の支援内容、意識・姿勢、保健師の体制を明らかにすることで、ソーシャル・キャピタルの醸成に資する保健師活動のあり方を検討する。保健ボランティアの活動が10年以上継続している3自治体における活動を選択し、その活動に1年以上従事している4名の保健師へ半構成的インタビューを実施した。X町の活動は、地域の身近な子育ての相談役と子育て支援ネットワークづくりを目的とした母子保健推進員活動、Y市の活動は、介護予防を目的とした身体機能の維持とともに近所の住民への誘い出しを含む、継続できる体操会場を運営するボランティア活動、Z町の活動は、健康管理事業の円滑な推進と地域住民の健康増進に関する協力を行う推進員活動であった。関わる保健師は、どうなってほしいといった【目指すべき姿を持ち伝え続ける】こと、活動の方向性がずれないように【伴走する姿勢で継続的に関わる】ことが大事であり、【保健ボランティアから育てられている感覚を持ち続ける】ことで、双方向性のある関係を築いていくことが重要である。また、ソーシャル・キャピタルの醸成には長期間の支援が必要となる。そのため、関わる保健師間での常日頃からの【情報の共有だけでなく、気持ちや考えを共有する】ことができる組織文化を生成・継承できる体制を整えることが必要であることが示唆された。(著者抄録)
  • 上原 たみ子, 吉本 照子, 杉田 由加里
    高齢者虐待防止研究 10(1) 139-150 2014年3月  
    高齢者虐待に対する保健師の支援の意図(「相手の支援ニーズの充足を目指した保健師の行動や狙い」)を明らかにすることを目的に、わが国で初めて家庭内における高齢者虐待に関する全国調査が行われた2003年から2013年までの文献を対象に、医学中央雑誌Web版を用いた検索を行い、得られた11件を対象に内容分析した。その結果、保健師の高齢者虐待の支援における意図として、【事実に基づき虐待の原因を分析する】【介入の糸口をつかみ、適切に介入する】【個人情報を保護する】【生命の危険性を回避するために迅速に対応する】【支援者間で支援の根拠を共有し、支援方法を統一させる】【高齢者・養護者・家族それぞれがよりよい状態になるために信頼関係を築く】【養護者の介護負担を軽減し、孤立させない】【養護者が今後の生活を自己決定できる】【支援者が虐待の改善に向けて効果的に支援できる】【当事者を含め地域全体で虐待予防と対策を推進する】の10の大項目が抽出された。
  • 山口 絹世, 吉本 照子, 杉田 由加里
    医療保健学研究 (5) 55-69 2014年3月  
  • 能見 清子, 杉田 由加里, 吉本 照子
    千葉看護学会会誌 19(2) 65-72 2014年1月  
    目的:日本の看護師の自己教育力の発展を促すために必要な研究課題を見出すことである。方法:医学中央雑誌で「自己教育力」「看護師」「看護婦」をキーワードに総説・原著論文を検索した。分析対象は自己教育力の概念の定義があり測定尺度が示されている41件とした。文献に示された自己教育力の定義と尺度項目を抜粋し、成人学習者の全学習過程「自分のニーズの診断・目標の設定」「学習資源・方法の選択」「学習過程の評価」「主導権の行使」の4つの視点が定義に含まれているか否かを研究者間で討議し分類した。看護師の自己教育力の発展を促すためにどのような環境を整えていけばよいか明確にするために、信頼性と妥当性が検討された尺度を用いて関連因子を統計解析している28件を分析対象とし、研究目的、方法、関連因子の一覧表を作成した。結果:学習過程のうち「主導権の行使」を概念に含めている文献は41件であったが、成人学習者の全学習過程を含めた定義はみられず、自己の目標設定に関する内容を含んだ定義および既存の尺度はみられなかった。関連因子として経験年数、役割の有無に関する検討が多かったが一定の関連はみられなかった。役割認識、自己の目標を有する看護師、看護管理者等の支援のある看護師の自己教育力得点が有意に高かった。考察:今後の課題として、成人学習者の構成概念を含んだ自己教育力行動指導等の開発が必要であり、看護師の自己教育力の発展を促すために看護管理者等による支援方法を明らかにする必要があると考える。(著者抄録)
  • 飯野 理恵, 宮崎 美砂子, 石丸 美奈, 岩瀬 靖子, 時田 礼子, 杉田 由加里, 上田 修代, 佐藤 紀子
    千葉看護学会会誌 19(2) 73-80 2014年1月  
    本研究の目的は、予防活動を持続的に展開し成果を挙げた地域看護実践における持続・発展の様相から、予防活動を持続的に展開する実践方法の特徴を明らかにすることである。方法は、A県内の全保健所及び全市区町村の保健衛生部門(59ヶ所)に研究者が作成した自記式質問紙調査にて「3年以上持続的に行われ、かつ予防活動としての成果の手応えを主担当保健師が感じている保健事業」について尋ねた。回答のあった34ヶ所のうち、自由記載の記述から、事業を始めた時と現在で事業目的や活動方法が変化している内容の読み取れた事例を分析対象とした。持続・発展の様相は、収集したデータより活動の経過に沿いながら事業目的や活動方法の変化とそれに影響を与えた事柄を読み取り導き出した。倫理的配慮として研究者所属機関の倫理審査委員会にて承認を受けた。その結果、分析対象事例は、母子に関する取り組み4事例、成人に関する取り組み5事例であり、活動年数は平均8.7年(3〜32年)であった。予防活動の持続・発展の様相としては、事業目的の変化が2事例、活動方法の変化が7事例であった。また、予防活動の持続・発展に影響を与えたと考えられる事柄としては、「予算の確保」「人員の確保」「個別の援助ニーズの多様性」「事業参加者の確保」「当初の事業目的の達成」「関係機関との連携・協力体制」があった。予防活動を持続的に展開する実践方法の特徴として、1.他部門・住民や関係機関と定期的に対面することで連携を強化し、課題を共有しつつ役割を主体的に発揮する、2.地域のニーズに合わせて事業目的や活動方法を見直し、焦点をあてる対象集団を明確化する、3.活動の現状にとどまることなく、次の段階を意識し活動を展開する、4.長期的な視点から、健康づくりに取り組む住民を計画的に育成する、が明らかになった。(著者抄録)
  • 杉田 由加里, 松下 光子, 石丸 美奈, 石川 麻衣, 井出 成美, 緒方 泰子
    日本看護科学学会学術集会講演集 33回 323-323 2013年12月  
  • 吉本 照子, 茂野 香おる, 渡邉 智子, 八島 妙子, 井上 映子, 杉田 由加里, 酒井 郁子
    老年看護学 18(1) 45-55 2013年11月  
    目的は、介護老人保健施設(老健)における看護職、介護職、リハビリテーション(リハ)職、および支援相談員(相談員)の在宅支援行動を明らかにすることである。施設長が在宅支援を施設の方針として明示し、組織的に取り組んでいる3施設において、各職種1人計12人に半構成的面接調査を行い、質的帰納的に分析した。各職種は利用者・家族の在宅生活との連続性を意識して利用者の心身状態を整え、家族と信頼関係を構築し、入所後の利用者と家族の関係性および家族の状況を随時判断しながら、協働して家族の意思決定を支援していた。相談員は老健の役割と支援内容を説明し、家族の状況に即して意思決定を促し、看護職は利用者と家族の在宅生活への最善を尽くしたケア内容と結果を家族に説明し、介護職は利用者の在宅復帰への意欲を支持し、家族の主体的な在宅介護に向けて支援し、リハ職は利用者のADL改善と家族の介護負担軽減をすり合わせてリハ目標を決定していた。(著者抄録)
  • 杉田 由加里, 和住 淑子, 黒田 久美子
    日本看護科学学会学術集会講演集 32回 544-544 2012年11月  
  • 杉田 由加里, 宮崎 美砂子
    千葉看護学会会誌 14(2) 37-45 2008年12月  
    地域で介護ケアマネジメントを実践する行政保健師9名が、効果につながる実践として実施していたことを半構成的面接により検討した。介護予防の効果は、「認定結果が軽くなり、身体・精神・社会面における生活機能が拡大」(効果I)、「認定結果は変化してないが社会活動面が拡大」(効果II)に分類された。効果Iに対しては、<本人へ目標を継続して伝え励ます>、効果IIには<本人・家族とできることを一緒に確認する>というような実践が関連していた。介護ケアマネジメントの実践条件としては、地域包括支援センター内の各職種間、サービス事業者、保健衛生部門の保健師との情報の共有と、センター内における3職種が各自専門性を発揮しながら、多職種の専門性の活用が必要であることが示唆された。
  • 杉田 由加里, 井出 成美, 佐藤 紀子
    日本公衆衛生学会総会抄録集 66回 535-536 2007年10月  

MISC

 85

書籍等出版物

 2

共同研究・競争的資金等の研究課題

 15