七木田敦, 林よし恵, 松本信吾, 久原有貴, 日切慶子, 藤橋智, 正田るり子, 菅田直江, 田中惠子, 落合さゆり, 真鍋健, 金子嘉秀
広島大学学部・付属学校共同研究機構研究紀要 39(第39号) 45-50 2011年
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本研究では, 発達に課題のある1名の幼児について, 入園直後の幼稚園適応の過程ならびにその適応にどのような影響が関与しているのかについて明らかにした。分析にあたっては, 対象児に関する保育記録やカンファレンスの中で話し合った事項を資料としながら, 複数の項目毎に適応過程や転換期などを探った。その際, 幼児の適応を単純な活動への順応としてのみ見るのではなく, むしろ幼児自身が能動的に環境に働きかけていく過程として捉え, また幼児に支援を行う保育者の考え方なども考慮に入れながら, 検討を行った。
結果では, 基本的生活習慣・人間関係・遊びの3つの項目ごとに対象児の適応過程を示した。特に, 本児自身の特性(認知・行動特性, 好みなど)や保育者の支援, またはこれまでの家庭での習慣などが入り組みながら, 本児が園生活に適応していった過程を示した。結果を踏まえ, 園と家庭の同異・対象児の好み・保育者の役割という観点から, 発達に課題のある幼児に対する適応支援に向けた考察を行った。