デザイン・リサーチ・インスティテュート

青木 宏展

アオキ ヒロノブ  (Hironobu AOKI)

基本情報

所属
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート(dri) 助教
学位
博士(学術)(2019年9月 千葉大学)
修士(学術)(2016年3月 千葉大学)

研究者番号
20887731
J-GLOBAL ID
202001000760846593
researchmap会員ID
R000004717

論文

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  • 陳 誼菲, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(2) 2_35-2_44 2024年9月30日  査読有り
    本稿は,中国広東省汕頭市澄海地域において長らく使用されてきた「潮汕紙銭」が人生儀礼においていかに使用されてきたかを現地調査,ならびに聞き取り調査によって確認し記録するとともに,地域文化の形成における紙銭の特質を明らかにすることを目的とした。調査・考察の結果,以下の知見を得た。(1)当該地域において紙銭は人生儀礼において欠かせないものであり,人びとは誕生・成人式・結婚・葬式といった人生の各段階において使用する紙銭を区別し,紙銭によって社会的秩序内での生と死を明確化した。(2)紙銭は生と死における一連の人生儀礼において,個人を中心とした人間関係を構築するとともに,個人と集団の関係の形成に寄与してきた。(3)紙銭の使用により,共同体への加入と社会的役割が個人に与えられ,そのことを通じて,個人が所属する社会的秩序内での地位を識別し自覚を促すと共に,社会秩序を共有させ,紙銭文化の伝承を促進する役割を果たした。
  • 陳 誼菲, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(2) 2_45-2_54 2024年9月30日  査読有り
    本稿では,中国広東省汕頭市澄海地域にて行われてきた年中行事における潮汕紙銭の使用実態を概観し,それらに表出する紙銭の特質を明確化することを目的としたものである。調査・考察の結果,澄海地域における年中行事にみられる紙銭の特質は以下の3点にまとめることができた。(1) 多様な祭祀を演出し,人びとの豊かな創造力を顕示する,(2)一年の区切りを明確化し,生活のリズムを顕在化する,(3)人びとのつながりを明示・強化し,コミュニティの結束力を高める。紙銭のデザインとその使用により,人びとは鬼神への畏敬と先祖への敬意を表現し,コミュニティ内で共に遵守すべき生活規範と社会秩序を形成し維持している。この営みにおいて,人びとは自らの生活様式に適応する形に紙銭を再構築し,各地域で独自の生活文化を築き上げている。紙銭の特質の明確化を通じて,人びとの紙銭文化に対する再確認と再認識を促進することは,村落の自律と自立の発展にとって極めて重要であると考えられる。
  • 烏蘭 吉亜, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(1) 1_11-1_20 2024年7月31日  査読有り
    本稿は,内モンゴル·ホルチン地域における「チョール」と呼ばれる二弦擦弦楽器の制作過程と保管方法に内包された文化的特質を明らかにすることを目的としたものである。調査・考察した結果,以下が明らかになった。(1) チョールの制作過程は,自然資源循環システムに対するモンゴルの人びとのかかわり方の表れであり,日々の生活の中で伝承され,遊牧生活ならではのものづくり文化が形成されてきた。(2)チョールの制作に使われる材料には精神的な象徴性が如実に表出している。チョールはモンゴルの人びとの思いを具象化するための媒体であったと考えられる。(3)チョールの制作・保管においては,「資源循環」・「資源利活用」・「持続可能」といった知恵が生活の中で共有されることで,当該地域の人びとの共通の価値観が醸成されており,そこには人と自然の「共生」・「共存」・「融合」関係が体現されている。(4)チョールの制作・保管によって,モンゴル人にはものを「一生使う」という考え方が育まれてきた。
  • 烏蘭 吉亜, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 71(1) 1_1-1_10 2024年7月31日  査読有り
    本稿では,現地調査を通じて収集した二弦擦弦楽器をサンプルとして,多変量解析によりその類型を材料の観点から明確化するとともに,それぞれの類型ごとの特徴を考察することを目的とした。その結果,82点のサンプルは「身近な自然材料を活かした固有型」「合成材料で補完した踏襲型」「人工材料を汎用した複製型」「機械で加工した量産型」の4つに分類された。また,内モンゴルの社会環境とモンゴルの人びとの生活習慣の変化に対応した,それぞれの年代区分における二弦擦弦楽器の特徴は次のようになる。(1)明代から1960年代までは,地域特有の自然材料を獲得しものづくりが行われてきた。(2)1960年代から1980年代までは,人工材料が一部の自然材料に代わって使われ始め,さらに舞台の演奏性を向上させるためにさまざまな試みがなされた。(3)1980年代から21世紀初頭にかけては,人工材料や輸入材が広く普及し,伝統楽器として認知されるにつれ,二弦擦弦楽器の形や使用材料が標準化された。(4)21世紀初頭以降,非物質文化遺産保護運動の高まりに伴い,二弦擦弦楽器の伝統性を強調するために,動物の皮や雄馬の尾毛など使用材料の規範の明確化が重視されるようになった。
  • 土屋 篤生, 青木 宏展, 植田 憲
    デザイン学研究 : 日本デザイン学会研究論文集 : bulletin of Japanese Society for the Science of Design 70(2) 1-10 2023年10月  査読有り

MISC

 73
  • 陳 正捷, 蘇 日娜, 柴 済洲, 王 思堯, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 508 2024年  
    本研究は、石造歴史災害供養塔群のなかでも、とりわけ「信州浅間山噴火以来天災横死者供養塔」を対象に、その3Dデータの取得、活用を通じて、現代の人びとに被災当時の実情を伝えることにより、自然災害が多発する日本で生活を送る人びとが改めて災害について再考する機会となることを目指すものである。とりわけ本稿では、取得したデータを活用した展示手法について、各制作物と企画展についてを報告し、3Dデータを活用した文化財展示の可能性について議論することを目的とする。
  • 青木 宏展, 今石 みぎわ, 久保 光徳, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 494 2024年  
    本研究では異なる大きさの面岸箕を対象に、それを用いて大豆、アマランサスの風選を行う際の動作のデータをモーションキャプチャにより取得し、その動作の①スティックピクチャの観察、ならびに②高さ方向(Z軸方向)のマーカ変位による解析を試みた。その結果、動作の特徴の明確化がなされるとともに、箕の大きさや内容物によって、使い方に変化がみられる可能性が示唆された。
  • 橋本 紗良, 青木 宏展, 三浦 秀彦, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 502 2024年  
    情報へのアクセスが容易となった現代の移動体験においては、多くの場合目的地が伴う。一方で「目的地のない歩き」には、街中の事象との偶発的な遭遇やそれによる新しい視点の誘発などの有意義な可能性が見出せるのではないかと考え、本研究では「迷う」をテーマに据えた街歩き体験の展開を行った。 目的地の概念が希薄となった移動体験の設計にあたり、こうした体験を「迷う」ことの擬似体験と称し、事前知識に起因する予定調和的行動様式から脱却し、偶発的な出会いを誘発すると仮定した。こうした体験を通じて、①これまで見落としてきた街に対する視点、②街の事物に投影された自身の興味や心的状況の認識を促す手法を導出することを本研究の目的とした。また、上記過程で記録された「街の魅力」や「街歩きの体験的価値」を可視化し、地域の人びとの街に対する愛着形成や自己発見の機会創出の可能性を探った。
  • 土屋 篤生, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 506 2024年  
    本稿は、産学連携による「千葉匠の技」の継承と奨励に関する第2報である。鍛冶文化の継承・振興にあたり、職人たちは自分たちの共通点を自ら再発見し、千葉工匠具をつくる職人の一員として地域のイベントに参加することで、コンセプトを共有する仲間という意識を持つようになった。自分たちのコンセプトを職人たち自らが内発的に再発見することで、女性西洋鍛冶職人を仲間に迎えるなど、固定観念にとらわれない柔軟な結束が生まれた。千葉県打刃物連絡会と千葉大学は、イベントへの参加や大学祭でのワークショップの実施、職人同士の交流会など、市民、職人、学生が鍛冶に実際に触れ、交流し、ものづくりを通して鍛冶文化に触れる機会を提供した。今後、従来の師弟関係などに囚われない柔軟な取り組みによって千葉県の鍛冶技術・文化が継承・振興されていくことが期待される。
  • 陳 娟志, 青木 宏展, 植田 憲
    日本デザイン学会研究発表大会概要集 71 498 2024年  
    市原歴史博物館“I'Museum”は、「見学や体験を通じて生活者自身を当該地域の歴史をつなぐ主体者とする」ことを目指して、千葉県市原市に開設された地域博物館である。本稿においては、3D造形技術を用いた文化財の共有をさらに推し進めるために下記の取り組みを遊行した。①「彩色体験」の館内での完結を目指した文化財整理補助員の参与、②当該地域に潜在する造形物の展示、③上記の造形物の3Dデータの「取得体験」の提供。本稿では、本取り組みを報告するとともに、その効果を明確化することを目的とした。以上の取り組みの結果、(1)職員をWSの準備作業に巻き込むことにより、職員の積極的な参与を促し、良いもの・ことを提供しようとする意欲が醸成される。職員自らが、文化財の持続のため体制構築に寄与する可能性が示唆された。(2)本体験は、単なる文化財の興味・関心を喚起するだけではなく、改めて地域の課題を考える機会となり、自らの地域の文化財を守ろうとする意欲を育むことができる。上記から、地域博物館におけるデジタル造形技術を用いた文化財の3Dデータの取得・保存・活用の一連のプロセスの内製化やそれによって、その営み自体が自律していく兆しが見えてきた。

所属学協会

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共同研究・競争的資金等の研究課題

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