研究者業績

藤川 大祐

フジカワ ダイスケ  (Daisuke Fujikawa)

基本情報

所属
千葉大学 教育学部 教授
学位
教育学修士(1991年3月 東京大学)

研究者番号
50288429
J-GLOBAL ID
200901073152860485
researchmap会員ID
1000212734

外部リンク

千葉大学教育学部教授(教育方法学・授業実践開発)。
メディアリテラシー、ディベート、環境、数学、アーティストとの連携授業、企業との連携授業等、さまざまな分野の新しい授業づくりに取り組む。学級経営やいじめに関しても研究。

論文

 133
  • 藤川大祐
    授業実践開発研究 18 1-10 2025年3月  
    本稿では、2023年から2024年にかけての生成AIの進化を踏まえ、生成AIにおけるハルシネーション (幻覚) と記号接地問題 (Symbol Grounding Problem) について2024年12月現在の状況を確認した。ハルシネーションに関しては、これまで報告されてきたハルシネーションの問題がテキスト生成においては基本的に解決していることが確認された。他方、日本語処理の問題に起因する数学的問題への誤答や画像生成における画像内の不適切な文字の生成といった問題が生じていることも確認された。記号接地問題については、AIが記号接地できない例として示されていたハルシネーション例が日本語処理による問題であったこと等から、子どもの学習の問題に当てはめることについては慎重な態度が求められることが示された。
  • 藤川大祐
    千葉大学教育学部研究紀要 73 175-182 2025年3月  
    学校や学校設置者のいじめ対応のあり方をゲーム的構造として捉え,不適切ないじめ対応がいかにして生じるかを明らかにすること,そして,不適切ないじめ対応がなされないようにするにはどのような方法がありうるのかを示すことを目的として,新聞記事で報道されたいじめ対応のあり方や,重大事態報告書に記された学校や学校設置者のいじめ対応に関わる課題を分析した。この結果,法令やガイドライン等に従っていじめ対応を行う「ゲームI」とは別に,一部の学校や学校設置者においては問題をできるだけ大きくせずに済ませようとする「ゲームII」がプレイされていると言えることが確認された。ゲーム関連研究の成果を踏まえれば,ゲームIを推進する側がゲームIIを批判するコミュニケーションを強力に行うこと,そしてゲームIを具体的にどのようにプレイすればよいかを示すことで,ゲームIIを止められる可能性があることが示唆された。
  • 藤川 大祐, 牧野, 太輝, 見舘 好隆, 小野 憲史, 小牧 瞳
    千葉大学人文公共学府研究プロジェクト報告書 393 1-11 2025年2月  筆頭著者
    本稿では、学習者が「オタク」であることを肯定され「オタク力」とされる諸能力を伸ばすことが期待されるようなサンクチュアリ(聖域)としての教室や授業のあり方を明らかにする目的で、「推し」という語の使われ方について検討した上で、中学校の総合的な学習の時間にゼミ形式で全19回の「推しごとゼミ」を実践し、授業中の様子や事後アンケートからこの授業のサンクチュアリとしてのあり方を検討した。まず、「推し」については、「推し活」という語が使われるようになり、「オタク」という語の否定的あるいは自虐的な意味合いが薄まったとともに、「推し」という語の使い勝手の悪さが払拭されたことを確認した。そして、「推しごとゼミ」においては、ゼミの序盤から多様性の尊重が教師や生徒によって繰り返し言及され、生徒たちは心理的安全性をもって探究活動ができ、諸能力の伸長が自覚されたことが確認された。
  • 藤川大祐
    デジタルゲーム学研究 17(2) 12-17 2024年12月31日  査読有り
    本研究は、複数のゲームが同時に並行して進行している状況を「多重ゲーム構造」と呼ぶこととした上で、学校教育を多重ゲーム構造として捉えることが具体的な問題の解決に資するかを検討するものである。まず、多重ゲーム構造に関係すると考えられる先行研究を概観した。次に、これをもとに多重ゲーム構造の一般形を検討し、時間・空間が限定されないゲームが継続的に、時間・空間が限定されるゲームが断続的に進行しており、これらゲームの中には互いに相容れないものがあったり、同じゲームに見えていたものが異なるゲームであったりしうることを示した。そして、学校教育に関して、複数のゲームの並立が取り上げられている例と、複数のゲームの並立と捉えられていない例を取り上げて検討した結果、いずれにおいても状況を多重ゲーム構造として捉えることによって解決への示唆が得られうることが確認された。
  • 小野憲史, 見舘好隆, 渡邉文枝, 藤川大祐
    デジタルゲーム学研究 17(1) 13-22 2024年4月30日  査読有り

MISC

 344

書籍等出版物

 127

講演・口頭発表等

 87
  • 藤川 大祐
    日本教育工学会 2025年春季全国大会 2025年3月9日
    教育での生成 AI 利活用において,事実と異なる内容等が出力されるハルシ ネーションが注目されてきた.しかしながら,生成 AI のバージョンアップとともにハルシネーションについても改善が進み,ウェブ検索に基づいてテキストを生成させるような場合には,これまで指摘されてきたようなハルシネーションはほぼ再現されなくなっている.数学的な問題についてはハルシネーションが再現されるが,これは日本語処理による問題だと考えられる.こうしたハルシネーションに関連して生成 AI の記号接地問題が取り上げられているが,扱われている具体例は記号接地問題とは無関係であり,AI の学習と子どもの学習とを類比させることには慎重さが求められることが確認された.
  • 見舘 好隆, 小野, 憲史, 渡邉文枝, 小牧, 瞳, 藤川 大祐
    日本教育工学会 2025年春季全国大会 2025年3月9日
    全国 748 名の経営者・人事担当者に対する調査の結果, オタクの価値を理解する企業は採用の工夫をしていること,またオタクは創造性やイノベーションに寄与していること, さらに創造性やイノベーションに影響する職場環境の4つの因子(良環境・仲間たち・遊び心・理不尽さ) のうち, 特に 10%ルール等 「遊び心」 がオタクに強く正の影響を与え,オタクを介して創造性やイノベーションに正の影響を与えることが示唆された.
  • 藤川大祐, 牧野太輝, 見舘好隆, 小野憲史, 小牧瞳
    日本デジタルゲーム学会第15回年次大会 2025年2月22日
    本研究では、学習者が「オタク」であることを肯定され「オタク力」とされる諸能力を伸ばすことが期待されるようなサンクチュアリ(聖域)としての教室や授業のあり方を明らかにする目的で、「推し」という語の使われ方について検討した上で、中学校の総合的な学習の時間にゼミ形式で全 19 回の「推しごとゼミ」を実践し、授業中の様子や事後アンケートからこの授業のサンクチュアリとしてのあり方を検討した。まず、「推し」については、「推し活」という語が使われるようになり、「オタク」という語の否定的あるいは自虐的な意味合いが薄まったとともに、「推し」という語の使い勝手の悪さが払拭され たことを確認した。そして、「推しごとゼミ」においては、ゼミの序盤から多様性の尊重が教師や生徒によって繰り返し言及され、生徒たちは心理的安全性をもって探究活動ができ、諸能力の伸長が自覚されたことが確認された。
  • 岡野健人, 藤川大祐
    日本教育工学会 2024年秋季全国大会 2024年9月7日

担当経験のある科目(授業)

 59

Works(作品等)

 15

共同研究・競争的資金等の研究課題

 12

社会貢献活動

 11

メディア報道

 241
  • 日本テレビ 2025年4月5日 テレビ・ラジオ番組
    専門家は、保護機能だけでは子どもを守れない部分もあると指摘します。 メディアリテラシーに詳しい藤川大祐教授 「カバーしきれていないのは、そもそも知っている間同士での誹謗中傷のリスク。(SNSで)悪口などを書いて伝えることもできてしまう」 専門家もメタも、SNSの適切な使い方や誹謗中傷を受けた時の対応などを親子でしっかり話し合うことが重要だとしています。
  • 読売新聞 2025年4月4日 新聞・雑誌
    学びの多様化学校に通う児童生徒は、不登校になった背景や課題が一人一人異なります。先生たちは画一的な指導ではなく、個々の子どものニーズに合った対応を取ることが最も重要です。迅速さも求められますが、担当の先生が一人だけで考えると、どうしても偏った意見になる。その先生自身も疲れてしまう。私が校長を務めていた大学の付属中学校では、気になる生徒について、各担任が校長を含む管理職とすぐに情報共有する仕組みを作っていました。 多くの多様化学校は開校したばかりです。例えば、先生1人に対し、子ども何人が最適かもはっきりしていない。今は多様化学校のあり方について議論を深める時期でしょう。 開校した多様化学校を通じ、どういう接し方や指導が子どもにとって有効かがわかってくれば、一般の学校でも取り入れればいい。その結果、多様化学校のニーズが伸びなければ、政府が目標とする300校まで増やす必要はないかもしれない。数字にこだわらず、柔軟に対応していくことが大切です。
  • 東京新聞 2025年3月26日 新聞・雑誌
    藤川大祐・千葉大教育学部教授(教育方法学)の話 生成AIはスマートフォンに標準対応となるほど、高校生に身近な存在。教科書で扱わないのは無理がある。急速な進化に編集が追いつけないので、多くの教科書の記述が概説にとどまるのは仕方ない。 最新の生成AIは文章だけでなく、画像や動画などさまざまな情報を扱えるマルチモーダル機能があり、授業で体験することで生徒の興味や関心を高められる。そこに着目して、活用方法を紹介した教科書があるのは注目に値する。 デジタル技術の急速な進化に、学校の情報モラル教育が追いついていない問題にも、対応する必要がある。進化に応じた補助的な教材を随時、学校現場に提供する工夫が必要だろう。

その他

 3