池田幸恭, 伊瀬玲奈, 岩崎淳子, 大神優子, 北村裕美, 駒久美子, 佐野裕子, 島田由紀子, 眞鍋久美好, 鈴木みゆき
和洋女子大学紀要第50集 50 177-186 2010年3月 査読有り
本研究の目的は、保育現場が求める実習生像を明らかにすることである。実習生に身につけておいてほしいことがらを尋ねる26項目を作成し、保育者214名に質問紙調査を実施した。保育現場が求める実習生像について、幼稚園と保育所および公立と私立という勤務先による特徴を検討した。さらに、保育現場での立場として、経験年数、職場内の立場、実習生の年間の受入人数を取りあげて、保育現場が求める実習生像との関係を検討した。分析の結果、次の3点が示された。第1に、保育現場が実習生に求めることは、「学ぶ姿勢・態度」と「保育実践のスキル」にまとめることができる。第2に、「学ぶ姿勢・態度」は、私立施設勤務者が公立施設勤務者よりも実習生に必要であると考えていた。第3に、「学ぶ姿勢・態度」は、園長、主任、保育士が幼稚園教諭よりも実習生に必要であると考えていた。以上の結果を踏まえて、実習指導および保育者養成について、「学ぶ姿勢・態度」を育てることを通して「保育実践のスキル」を身につけることができる指導が重要であること、保育現場が求める実習生像を実習生自身が知ることで実習への意識を高めること、実習先の保育現場が求める実習生像を理解した上で実習生に指導を行なうことを提起した。