YANG Peng, 久保光徳, 植田憲, 田内隆利
日本デザイン学会研究発表大会概要集(CD-ROM) 2018年 一般社団法人 日本デザイン学会
浄真寺(東京都世田谷区)の九品印相の造型に対する形態分析と印象評価を実施し,九品印相から受ける印象とその形態との関係,さらには宗教的意味との関係性を解明することを目的とした。九品印相(上品上生,上品中生,上品下生,中品上生,中品中生,中品下生,下品上生,下品中生,下品下生)のうち,修理中の印相(中品上生)を除き,八体の印相の3D データを取得するとともに,その形態に対する印象評価を目的とした印相CADデータの再現を試みていた。また同時に,この印相CADデータに対する曲率分布解析,特徴線の抽出,重力下での応力構造解析も実施し,テクスチャや印相形態以外の情報を外すことで単純化された印相モデルに対する印象評価を実施した。印象評価から,数量化三類で構成する三つの要因としては「安定性」,「活動性」,「力量性」で定義できることが明らかとなり,印相それぞれが持つ本来の宗教的意味である「安定」,「説法」,「救済(力)」と合致することを考察した。また,構造解析より求められた重心位置と応力分布及び印相形態(手指の配置)との比較検討より,重心位置が「安定性」および「安定」に対して影響を与えていることを考察した。