青木弘行, 久保光徳, 鈴木つとむ, 後藤忠俊, 下畦聡司
デザイン学研究 1992(91) 37-44 1992年
様々な事象において,適切な認知を与える信号音の開発を目的として,音に対する人間の感覚特性とその音の物理特性との相関関係を検討した。実験は,音色を決定するスペクトル分布を直接操作することにより評価標本としての信号音を合成し,これらの信号音に対する官能評価実験を行い,主成分分析・双対尺度法を用いて,信号音の音色イメージや終了音,警告音,呼出音としての用途別適性を考察,検討した。一方,数量化理論I類を用いて,信号音の音色イメージや用途別適性と音の物理特性および音のスペクトル分布操作によるイメージへの影響を示す操作特性との相関関係の解明を試みた。その結果,各周波数に対応したパワースペクトルの相対的な大小関係や倍音構成などが,音に対する透明感,重厚感そしてこれらの感覚に起因する快適感を有効に操作する要因であることが明らかとなり,この操作法に従って,よりふさわしい終了音,警告音,呼出音,呼出音の提案を行った。