木村護, 青木弘行, 久保光徳, 鈴木つとむ, 柳町弘之
デザイン学研究 1991(83) 91-98 1991年
材料開発が積極的に行われている今日,材料を的確に選定しデザインに反映させることは,ますます重要な検討課題となっている。本研究においては,各種工業材料をその「性質-形-製品」との関係において比較,考察し,材料を選定・活用するためのガイドライン構築を目的として実施した。得られた知見は以下のように要約できる。(1)設計段階に対応して材料選定のレベルや内容が異なる。デザインの初期段階における材料選定のための要求項目は,材料の性質を表す数値データではなく,人間を基準とした具体的な言葉やイメージとして置き換えることが必要である。(2)材料は製品形状と強く関係するために,製品から材料への要求項目を,材料の性質だけではなく,その形状も含めて分類,関係付けることが必要となる。(3)作成したガイドラインを用いることにより,デザイン段階における材料選定を,酒用容器をケース・スタディとして検討した。