佐藤尚子, 田島ますみ, 橋本美香, 松下達彦, 笹尾洋介
国際教養学研究 1(1) 15-25 2017年3月 査読有り
[要旨] 本稿では、日本語母語話者・非母語話者を問わず、多様な日本語使用者の語彙サイズを測定するテストの開発と、そのテストを用いて測定した日本人大学1年次生の語彙サイズの測定結果について述べる。先行して開発された30,000語レベルの語彙サイズテストでは、弁別力に問題があった(田島ほか、2016)ため、50,000語レベルの語彙サイズテストを開発し、実施した。50,000語レベルのテストの結果、30,000語レベルと同様に高得点者が多かった。分析対象になった400名のうち、96.8%の学生は推計既知語数が30,000語レベルより上であり、74.5%が40,001語以上だった。今回の語彙サイズテストの結果からみれば、多くの日本人大学生の大学入学時の語彙サイズは40,000語前後と推計される。一方、一部に極端に語彙サイズが小さい学生がいることがわかった。また、頻度の低い語であっても、大学1年次生にとって日常生活等で接する機会が多い語、あるいは、漢字から意味が類推できる語の正答率が高い傾向が見られた。